62号へ

人形情報紙
ベベ通信64
vol.64'04/8月 BYまりりん石原
ホームページバージョン

67号へ 

「ベベ通信」は、もともと通信販売商品に同封する為に発行している人形情報のフリーペーパーです.
これは、そこから抜粋したホームページバージョンです

海外通販ついて

 

今回は、みなさんにはあまりお役に立つような話ではないのですが、海外通販の話をします。海外通販といっても、私が現在やっている仕事はほとんど卸との取引ですので、普通の海外通販とは違うとは思います。でも、個人で海外通販をやったことのある方なら、日本との違いはなんとなく感じたことがあるかもしれません。

 

日本は、通常の店舗にしろ通販にしろ、とても丁寧だし、なによりうまく回っています。お店はお客さんより、絶対に「下」だし、普通、店員はお客さんに対して何かを要求するって事はないですよね。それが当たり前なのですけど、海外に行くとそれは一転します。

欧米では、お店とお客さんは対等という感じがします。中にはお店の方が偉そう、って所もあります。これは決していいこととは思いませんが、日本の商人はへりくだりすぎで、日本のお客さんはお店に過剰にサービスを要求しすぎかも、と考えさせられました。

だいたい、江戸時代の身分制度を見るからにして、「商」は身分が一番下。お金を扱うというのは、あまりキレイなことではないということでしょうか。でも、たしか聖書でも、そんな教えがあったような気がしましたが・・・。

私の立場は、「売ってあげるよ」な世界から購入し、サービス一番の世界で店を構えているのですから、そのギャップの切り替えがとてもつらいところです。

 

あんなことこんなこと
海外のお店が、販売側に対して“自分中心”なのは、しばらくすると慣れますが(これは仕方がないことですから・・・)、日本では考えられないことをいくつか・・・。

 

●商品の扱いが雑!

ま、商品そのものが雑・・・というものもありますが・・・。
日本ならば、壊れ物でなくともエアパッキン(プチプチ)で包んでから箱に入れ、発送しますが、ほとんどエアパッキンを見たことがありません。もしかしたら、存在しないのかも・・・。いいとこ新聞紙を丸めたものが入っているだけです。これは、税関で開封されるという前提で、あまり厳重に包まないという側面もありますが。

某会社が、一番壊れやすいブロウアイ(吹きガラス)、しかもビニール入りのものを、そのまま箱に入れてたくさん送ってきたので、開封したときにはかなりの数が割れていました。厳重注意!スタンドが曲がっている、壊れている、ビニールが破れている、など、枚挙にいとまがないです。どうも、基本的に雑です。

外から見て明らかにダメな商品は除きますが、そうでない場合もあるので、困りものです。ウィッグとか、型崩れますからビニールや箱から出しませんし・・・。

 現在の日本での消費者の潔癖症とも言える“未開封での状態のよさ”へのこだわり(例えばネットオークションなど)は、ちょっと異常かもしれませんが、それにしてもヒドイ。ギャップがありすぎです。

 

●在庫が雑!

在庫の補充が、なかなか解消されないこと。新商品です!と紹介されても、在庫がない。また、需要が多いサイズ・カラーほどすぐなくなり、長いこと補充されないです。毎回“入荷したら送って下さい“と注文するのですが・・・。逆に、バックオーダー(品切れ商品は入荷次第送付依頼)していないのに、送られてくることも・・・。返す場合は、当然送料はこちら持ちです。卸だと、連絡をしてくれないところが多いです。

 

●お金に関して雑!

ディーラー割引が適用されていなかったり(ほぼ、ド忘れ)、計算間違いも、しばしば。おまけに、たとえ送りまちがいの商品でも、返品の送料は、めったに払ってもらえません(交渉力かもしれませんが・・・)。だから、ミスものは引き取る羽目になります。

 

●とにかく雑!

