Margaretの部屋/20194
東京&大阪 SUPER tour


その3

マーガレットのブログ日記



 

ライブのレビュー(41日・日本武道館/2日大阪フェスティバルホール)

日本武道館!!!

大物来日アーティストご用達!30年前の1stライブの聖地!

でもでも、ハコ大きいよね?19年ぶり単独公演だから、大きく行きたいのはわかる。ただ私はこの15年(単独公演ドタキャン以来)、普通の生活を送る4050代の日本人からは「ぺっとしょっぷぼーいず?まだいるの?」「誰それ」「懐かしい」と、何度言われ、涙で袖を濡らしてきたことか。大丈夫か。80年代ど真ん中世代であるはずの450代からはもう忘れられている人たちで武道館をいっぱいにできるの?

ただ、彼らが「あの人は今」ではないことは、私が良〜く知っている。デビューして約35年、UKでは一度も忘れられたことはないバリバリの現役だ。日本でいえば…うーん、誰だろ、B'zとかそ
んな感じの存在か?違うか?日本で「忘れられていた」のは、やはりプロモーションのせいだと思う。

だいたい、ネットで「ペット・ショップ・ボーイズ」を調べたくてググればたいがいド素人の私のHP/ブログに行きつくのは間違っているぞ!!日本にはそれほど公式やまとまった情報がなかったのだから、知らないのは無理はない。流行りとか認知度というのは割と単純で、ラジオやTVCMでヘビロテされれば簡単に現役感が増すものだったりする。つまりPSBには強力に推される機会ががここ15年なかったのかもしれない。映画でも舞台でもコンサートでも、興行って、絶対に来る固定ファン以外がお金払ってようやく黒字になるようなものですから。

さて蓋を開ければ、満員Sold outとまでは行かなかったけど、3階席までだいたい埋まっていたように見えた。ああ、よかった。もしガラガラだったら、これが最後の来日公演になってもおかしくない。次に繋げるためには、何としても観客を呼びたい。

セット・リスト(Pet Shop Boys Setlist

1. Inner Sanctum
2. Opportunities (Let's Make Lots Of Money)
3. The Pop Kids
4. In The Night
5. Burn
6. Love is a Bourgeois Construct
7. New York City Boy
8. Se A Vida é (That's The Way Life Is)
9. Love Comes Quickly
10. Love Etc.

11. The Dictator Decides
12. Inside A Dream
13. West End Girls
14. Home And Dry
15. The Enigma

16. Vocal
17. The Sodom and Gomorrah Show
18. It's a Sin
19. Left To My Own Devices
20. Go West

アンコール
21. Domino Dancing
22. Always On My Mind
23. The Pop Kids(Reprise)

20167月のROHの初演時との違いは、2曲目に「Opportunities」が入り、初演時2曲目だった「West End Girls」が中盤の13曲目に変更。また中盤にあった「Twenty-something」「Winner」の2曲が削除。変更点はこの3か所だけだけど、削除された2曲は大衆性やライブに向いてはないので、よりすっきりまとまった感じがする。また、ロンドンでは居たダンサー達が今回はおらず、サポート・バンド・メンバー(クリスティーナ、アフリカ、サイモン)の3人のみを加えた構成。

参考:今回の私の座席:5列目A3ブロック、ステージから外れた下手(しもて)寄り

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会場が広いというのはこんな感じで、遠いのというのはこういうこと。前から5番目だけど端寄りなので、上手(かみて)で移動しないクリスなどほとんど見えず…。かろうじてニールが、ステージの左右を動き回ってくれたのでニールは近く見えるときもあった。席移動はだめで、最初から最後までスタンディング。これなら席(パイプ椅子)は要らなかった。スパンが狭いので、踊ることもほぼ不可能だった。

席のDGの前方、つまりとてもいい席の人たちが声を出していなくて、手拍子をしている人もまばらだった。せっかくいい席を買えたのに、すごくもったいない。私の感じだと、2階席あたりからの方からよく声が聞こえた。

