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♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.10♪♪
別冊「まりりんのの日記」/ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
第9号・2005年10月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:クリスティーナ・マーガレット・ロウ

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こんにちは、マーガレットです。あ、もう10号じゃん。あと10倍かけば100号ね。これも前の映画フリーペーパーと同じく、100号で終了よ、って、そんなに続くかよ?

★★★★今日の乙女訳リリック★★★★
トライ・イット(アイム・イン・ラブ・ウィズ・ア・マリード・マン)(‘03`)
 
あくまでも女性の立場から歌われている歌だけど、こういう辛い恋は、男であろうと乙女であろうと、同じってことで。元ネタはボビーO(『ウェスト・エンド・ガールズ』の最初のプロデューサー)の曲。ニールなら有り得る…と思えてしまうところが、泣。訳はニールを想定して。

 

毎日君のことを考えている
夜になると君を思ってしまう
ダーリン、君は僕を思ってくれている?
奥さんを抱いていても、僕のことを考えてくれている?
世間はわかってくれないと思うけど
既婚男性との不倫なんて

試してみて、試してみて、僕の愛を
試してみたらどう?
僕はノンケの男に恋してしまっている

週末の僕たちのことを考えてくれている?
家族と一緒のときも?

奥さんと一緒のとき、寂しくならない?
僕に会いたくなったりしない?
僕は、膝から崩れ落ちて、眠りにつくまで泣くんだ

試してみて、試してみて、僕の愛を
試してみたらどう?
僕はノンケの男に恋してしまっている

神様、僕は危険人物だ
君にできることは全部やった
僕はノンケの男に恋してしまっている

 
★★★★今日のピックアップPV★★★★
ハート(‘88)監督・・・ジャック・ボンド

全英1位に輝いた割には、リリックがベタ過ぎて個人的にはそんなに好きなほうではないかもしれないけど、ノリノリの時代につくった勢いがある。曲は相変わらず超耳残り。マドンナにあげることを想定して書かれたという。
 PV監督は、PSB主演のとんでも映画『夢色の幻想』(It couldn’t
happen here)と同じだが、こちらの吸血鬼ストーリーを映画化した方がよかったんじゃないのかしら。クリスの出番が少ないかもしれないけど・・・。クリスがドラーグして、花嫁に扮せばいいのよ(そんなの絶対ヤダ)!

 当時はまだそんなに有名でなかったサー・イアン・マッケラン(英国カムアウト・ゲイ芸能人では、最初の爵位を得た人)が吸血鬼役。この人はいまやゲイであることを誇りにしていて、『ゴッド&モンスター』(’98)でアカデミー主演男優賞にノミネートされたときも、「もし僕が受賞したら、カムアウト・ゲイとしては初の受賞者だね!」と、嬉々としてインタビューに答えていた。その次の次の年、クローズド・ゲイの代表ゲヴィン・スペイシーが主演男優賞受賞するんですがね。PV撮影時はまだサー・イアンもニールもクローズドだったけど、2人が花嫁を取り合う映像は、クリスでなくとも大爆笑。上のオフショットも、花嫁映ってなし!麗しの3ショット!サー・イアンは『ロード・オブ・ザ・リング』撮影時にも、堂々と若い美青年の彼氏をつれていました。クリス、サーにちょっと狙われています。個人的にはこのPVの運転手or従者コスプレ・クリスがもっともそそられます。

 

★★★今日の他人の批評★★★★

 
久々に昔のロック雑誌を実家の押入れから引っ張り出してきたら、でるわでるわ、PSBに関する批判記事。特に「ロッキンオン」のPSBの嫌いっぷり。特集を組んでいる号でも、嫌な質問をしてはニール&クリスから逆にぴしゃりといわれている。そういえば、熱い魂を持ったロックヤロウどもは、PSBのクールでスマートなスタイルを嫌っていたっけ。いま読むとまるで的外れで、批判しているミュージシャンは今は忘却の彼方。みんな若かったんだよ!強気な執筆人も、いまやおっさん、おばさん、PSBを再評価してほしいです。

「ロッキンオン」’89年1月号より
THE POGUESのスパイダーとシェーンのインタビューにて
スパイダー「曲に何かしらの思い入れをこめることが、その音楽のクオリティを高めることになるんだ。教科書どおりのポップじゃどうにもならないだろう?PSBなんかいい例だ。あのニール・テナント、あいつがバカじゃないのってのは明らかだよな?でも、あいつは全く頭を使っていない。才能を無駄にしてゴミを作っているんだ。」
シェーン「そう、あいつは人々が皆、バカだと思い込んでいる。誰もあんなもの好きになれないよ。大体“オールウェイズ・オン・マイ・マインド“のように素晴らしい曲をあれほどシニカルでむごたらしいものにしてしまって、好きになれるわけがない。ウィリー・ネルソンやプレスリーがあれほどソウルフルに歌い上げた曲なのに。」
スパイダー「あれは殺人に等しい。ゲロだよ、ゲロ。」
シェーン「まさしく。これが法廷だったらあのレコードは証拠にさえなるよ『このレコードは作り方から判断して、被告は完全にシニカルな人間である』ってさ。ひどいよ。あれは。タクシーの運ちゃんだってもっとましに歌えるよ。」

