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♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.02♪♪♪
ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
第2号・2005年9月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:クリスティーナ・マーガレット・ロウ
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こんにちは、マーガレットです。今日は、先月の続き、アルバムレビューと、インタビュー、お写真など、盛りだくさんです。マージの超乙女訳リリックは、もう少し待ってね。

★★★★★★★★★★★★★★★★ アルバム考 その2 ★★★★★★★★★★★★★★★★

「VREY」(‘93)
「VREY」+「RELENTLESS」(限定アルバム)(’93)
「VERY 
ORIGINAL RECORDING REMASTERED+「ENHANCE」(’01)
 再び、大ヒットアルバム。ジャケもコスプレした2人のコンセプト(これまでのクールで堅物な彼らからは考えられない飛躍の仕方)もポップ、歌も「ゴー・ウエスト」」に代表される、高揚するような感じ・・・だけど、(何度も触れてきたように)このアルバムはその明るさとは対極の影がある。まあ、知らなければ知らないで、全く問題はないけど(注:2人の大事な人たちが立て続けに亡くなっている時期。「ゴー・ウエスト」はその隠された意味の最たるもの)。知ってしまうと、これほど「死」を感じさせるものもない。あと、これも前のセレクトCDに入れましたが、ラストの隠しトラックを聞き逃さないように。一番ジャケのバージョンがいろいろあるアルバムのひとつかも。


何度も言うようですが、ウラでは涙が流されているのです

「BILINGUAL」(‘96)
「BILINGUAL 
ORIGINAL RECORDING REMASTERED+「ENHANCE」(’01)
 タイトルを「バイセクシャル」にしたかったアルバム・・・結局は「バイリンガル」で落ち着いた。’94年にニールが態度を明らかにしたため、やりにくくなった面・やりやすくなった面があると思う。バイ=2面性をもったコンセプトながら、基本は自然体。派手目のアルバムにはさまれて地味だけど、比較的幸せを体感できる、安定したつくり。2001年にボーナスCDがついて再販されたバージョンが、日本とUKでは、内容が違うのはなぜ?日本版がリミックスなのに比べ、明らかにUKの方がディープなB面コレクションが入っている・・・ずるい。

こちらは限定番ジャケ。通常版は黄色一色。

「NIGHTLIFE」(‘99)
 個人的にはモスト・フェイバリット・アルバム・・・切なくて泣けてくる。ダークなアンダーワールドに誘うタイトル(これも1ワード?)は、そのまま、夜の世界を描いている。以前までのポップで明るいイメージからの“カム・アウト”的なイメージもあり、2人のコンセプトも、未来的・人工的・双子のような異相で、誰か別人を演じているような気もする。どちらかといえば正義的イメージから、自らを“バンパイア”(=昼と夜の顔を使い分ける2面性を持った、隠されたセクシャリティ)と言い切り、ヒールでセクシーなイメージが強い。当時手がけていたミュージカル「クローサー・トゥ・ヘブン」ともクロスオーバーしている。また、カイリー・ミノーグが参加、彼女の復活にも手を貸すことになった。

たぶん手前がニール先生です。

「RELEASE」(‘02)
 リリース。解放。これも、世界各国でジャケが違うんだよな・・・日本版は真っ白いプラジャケに、鮮やかなオレンジのポピーが描かれた紙ケースつき。中のライナーも、1枚だけ2人の写真があるだけで、あとは全部、花の画像。らしいといえばらしい、が、変わりすぎかも・・・まあ、サプライズは毎回のことです。中身も、前回の”夜遊び”から、“おうちでまったり”へ、がらりとチェンジ。元スミスのギタリスト、ジョニー・マーを迎えているが、ニールのギターも堪能できる。熟した人間だけが持つ安定を感じさせるが、ただし、社会的関心事にはぴしゃりと(表面的にはあくまで優しくソフトに、せつなく)言い“斬る”のも大人の態度。形は変っても、愛、セックス、社会、戦争、テーマにしているものは一貫して変らない。

花も花粉をリリースする。命名はジョニー・マーらしい。

 そして、’06、待望のニューアルバムが発売される。今度は何の1ワード?

★★★★今日のインタビュー★★★★

今日の記事は、「THE BIG ISSUE」(日本版)2004年9月1日号より、全文を写しました。紹介文としては、読みやすくてなかなかマトをえていると思います。この時期はCDやツアーなどのあまり新しい行動がなかったから、意外に空白の時期かもしれないわね。
(インタビュー&テキスト:DORIAN LYNSKEY/UK)


 チャンネル4は最近、英国ポップスター・トップ50を紹介する番組を放送した。これは実際のシングル売り上げに基づいて決定され、ペットショップボーイズは38位だった、とニール・テナントは誇らしげだった。

「クリスマスのナンバーワンヒットを勝ち取るために、賛美歌と蛍の光をミックスすることにしたよ!」とキーボードの向こうからクリス・ロウが叫ぶと、ニールハ「クリスこそ、まさしく80年代にポップの戦略家と呼ばれた人物だよ」とドライな口調でコメントする。最初のヒット曲から18年、彼らは今でもポップ会で激戦を繰り広げている。

