6月18日(木曜日)
ヨーロッパに到着した次の朝は、どうしても時差の関係で、朝早く目覚めてしまう。何故か夢の中で、ワタシはニューヨークにいた。ここはマンチェスターという、知らない街だ。なぜワタシはここにいるのだろう。
窓がない部屋に太陽の光が入らなかったので時間がわからず、時計を見ると、まだ朝の4時。今日は夜のライブまで暇なので、もうちょっと休もう…。結局7時頃までゴロゴロして、朝食。たいていのイギリスのホテルにはイングリッシュ・ブレックファースト(ブッフェ式)が付いていて、みんなたくさん食べている。旅行先では、いつ食べられるかわからないので、朝食だけはしっかり、食べられるときに食べておこう…。
さて、夜まで何をしよう。マンチェはさほど観光地がないので、ブラブラするしかなさそう。電車で1時間ほどのリバプールに行ってもよかったけど、別にビートルズ信者でもないし、マンチェでゆっくりしよう…。
その前に、ライブ会場を確認しておかなくては。Apolloは地図で確認する限り、けっこう街中から離れていて、バスで行かなければならない。駅前の大きなコンサート・ホールなら歩いて行けるのに(後で知ったけど、12月に再びマンチェでやるライブは、その駅前のEvening News Arenaだと言う)。知らない街の交通事情、特にバスというのはとても厄介でややこしい…どうやって乗るのか、切符はどこで買うのか…などなど。夕方、あわてなくて良いように、朝一でバス・ターミナル(ピカデリー・ガーデン)に行って、バスを探す。どうやら一番手っ取り早いのは、運転手から1日パス3£を買うことらしい…。
バス停を探し、来たバスの運転手から切符を買い(やはりマンチェ訛で苦労…)、しばらく車窓からキョロキョロしていると、何もない場所にApolloの建物が見えた。次のバス停で降り、Apolloまで少し歩く。もちろんまだお客は誰もいないけど、セットを運ぶツアー・バスがすでに横付けされていた。もうニールとクリスはマンチェ入りをしているのだろうか…?ドキドキした…。
再びホテル方面にバスで戻る。意外にも真夜中過ぎまでバスは走っているようだ…良かった。終バスまではここにいられる。マンチェはこじんまりとした街だから、迷うこともなさそうだ。ホテルでもらった地図をもとに、ひと通り街を歩いてみる(ちなみにマンチェの中心街は、無料シャトルバスが走っている)。
ワタシが、マンチェといえば…で知っている場所はと言えば、Canal
street。ゲイ・ドラマ「Queer as folk」(当然PSBも自身の曲「The night I fell in love」でネタにした)の舞台となった、マンチェ(どころかおそらく中〜北部イングランド)最大のゲイ・ストリートだ。
この場所は良くドラマで使われていたアングル。昼間だからほとんどの店がまだ閉まっているし、人通りもほとんどない。それにしても、こんなに細い通りとは思わなかった。通りの名前の通り、右側は細いCanal(運河)。広告もそれなりのデザイン。あと、Prideパレード参加を呼び掛ける看板なども掲げられていた。
街の中心、St. Peter’s スクエアにあるシティ・ホール。教会かと思いました。
マンチェは地方の都会、”小さなロンドン”。大きなショッピングセンターや、ロンドンにあるデパート、セルフリッジやハーヴェイ・ニコルズ、マークス&スペンサーもあります。ファッションビルにY-3も発見。平日の昼間でも、どこもかなり賑わっていました。
近代的なガラスの建物「Urbis」は近代美術館。その中のブックショップは、マンチェスターが生んだミュージシャンの本が取り揃えられていた。さすが。
マークス&スペンサーの、「チキン・キエフ」。クリスが美味しいと絶賛しておりました…食べてみたかったな(半調理冷蔵品のため、オーブンがないと食べられません…日本へお持ち帰りも不可能だし)。
パブで、今回旅行での最初の”まともな”食事。もちろんギネスとフィッシュ&チップス。
お味はごく普通…だったけど、ロンドンのちょっとしゃれたお店で食べるF&Cの半額くらい(5£)だった。やはり地方は安いのかな。
さて夕方、街ブラにも疲れたので、そろそろホテルに戻り、ライブに出掛ける支度。たとえ前の方でなくても、着物を着て、気を引き締める。席チケットありなんだから並ぶ必要ないのだけど、やっぱり並びたい、どこかで待つなら、並んで待ちたい。5時頃Apolloに着くと、もうすでに30人ほどが並んでいた。
いつも思うけど、PSBのファン層って、すごくバラバラだ。早くから並んでいる=前の方にいる=熱狂的ファンは、ほんとに老若男女。やはり40歳前後が多いけど、もっと上と思しきおじさん、男女カップル、男同士(友達同士かカップル)、メガネっ子女子…。マンチェのファンは比較的地味だ。あと、ダフ屋はマンチェでも、一目で胡散臭い雰囲気をかもしている。ちぇっ、あんたらがスタンディング席を取っちゃったから、アタシがあぶれたんじゃん!!
