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♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.16♪♪
別冊「まりりんのの日記」/ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
第63号・2005年12月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:クリスティーナ・マーガレット・ロウ

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こんにちは、マーガレットです。もうすぐ冬ねえ。ペットさんたちに送った人形は秋スタイル(シャツ&ジーンズ)だったので、暖かいクリスマスバージョンのファー・コートを送ることにしたわ。アトリエベベのHPの表紙の「The snow fairy and The beby noel」。乙女訳すると「冬のホモさんとサンタ・ベイビーちゃん」…あれ?これでいいの?


★★★★今日の乙女訳リリック★★★★
『キングス・クロス』(’88)
 アルバム「哀しみの天使(アクチュアリー)」(’88)収録。ポップで強気なアルバム中で、唯一“泣きそうな”曲。ロンドンのキングス・クロス駅は、東京で言えば上野駅みたいなもので、北部出身者の2人にとって、地方からの電車が発着するこの駅、「上京」といえば「キングス・クロス」なのだ(ポッタリアンにも聖地だけど)。このあたりはもともとあまり治安がよくないし、サッチャー時代の不景気の影響が見え隠れするちょっと暗い歌だ。日本はバブル真っ最中だった。
 「PSBの不吉予言その1」。この曲を発表してすぐ、キングス・クロス駅の古い木造部分が火事で炎上、多くの被害者が出た(’05年もテロの標的になったのも記憶に新しいが・・・)。2番目は、恋人の死を予言することになってしまった「パニナロ」、3番目はダイアナの悲劇を予言しているような「ドリーミング・オブ・ザ・クィーン」。まあ、偶然なんですけどね。


列のうしろの男は、政府にひどい目にあわされた
ポスター張りとけんかをした
毎晩同じことが繰り返される
僕は傷つき、僕らは負けたんだ
君は家を飛び出して、帰ってこなくなった

月曜日にも、土曜日にも、誰かが僕に言った
明日まで待て、それしか方法はない
本を読んでも、手紙を書いても、

朝起きたら、その保証はないのに

昨夜、僕は迷子になった
行き止まりの反対側はキングス・クロス駅
時間の問題だ
僕は善人でもあるし、悪人でもある
何もしなかったのが僕の罪

月曜日にも、土曜日にも、誰かが僕に言った
明日まで待て、それしか方法はない
本を読んでも、手紙を書いても、

朝起きたら、その保証はないのに

僕は今日、逃げていった人を探しに行った
殺人者がキングス・クロス駅のあたりをうろついている
幸運も、不運も、線路の上で待っている
時間の問題だ

月曜日にも、土曜日にも、誰かが僕に言った
明日まで待て、それしか方法はない
本を読んでも、手紙を書いても、

朝起きたら、その保証はないのに

★★★★今日のピックアップPV★★★★
アブソリュトゥリィ・ファビュラス(’94) 監督・・・ボブ・スピアーズ、ハワード・グリーンホフ

正確に言うと、この白扮装でこの歌を歌うときは“ペット・ショップ・ボーイズ”ではなく曲名と同じ”アブソリュトゥリイ・ファビュラス”というユニット名。だからか、ベストPV集『POPART』(’03)にはこのPVは未収録(アルバム『ヴェリー』からのPV集『ヴァリアス』(’95)に収録)。ファンの間でもちょっと扱いが「?」な曲なのよねえ。
 この曲は同名のイギリスBBCの人気コメディドラマに捧げた曲で、そのドラマに出ていた2人の女優(ジェニファー・ソーンダースとジョアンナ・ラムリー)とのコラボでもある。女優とはいえ、おばさんである。


