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♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.01♪♪♪
ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
創刊1号・2005年9月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:クリスティーナ・マーガレット・ロウ
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こんにちは、マーガレットです。お元気?ファ〜ビュラス?あ、この挨拶、オネエさが強調されていいでしょ「素敵〜」って意味。ペットさんたちも“アブソリュテリィ・ファビュラス”ってユニット名で、同名の曲を歌っていたことがあるわ。
 ペットさんたちの曲は、ニール先生曰く「ゲイの視点でかかれた、愛、社会、事件」なの。社会的側面も魅力だけど、事件や社会もほとんどが「愛」に置き換えられていることも特徴のひとつ。ゲイの視点って言っても、乙女詩人・ニール先生は決して下世話な方にはいかないわ。性別や年齢や国籍を超えた、人類普遍愛がテーマね。日本でいえば、平井さんとかマッキーさんに通じるものがあるわね。私は彼らの歌はそんなに好きじゃないけど、彼らの詩を好きな人には、ニール先生の切なくて極上のリリックは、お口に合うと思うわ。まあ、中にはえらくあけすけなものもあるけど・・・そりゃ、仕方がないわ。経験豊富な大人だもん。
 私のセレクトした初心者向きCD「Neil/C
hris」は、アルバムからのシングルカットやヒット曲が中心だったけど、まだまだ突っ込みがいのある曲は眠っているわよ。今日はアルバム総評をおさらいしてみます。

★★★★★★★★★★★★★★★★ アルバム考 その1 ★★★★★★★★★★★★★★★★

 PSBはとにかくアルバム・シングルとも、めちゃくちゃ多い。再販のたび限定版がついてきたり、シングルとかもカップリングの違うパート3とかまであったり、リリース国によって、ボーナストラックが違ったり、ジャケカラーが違ったリ・・・100枚以上はあるだろう。しかも、ジャケのデザインが凝っているので、「持っていてもいいかな」と思わせるファン泣かせ。全部持っているツワモノもいるかもしれないけど、まずは何はなくとも正式でシンプルなアルバムが基本。
これまでに発売された正式なオリジナルアルバムは8枚。20年間には他にもリミックスなどたくさんありますが、ややこしいので、ベースになっているオリジナルを紹介。

PLEASE」(邦題「ウェスト・エンド・ガールズ」)(‘86)
 デビューアルバム。このアルバムに収められている曲は、雑誌記者と建築家見習いが作った曲のはずだか、何よ、この完成度は!いまでも古く感じないし、シングルが売れたから勢いで出した風でもない・・・すごいよ。タイトルは、一貫して「1ワード」にこだわっていて、「ペットショップボーイズ、プリーズ」と言って欲しくてつけたとか・・・クリスの好きな言葉が「プリーズ」(’00のインタビューでの答え)とか。なのに、邦題はヒットシングルにあやかってしまった。ジャケはニールのセンスで、白いジャケにぽつんと彼らの写真・・・ただ、LPを想定しているので、CDだと写真がちょっと小さい。いまだに売れ続けている(’05にも再販)。中には彼らの若くて青くてちょっと恥ずかしい、アイドルちっくな写真が一面にいっぱい収められている。
 曲は骨太で、今でもこだわっている彼らの関心事(愛、事件、セックス、社会主義、成功、不正・・・などなど)がバランスよくつまっている。


ちょっとセクシーを狙っていますね?どうしても風呂上りに見える・・・エロいな。

ACTUALLY」(邦題「哀しみの天使」)(‘87)
「ACTUALLY」+「Furt
her listening 1987-1988」 (’01)
 早いピッチで作られたセカンドアルバム。いかに彼らが曲をこつこつ作りためていたか・・・。多分、このアルバムからのシングルカットが最も多く、最もヒットし、世の中に出回ったと思う。多くの人がベストにあげるはず。確かにバランスがよく、全くはずれの曲がないし、どれをシングルカットしてもおかしくない珠玉の名作集。とってもゴージャス・・・半面、息つくしまもない感じもする・・・ぜいたくですが。ニールはこの時代を「皇帝時代」と呼ぶほど、彼らはトップ・オブ・ポップスだった。
’01の再販時には、ボーナスCDとカップリング。ライナーが写真集にもなっていたが、この時代、クリスがほとんど帽子・サングラスなしなので、ファンにはうれしい。なんか、ガチなレザーとか多いし・・・まだこの頃は“やらされてた”感があり。