ごくたま〜〜にですが、なかなか届かないので問い合わせたら「発送を忘れていた」ということもありました。「JAPAN」を書き忘れて、なぜか小包が韓国に行ってしまったことも。商品が細かくたくさんあるから仕方ないとはいえ、送りまちがいも多いです(これは、私もあります、すいません)。交換も時間とお金がかかるので、これは本当、キッチリしてほしいです。

もうお付き合いのない会社ですが、郵便で!と指定したのに、勝手に貨物便にしてしまい、そのため、私は2度も成田税関まで1日かけて荷物を通関させて、車でとりに行かなくてはならなかったことがあります。どうも話が通じなくて(お互い英語が母国語じゃないので)、あげくのはてに大喧嘩。「日本は狭いから簡単に取りに行けるだろう!」と訳のわからない言い分で、結局は商品代より高い人件費・交通費は、ビタ1文払ってもらえませんでした。(ちなみに、小包を税関に置きっぱなしにすると、1日いくらで保管料がかかります。どうしても行けない場合は、業者に通関・配達を依頼する、破棄する手もありますが、どちらもとても高額です。くれぐれも、通関してくれて玄関まで配達してくれる方法・・・郵便小包とか、FedExとか・・・を指定しましょうね。郵便小包なら、通関手数料はたったの¥200ですから。

この経験は、時間とお金に大損害の、痛い経験です。でも、心を痛める大損害は、本当は、言葉が通じるはずの日本のお客様に理解を得られないことなのです。

 

15年前
私が創作人形を始めた15年前は、本当に材料がありませんでした。もちろん市販もありませんし、インターネットもなかったし、海外から商品を輸入するなど、思いもよりませんでした。でも、帰郷のため東京の教室をやめた後、全く材料が手に入らなくなり、困り果てた末、海外の雑誌で人形材料店を知り、恐る恐る海外から取り寄せを始めました。自分と生徒と仲間の分を取り寄せるうち、同じような悩みの方の賛同を得て、いつの間にかディストリビューチャー(仲買人)の役目をしていました。ですから、本当に微々たる手数料だけで頒布していました(けっこう損もしました、実は・・・)。

ちなみに、ディストリビューチャー(仲買人)とディーラー(卸)は、契約の有無など厳密には違うのですが、形式の違いだけで、消費者からの目線では、ほとんど代わりはないと思います。

今は、創作人形も広がりましたし、市販ドールに関連するカスタムなど増えましたから、昔では考えられないくらい商品の選択肢が広がったと思います。ちょっとうらやましい限りですが、私がもし15年生まれるのが遅かったら、ただの消費者の立場で、人形を仕事にすらしていなかったのではないでしょうか。

 

規則に従うか、気遣いか・・・
とはいえ、私が全く“日本式商人”を無視しているわけではありません。うざったい“手もみもみ”や“おべっか”じゃなくて、見えないところでのサポートが一番大切にしているつもりでいます。ただ、皆様方のご要望に答えられているかは、正直言って、わかりません。通販の場合は特に、はっきりご要望を言葉にしない限り、想像するしかありませんし、その想像が外れているかもしれません。できれば、ご要望はどんどんおっしゃっていただいた方がいいです。この場合は、沈黙は金ではありません。

 

あと、こちらが良かれと思ってやったことが、悪い方向にいってしまうとき・・・。これほど辛いことはありません。例えば、こんなことがありました。

新規のお客様で、締切ギリギリのオーダーがあったときです。当然、いつもと同じようにメールで「会員登録のお願い」を出しましたが、なかなか返信がありません。品物の方は、締切になってしまったので、次回締切(1ヵ月後)まで繰り下げにするのが本当なんですが、もう会員登録のメールが来るだろう(届かなかったのか、または、忘れているのかもしれない)と思い、再度同じ会員登録のお願いメールを送り、品物はこれ以上待つと他のお客様の分まで遅れてしまうので、その方の分も一緒に発注しました。これは私のフライングではありますが、手元にオーダーフォームがあるのに、1ヶ月以上もお待たせするのは忍びない、という判断でした。

その後、その方から返信メールが来たのですが、商品がいらなくなったから会員登録を返信しなかった、ということでした。それならば、なぜキャンセルでも何でも1本メールをいただけなかったのか尋ねたのですが、こちらを責めるばかり。その方のためを思ってやったことが、完全に裏目に出てしまいました。引き取り手のなくなってしまった商品も不憫です。

悲しいですが、そういった“気遣い”は、半分以上が一方通行の片思いで終わってしまうことが多いです。ですから、線引きは必要なのだと思います。上記のような場合、「助かった」と思われる場合もあるかと思いますが、今後はキッチリと、私自身もルールに従おうと思っています。皆様も、なにかトラブルがあるかもしれませんので、締切はどうぞお早めに設定して下さい。それと、ダメといわれていること(キャンセルや変更)でも、できることなら努力しますので、どうかご相談だけでもして下さいね。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆今月のギャラリー☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「絽那」

48cm

 

62号へ / [64号] / 67号へ