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♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.12♪♪
別冊「まりりんのの日記」/ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
第9号・2005年10月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:クリスティーナ・マーガレット・ロウ

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こんにちは、マーガレットです。
「どうせ長続きしないのだから、恋愛なんてない方がいい」(’88・インタビューにて)

とは、若かりし頃のニール先生の格言。でも、多分今ではそう思っていないと思うわ。きっと痛い失恋後だったのよ。秋はどうしても人恋しくなるわね。

★★★★今日の乙女訳リリック★★★★
ミラクルズ(‘03`)
 
アルバム未収録のシングル。ものすごいいい曲、“愛する君”を絶賛するなんとも前向きな感じ。でも、クリスは悲しい旋律をつけすぎですよ。

 

 

君を見れば、雲は消えていく
君の近くには雨は降らない
君の近くでは奇跡が起こる
草はよりいっそう緑を濃くし、川は澄み渡り流れる
君といれば、いつでもどこでも日の光が差し込み
そして突然

空は晴れ渡るんだ
君はいつも、青い空、明るい一日を与えてくれる

雷も、君の前では轟かない
薔薇は君のために咲き誇る
君のいるところで奇跡は起きる
夕暮れは長く深く
ジャスミンは薫り高く

野良犬だっておとなしくなる
鳥たちは歌い、稲妻も身を潜める
君は突然もたらしてくれる

君がいるだけで空は晴れ渡るんだ
君はいつも、青い空、明るい一日を与えてくれる
鳥たちがより高く舞い、日の光が差し
まっさらな一日

君といれば、いつでもどこでも日の光が差し込み
そして突然
空は晴れ渡るんだ
君はいつも、青い空、明るい一日を与えてくれる
鳥たちがより高く舞い、日の光が差し
まっさらな一日

 

 

 

 

 

 

 

 

 
★★★★今日のピックアップPV★★★★
オポチュニティーズ(セカンドバージョン)(’86)監督・・・ズビック・リプチンスキー

低予算のオリジナルバージョンとは打って変わり、当時の最先端技術を使った高予算ビデオ。今度はニールがマジシャン・詐欺師、クリスがロッカーのような労働者に扮している。あきらかに違う2人のキャラは、このあたりですでに確立されていたのでは。無精ヒゲで汚いクリスのブスくれガン飛ばし・・・最高!(どうでもいい話ですが、ゲイ・フェイバリットって、“こ綺麗”か“こ汚い”か、どっちか極端なんですよね。ヒゲ男は人気です)。

ちなみに監督は当時最先端のビデオや映像を作っていた監督さん。一度しか組んでいないけど、他のアーチストのビデオも面白い(代表作はジョン・レノンの「イマジン」)。

★★★★今日のネタ・フロム・ベア〜さん★★★★
 ”ベア〜さん“=アメリカのライターでPSBのウェブサイトを運営しているウェインさんのことなのですが、勝手にベア〜さんと尊称で呼ばせていただいています。先日のクリスの誕生日の、UKの公式HPで、ベア〜さんの書き込んだメッセージ、見つけちゃった!

●今回は、数字で見るPSBソングス。アメリカのチャートなので、ビルボードはやや控えめですが、ダンスチャートはほとんどトップ10入り。ちなみに、UKでは出したシングル全36曲中35曲がトップ20入りしているとのこと。芸歴長いとはいえ、すごいことだと思うわ。

▲アメリカ・ビルボードにおけるヒット・シングル曲ベスト10(カッコ内は最高位)
1. 「West End Girls」 (#1)
2. 「What Have I Done to Deserve This?」 (#2)
3. 「Always on My Mind」 (#4)
4. 「It's a Sin」 (#9)
5. 「Opportunities (Let's Make Lots of Money)」 (#10)
6. 「Domino Dancing」 (#18)
7-8. (tie) 「Love Comes Quickly」 (#62)
7-8. (tie) 「So Hard」 (#62)
9. 「Suburbia」 (#70)
10. 「Where the Streets Have No Name (I Can't Take My Eyes Off You)」 (#72)