ワタシの席からのヴュー。遠いよぉ。でもまあ、座ってゆっくり待てるし、ツアーグッズ(パンフ)もゆっくり買えた。
20時、前座のFrankmusik登場。もっとピコピコ・シンセかと思ったら、意外に普通のロック・テイストだった。がんばってこれからメジャーになってくれ(写真すら撮ってないけど)。40分ほどのパフォーマンスの後、セット・チェンジ、ようやく21時、会場が暗くなり、歓声が上がる。PSBが登場!!
ニール&クリスとダンサーたちは頭に箱を被ったまま登場、そのまま1曲目「Heart」を歌い出した。どうしよう、ずっとこのままだったら…と思ったら、よかった、2曲目で箱は取ってくれた。ま、2人とも帽子とサングラスはしているんですけどね。ダンサーたちはショー中盤まで箱被ったままだったけど。
「Can you forgive her?/Pandemonium」、そして「Go west」。
積み上げられた箱に映像が映し出されている。この映像も面白いんで、今度DVDを出すのなら、特典映像で入れてほしい!
衣装チェンジした、セクション2。そしてアンコールの「Being
boring」。刻々とセットも変化して行く。
セットリスト&レビューはマーガレット通信Vol.77をご参照ください。
ステージ遠いので、まだスクリーンを見ているような感覚。たまには周りの観客たちと一緒に立ち上がって沸くけど、一体となって参加している感じはない。う〜ん、ここのところ何度かずっと前の方のスタンディングだったので、遠いのはこんなに疎外感があるものか…。本人たちに会っているというより、良く計算されたエンターテイメント・ショーを見ている感じ。すごくショー・ビジネスっぽい。
ショーはあっという間に終了。すでに23時に近い。その後、楽屋口で出待ちをするけど、あえなく2人は即効車に乗って走り去ってしまった…。ああ、玉砕。さみしい〜〜悔しい〜〜。一瞬、嫌いになる。少なくとも6時間とか7時間とか、ファンたちは立ちっぱなしで、彼らに会うために待っている。ここまで来た自分がバカに思える。もしかしたら、彼らはファンたちが本当に煩わしいんだろうか、と思うと、ゾッとした。自分のやっていることが、彼らの意にそぐわないのなら、それはとてもショックだ。ホントに、自分の行動が正しいのかわからなくなってきた。
双子ダンサーのソフィー&ポリーは、気さくにファンたちとお喋りしてくれました。
ちぇっ、ちぇっ、と泣きそうに思いながら、真夜中のバスでホテルに戻り、今日は終了。すごい落ち込みようだけど、期待する方が間違っているんだろうなぁ。自分が楽しくてやっているんだから、泣くな、と自分を納得させる。でも、正直、あまり眠れなかった。
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