この対比の妙は、いいデザイン。ただし、どちらも現在は自分にダメ出し。タイトル名は「マジで」。

INTROSPECTIVE」(’88)
「INTROSPECTIVE 
ORIGINAL RECORDING REMASTERED+「ENHANCE」(’01)
 これを正式アルバムに含まない説もある・・・新曲だけどリミックスアルバム。一応、本人たちのリミックスなので。6曲なのに50分という長さでもあるし。おそらく、エルビス10周忌のTVの企画で出した「オールウェイズ・オン・マイ・マインド」が全英1位になったので、勢いで収録アルバムを出しちゃえ、ってことだったんだろう。けっこう賛否両論だが、歴史の一部であるので。タイトル名は「自己反省」。

 


シマシマで味気ないなあ。

BEHAVIOUR」(邦題「薔薇の旋律」)(‘90)
「BEHAVIOUR 
ORIGINAL RECORDING REMASTERED+「ENHANCE」(’01)
 
英語と米語で綴りが違うタイトル(かつてニールはマーベル・コミックで、米語・英語の綴り違いを校正する仕事をしていたので、言葉には厳しい)。この邦題は悪くない・・・ニールも認めてくれそうだ。
 個人的には、安定感が増して、かなり好きなアルバム。「アクチュアリー」が売れすぎてやりにくかったんじゃないか・・・と思うけど、前回までに比べ、抑えた感じがある。ニールの歌い方もすこし控えめな感じ。なのになぜか、今振り返ると、とてもPSBらしさを感じる。どうしても、白黒のイメージがあるのです(ジャケ写真および、プロモーションビデオのせいか)。タイトル意味は「お行儀」。
 なお、ミニCDつきで白いベルベットの外箱に入ったバージョンもある。


クリスのバックシャン。

後半は次回です。


 今日は、前回言ったとおり、ニール先生の声の秘密を科学的に証明したレポートよ。TVでもひっぱりだこの、日本音響研究所・鈴木松美先生のファ〜ビュラスなレポート。これで、ニール先生の声が、世界中の人を虜にする、神が与えた稀有なヴォイスってことがわかるわ。ニール先生、どうぞ、お体大切に・・・。いつまでも幸せを分けて下さい。
(出典:2002年アルバム「リリース」販促本:東芝EMI発行)


VOICE PSBの声

「ニール・テナントの声は。まさに“ザ・モスト・リラクシング・ヴォイス”。30年以上音声の研究に携わっていますが、ここまで優しい声は初めてです。
聴いた人は誰でも本能的にリラックスして優しい気持ちになる特別な声ですよ。」


−ニール・テナントの声の魅力の秘密を“音の捜査官”鈴木松美氏に伺う−

 ペット・ショップ・ボーイズのニール・テナントの声は、大変珍しい声です。私も30年以上音声の研究に携わっていますが、こんな声に出会ったのは初めてです。日本人で言えば、何万人に一人の「癒しの声」といわれる森本レオさんの声に似ていて、聞いた人は誰でも本能的にリラックスして優しい気持ちになるという「1/fの振幅ゆらぎ」という要素を持った、特別な声なんです。森本レオさんは話し声の中にその「1/fの振幅ゆらぎ」の要素が見られ、それ自体大変珍しいのですが、歌手でしかもその歌声の中にこの「1/fの振幅ゆらぎ」がはっきり見られる人は本当にほかに見たことがありません。美空ひばりさんをはじめ、歌の上手な歌手の方の歌声にはこれとは異なる「1/fの周波数ゆらぎ」という要素が見られるのですが、この「1/fの周波数ゆらぎ」も「いい声」として聞こえる大事な要素ですが、その効果は「やすらぐ効果がある」というものではなく、「歌がうまい」という印象を与える要素です。森本レオさん、ニール、2人の声にはこのテクニックをアピールする「1/fの周波数ゆらぎ」はほとんど見られないのですが、逆にめったいにない「1/fの振幅ゆらぎ」の要素が強く出ていて聴く人の心をやさしくリラックスさせてくれるのです。しかも実は、ニールの声の方がこの「1/fの振幅ゆらぎ」の要素が強く出ていて聴く人に「やすらぐ」とか「優しい気持ちになる」といった効果は森本レオさんよりさらに強く得られます。ニールの声を聴いて優しい気持ちにならないという人がいたら相当なひねくれものかもしれませんね(笑)。それぐらいニールの声は優しい声、そして聴く人がやすらぐ声ですよ。ニールの声は、どの層の人に効果的ということはありません。誰にでも訴える究極の安息の声、まさに“ザ・モスト・リラクシング・ヴォイス”なんです。人が動物として持っている本能的な部分に訴える魅力を持った声ですから、極端な話、他の動物に聞かせても、和むかもしれませんよ(笑)。それぐらい強力で普遍的な魅力を持った声なのです。
 音としては、楽器でいえばビブラフォン、そして実は除夜の鐘に似ている。除夜の鐘というのは、ゴーンと打った時の音が聞こえているのはわずかな時間で、むしろ、その余韻である残響音を耳にしている時間の方が長い。その残響音の持っている特徴とニールの声の特徴が似ているんです。安心感と優しさがあって、哀愁も帯びている。そして「1/fの周波数ゆらぎ」とは違って「1/fの振幅ゆらぎ」は生まれつきの要素で、後から努力して身につくものではありません。除夜の鐘であれば、その気持ちよいと感じる音は「鐘の形」から来ているように、ニールの場合、この声が生まれているひとつの要素は彼の口の形にあるかもしれません。