▲アメリカ・ダンスチャートにおけるヒット・シングル曲ベスト10(カッコ内は最高位)
1.「West End Girls」 (#1 Club Play, #3 12"/Maxi Sales)
2.「
New York City Boy」 (#1 Club Play, #4 12"/Maxi Sales)
3.「Before」 (#1 Club Play, #7 12"/Maxi Sales)
4.「To Step Aside」 (#1 Club Play, #8 12"/Maxi Sales)
5.「W
hat Have I Done to Deserve This」? (#1 Club Play)
6. 「Go Wes」t (#1 Club Play)
7.「Can You Forgive Her? 」(#1 Club Play)
8.「Break 4 Love 」(#1 Club Play, #6 12"/Maxi Sales)
9.I「 Don't Know W
hat You Want But I Can't Give It Any More」 (#2 Club Play, #10 12"/Maxi Sales)
10.「I Wouldn't Normally Do T
his Kind of Thing 」(#2 Club Play)

 2005年版ギネスブックによると、『UKでトップ10にチャートインしたシングル・アルバムのアーティスト・ベスト10』のうち、なんとPSBは8位に入っております。他のトップ10入りしているアーティストの顔ぶれを見てもらえばそのすごさはわかると思うけど、いかに安定したセールスを保ち続けているとか、ファンが離れないというか、とにかく、ファンの私もうれしいわ。(カッコ内はその曲数)

1. Status Quo -61)・・・UKで30年以上活動している国民的バンド
2. Queen -
52)・・・言わずと知れた故フレディ・マーキュリーの率いた濃ゆいバンド
3. Rolling Stones -
51)・・・これも説明の必要なし。平均年齢60数歳のオヤジロックバンド
4. UB40 -
51)・・・けっこう意外。レゲエ(っつーかラバーズロック?)得意のバンド
5. U2 -
40)・・・アイルランドの硬派バンドも、最近は割りと温和
6. Depec
he Mode -40)・・・80年代から活躍するブリティッシュバンド、PSBとファンがかぶるといわれています
7. Bee Gees -
38)・・・ビー・ジーズ!なつかしいですねえ。
8. Pet S
hop Boys -38)・・・我らがペットさんです!
9. REM -
38)・・・アメリカの社会派バンドですが、マイケル・スタイプはゲイ
10. Manic Street Preac
hers -37)・・・略してマニ・スト。こんなに売れてたんですね

★★★★今日の他人の批評★★★★
 
PSBを”ゲイである”ことを前提の音楽論。ちょっとゴシップ記事っぽいが、音楽はすべからくそのミュージシャンのパーソナルバックボーンにあるという基本姿勢で書かれている。基本的にはPSBファンのノンケの男性が執筆しているので、「そんな、ミもフタもない」と思う点もございますが(写真のキャプションには「こいつらホモで〜す。芸歴長いから始末におえない」と書かれている)。長いので、中略しています。

出典:「ポップワイドショー」2003年・洋泉社
第4章『It a man’s, man’s, man’ world 「無敵のホモ2人組、信条は”君の尻の穴に恋している”」
ペット・ショプ・ボーイズの優雅なゲイ賛歌』テキスト:渡辺電気(株)

 ホモのミュージシャンがカミングアウトすること自体、いまさらさほど珍しいことではなくなってしまった。(中略)ゲイという存在が音楽業界の中で認知された、というより、今ではいちいちゲイを排斥していたらポップス産業は成り立たないのでは?と思えるほどだ。
 PSBにしても2人がゲイであることは周知だが(ニールはカミングアウト済、クリスは未宣言)、そのことが彼らの人気やセールスの面において何かしらマイナスに作用した様子はない。PSBは事前にゲイでありながら、違和感なく世界のポップファンの中に溶け込んで見せている。

『スターたるもの、まず尻を出せ』
 ゲイのミュージシャンには、独特の”華”がある。同性愛者として一度ヘテロな”オトコ”の視点を捨て去ることは、芸能の世界で非常に大きな意味を持つ。だが、それを公にする”カミングアウト”という行為が定着したのは、せいぜいここ20年ほど。それまでは”ゲイ”といえば”オカマ”であり”変態”であり、男たちは尻を抑えて逃げ回り、ゲイ告白は社会的な死を覚悟しなければならなかった。(中略)音楽業界においてある意味,必要不可欠な要素でありながらタブーであった同性愛嗜好…当人たちが内輪で楽しんでいる分には、暗黙の了解の下に”ポップ・スター”という不可侵の存在できることができたのが、80年代に入るとエイズ問題によって世間のゲイ攻撃が一気にエスカレートし、ゲイのミュージシャンもノンキに化粧をしている場合ではなくなってくる。
 クイーンやボーイ・ジョージら、グラマラスないメージで売っていたスターたちが退潮。一方でブロンスキ・ビートのジミ・ソマーヴィルや、ザ・スミスのモリッシーのように、従来の“華やかなイロモノ”ではない“等身大の人間”としてのゲイの立場から声を発するミュージシャンが登場してきた。彼らは決して世界的なスターとまではいえない。モリッシーにしても、スミス解散後はコアなファン層に支えられるにとどまっている。しかし、大物ミュージシャンの相次ぐカミングアウトなど、ここ十数年の音楽界のゲイのあり方の変化を見れば、彼らが果たした役割は大きい。