イギリスのTV番組で歌ったとき

PSBとおばさん、これは何よりミスマッチな組合わせに思えるのだけど…。オネエ系のゲイは同系として(あるいは近親憎悪として)おばさんとも同じフィールドで(時に仲良く、時にけん制しながら)、やっていけるかもしれないけど、マニッシュなゲイとおばさんは、同じ土俵に上がることすら想像できない。
 80年代半ば、ミュージシャンはもれなくPVを作らないとならない時代だったが、80年代のPVをいま見ると「古さ」を感じさせるのは音だけではない、その面倒くささと低予算なりが思いっきり表に出たゆるい映像ゆえなのだと思う。たいていミュージシャンが好き勝手にやっている。たいがいのロックヤロウたちは半裸のおねえちゃんをはべらせたライブ映像でお茶を濁していたものだが、そういえばPSBには半裸のおネエちゃんたちは登場しない。彼らの裏事情といっては見もフタもないけど、80年代のものでいま見てもPBSはそんなに悪くないというのは、やっぱりそういう安直なつくりを避けていたんだろうと思う。PSBは、映像監督を積極的に起用するなど、PVにいち早くアートを取り入れた部類だ。1本でもPSBのPVに水着のおねえちゃんが踊りながら登場していたら、ホモ疑惑もなかったろうに(唯一セクシーな若い女性が主役で登場する『ドミノ・ダンシング』ですら、海辺の男子2人のおかげで“ゲイフェイバリットビデオ”の仲間入りに…)。
 そんな中でおばさんとのコラボ。歌を邪魔されながらも動じないニール、キーボードにお尻をバーンとぶつけられ、帽子を取られるクリス。やっぱり水と油にしか見えない。ただし、私が見たクリスのキスシーンは2回ともおばさん女優(映画『夢色の幻想』と『レント』のPV、いずれも軽め)だったが。

