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人形情報紙
ベベ通信67
vol.67'05/5月 BYまりりん石原
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「ベベ通信」は、もともと通信販売商品に同封する為に発行している人形情報のフリーペーパーです.
これは、そこから抜粋したホームページバージョンです

 

絹について

大正時代の鮮やかな染料の着物。

 

私事で恐縮ですが、いそべは現在、日本刺繍にはまり、奮闘中です。もともと、人形の着物に使う半衿の「この場所に刺繍があればいいのに・・・」という思いからです。アンティークの半衿は現在、品薄で高価、また、真ん中が汚れていたり、もともと人間用を縫い縮めるので、柄が大きい・いい位置に出ないなどの苦労もありました。

日本刺繍は伝統的ゆえにとても難しく、大雑把な私にはできないかな〜と思っていたのですが、なにより絹糸(釜糸)の色や輝きに魅せられてしまいました。

もともと、私の祖母が糸(麻、綿、毛、絹)を扱う織の仕事をしていたため、糸には縁がありましたが、人形を始めて、絹のすが糸の髪を染めたり、着物を探して骨董市に出入りしているうち、絹マニアの端くれになってしまいました。

天然素材(麻、綿、毛、絹)は化繊とは違い、個体差があります。同じ染料でも厳密にはまったく同じ色にはならないそうです。私は元来、均一で工業的・大量生産品ではないもの・・・たとえばグラスアイにしても、”不良品”に見えなくもない規格外の色などを好んで収集する癖があるので、着物なども個性のあるものが好きなんだと思います。

絹ほどいろいろな表情を持った繊維もないのでは、と思います。例えば刺繍の糸ひとつとっても、「指でなでる」という艶出しの技法があります。触るのと触らないのでは全く違う質感になります。ヘンなたとえですが、犬や猫のブラッシングのようです(絹も動物性繊維ですから、おおまかには間違ってはないですよね)。人形の髪に使う絹すが糸も、つやのない状態から、よくブラッシングをすることで、艶をコントロールできます(絹は化繊に比べて艶がないとお思いの方も多いかと思いますが、そうではありません。単に手を入れるか入れないかの違いです)。
 アンティークの着物をほどいていると、着物から長じゅばんに格下げになった着物など、つぎはぎだらけですが、それほど昔の人はものを大切にしたんだなあ、としみじみ思います。絹の着物など、本当は一部の人しかまとえなかったに違いありません。いま、私たちはその貴重な絹を容易に入手し、豊富に使えるのですから、いい時代であると思うと同時に、生かしてあげないと・・・とも思います。

 

  

刺繍半衿は、ただいま練習中・・・。桜が一番初心者向け
使うのは古布ですが、刺繍ひとつで小さなきれに命を吹き込めるのではないでしょうか。

 

幾何学模様が好きですが、きれいに揃えるのはなかなか難しいです。

 

帯に犬張子を刺繍しました。遠めで見れば、まあまあ、かな。


絹すが糸は、アトリエベベ通販でも以前から常用していましたが、実は深刻な問題があって、仕入れ元が安定しませんでした。その問題というのは、特に黒いすが糸の染色なのですが、伝統的には黒の染色は、真冬に染めて寒中で乾かすそうなのです。こういう伝統的なものは、ほとんど高齢化・後継者不足で、年々少なくなっているそうです。よって、どうしても高くなってしまったり、量が確保できなくなっていました。

 幸い、ご縁がありまして、新しい仕入れ先を探すことが出来まして、カタログに試験的に入れることにしました(実は以前、期間限定で販売したことがあります)。しかも、カラーがたくさんあります。ただ、問題が1つあって、1つのかせ(よりかせ)が大きく、こちらで小分けする必要があるのですが、そのかせが機械巻きのため、複雑に糸が交差していて、1かせ解くのにほぼ半日、かかるのです・・・。でも、使うためには絶対どこかで解かないとならないので、しばらくはさばくのに時間を費やしそうです。ただ、カラーはものすごく綺麗ですし、第一、お安く譲ってもらっているので、ありがたく使わせていただこうかと思います。みなさまも、どうぞ使ってみて下さいね。

(カタログ「ヘアカセ」のページでお取り扱いを始めました。)

 

  

魅惑のカラー、刺繍糸

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆今月のギャラリー☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「はな」

55cm・球体三つ折れ

 

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