シンガロング(ニールが観客が合唱を促す)でも、ほとんどアリーナの観客席から歌が聞こえなかった。ほかの大きいアリーナでもシンガロングは地響きのようになったので、今回は本当に歌っている人が少なかったと思う。PSBのスタッフのアカウントで、「東京はすごく静か」という呟きもあったよう。比較的アジア人、特に東日本の人はあまりはっちゃけない傾向にあるとは思うけど、ちょっと残念。今回は、次にまた単独公演があるかどうかの正念場なので、みんな頑張ってほしかった。やはり会場が大きすぎたのでは…。

もちろん個々のレベルでは、本当に声を上げ、手拍子をして涙を流していたファンも多いと思う。

後日、バンドメンバーのクリスティーナが自身のインスタで舞台から撮った写真とともに「Dream gig in a dream city! What an honour to play at The Budokan in Tokyo. (夢の都市で夢のようなギグ!武道館でできたのはとても光栄!)」というメッセージを添えています。やはり武道館って特別な場所なんですね。ポール・マッカートニーやエリック・クラプトンなどの大物も武道館ですし(観客動員を考えたら東京ドームやさいたまスーパーアリーナでもあり得る)、PSBの初ライブも武道館です。余談ですが、ミーグリで、武道館の舞台の裏側を見るというレア体験もしました。さすがの老朽化、今年秋に修復作業をするそうです。


参照記事:ペット・ショップ・ボーイズ、19年ぶり単独来日公演が武道館で開幕


日本武道館の次の日、大阪フェスティバルホール。

この日はPSBやクルーたち、ファンもみな朝から移動だったことでしょう(もう、新幹線1台をお召列車として貸切って欲しかったくらい)。東京駅や新大阪駅をキョロキョロしたけど、一行には遭遇できず(できた人もいたそうで)。まあ、プライベートはなるべく邪魔したくないので追いかけません。偶然会えたらそれは嬉しいけど、偶然出くわした経験はナシ。

フェスティバルホールのキャパは満席で2,700人。1万人以上は入る日本武道館に比べれば1/3程度。参考までに、私の席は10列目中央。8列目くらいから緩くスロープになっているので、決してステージに近くはないけど、ステージ全体が見やすい席。最前列はステージに至近で、舞台も高すぎないので、見えにくくはなさそう。

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席からのビュー。ちなみに一人でチケット取ったけど、周りは知り合いのファンの方ばかりで心強かった。しかし最前列中央ってどんな幸運だよ。

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イントロは現在のところの最新アルバムSUPER(2016)からの曲、1. Inner SanctumROH初演(および次年の再演:今月発売のライブDVD)のコンサート・タイトルでもある。「内なる聖域」とはまさに今の状態のよう。次に、一気に30年以上戻り、2. Opportunities (Let's Make Lots Of Money)。もちろんアガる曲だけど、30年のタイムトリップが何の違和感もなく存在できるのがPSBSUPPERなところ。

3. The Pop Kids
からはすべてのフェーズから選ばれたディスコタイム。4. 古めのIn The Nightはやや意外な選曲。5. Burn6. Love is a Bourgeois Constructは比較的新しいので、80年代で止まっているオールド・ファンにはやや、なじみが薄いか。7. New York City Boyも日本では世紀末に流行った曲。8. Se A Vida é (That's The Way Life Is)も何かのスポーツイベントのタイアップ曲で、TVで流れていた記憶がある。9. Love Comes Quicklyは日本では石川秀美が「霧の都の異邦人」のタイトルでカバーした、日本に縁がある曲。10. Love Etc.でディスコタイムいったん終了。