★★★★今日のDVDレビュー/LIVE8★★★★
 今年最大の夏フェスでもあったライブ8は、G8サミットにひっかけて、スコットランドでのサミットと同じ時期(7月2日)に9カ国で開催された。発起人はボブ・ゲルドフ。皮肉にもサミット中にロンドンでテロが起きてしまったが、ライブ8は「21世紀のライブエイド」と呼ばれたように、趣旨は貧困救済である。どうせならサミットをテロしろよ!と不謹慎にも思ってしまった。で、この模様は日本では「スカパー」や「テレビ神奈川」でダイジェスト放送したらしいが、未見の者はDVD(4枚組・全10時間)を買うしかない。とにかく出演者が膨大で豪華なので、1アーチストにつき1〜3曲しか収録されていないのが残念。それでも、収録されているのはまだいい方か。もちろんPSBも参加しているが(モスクワ会場でメジャースターは彼らだけ。さぞメイン扱いの豪華なステージだったろうと思うのだが、DVDは『ゴー・ウエスト』1曲のみ。しかもそのあと余韻を楽しむ暇もなくロンドン会場に切りかわり、アホ面のベッカムが登場)、他にも見たいアーチストが目白押しだったので購入。ただ、DVDジャケが各国首脳のアイコラ、つまり大嫌いなコイズミやブッシュのうれしくないピクチャーディスクなんだよね。いらねえよ、こんなもん。内ジャケは一応ミュージシャンのステージの写真のコラージュですが(ニールのみ)。
 印象に残ったアーチストをちょっと。Disc-1のハイライトは間違いなくポール・マッカートニーとU2のコラボだと思うけど、あえてスルー。音楽界でいま最も問題児のピート・ドハティがエルトン・ジョンとコラボ。よく来たよなあ。サー・エルトンに、手の甲にキスされているのに振りほどいちゃったよ!マイケル・スタイプ(REM)はマリリン・マンソンのように目の周りを真っ青に塗っていたのですが、何の意思表示かしら。相変わらずハゲカッコイイところがちょっとニールとかぶる(ゲイだし)。再結成デュラン・デュラン(でも収録曲はなつかしの『ワイルドボーイズ』)、サイモンが太った…これ見るとジョン・ボン・ジョビの変わらない若さはびっくりするよ。デュラン・デュランを収録しておいてa〜
haを収録しないのはおかしい。同じくらい80年代は人気あったのに(a〜haは現在ドイツでブレイク中)。アン・レノックスはさすがにオバサンになったけど相変わらず声はパワフルでカッコイイ。ユーリーズミックスは“愛が終わった二人=アンとデイブ”という、ちょっと変わったデュオだったんだよね。彼らは解散しちゃったけど、別れてもビジネス・パートナーを続けていたという極限状態があの緊張感漂う名曲を生み続けていたのでは…。不思議な関係です。ノリに乗っているコールド・プレイ、帰ってきたパンク、グリーン・デイなど若手もがんばるなか、やっぱり芸歴長いヤツやには勝てない。あと、ミュージシャンの中に入るとブラット・ピットってアホっぽい。
 Disc-2。マドンナはここ最近私生活ばっかり取りざたされているけど、やっぱりオーラ全開。47歳とは思えない肉体と歌いっぷり。ダンスをテーマにした新しいアルバムも大好評で、やっぱりマド姐さんは頭よりカラダよ!わかっているじゃん…21世紀になってまたダンス復興の兆しかも。シザー・シスターズ!ジェイクの髪がのびてかわいくなっちゃった!アナちゃんは相変わらずどすこい姐さん。
 個人的にはDisc-3が一番見所が多いと思うが。“他人が使ったから”と言ってホテルの便座を新品に取り替えさせるようなマライア・キャリーに、チャリティーされるのもいかがなもんか。で、PSB。アコースティックな始まりの『ゴー・ウエスト』も珍しいし、バンドがステージにいるライブも意外に珍しい。こうなっちゃうと、クリスはバンドの一員扱いよね…美人ドラマーの方が多く映っている。お願いだから“クリス専用カメラ”お願いします…私が立候補したいわよ。それにしてもクリスは顔のお肉が下がりすぎ!あのピッチピチの美青年時代が遠く感じられます・・・もうクリシー・ベイビーちゃんとはいえないわ〜〜。
 その後、やんちゃなロビー・ウィリアムズ、プラシーボ(ブライアンはボウズになっちゃった!)などのセクシー系、その後はザ・フー、ピンク・フロイドなどの大御所が!そして怒涛のラスト・クライマックスに。大合唱。Disc-4はその後日エジンバラで行われた講演と幕張メッセの模様なので、割愛。
 いやあ、フェス(特に夏、そして人ごみ)はちょっと敬遠したいけど、これだけ豪華なら納得かな〜。世界一の規模のフェス、グラストンベリー(南イングランド)も今年で終わりという噂で寂しいもんがありますが、ボロボロになって2〜3日社会復帰ができなくてもフェスに行く勇気と若さは欲しいもんだね、つくづく。


★★★★今日の関係者★★★★
カイリー・ミノーグ

私はこの人とほぼ同い年でありながら思い入れはほとんどなく、『80年代のポップアイドル』『故マイケル・ハッチェンスの元カノ』くらいの認識しかなかった。だからどんな男性遍歴を重ねようと、お落ち目になろうと、ヌードになろうと、話題をさらっと受け流す程度でしかなかった。どうせすぐ消えちゃう部類だと思ったら、どっこいカイリーはいまでもしっかり生き残っている。

