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人形情報紙
ベベ通信71
vol.69'05/8月 BYまりりん石原
ホームページバージョン

 

「ベベ通信」は、もともと通信販売商品に同封する為に発行している人形情報のフリーペーパーです.
これは、そこから抜粋したホームページバージョンです

 

人形の彩色(胡粉+油絵の具)




最近、個人的に人形の彩色で凝っているのは、胡粉に油絵の具で彩色する方法です。

もともとは胡粉にパステルや水彩絵の具で淡い色を付ける方法が主だったのですが、この方法は子供、少女人形には日本独特の“なまめかしい”肌質を表すことができて、長年のお気に入りだったのです。しかし、去年、成人男性の人形を作ったときに、この方法では「白すぎる」と思いました。パステルで地色(肌色)を、かなり思い切ってたくさんのパステルを乗せても、なかなか乗ってくれないし、均一に乗せるのは難しいものです。そこで思い出したのが、油彩。

昔、ビスクドールをやっていたときに、白いドールスリップ(液状の粘土)で型抜きし、焼成して磨いて色付けをするときに、メディウムでといた顔料をスポンジで均一に塗って、再度、色を定着させるために焼成する工程を思い出しました。それもそうですし、胡粉+油絵の具は、
天野可淡さんなんかがすでにやっていましたし、実際、私の教室の生徒も独学でやったことがありました。

どうなんだろう、油絵の具・・・。
天野可淡さんは油絵も描く人だったから、油絵の具に慣れているけど、私は一度も描いたことないし、道具すら持っていない・・・でも、なんとかなるだろうと思い、近所の画材屋さんに相談して、最低限必要なものを買い揃えます。スポンジは人間用のファンデーション用(三角っぽいもの)を用意。
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実は私は昔、他人の油絵の具に匂いで気持ち悪くなったことがある・・・マスクも用意。

すでにいつものように胡粉を塗った人形を用意し、いざ挑戦。いきなり油絵の具を塗るのも怖いので、とりあえず、最初にペインティングオイルだけを全体にスポンジで塗る。こうすると、色をふき取りやすくなるみたいです。
そして、ペインティングオイルで溶いた油絵の具(黄色系、オレンジ系を混ぜますが、基本的には自由です)をスポンジに取り、人形のパーツに乗せて塗ります。これだけだとすごく濃いです。
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次に、何もついていない新しいスポンジで、その色を均一に伸ばしていきます。
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全部にこれを施したら、1日くらい乾燥させます。このままでもいいのですが、私の場合なかなか色が決まらないので、「ちょっと濃いかも」というときには、新しいスポンジにペインティングオイルを含ませて、少しふき取ります(薄くなりすぎたら、また色を重ねます・・・その繰り返し)。

ふき取ると、複雑な場所には色が残りますね。スポンジでは行き届かない顔の細部には、筆を使います。地色が決まったら,乾燥させて、細かい場所を彩色します。

眉、目元、
唇など、細部を塗ります。(この人、現在のHPのトップページの人ですね)

髪の毛は、塗ってからつけます。

まだ胡粉しか試していませんが、液体胡粉でも可能だと思います。

ついでに、教室の生徒さんがやっていたもので、私が実際に試したわけではないんですが、100円均一などの安い人間用のファンデーション(コンパクト)で、胡粉塗りの上に同じように塗る、という方法もあります。胡粉は油分を吸収するので、染み込む感じで、そんなに落ちることはありません(それゆえに失敗しても落としにくいです。乾く前なら、これもペインティングオイルで取れると思いますが、念のため、少しづつ色を乗せて、だんだん濃くしていってください)。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆今月のギャラリー☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「三折れ・2006/06(仮)」
ラドール、胡粉、グラスアイ、化繊モヘアウィッグ
アンティーク着物、帯



これも油絵の具彩色です

55cm

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