「ロッキンオン」’89年2月号より
アイルランドのロックバンドホットハウス・フラワーズのインタビューにて、先月のPSBのインタビューでアイルランドのバンド(彼らやU2)が「理想主義をふりかざして商売するえげつない連中だ。偽善者バンドだ。自分たちの宣伝以外、何も考えていないやつらだ」と非難したニール&クリスの発言に対しての反論。
リアム「いったい何の権利があって他人をそこまでけなさなきゃならないんだろう。連中の神経を疑うよ。(今度あったら)にっこり笑って握手してやるよ。その後でぶん殴ってもいいけどね。」
フィアクナ「(“オールウェイズ・オン・マイ・マインド“を引き合いに」プレスリーが草葉の陰で泣いているぜ。まったく恥さらし以外の何ものでもない。あれほどの名曲をコケにしてメチャクチャニしたことに、拍手を送りたいくらいだ。)
ジェリー「しかし今度あったらやつらの首根っこをへし折ってやろうかな。ところであいつらはメンバー何人だっけ?…えっ、たったの2人?」
フィアクナ「そうだよ、ひょろっと細長いのが一人に、ときどき半ズボンなんかはいたりする一寸法師が一人いるだけさ。よせよせ、あんなの相手にケンカしたってやりがいがないって・」
ピーター「いやただ僕たちが言いたいのはさ、彼らの存在自体がすごく人工的なもので、僕らは人間臭いバンドっていみなんだ。彼ら二人が人前に立って演奏もできないってのはとても悲しい事実だしね。だからといってここで彼らを批判するつもりは全然ないよ。現に多くの人たちがPSBの音楽を楽しんでいるんだから。でもそういう彼らの立場から自分たちとまるっきり違うタイプのバンドをけなしたりするのは大人気ないと思うけどね。」

★★★★今日のネタ・フロム・ベア〜さん★★★★

 ”ベア〜さん“とは、アメリカのライターでPSBのウェブサイトを運営しているウェインさんのことなのですが、勝手にベア〜さんと尊称で呼ばせていただいています。ベア〜さんのサイトは細かいです。レビューなども全曲、データも詳細、使っているシンセの種類まですごいデータ量です。もちろん現在もかなり頻繁に稼動中、トップページではいつも投票やっています。PSB本人たちも見てあれこれ言ったといいますので、ペッドへッドさんたちには有名なサイトだと思います。面白いので、ここから勝手に借りたネタでコーナー作ってしまいました。ちなみにベア〜さんはもちろんPSB大好きで、同じクマ系パートナーと暮らすゲイのおじさんです。文章を見る限り、クリス・ラブ!の人かもしれません。

●ベア〜さんの選んだ、『なぜPSBはアメリカでは一般的には受けないか(ダンスチャートとゲイ・サブカルチャーでのみ熱狂的)』トップ10という、アメリカ人のベア〜さんにとっては切実な問題。ちなみに日本で受けたのは、英語が理解できないから、純粋に音だけでトランスしたからだと思うけど。皮肉が得意の英国人の頭の良さが、ジャンクで大雑把なアメリカンには理解できないんだと思うわ。(コメントはマーガレット)

1.デビュー曲『オプチュニティーズ』
 ショービジネス=金、と皮肉でおちょくったこの曲を、ダイレクトリーなアメリカ人は理解できなかった。歌われている”いっちょ金儲けしよう“という人物を、まんまニール&クリス本人であるとしか理解できないのだ。まあ、インパクトのあるデビュー曲ではありますが。

2.アルバム『DISCO
 アメリカでは「ダンスミュージック」というのが普通。”ディスコ”は時代遅れ、とか。

3.アルバム『Actually』のジャケ
 “ニールがあくびをしている“ので、バカにされたと思ったようだ。あと、タキシードも評判が悪かったようだ。中身は珠玉なのに。アメリカンは大雑把なのに保守的。ちなみに、ベア〜さんはこのジャケがもっとも好きなアルバムジャケットだそうです。

4.Rent』『Shopping
 『オポチュニティーズ』と同じく、歌詞にお金を扱うことが下品とみなされた。でも、アメリカ人は英語がわかるんだから、もっと行間を読んで欲しい。まあ、それができないんだろうけど。

