Messege of Bebe
34号へ 人形情報紙
ベベ通信35
vol.35 '01/5月 BYまりりん石原
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「ベベ通信」は、もともと通信販売商品に同封する為に発行している人形情報のフリーペーパーです.
これは、そこから抜粋したホームページバージョンです.
展覧会を開こう
個展開催は、ものを作る人間なら、誰にとっても夢ですよね.なら、開いてみましょう.
基本的には、作品さえあればいつでも開催できますけど、相当の体力が必要です.

展覧会を開くには、まず目的と場所を選ぶことが必須です.
以下、私の経験にもとづくやり方です。
場所は地方都市を想定していますが、都心などでも、費用などを除けば、基本は同じと思われます.

目的別・場所の選び方
いずれの場合でも、長所、短所があります.
どちらが良いか、それを踏まえて選びましょう.あくまでも一例ですので、参考程度にお読みください.

A.作品を見せるだけで良い→なるべく安く借りたい→[1]へ

B.作品を見せて、なおかつ売りたい→[2]へ

[1]安く借りられる場所・・・自治体の運営する場所(市民の為開放されている文化会館など)や、銀行や電力会社の併設ギャラリーや、企業のコミュニティースペースは、無料か非常に安く借りられる.お金をかけない分、自分で動く必要がある.
ただし、ホールと仕切りのない喫茶店やレストランでの無料展示や屋外での開催は、人形には日光、水、油、におい、埃など、厳禁のものが多いので、メリットよりリスクが大きく、私の経験上、お奨めできません。

●長所…費用が安く、自由に出来る。

●短所…公共施設は作品の売買が出来ないことが多い.スタッフはいないか、いても無料ギャラリーのスタッフは開催される企画に深く関わらないことが多いため、事前の準備や搬入、搬出はもちろん、開催期間中は自分や自分で用意したスタッフを留守番に置かなければならない.
銀行や企業だと、日曜閉館も多い.
不特定多数の人が出入りするが、作品の管理については、会場側は責任を負わないことが多い.
また、必ずしも立体に適したスペースとも限らない.展示机や椅子、暗幕やパネルなど、自分で借りたり用意しなければならないかもしれない.
当然、告知やDMだしなど集客も自分でやる.

[2]ちゃんとしたギャラリー・画廊…「ちゃんとした」という意味は、貸しギャラリーとしてそれで生計を立てている画廊のこと.
つまり、ギャラリーの場所代や作品を売る手数料によって商売を成り立たせていること.
銀座などでは、一週間で最低50万の出費は見ないと…と言われていたが(バブル期??)、これは特別かも.
ギャラリーは大別して2つ、1つは画廊オーナーが作家を選んで開催を依頼する企画もの.この場合、すでに作家の名が知られている場合がほとんど.
実はこの場合も注意が必要(次号の体験談に続く).
もうひとつは、作家の作品持ちこみによる開催.
日本では、場所代(と作品手数料)を払えばほとんど貸してくれるところが多い.
パリやN.Yなどの特定の地域では、画廊オーナーが新人発掘の役割を担っているので、そのギャラリーで開催すること自体が、アーティストとして出世に繋がることもしばしば.
日本では、送言った権威有るギャラリーは少ないと思われる.
いずれの場合でも、ギャラリーのオーナーに相談し、自分の作品を気に入ってくれ、安心して任せられると納得すること.
その場所経験者から体験談を聞くのが1番.

●長所…有名ギャラリーほど、手数料が高い場合が多いが、これは、それだけ「いいお客さん」をたくさん持っている証拠で、必ず作品を売ってくれるはず。
そうしないと、自分たちも収入がないからである.
だだし、まれに、どうでもいい道楽オーナーや、しつこいセールスのようなギャラリーがあるので注意.
また、DM出し、留守番、作品管理を任せられる.

●短所…費用がかかる.
それによって、自分の作品に価格を上乗せする必要がある(値段つけは、最も頭を痛めるところ).
なかなか信頼できるギャラリーが見つからない.特に地方では球体関節を知らないギャラリーオーナーもいる。
これが1番厄介でもある.

場所が決まったら
場所を決めるとき、開催期日、期間もいっしょに決めると思います.
まだまだ先だと思っても、期日はあっという間にやってきます.
最低でも半年の準備期間は必要でしょう.
3ヶ月前には、出品する全ての作品がそろっていることが理想です.
DMの写真を撮って印刷所に回し、納品されて宛名書いて郵送、これだけで一ヶ月.
展示スペースを下見し、何処の何を展示するかを決めます。
それに伴う展示用の暗幕、大道具、小道具の準備、当日の搬入方法、展示の段取り、搬入のお手伝い確保(小さなスペースなら1人で出来ますが、結構ハードです)…3か月なんてあっという間に忙殺されます.
作品に値段をつけるのも時間がかかります.
今までかかった作品の時間や思い入れを価格に換算するのは、難しいです.
はじめての個展なら、販売しないか、展示には表示しないで聞かれたら答える程度にしておくほうがいいかもしれません.
見る人は、値段で価値そのものが惑わされることもあります.
特にあまり球体関節の普及していない地方では、慎重に.ギャグで高額つけて、寒くなってもなんなので.
初個展で完売しようとは、考えないことです.

展覧会を開催したら
そんなこんなで搬入も終わっても、まだ、これからが本番です、緊張の糸を切ってはいけません.
いくら作品が並んでも、並べっぱなしのギャラリーでは、お客さんは満足しません.
真剣なお客さんほど、作者と面と向かって話したいものです.ちゃんと自分の作品を説明したいものです.
それに、あなたはこのイベントの主役ですから、奥にいないで、積極的に話しましょう(わたしは、これがすごく苦手でしたが、ふっきって、慣れました)。
お人形に負けないように自分もドレスアップしましょ.
もしも仕事などで自分で留守番が出来ない場合は、感想ノートみたいのを置いたらいいでしょう.

展覧会開催後
開催後は、芳名帳に名前を書いてくれたお客さんには、必ずお礼状を出しましょう.
次回のDM出しの名簿にもなりますし、次回も絶対来てくれるはず.

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆今月のギャラリー☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「petitte enfants」(’01)

キットDのカスタム
25cm
石塑・胡粉・グラスアイ ・絹すが糸
からし色の古い縮緬の着物、江戸ちりめんのエプロン
ひきた柄の赤い縮緬、刺繍入りのエプロン
petitte enfants
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