2013年6月15(土)
ロンドンの土曜日、と言えばノッティングヒルのポートベローマーケット。
ヨーロッパ最大(かな?)のアンティーク・マーケットとして名をはせるこのマーケット、今までこのマーケットに足を運ぶため、ロンドン旅行には必ず土曜日を絡めてきたわけですが。
さかのぼるコト10年ほど前、人形ブームだったこともあって仕事一筋だった私、アンティーク(主にアンティークの布やドレス、レースなどのファブリック)を仕入れに、懐に数10万円をしのばせ(カードは使用料を取られたり、現金の方が値引き率が高かったりした)、アシスタントを雇ってこのマーケットで目のつく欲しいものをあらかた仕入れていました(ちなみに安いのは金曜日早朝のプロ向けのバーモンジーですが、ここはアンティーク布のお店が少なかった)。ちなみに私の祖母も60年前、同じように着物の帯に100万円(現在の価値で1000万円とか)を挟んで、愛知や岐阜まで糸を現金でガンガン仕入れに行っていました(祖母は織物工場を経営していました)。
そんな時代も今は昔。人形はブームでもないし、私も仕事一筋ではなくなり、アシスタントも去り、そしてポートベローからは心底欲しいアンティークもなくなってしまったのです。4年前ですら、そう思いました。いま、また、改めてなくなりっぷりを感じています。いや、漁ったのは私を含め、アンティーク・ブームの日本からやって来たアンティーク・ブローカーたちです。10年前、私、バーモンジーでTV「鑑定団」でおなじみのとある骨董商がアクセサリーを大量に買いたたく様を偶然見つけ、その手腕をちょっと盗み見ましたもん。すごかった。売る方も、たくさん買ってくれるから、売っちゃったのね。
日本国内も同じです。京都の2大骨董市、東寺と北野天満宮も同じような状況です。ここ5年は行っていないのですが、骨董ストール(露店)はいま、ほとんど現代ものを売るストールになってしまいました。骨董市というマイナーなお祭りがブームで全国的に人が押し寄せるようになり、何でもかんでもお宝もゴミもじゃんじゃん売り買いされてしまい、本来の骨董市をのんびり冷やかす楽しみは薄れ、掘り出し物はもう骨董市にはないと思っています(←たまに世界的巨匠の名画が発見されてニュースにはなるけど…ニュースになるってことは稀だからとも言える)。
イギリスは昔から古いものを大事にする=ケチくさく直して使い続けるお国柄なので、アンティークは使われ続け、回り続けていました。もともとそうたくさん売れるものでもなかったものが、コンテナ単位で大量に流出し、いまはすっからかんの状態なのかもしれません。
先日、10年前にポートベローで仕入れたコレクションのレースを、知り合いになったレースの専門家の方に見てもらったところ、「日本じゃ持っている人がいない程のお宝」と太鼓判を押されました。なんでも、現在アンティークレースは大きさ、長さが希少で、数メートルのハンドレースはお宝だそうです。良かったー、あの時安易に売らずにしまっておいて。自分の目は節穴でなくて。
で、その貴重なレースを売っていたお店に、今回も行ったのですが…。うーん、ごめんなさい、希少価値のあるものはもうなくなっていました。ほとんどのストールがこのような感じで、欲しくて買うものがないのです。なんか申し訳なくなりましたが…コレクションは大事にします。
ストールで購入したのは、古い引き出しをリフォームした小さな小物ケース、14£(約2100円)。グラスアイのディスプレイケースにします。それでも、ポートベローは色々な発見があって面白い場所であることは変わりません。いまは新しくて面白いものの勢力が強いですね。
お店番の猫さま。人懐っこかった〜。
アンティークミシンが大量にディスプレイされたポートベローの中にある路面店の洋服屋さん。かっこいい。
ポートベローを後にして、ロンドンの中心、オックスフォードストリート、メイフェア方面に。日本でいえば銀座や新宿のような感じ。
ランチはパブランチ。ギネス&チーズバーガー。美味しい〜〜〜。今回、パブランチはこの一回だけだったな―。その後、Kath kidsonの本店などをブラブラして、雨も降って来たので、やや早いものの、ホテルに帰る。あーあ、土曜の夜なのになー。
ちょっとだけ時間があったので、作る…という程でもないけど、半分完成されているマークス&スペンサーのチキン料理をホテルのキッチンで完成させてみた。そういえば、クリスお勧めのM&Sの「チキンのキエフ風」はすでに廃番、前回のロンドンでは見つけたけど食べられなかったので、食べてみたかったわ。
雨が降っているのでけっこう寒い。いや、かなり寒い。旅も後半、そろそろ疲れがやって来た。
ペイトン&バーンPeyton & Byrneの紅茶。パッケージデザインはPSBでおなじみマーク・ファロウ。
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