『ホモが教える出世術』
 そんななかでPSB。83年スマッシュヒッツのライターをしていたニール・テナントがインタビューのため訪れたニューヨークでハイエナジー(
ユーロビートが世間に広まる前、ゲイ・クラブを中心に流行っていた速いテンポのダンスミュージック)の大物プロデューサー、ボビー・Oに直談判してデビューへの足がかりをつかむのだが、このへんのチョイスがすでにゲイ丸出しでなんか安心させられる。もちろんライターの目で業界の勢を読み、「もうイギリスのエレポップはあかん、これからは早いのがクル」と政治的判断をした部分もあったのかもしれないが。
 (中略)そして、あらたに録り直したシングル「ウェスト・エンド・ガールズ」が85年秋から翌年にかけて世界各国で大ヒットして、あっという間に大スターの座に上り詰めることになるが、この曲が収められたファーストアルバム『プリーズ』には、辛辣なブラック
ユーモアやスカした文学趣味に混ざって早くも露骨にゲイをテーマにしたと思しき「恋人が欲しい」「同棲しようぜ」(勝手にタイトルを訳してみました)といった能天気なラブソングが収録されている。「ウェスト・エンド・ガールズ」でBPIアワードのベストシングルを受賞したとき、授賞式のプレゼンターはボーイ・ジョージ。PSBはデビューの時点で、すでに業界内ではゲイであることを認められていたと見ていいだろう(まあ、あのビデオを見たものはたいがい「ああ、ホモの人だ」と思ったものだが)。
 もっとも、PSBは従来のゲイ・スターとは全くタイプが違っていた。エルトン・ジョンやフレディ・マーキュリー、ボーイ・ジョージのような儚さと表裏の華やかさでも、モリッシーやk.d.ラングのような閉鎖性でもない。自然体。ゴージャスでありながら足を地に着け、世間との距離を冷静に計算する(おそらくは三十路を迎えるまでライターとして批判する側から音楽業界を見ていたこともあるのではないか).。
 基本的にゲイの視点で作品を作りつつも、そこのひねりを加えて一般大衆にも理解できる普遍性を持たせルことは、彼らの得意とするところだ。いい例がヴィレッジ・ピープルの「ゴー・ウエスト」のカバー。この「西に行けば(ホモの)楽園がある」というゲイ賛歌のプロモーションビデオを、モスクワ「赤の広場」で撮影、その歌詞に全く違った意味を付け加え、さらに派手なCGで世間の度肝を抜いて見せた。
 大ヒットを連発し、音楽業界での地位を高めていく中で、そこで得た権力・経済力を極めて冷静に行使するのも彼らならでは。(中略)中流以上の家庭でハングリーさとは無縁の子供時代を送り、高い教育を受けて知的な職業から音楽業界に転身した彼らは、成り上がりのロックスターとカネの使い方が違う。好きなラファエル前派の絵にポンと7500ポンド出すのと同じ感覚で、こうしたゲイイベントには出資を惜しまない。(金持ちの道楽ともういが.)(中略)