 現在ニールは49歳でクリスは47歳(*マージ注1)。自分たちの最新音楽を採用しないトップ40は無用だなどとグチをこぼす年老いたミュージシャンのわびしい日々と、彼らは全く無縁である。それどころか、最新シングル「ミラクルズ」は、「新曲が集中する時期に」10位を獲得したように、彼らはヒット曲を出し続けている。テレビ番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」(*マージ注2)の舞台裏の廊下では、他のポップスターにぽかんと見かれることもある。フランツ・フェルディナンドやザ・ダークネス、ブルーといった新しいバンドに興味をかきたてられるのだ。「『トップ・オブ・ザ・ポップス』はとても刺激的だ。誰が出てくるか見当もつかないからね。自分たちがポップの世界の一部だという感じを僕らは常に楽しんできた」と言いながら、クリスがスタジオのソファーに腰を下ろす。「クリスは土曜の朝のティーン向け番組に出るのが何より好きなんだが、僕らにはもうお呼びがかからない。歳をとりすぎているからね」と少し悲しげなニール。

 

 今年4月、ペットショップボーイズの36枚目のシングル『フランボヤント』がリリースされた。今まで出した35枚は1枚を除いてすべてトップ20入りしていて、それらの曲はベストアルバム『ポップアート』に収められている。不貞、売春、カトリック教的な罪、共産主義崩壊後の東ヨーロッパ、ピーター・マンデルソン、ダンスなどを織り込んだ、これまでの彼らの曲の中で『フランボヤント』は、見栄を張るセレブたちに対する賞賛と批判は同時に歌われている。「注目を浴びるために惜しみない努力をする人を僕はいいと思う。正月前、ニューヨークのバーで美容整形のフルコースを施した女優、ジョセリン・ウィルデンスタイン(*マージ注3)を見かけたが、あっぱれだったよ。まるで歩くアートワークのようだった。」

 自分たちはというと、彼らは決してセレブではないと言い張る。『ウエスト・エンド・ガールズ』が1位になった当時ニールは31歳で、それまでの10年間は雑誌『スマッシュ・ヒット』にも記事を書くジャーナリストだったし、クリスは見習いの建築家だった。ニールは「僕らはもともとミュージシャンに生まれついたわけじゃなかった」という。「不思議だね、子どもの頃は有名なポップスターになりたかったんだ。単に”有名“になりたかったのではなくね。でもまさかなれるとは思ってもいなかった。」
 タブロイド誌をはじめとするマスコミは、ペットショップボーイズをどう扱うかわからないでいるようだ。1994年にニールがゲイだとカミングアウトしたとき(*マージ注4)はちょっとした話題になったが、それでもショッキングな発覚というほどでもなかった。リオ・デ・ジャネイロから東京まで、世界中にいる彼らのファンたちは、2人の私生活よりも創作活動の方に興味を抱いているし、それ以外の人々も彼らを詮索したりしない。ポップスターにとってはこの上ない境遇だといえる。
 だがいずれにせよ、彼の書く歌詞にニールの私生活をしばしば垣間見ることができる。「アイ・ドント・ノー・ホワット・
ユー・ウオント(バット・アイ・キャント・ギブ・イット・エニー・モア)」(*マージ注6)のように、一言一句がそうであることもある。

「喧嘩の最中に言葉を発しながら、同時に脳の作詞用の部分が僕に囁くんだ。『今の一文は曲の題名にぴったりだからメモしておくべきだ、それから喧嘩を再開しろ』とね。」
 その点クリスは何も明かそうとしない。以前のインタビューで、カミングアウトのことについてたずねたときも、ニールに答えを任せてチョコレートを買いに席を外した(*マージ注5)。「今では誰もが大っぴら過ぎるよ。」と批判的なクリス。

 

 ブラックプール生まれのクリスはブロンドのサッカー選手風ヘアスタイルでボーイッシュな感じ(*マージ注7)。一方、ニールは髪が薄くなった頭で学者風、ノエル・カワードの声をノースシールズ訛りにした感じだ。『レフト・トゥ・マイ・オウン・デバイセズ』の歌詞の一節「チェ・ゲバラと、ディスコビートにのせたドビュッシー」がよい例だが、彼らの音楽をより魅力的にしているのが2人の『対照の妙』だ。クラブ好きのクリスは1991年のレイブ全盛期をいまも引きずっているし、美術収集家のニールは、ショスタコヴィッチ好きの唯美主義者だが、2人はお互いの関心ごとを共有したりもする。例えば、クリスがニールに『フレイジャー』『ザ・オフィス』(*マージ注7)などのTV番組を紹介すると、ニールはお返しにお気に入りの本を薦める。「本屋に行くとニールは、いろいろな本をピックアップしてくれて、レジには本の山ができる。僕一人で本屋に行っても、全体がぼやけて見えるだけだ。」とクリス。

