Messege of Bebe
46号へ 人形情報紙
ベベ通信47
vol.47 '02/6月 BYまりりん石原
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「ベベ通信」は、もともと通信販売商品に同封する為に発行している人形情報のフリーペーパーです.
これは、そこから抜粋したホームページバージョンです.
素材について [1]:ドールアイ
今月から,しばらく人形を作る上で必要不可欠な素材について、基本的な知識や使い方をはじめとして,いろいろ考察していきたいと思います.

今月はドールアイについてです.
人間も目で表情や性格が大きく変わるように,人形を作る上で,もっとも素材によって雰囲気が変わるといえる,もっとも大切な部品かもしれません.

グラスアイについて

何はなくとも,先ずグラスアイありきです.
実は,私(いそべ)がアトリエベベで通信販売をはじめるきっかけとなったのは,日本でなかなか手に入らないグラスアイを収集する所から始まっています.
現在では,創作人形やカスタム人形が以前より一般的になり,需要が増えるにつれ,グラスアイは入手しやすくなりました.
選べるほど豊富に世界中でグラスアイは作られています.昔を考えると,とてもうらやましいです.

グラスアイには,大ききく分けて2つの製法(ブロウアイとペーパーウエイトアイ)があります.
優劣はないので,どちらを選ぶかは,使う人のこのみにより選択することとなります。
一般的に,ブロウアイの方がリアルな人形に合い,ペーパーウェイトの方が,人形(人工)っぽく見えます。

●ブロウアイ(吹きガラス)

みなさんもTVなどで、ガラス工房で熱いガラスに息を送りこんで膨らまして、江戸風鈴やグラスを作るのを見たことがあると思います。
吹きガラスのグラスアイ(ブロウアイ)もほぼ,同じ様にして作られます.
つまり、中は空洞で,ふうせんを膨らませたような感じで、軽いです。
その表面を加工して色ガラスで虹彩を描きますので,比較的表面的,奥行きはあまりありません。
でも、実際の人間の眼と構造は似ていて,人間用の義眼も同じ工法ですので,リアルで,生き人形や市松人形などに使われます.
人形でいうと,どちらかといえば、ドイツ系統のリアルドールに多く使われるようですが,もちろん,現代人形にも幅広く使用されています。比較的品質は安定しています。

代表的ブロウアイ
1001A 1010B 2090A
スタンダードなブロウアイに
血管入りのリアルアイ
ブロウアイをアーモンド型にしたもので、
市松人形の目に近い
虹彩を白い糸放射状に加工
3000A 8000A MO
虹彩は手書き風に加工 スタンダードなブロウアイで、リアル やや奥行きがあるブロウアイ
●ペーパーウエイトアイ

ペーパーウエイトは、ヨーロッパで使われるガラスの文鎮のことです。
工法が同じなので,この名があります。
ガラス(主にガラス棒)を熱で溶かし,水飴のようにどろどろにした状態で、ガラス棒につけたまま虹彩部分を加工して後で切り離すか,あるいははじめに分量だけ切り離しガラス粉の上に目玉焼きのように落としてから加工します。
ベネチアのガラスモザイク,日本のトンボ玉,いま流行の凝ったガラスビーズなども、同じ様に加工します。
ガラスむくなので,重く,奥行きがあります。
いろいろな工法がありますので,高価なものから安価なもの,かんたんなものから凝ったものまで幅があります。
5000B CATS EG
オーバル型でやや扁平のフレンチアイ。
瞳は奥行きがある
ワイヤに飴のようにガラスをからめて作る。
やや扁平
ガラス棒の先を加工した,スタンダードなもの。 ほとんどが写真のように出っ張りが大きい
EN 5025B / 5035B ORDER
後面をつまみ、ころっとした立体感のあるアイのイングリッシュアイ
平面に置いたような,やや平たい。
#5035は虹彩が彩色紙の封入式
作り方はオーソドックスなオーダーメイドアイ。カラー製作に苦労があります
アクリルアイについて

もし、「安いから」という理由だけでアクリルアイを使用するというなら,それは考え直した方が良いかもしれません.
アクリル(樹脂)は、傷がつきやすく,なれた人間でも扱うのは難しいです.
いったん傷がつくと,眼が曇ったように見えてしまいます。
また、変色・退色もしやすいです。
どうしてもアクリルにしか欲しい色がない場合や,樹脂ならではの加工を必要な場合のみにとどめておいた方が良いです。

アクリルアイは,球体,半球体,フラットいずれも型抜きで瞳(虹彩)は、色柄を印刷した紙(またはフィルム)を封入してあります。
外側はさらにクリスタル(透明)樹脂でコーティングしてあります。
まん丸ではないのは,人間の瞳に似せてあるのと,奥行きを出す効果もあります。
球体のものの場合,前後を型で抜いてからあわせるため,どうしてもつなぎ目が出ます(人形の眼として、はめてしまえば,ほとんど気にはならないと思います)。

どうしても市販にない色をつくりたい!

ガラスは市販のトンボ玉用品(ガラス棒,バーナーなど)で、アクリルアイはクリスタルレジン(東急ハンズなどで入手可)などで、全てを自作することもできますが、いずれもある程度の経験,知識,材料・用具費用がかかりますので、ここでは、市販のドールアイを加工して作る方法を紹介します。

ベア用,アニマル用のグラスアイ(#2000D、#302D、#402Dなど)を用意します。
20mmのアイを製作する場合,10mmのものを使います。
この周りに,なるべく白く硬く固まる樹脂ねんど(アートフラワー用など)を20mmの球にし、用意したアニマルアイを埋め込みます。
粘土が硬化後、クリスタルレジン(なければ透明ニス、透明マニュキュア)を表面にかけてできあがりです。
アニマルアイの、黒目以外が透明なものを使い,裏から好きな色で塗っておくと、いろいろな色ができます。
この方法では,虹彩がありませんので、腕に自信のある方は,裏に白で虹彩を細かく入れてから色を入れてみてください。
ラメ入りマニュキュアなどをいれても面白いです。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆今月のギャラリー☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「クローンズ3」
「L&L」

50cm
L&L
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