一転、11. The Dictator Decides12. Inside A Dreamは、基本アゲなSUPERの中の、暗い現実の穴のようなパート。13. West End Girlsは、歌詞がよりダークなExtendedヴァージョン(東京ではサビ部分のシンガロングがあったけど大阪ではナシ)。中盤のしっとりパートでは、14. Home And Dryの時、観客がスマホをペンライトのように振って、演出のレーザーライトと無数のホタルのような光がシンクロしてとても素晴らしかった。(PSB公式の写真や動画でもハイライトとして紹介されていた)

15. The Enigma
は、今回のツアーの、唯一のクリスのソロ・アクト。残念ながら歌はないけど、数台のシンセサイザーを駆使している姿が拝める。(この曲は英国の数学者アラン・チューリングに捧げられた曲で、私はクリスとチューリングは脳内がとても似た存在では無いかと思う。つまり2人の天才のコラボなのです)

16. Vocal
あたりからは、もう、ラストに向けての盛り上がり必至の構成でスピードアップするような感じ(同時に、終演というものを意識してしまい、泣きながら歌い、踊ることになってしまう)。「相対性理論かよ!?」とか、わかってないのに頭に浮かんでしまう。17. The Sodom and Gomorrah Showではクリスがノリノリになり、18. It's a Sinの嵐のような光と音のシャワー、19. Left To My Own Devicesはもう何も言うことはなく、ただただ曲と涙が一体になる。20. Go Westは“もうライブでやらなくてもいい説”唱えている私だけど、やはりないと寂しいと思う。絶対に大合唱できるし、盛り上がるから。

20. Go West
21. Domino Dancing22. Always On My Mindあたりで、シンガロングをニールが求めてきたけど、武道館ではほとんど声が届いていなかったと思う。残念。あれだけ人が入っていて静まっているのはちょっと怖い。例えば02アリーナのような同じくらいの規模のヴェニューでは、地響きがするくらい観客の歌声が鳴り響いたものだったけど。この4曲はライブのシンガロングの鉄板なので、響かせたかった。一方、大阪では大合唱になった。

いったん終わり、ニールとクリスが袖に引っ込む。最初から決まっているアンコール曲。21. Domino Dancingのイントロがかかれば宴も最後の花火、22. Always On My Mindは、PSBが一番皇帝だった時代を思い出す。エバーグリーン。ネバー・チェンジ。再度の23. The Pop Kids(Reprise)。「君らはPop Kidsだ!」(ニール)


気になったのは、大阪ではニールがシンガロングの際に「you aremore marvelous!!」って言ってた。これ、昨日の、歌声が聞こえなかった東京のシンガロングと比べられたってことだよね!?

もう、残念ながらおっしゃる通りなんです。武道館の音響のせいもあるかもしれないけど、人数の少ない大阪の方が声が大きく聞こえた。東京、大阪、どっちも行った人は結構いたと思うので、聴いていた人はみなそう思うのでは。クリスも観客席に手を振ってくれた(機嫌がよくないと振らない)。大阪がアジアツアーのラストでよかったと思う。

また、来てくれるよね?単独で。日本で、2か所以上で。

前回の2000年の単独公演から19年で、フジロック、サマソニ、ソニマニ・サマソニと、3回のフェス来日があったけど、フェスはファンでない人も観客には多いし、セットも短かったりする。だからやはり単独公演とは違う。PSBだけのために用意された場所で、PSBのためだけにチケットを買って、日本中から集まってくるファンたち。私が今回話したファンだけでも、北海道から九州まで、日本中から東京/大阪に集結していた。愛しかない。

この事実をPSB公式に伝えたい。いや、たぶん、わかっているよね。私も2014年の台湾公演の際、ピート・グレダルを捕まえて「単独来日をお願い!」と叫んだのだけど、これは日本中の声だからね。叶えてくれてありがとう。日本には希望が必要なの。

でも次のツアーも、ロンドンから始めたいと思います。コツコツとお金を貯める地味な日々に戻ります。

秋に新しいアルバム、出る予定だよ!!



 



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