 二人はそれぞれ、意見も異なる。イラク戦争について声高に怒りを発するのはクリスだ。「イラク戦争は僕にとって大きな転機となった。欺かれ、嘘をつかれた気分だ。憤慨に堪えないね」。一方、ニールは落ち着いて言う。「一連のことはとても厄介だと思うが、サダム・フセインがいなくなったのはとても嬉しい。北朝鮮の共産政権もなくなればもっとよいのだけれど。我々がガダフィ大佐と会話を持っているのは言語道断だ。彼は暴君だからね。とはいえ、そういった国々に攻め入るべきだとは思わないが。とても複雑な問題だ」と、話題を変えようといったムードのため息をつく。

 

 ニールはTVショーへの出演を依頼されたこともあるが、彼はペットショップボーイズの活動を逸脱するようなことはやろうとはしない。「僕はTVパーソナリティーにはなりたくないんだ」。という訳で、ペットショップボーイズはずっとポップ業一筋だ。彼らは、自分たちの仕事は音楽であり、それに付随するさまざまなことを追い求めることではないと考えている。
 ペットショップボーイズは現在9枚目のアルバムを書いている(*マージ注9)。ニールが「皇帝時代」と呼ぶ、彼らがナンバーワンだった時代は1989年に終わったけど、ペットショップボーイズの曲作りは常に洗練され、感動的で、貪欲に実験的であり続ける。

「ペットショップボーイズのレコードがどんなものか、人々はわかっていると思う。だが、僕たちが同じようにわかっているかどうかというと必ずしもそうではない。ペットショップボーイズの音楽を、大の大人がマジで歌う歌の中に、僕の少年合唱団のような声が響いていると思っている。実際かなりの曲はそうだが、そのほかにもいろいろなことを僕らはやってきたからね」

 というわけで、以上が2004年版ペットショップボーイズである。今もすばらしい変わり者ぶりは健在だ。ニールは言う。「アウトサイダーだと感じるのは何かとても心地よい。僕らはそういう感覚をずっと楽しんできた。ここにいるんだけど、なぜかしっくりこないっていう感覚ををね。」


マージ注釈
1・・・クリスは公式プロフィールでは1959年生まれなので、このとき44歳の間違い。たまに1955年生まれのプロフィールが採用されていることがあるが、二人が出会った1981年にまだリバプール大学の学生だったから、1959年生まれが正しい。

2・・・「トップ・オブ・ポップス」は、UKでは人気長寿歌番組。ほとんどのUKのアーチストが出演経験があると思う。土曜の朝のティーン向き番組は、もう今のPSBには恐れ多くてオファーできないんですって。

3・・・テレビ女優。世界一怖い整形セレブ(←このキーワードでググれます)。大富豪の夫に気に入られようと整形を繰り返すが、結局離婚した。すでに人間の顔をしていませんが、日本の巨乳姉妹ユニットのお姉さまのほうの成れの果てっぽくもある。

4・・・ゲイ雑誌[ATTITUDE](1994年8月号)にてカム・アウト。「40歳になったし、『ATTITUDE』の”attitude゙”(=姿勢)が気に入ったから」という理由で。世界中のセレブ狙いバカ女が泣いた日。ザマミロッ!

5・・・あくまでも「何も明らかにしない姿勢」。肯定もできないし、元恋人P氏のために否定もできない律儀っぷり。「タバコを買いに行く」ではなくチョコレート・・・so cute。クリスは大の嫌煙家。クリスはニールに全幅の信頼を置いていることがわかるエピソードです。

6・・・アルバム「ナイトライフ」収録、2000年シングルカット。「君の望みがわからない、でももう何もしてあげられない」というタイトルと救いがたい悲恋の内容は、PSBの曲中でも出色。ビデオも傑作。マジでそんなこと言っちゃったんですね・・・。
7・・・2005年の7月の「ライブ8(モスクワ)」では、刈り込んだ頭に戻っていた。ロンゲ時代はものすごく若く見えたけど、ボウズだとやっぱりそれ相応の年齢に見える。やっぱりカメレオン。

8・・・「フレイジャー」は邦題「そりゃないぜ!?フレイジャー」で、アメリカの精神科医&家族&飼い犬の人気コメディ。二人とも犬好き。「ザ・オフィス」は日本に紹介されていないようです。不明・・・すいません。

9・・・2005年夏現在、レコーディング中。2006年春、発売予定。


★★★★今月のお写真★★★★

公式HPはもちろん、あっちゃこっちゃから勝手にいただいてきた写真も、このフリーペーパーをHP公開しない理由のひとつです。マージ、こういう権利の問題とか、全然わかんないもん。
 左写真は公式HPにあった公式なものです。多分、デビュー前じゃないかしら。ニールは20代後半、クリスは20代前半。付き合いだして間もない初々しいカップルのようね。つーか、ニール先生はお顔がちッさいでスねえ。さすが8頭身。こういう髪型は珍しいですよ。クリスのクリクリ頭もかわいい。でも、やっぱり自らにダメだしすると思うわ。

 

 


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