『犠牲者多数!PSBには逆らうな』
 用なしになった相手は遠慮なく切り捨てて、セレブ街道を邁進するPSBだが、一方でゲイの仲間をコケにするやつは容赦しない。今年(`02)発表した最新アルバム『リリース』に収められた「T
he night I feel in love」は、いかにもPSBらしい優美なバラードだが、その歌詞は一見ロマンチックなようでかなり辛辣だ。あり人気スターが、楽屋を訪れたゲイの少年ファンをホテルの自室に招き、熱い夜を過ごすという内容。
 少年の『ホモ嫌いって、よく言われているのはどうして?』という台詞や、朝食の席でドクター・ドレーやその一派の噂をあれこれ聞かせてくれる一説から、このスターのモデルがエミネムであるのは明らかだ。
 エミネムがゲイを侮辱する歌詞で物議をかもしたのは周知のことだが、対象をストレートに罵倒する芸風のエミネムに対して、PSBはいかにも彼ららしい持って回った周到なやり方で反撃して見せた、この歌の中でラップスターは「なあ、君の名前はまさかスタンじゃないだろうね?」と冗談を言うが、これはもちろんスタンという名のストーカー的ファンを取り上げたエミネムの代表曲「スタン」にひっかけたキツイ一発。気に入らない相手は実名を上げ赤裸々に攻撃するのが常のエミネムだが、この曲を聞いたときには、さすがに怒るより腰が抜ける気分になったのではなかろうか。この曲の中での彼は『情熱的』で「10点満点で9点つけたい」すてきな男性とまで歌われているのだから。正面切っての罵倒合戦には慣れっこのエミネムも、この大西洋の向こうからの投げキッスには思わず尻を押さえたことだろう。96年のシングル『Before』に収められたアルバム未収録曲「T
he truck driver and his mate」では、月明かりの仲でカーセックスに励むトラックの運ちゃんとその相棒の姿が美しく描かれている。PSBも世間のゲイたちと同様、エミネムのように若く引き締まった筋肉質のヤロウが大好きらしい…(ところで、ニールはここで歌われているような調子で男性ファンをつまみ食いしたりするんだろうか?フジロックで身をもって体験したラッキーな方がいたら、編集部までご一報願いたい)。
 91年にU2のシリアスな名曲『約束の地』を大バカディスコ『君の瞳に恋してる』とメドレーにしておちょくったときと同様、PSB流の喧嘩は嫌味でスマートで、全くすきがない。(中略)
 エミネムの芸風に(少なくとも口では)一定の理解を示すPSBのコメントや、ドクター・ドレーの『こりゃいいネタもらっちゃったわ』といううれしそうな反応から察するに、現実の泥仕合にはならず、後々エミネムの「新ネタ」として活かされることになるだろう。もっとも『PSBはくそヤロウ』『俺はホモじゃないぜ』くらいでは、あの意地悪なホモ英国人は顔色ひとつ変えないだろうが。
 結局『リリース』は全英7位を記録するにとどまり、さすがに世界中を躍らせた90年代ほどの勢いは感じられないPSBだが、まだまだその権威にはいささかの揺るぎもない、カイリー・ミノーグをレズと罵り、ジョージ・マイケルをウソツキヤロウと罵倒した、ゲイをも恐れぬオアシスのリアム・ギャラガーですら、PSBには頭を垂れる。いまや世界の音楽界は、その包容力に満ちた巨大なケツの穴に覆い尽くされているのである。


★★★★今日のお写真★★★★

 どこからどう見てもゲイ・グラビア。似合いすぎ。特にクリスの帽子は、「I am gay」と書いてあるようなもの。そして、こういうものを世の中に出してしまうのは、はっきりと言葉で「実は私はゲイです」と言わなくても、ほぼ言っているようなものです。だって、これ見て喜ぶのは絶対女子じゃないもん。’91年のツアー「パフォーマンス」でも全身黒レザーでガチガチに固め、股間にバナナを入れて、よりにもよって『so hard』を披露するなんて、ずいぶん思い切っている。ちなみにこのゲイっぽい曲は’95年のツアー「ディスカバリー」では、男子マッチョ2人が全裸でストリップダンスする中で『so hard(カタいワ〜)』と熱唱、という仰天演出だったし、もう怖いものナシ。逆に1周してパロディなのかもしれないなあ。

 

★★★★今日の映画★★★★
 
まりりん石原はかつて10年ほど映画のフリーペーパーを執筆していたほどの映画好きだった。21世紀に入ってからはほとんど普通の映画ファン程度だけど、劇場・ビデオ合わせて1年で100本は見ていた時期もあった。正直な辛口批評は商業誌でもあたりまえになってしまったけど、久々に書いてみました。

『夢色の幻想(It couldn’t
happened hear)』(`88)…PSB主演の、唯一の映画。主演というか、役者らしきことはほとんど何もしておりませんが。シュールな世界観はまさに賛否両論、でもアメリカではなにかの賞をもらったそうだから、カルト映画かも。エンターテイメントというよりはアートに近いのかも。PSBファンだけに受ける80年代アイドル映画…でもない。そういうサービス精神もあまりない。ニールとクリスは、ただひたすら場所を移動し、へんてこなキャラクターたちに出会う。その“間”が、とてつもなくシニカルなイギリス的。クリスが素で笑っていたりする姿が見切れていたり、学生映画みたいっす。たまにでてくる唐突なコスプレ(ニールのプレスリー風キンキラつなぎ、クリスの女装)なども欲求不満!やるならもっとやってよ!しかし、なんだかんだ文句を言いつつも、すごくクセになって何度も見てしまうのは、PSBの音楽のせい?


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