5.『オールウェイズ・オン・マイ・マインド』
 エルビス・プレスリーの名曲のカバーだが、アメリカだけでなく、オリジナル至上主義のエルビスファンからはものすごいブーイングだった。熱唱のエルビス/クールなニール、のギャップを埋めることができなかった。だって同じように歌ったらカバーの意味ないじゃん。それ、モノマネ歌合戦じゃん。

6.『ドミノ・ダンシング』のPV
 なぜかゲイっぽいと評判になったこのPVは、ホモフォビア(同性愛嫌悪)からバッシングを受けた。でも、行き過ぎたフォビアは、自分もそのケがあることをうすうす感じているからなんだよ。男はマッチョであることを強制されているアメリカの病巣のひとつ。笑って許せる余がないもんかね。

7.アルバム『INSTROPECTIVE
 新曲なのに全部リミックスという画期的なアルバムも、アメリカ人には不評。ロングバージョンは特にラジオでかかりにくかったという事情もあるらしい。惨憺たる結果に。

8.Where the Streets Have No Name (I Cant Take My Eyes Off You)』
 アイルランド人なのになぜかアメリカ人に大人気のU2は、以前からイングランド人のPSBとは犬猿の仲。シリアスなこの曲をゲイなダンスミュージックとリミックスしたため、アメリカ人がドン引き。

9.
『パフォーマンス』ツアー(‘91)
 アメリカでの初ツアーとなった「パフォーマンス」」は、私から見ればいかにもPSBらしい、シアトリカルで卓越したアートセンスだと思うけど、観客と交流してナンボ、オールスタンディングで踊り疲れるライブがスタンダードなアメリカ人にとっては、感情移入しにくい舞台は「なんじゃこれ」だった模様。

10.ニールのカミングアウト
 本当は世界一ゲイが多い国なのに、ゲイ嫌いも世界一多いアメリカ。特に田舎ではゲイだけで生きていけなくなるほど酷い状況らしい(だからみんなゴー・ウエストしてサンフランシスコに集合してしまう)。たとえノンケでもゲイを声高に支持することもできない窮屈な社会なのだ、アメリカは。3年前ニールがアメリカで企画したゲイフェスティバル(ゲイとゲイ支持ミュージシャンによる音楽祭)も、ドタキャンされた、理由は不明だが、地元の反対という説も。

★★★★今日のお写真?★★★★

サウスパーク?そう、絵柄は紛れもなくサウスパークです。でも、PSBのファンサイト内にあったから、PSBなんだろうと思うけど・・・クリスはともかく、赤毛がニールには見えないので、違うかもしれません。サウスパークは実在の俳優やミュージシャンとかよく出すけどいつも好意的でないので、実際に番組に出てきたとは思いませんが、キャプションがついてなかったのでなんともいえません・・・すまん。きっと誰かがつくったんだろう。ほかに、シンプソンズのキャラがオレンジ・シマシマとんがり帽子をかぶった場面(これは本当に放送内で…あの帽子は一般的“おしおき帽子”だから)もあった。

 

★★★★今日の映画★★★★

 
まりりん石原はかつて10年ほど映画のフリーペーパーを執筆していたほどの映画好きだった。21世紀に入ってからはほとんど普通の映画ファン程度だけど、劇場・ビデオ合わせて1年で100本は見ていた時期もあった。正直な辛口批評は商業誌でもあたりまえになってしまったけど、久々に書いてみました。

『オスカー・ワイルド』(`95)…アイルランド出身・ロンドンで活躍・パリで客死した19世紀末を代表するデカダン作家、ワイルドの伝記映画。まだ世界的に売れる前のジュード・ロウが、ワイルドの愛人の貴族・破滅的美青年ボウジーを全裸で演じてブレイクした。ワイルドといえばゲイのアイコンとして、『ベルベット・ゴールドマイン』でもリスペクトされ(ユアン・マクレガーが”カート・ワイルド”という、ワイルドの魂を継ぐ役を演じた)パリのラシェーズ墓地のお墓には、世界中のゲイピープルからささげられた花やキスマークで埋め尽くされているが、ワイルドがゲイに目覚めたのはけっこう晩年。おかげで妻子は痛い目にあった。ちなみに演じたスティーブン・フライもゲイで、ゲイ冥利に尽きるのでは。ニールが『DJカルチャー』で彼に扮している(クリスは裁判長。シャレでもいいからジュードに扮してほしかった・・・似てなくもないんだから)。映画では美しく描かれていたが、ワイルドとボウジーの関係はセレブと破壊的グルーピーの欺瞞的関係以外のなにものでもない。若くて美しい色香によろめいたワイルドは、ロビーとの愛を貫いたほうが幸せに長生きできたろうに。男女でも同じことだろうけど。
 余談だが、クリスとジュードは苗字が同じだから遠い親戚かも・・・と思っていたら、クリス=Lowe,ジュード=Lawで、綴りが違った。髪がフサフサのジュードは恐ろしくきれいだけどね〜。やなヤツの演技がうまいね。

 


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