Margaretの部屋/2009年6月
マンチェスター&ロンドン一人旅
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マーガレットのブログ日記




2009年、やって来た来たPANDEMONIUMツアー

 なんかもう、恒例行事というか、ほとんど”病気(やまい)”でしょう。

 PSBのツアーが始まると、いてもたってもおられないのです。しかも、昨年2008年はアルバム制作のためツアーがなく、一度もPSBを見ることなく暗い1年を送ったので、待ってましたとばかりに、ツアー・スタートのニュースに飛びついたワタシ。

 振り返ること数ヶ月前、英国音楽界の最高の名誉賞であるBRITS(ブリット・アウォード)の功労賞(Outstanding Contribution Award)の受賞が決まり、20092月にその受賞式&お披露目パフォーマンスをし、それに合わせて翌日にツアー・スタートであるマンチェスター&ロンドンのライブのチケットが発売されました(実際には、その後、ロシアでのコンサートがその前期日に追加され、サンクトペテルブルグがツアー・スタートになりました)。さらに波に乗り、ちょうど3月に10枚目のアルバム「YES」も発売され、ツアーには最高の出だしになりました。

 絶対行く!

 BRITS功労賞発表時から、息を呑んで待ち構えていたワタシは、両日とも、行けようと行けまいと、チケットは取るつもりでした。BRITS効果もあって、チケットは即日完売!マンチェスターはキャパの狭いApollo(3,500)だったため、あえなくスタンディング・ストール(1階アリーナ)には漏れ、2階席のスミッコという、惨敗っぷり。それでも取れただけマシか。ロンドンの方はと言うと、ロンドンでも最大キャパを誇るO2アリーナ(最大20,000、今回は16,000)という、25年のPSB史上もっとも広いヴェニューでの開催となりました。一応スタンディング・ストール(1階アリーナ)は取れたものの、なにせキャパのケタがいつもとは違うので、ほとんど「前の方で見るのはほとんど無理だなぁ」と思っていました。いったいどのくらいの規模のライブなのか想像もつかないまま、慎ましやかに、かつ強かに、その日を4カ月、待ちわびました。

 4か月の間に、飛行機チケット、ホテルの予約、行くからにはキッチリ最大限に楽しんでやろうという欲張りで、その他もろもろの予約や手続きを済ませ、いよいよ当日…。

 ただ、やっぱりいつもの「一人旅ブルー」はかなり入っていて、やっぱり前日まで不安で憂鬱入っちゃってましたけど…。

 ワタシ、いつもこんなことしているからバリバリの行動派に思われがちなんですけど、本当は誰よりもビビリで小心者なんですよ、マジで。ただ、それを覆すほどの「ニールとクリスに会いたい!」という気持ちだけです、ワタシを動かしていたのは!

 

 

 


 6月17日(水曜日)

 成田空港までは、遠い。飛行機の出発は1100だけど、家を出たのは朝の5時半。まあ、ブリティッシュ・エアウェイズは、前日ウェブ・チェックインを済ませてあったし、日本国内ならなんとかなるだろうと思っていたら、いきなりの躓き。

 品川駅で新幹線を降りて、成田エクスプレスに乗り換えようと思ったら、成田エクスプレスの切符売り場がみつからない。東京駅には成田エクスプレスへの乗り換えの通り道に切符売り場があるのだけど…と、スーツケース持ったまま探していたら(通勤時間ですごく邪魔!)、なんと乗り換え時間5分前!ようやく駅員がいて聞いたら、どうやら一度改札を出て、みどりの窓口に行かなきゃならないという(しかし、聞いた女性駅員は急ぐでも親切でもなく、ロボットみたいに機械的に喋ってた)。急いで券売機で切符を買う。こういう時に限って、窓側だの通路側だの、いちいちタッチパネルを選択しなきゃならない。ちょっと手が震えてる。ようやく切符が出てきて、お釣りを取って、ホームまで(スーツケースかかえて)、走った。さっきの女性駅員が冷笑しながら見ている。でも、なんとか滑り込みセーフ。こんなところで慌てている場合ではないし。向かいに座った綺麗なお姉さん(多分成田空港で働く地上勤務おねえさん)の笑顔に救われた。