サムネイル

どうやら、同業者(ミュージシャン)には彼女のファンが多く、放っておけないガール・ネクスト・ドア(隣の女の子)的なカイリーに、その時その時で手を差し伸べる(ただし多くは恋愛関係を伴う)という運に恵まれたヒトのように見える。ただし、同性から見るとそれは計算!彼女が残った理由はそのしたたかさだと思う。男が放っておけない(常に権力のある男に庇護されているようで実は使っている)女というのは同性には嫌われるタイプ。おぼこそうな女の子がどんどんセクシーになっていくのってなんだかイタイ。でもPSBもカイリーを放っておけなかった一員らしい…なぜに…ファンだった?(さすがに他の男たちのように手は出さなかったろうけど)、彼女の90年代末の本格復帰に手を貸している。アルバムをプロデュースし、デュエット(’99アルバム『ナイトライフ』収録『イン・ディナイアル』ただしゲイの父と捨てられた娘の再会という、ちっともセクシーでない設定だけど)までやっている。セクシー路線を進みつつも映画『ムーランルージュ』(監督もカイリーと同郷のオーストラリアン)では30代にして”妖精さん”なんつーかわいいコスプレしているし(ただし、この”妖精さん”は早期案ではマリリン・マンソン演じる“怪物さん”だった。やっぱキワものなのか)。ノンケもゲイも引きつけるカイリーの魅力を、私はまだ理解できていない。のし上がりたいオンナはカイリーに学んだ方がいいのかも。微妙に風貌やジャケがマライア・キャリーとかぶっているような気がするし。妹のダニー・ミノーグもセクシー系シンガー。あ、最近乳癌の手術をしたそうで、現在は順調に回復しているそうです。

★★★★今日のお写真★★★★

 ‘91年の「パフォーマンス・ツアー」で、『SO HARD』を歌ったときの全身ガチ革&へんてこウィッグスタイル。ステージ上では、さらに黒い雨傘を持っていました。なぜ髪が立っているかというと、前の曲『サバービア』で、彼らは“ロッキー・ホラー・ショー”のように檻に入れられ、電流を流されていたという設定なのです。こんなユーモラスな姿というのは、”冷血ロボット”扱いされていた80年代後半には考えられないことかも。で、この姿で股間にバナナ入れるという暴挙!(モテたかったから!)全曲を通しても、ライブ中最もファニーなお姿でした。生え際が違うだけで別人になるという例。

 

★★★★今日の映画★★★★

 『バッド・エドュケーション』(’05)…社会のタブーと戦うオカマ、ペドロ・アルモドバルの新作。デビュー以来ずっと社会のはみ出しッ子(特に性的マイノリティ)たちを“存在してあたりまえ”の感覚でポップかつキッチュに描き続け、近作「オ−ル・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トウ・ハー」など、よく考えれば変態の話だと斬られてしまうコアなテーマすら感動作にしてしまう敏腕映像作家として一般ピープルにも認知されてきた。社会的認識とは裏腹に実はまだカミングアウトしていないアルモドバルだが、いよいよ作品上でカムアウト同然の“自伝的”映画だ。しかも現在人気絶頂ラテン系の子犬ちゃん、ガエル・ガルシア・ベルナルがあんなこと、こんなこと、いいの!?ごっつぁんです!というほどの熱演。監督自身を投影した“映画監督”も美形だし、画面的に婦女子でも喜んで見れる美しいキャスティングだ。でも、ペドロ本人は脇役のブスオカマ(「トーク・トゥ・ハー」の変態看護士ハビエル・カマラ)にそっくりですが。
 映画監督、俳優、男だらけの愛憎劇、親兄弟の確執など87年の出世作『欲望の法則』(このときの子犬ちゃんはアントニオ・バンデラス)の設定に似ているが、本作ではこれに幼い頃の初恋(もちろん男子同士)が絡み、さらにカトリック教会のタブーまで・・・近年アメリカのカトリック界でも大スキャンダルになったけど、21世紀だからつくれた作品ではないかしら。こんなにはっちゃけちゃっていいの、ペドちゃん。相変わらずスペイン人のDNAにしか作り出せないインテリアの絶妙なポップカラーや、ゴルチェのゴージャスかつお下品な衣装など、映画を”絵”で楽しむ輩にもよだれもんである。で、ペドちゃんにとって、やっぱ“白いブリーフ”は萌えポイントらしいです。白いブリーフといえば、クリスの衝撃パンチラ(パンモロかも)写真を思い出す。クリスー!あんまりパンツ見せちゃダメだよ!サービスしすぎ。

 

 


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