 さらに、ニールの声には実はもうひとつ注目すべき特徴があるんです。ニールの声には尋常な域ではない非常に高い周波数の音が入っている。これもニールの声が人の気持ちを和らげる声である大きな要素となっているんです。どれくらい特別かというと、日本人の声の周波数は平均3000ヘルツで高い人でも8000ヘルツまでといわれています。世界的に見ても非上に高い周波数まで出る人でも15000から16000ヘルツの周波数の音までしか出ないのですが、ニールの声は、驚くことに20000ヘルツまできれいに満遍なく音が出ている。こんな声は初めてですよ。CDの収集可能音域は22050ヘルツといわれていますから、20000ヘルツのニールの声というのは、CDに録音できる限界に近いところまで音が出ていることになります。音は15000ヘルツの音域を越える高い周波数の部分は「超音波帯域」と呼ばれ、知覚できなくなりますが、知覚できないとしても実際は脳に作用していて、この「超音波帯域」に音が広がっている声は「清潔感」や「さわやかさ」をかもし出し、癒やし効果を聴く人にもたらします。特に“s
h”“t””k“といった摩擦音や破裂音をきれいに発音すると、音の波長にある周波数成分は「超音波帯域」にしっかり分布します。ニールの歌声が2000ヘルツという非常に高い周波数の音までしっかり分布している要因の一つとしては、彼の“sh”“t””k“といった摩擦音や破裂音の子音が、非常にきれいだということが考えられるでしょう。

 まとめていえば、ニールの声の特徴は「安心感」「優しさ」「安心」「清潔感」。そして、究極の安息の声、「ザ・モスト・リクラシング・ヴォイス」だといっても過言ではないでしょう。彼だったら、かなりきついことを話していても、きつくは聴こえないでしょうねえ。本能的なものに作用する、とにかく非常に優しい声ですよ。こんな声を持った歌手は、ほかはちょっと見当たりませんね。    (2001年12月12日、渋谷にて)


注:1/F揺らぎ
 自然界のなかで人が心地よく感じる音、例えば小川のせせらぎや小鳥のさえずり、奈美音などを集めて分析したときに、共通要素として浮かび上がってきた音の周波数の特長。低い周波数で大きく揺らぎ、高い周波数で細かく揺らぐ。揺らぎの大きさが周波数の数値の大きさに反比例するという揺らぎの傾向。英語で周波数を“frequency”というところからfrequencyのかしら文字の”f“を取ってこの傾向は一般的に「              1/f揺らぎ」と呼ばれる。「1/f揺らぎ」を持った音を聴くと、脳内のα波(リラックスしているときに出るといわれている波)が増加してくる傾向が見られる。
 「1/f揺らぎ」には「1/f周波数揺らぎ」「1/f振幅揺らぎ」という大きく2つの種類がある。歌手がある音を歌うとき、ブブラートのように音が微妙に上下する。これが「1/f周波数揺らぎ」の例。歌の上手は歌手の歌声以外で「1/f周波数揺らぎ」の要素が見られる代表的な音としてはヴァイオリンが上げられる。ヴァイオリンは指を弦の上で上下させ、さらにその音を楽器の内部に共鳴させることでこの「1/f周波数揺らぎ」をつくり出す。ストラディヴァリウスのように、名器といわれるヴァイオリンほどこの「1/f周波数揺らぎ」がきれいに見られる。一方、ニールの声に見られる「1/f振幅揺らぎ」は、除夜の鐘の残響音やヴィブラフォンなどに見られる要素で、音が周期的に大きくなったり小さくなったり変化するという揺らぎで、聴く人に「安心感」「優しさ」「哀愁」を感じさせる。

鈴木松美氏プロフィール
1941年東京
生まれ。日本の音声研究の第一人者として知られ、その「音の捜査官」としての活躍は数々の犯罪捜査を始め多岐に渡る。警視庁科学警察研究所技官、科学技術庁技官などを歴任。現在は渋谷区に日本音響研究所を設立、さまざまな音声・音響に関する鑑定及び研究開発を行うとともにアダム・スミス大学教授として教壇にも立っている。おもな鑑定事件としては村越吉展ちゃん誘拐殺害事件、フリピン・アキノ氏暗殺事件、大韓航空機狙撃事件、グリコ森永恐喝事件など、多数。

 

 

 

 

 




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