 その後は、スムーズだった。ただ、ワタシは行きの飛行機がとてつもなく嫌いで、神経過敏になって眠れないし、ガチガチになる。心療内科でもらった睡眠薬を何錠か飲むけど、なかなか神経が休まらない。12時間も狭い場所に閉じ込められて、何をすればいいの。しかたなく映画を見る。ブリティッシュ・エアウェイズは日本語吹き替えが4本しかなくて、とりあえず「レスラー」を見る。う〜ん、ミッキー・ローク、変わったな…いい感じにねぇ。映画が終わり、オーディオのラインナップをみると、おお!さすが、ブリティッシュ・ミュージックの名盤がたくさん揃っている。U2、ニューオーダー、スミス、わーPSBの「Discography」もある。なんだかんだで曲を聞きながら眠る…ああよかった…やっぱりPSBは神様だ(i-podも持ってたけどね)。起きたらあと4時間ほどで到着だ。吹き替えなしだけど、映画「Milk」を見た。う〜ん、またちゃんと字幕入りで見よう…。

 間もなく着陸。飛行機は、しばらくロンドン上空を旋回した。窓側に座っていたワタシは外を眺めていた。まず、角のついたドーム、O2アリーナが見えた。そして、テムズ河と、ロンドン・アイ(観覧車)と、ビッグ・ベン…このいかにもロンドンらしい風景を見ると、頭の中に「West End girls」が流れてくる。本当に、私の人生で、初めて”ロンドン”を認識したのは、24年前の「West End girls」のPVなのだ。感慨に浸っていると、気持ち悪くなった。この飛行機の機長、降下があまり上手くない。

 ヒースロー到着。2時間ほどのトランジット待ち。さすがにセキュリティは厳重。
 去年、ブリティッシュ・エアウェイズ専用のターミナル5が開港して、すごくキレイ。もう、パブでお酒飲んじゃうしかないじゃん…♪

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 マンチェスターまでは、正味40分ほどのフライト。飛行機内はビジネスマンがほとんどだ。少なくともアジアンはいなさそう。初めての街に行くのは、すごく緊張する。マンチェ空港に着く。こじんまりとしているなぁ。表示に従って、街中に出る鉄道駅を探す。めちゃ遠い。外とか通るし…。駅はあるものの、止まっている電車が街中に行くかどうかがわからず、とりあえず周りの人に聞きまくる。おばさんは「多分ね。」という答えだったけど、乗った。電車の行き先パネルに書いてある”行き先”が、ニューカッスル(!ニールの故郷!)だったので、すごく不安だったけど。どうしよう。ニューカッスルまで行っちゃったら(多分3時間とかかかる)。一抹の不安を残し、ガラガラの電車は進む。乗客のオジサンの一人がギターを取り出し、歌を歌い出した。外は牧歌的風景…もういいや、ニューカッスルに行っちゃっても…それはそれで…そんな気になった。いや、よくないんだが。

 20分ほどで、マンチェの中心駅(Piccadilly)に無事に到着。空港の閑散っぷりが嘘のように、駅は人でにぎわっていた…なんだ、大きな街なんだねぇ。ここからさらにメトロリンクという市電に乗り換えてホテルに向かう予定。メトロリンクの乗り場に向かったら、これまた誰もいなくて、おじさん(駅員)が近寄って来た。
「どこに行くの?」
Market Street駅です」
「そこへは行かないよ」
え?行かないって?多分、おじさんはなぜ電車がそこに行かないのかを説明してくれたのだと思うのだけど、日本語しかわからないバカ耳+マンチェ訛で、ほとんど訳がわからない。
「じゃあ、歩きます」
「道はわかるのか?」
Yes…うん…だいたい…(地図ではまっすぐ行けばいいはず)
「道なりにまっすぐだ。大きい通りをまっすぐだよ。」
とは言ったものの、大きい荷物もあったし、明るいとはいえ夜8時過ぎてたし、ちょっと不安だったので、Taxi利用。近かった。5£(\750)くらいだった。でもまあ、着いてよかった。ホテルにチェックインして、外に出ると、ホテルから50mくらい先にあるMarket Street駅は、工事のために閉鎖されていた。

 家を出てから22時間。
 安ホテルには、部屋に窓がなかった。でも、バスタブがあって、ダブルベッドで、TVと湯沸かし器があって、朝食も付いているから、それで十分。

まだ1日目だ。凹むな。




 


 6月18日(木曜日)

 ヨーロッパに到着した次の朝は、どうしても時差の関係で、朝早く目覚めてしまう。何故か夢の中で、ワタシはニューヨークにいた。ここはマンチェスターという、知らない街だ。なぜワタシはここにいるのだろう。

 窓がない部屋に太陽の光が入らなかったので時間がわからず、時計を見ると、まだ朝の4時。今日は夜のライブまで暇なので、もうちょっと休もう…。結局7時頃までゴロゴロして、朝食。たいていのイギリスのホテルにはイングリッシュ・ブレックファースト(ブッフェ式)が付いていて、みんなたくさん食べている。旅行先では、いつ食べられるかわからないので、朝食だけはしっかり、食べられるときに食べておこう…。

 さて、夜まで何をしよう。マンチェはさほど観光地がないので、ブラブラするしかなさそう。電車で1時間ほどのリバプールに行ってもよかったけど、別にビートルズ信者でもないし、マンチェでゆっくりしよう…。

 その前に、ライブ会場を確認しておかなくては。Apolloは地図で確認する限り、けっこう街中から離れていて、バスで行かなければならない。駅前の大きなコンサート・ホールなら歩いて行けるのに(後で知ったけど、12月に再びマンチェでやるライブは、その駅前の
Evening News Arenaだと言う)。知らない街の交通事情、特にバスというのはとても厄介でややこしい…どうやって乗るのか、切符はどこで買うのか…などなど。夕方、あわてなくて良いように、朝一でバス・ターミナル(ピカデリー・ガーデン)に行って、バスを探す。どうやら一番手っ取り早いのは、運転手から1日パス3£を買うことらしい…。 

 バス停を探し、来たバスの運転手から切符を買い(やはりマンチェ訛で苦労…)、しばらく車窓からキョロキョロしていると、何もない場所にApolloの建物が見えた。次のバス停で降り、Apolloまで少し歩く。もちろんまだお客は誰もいないけど、セットを運ぶツアー・バスがすでに横付けされていた。もうニールとクリスはマンチェ入りをしているのだろうか…?ドキドキした…。

 再びホテル方面にバスで戻る。意外にも真夜中過ぎまでバスは走っているようだ…良かった。終バスまではここにいられる。マンチェはこじんまりとした街だから、迷うこともなさそうだ。ホテルでもらった地図をもとに、ひと通り街を歩いてみる(ちなみにマンチェの中心街は、無料シャトルバスが走っている)


 ワタシが、マンチェといえば…で知っている場所はと言えば、Canal street。ゲイ・ドラマ「Queer as folk(当然PSBも自身の曲「The night I fell in love」でネタにした)の舞台となった、マンチェ(どころかおそらく中〜北部イングランド)最大のゲイ・ストリートだ。

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この場所は良くドラマで使われていたアングル。昼間だからほとんどの店がまだ閉まっているし、人通りもほとんどない。それにしても、こんなに細い通りとは思わなかった。通りの名前の通り、右側は細いCanal(運河)。広告もそれなりのデザイン。あと、Prideパレード参加を呼び掛ける看板なども掲げられていた。

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街の中心、St. Peters スクエアにあるシティ・ホール。教会かと思いました。

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 マンチェは地方の都会、”小さなロンドン”。大きなショッピングセンターや、ロンドンにあるデパート、セルフリッジやハーヴェイ・ニコルズ、マークス&スペンサーもあります。ファッションビルにY-3も発見。平日の昼間でも、どこもかなり賑わっていました。
 近代的なガラスの建物「Urbis」は近代美術館。その中のブックショップは、マンチェスターが生んだミュージシャンの本が取り揃えられていた。さすが。

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 マークス&スペンサーの、「チキン・キエフ」。クリスが美味しいと絶賛しておりました…食べてみたかったな(半調理冷蔵品のため、オーブンがないと食べられません…日本へお持ち帰りも不可能だし)

 パブで、今回旅行での最初の”まともな”食事。もちろんギネスとフィッシュ&チップス。

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 お味はごく普通…だったけど、ロンドンのちょっとしゃれたお店で食べるF&Cの半額くらい(5£)だった。やはり地方は安いのかな。
 
 さて夕方、街ブラにも疲れたので、そろそろホテルに戻り、ライブに出掛ける支度。たとえ前の方でなくても、着物を着て、気を引き締める。席チケットありなんだから並ぶ必要ないのだけど、やっぱり並びたい、どこかで待つなら、並んで待ちたい。5時頃Apolloに着くと、もうすでに30人ほどが並んでいた。

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 いつも思うけど、PSBのファン層って、すごくバラバラだ。早くから並んでいる=前の方にいる=熱狂的ファンは、ほんとに老若男女。やはり40歳前後が多いけど、もっと上と思しきおじさん、男女カップル、男同士(友達同士かカップル)、メガネっ子女子…。マンチェのファンは比較的地味だ。あと、ダフ屋はマンチェでも、一目で胡散臭い雰囲気をかもしている。ちぇっ、あんたらがスタンディング席を取っちゃったから、アタシがあぶれたんじゃん!!

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 ワタシの席からのヴュー。遠いよぉ。でもまあ、座ってゆっくり待てるし、ツアーグッズ(パンフ)もゆっくり買えた。
 20時、前座のFrankmusik登場。もっとピコピコ・シンセかと思ったら、意外に普通のロック・テイストだった。がんばってこれからメジャーになってくれ(写真すら撮ってないけど)40分ほどのパフォーマンスの後、セット・チェンジ、ようやく21時、会場が暗くなり、歓声が上がる。PSBが登場!!

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 ニール&クリスとダンサーたちは頭に箱を被ったまま登場、そのまま1曲目「Heart」を歌い出した。どうしよう、ずっとこのままだったら…と思ったら、よかった、2曲目で箱は取ってくれた。ま、2人とも帽子とサングラスはしているんですけどね。ダンサーたちはショー中盤まで箱被ったままだったけど。

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 「Can you forgive her?/Pandemonium」、そして「Go west」。
 積み上げられた箱に映像が映し出されている。この映像も面白いんで、今度DVDを出すのなら、特典映像で入れてほしい!

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 衣装チェンジした、セクション2。そしてアンコールの「Being boring」。刻々とセットも変化して行く。

セットリスト&レビューはマーガレット通信Vol.77をご参照ください。

 ステージ遠いので、まだスクリーンを見ているような感覚。たまには周りの観客たちと一緒に立ち上がって沸くけど、一体となって参加している感じはない。う〜ん、ここのところ何度かずっと前の方のスタンディングだったので、遠いのはこんなに疎外感があるものか…。本人たちに会っているというより、良く計算されたエンターテイメント・ショーを見ている感じ。すごくショー・ビジネスっぽい。

 ショーはあっという間に終了。すでに23時に近い。その後、楽屋口で出待ちをするけど、あえなく2人は即効車に乗って走り去ってしまった…。ああ、玉砕。さみしい〜〜悔しい〜〜。一瞬、嫌いになる。少なくとも6時間とか7時間とか、ファンたちは立ちっぱなしで、彼らに会うために待っている。ここまで来た自分がバカに思える。もしかしたら、彼らはファンたちが本当に煩わしいんだろうか、と思うと、ゾッとした。自分のやっていることが、彼らの意にそぐわないのなら、それはとてもショックだ。ホントに、自分の行動が正しいのかわからなくなってきた。

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 双子ダンサーのソフィー&ポリーは、気さくにファンたちとお喋りしてくれました。
 ちぇっ、ちぇっ、と泣きそうに思いながら、真夜中のバスでホテルに戻り、今日は終了。すごい落ち込みようだけど、期待する方が間違っているんだろうなぁ。自分が楽しくてやっているんだから、泣くな、と自分を納得させる。でも、正直、あまり眠れなかった。

 

 


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