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♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.17♪♪
別冊「まりりんのの日記」/ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
第17号・2005年12月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:クリスティーナ・マーガレット・ロウ

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こんにちは、マーガレットです。最近“ちょい悪オヤジファッション”が流行っているわよね。お手本はあの大爆笑ものの非現実雑誌「LEON」(バブルが忘れられない旧「ポパイ」読者)でしょ?ちゃんちゃらおかしいわ!でも、クリスって昔から「不良中年ファッション」よね、かわいいベイビーちゃんだけど。そういえばちょっと前アメリカで“ダサいお父さんをおしゃれなゲイが寄ってたかってかっこよくする”という番組が流行っていたそうよ。「ファビュラ〜〜ス!」とか言って。こっちの方がぜったい面白そうだわ!


★★★★今日の乙女訳リリック★★★★
『ワン・オブ・ザ・クラウド』(89)
 シングル「オールライト」(89)のB面及びB面集アルバム「オルタナティブ」収録。歌詞はほとんど聞き取れないほど電子音になっているけど、クリスが歌っている。ライナーに歌詞が掲載されていないので、ウェブから抜粋しました。「クリスの哲学」と定義されているように、おそらくクリスの考えを元に書かれたものを歌い、シンセで大幅に声を変えている。あまり人前に出たくない彼の心のうちのようだ。愛想がないため、どうもファンからも「ファンと写真とるのがキライなんですかあ」という質問もあるため、それに答えたんじゃないかと思う。ただ目立ちたくないだけだって。
 が、最初のセンテンスはどう見てもナンパ(「フィッシング」=ナンパ「クルージング」=物色)。有名人がナンパなんてするのかな〜。クリスは誰かが横にいないと眠れない人らしいけど、それは愛が深いって言うの?誰でもいいの?割と1人の恋人と長続きする人のようだけど、その誠実さはどこへ?


僕の竿で釣りに行きたくなる
時々そうしたくなる
眠りに落ちるために、深く眠るために・・・
誰も僕に気がつかない
誰にも僕の名前を知って欲しくない
FAXなんて受け取りたくない
ロイヤルファミリーになんて会いたくもない
僕はただ、税金を払っているだけ

聞きたくないし、見たくない
声に出して叫びたくない
僕は、群衆の中の一人でいたい

着飾ることで僕は印象的にはならない
それはとても感傷的だ
流行に踊らされることが好き・・・僕のことじゃないよね?
聞きたくないし、見たくない
声に出して叫びたくない
僕は、群衆の中の一人でいたい

大勢のうちの一人、大勢のうちの一人
フィッシング、フィッシング

僕は毎晩戦えない
全部かまわないって思う
全部悪意じゃないかと思える

★★★★今日のピックアップPV★★★★
『ビーイング・ボアリング』(
90) 監督・・・ブルース・ウェーバー

私はこの曲を聞くと切なくて胸が痛くなる。これまでのPSBとは“らしくないシングルでありながら、ベストに上げるヒトも多い。私も、泣きたくなっちゃう。PVの冒頭、監督の手書きで「僕はイングランドの北、ニューカッスルから来た。そこには、だれもがドレスアップしたパーティーがあった。あるパーティの招待状に“彼女は退屈な人ではなかった、なぜなら、彼女は退屈しなかったから”とあった。この歌は、若かった時代と、成長についての歌」とのニールのことばの走り書きから始まる。

最近ますます評価が高まっている写真家、ブルース・ウェーバーの初監督。ウェーバーの3本の監督作は「美男美女が戯れている」「白黒」「若さの輝き」「どこかノスタルジック」と共通している。PSBの2人も全部、ちらっとながら参加している。
「自分たちはちっともセクシーじゃない」といいつつ、やっぱりどこかで参加していないと不安らしい。ミュージシャンによってはPVに参加しない人もいるし。なんかそういうとこが寂しがりやで人間的ね。
 ニールが親友の死を経て、思い出とともに生きて行くことを歌った、とてもノスタルジックな歌。PVも大変な支持を得ている。美男美女がパーティして「とても楽しい撮影だった」。2人はちらっとしかでてこないけど。

★★★★今日のインタビュー(抜粋)★★★★
 PSBには手厳しい姿勢の「ROCKIN ON」1998年9月号(表紙もPSB)インタビュー。どうもそんな口調はないな〜というような訳といい、イジワルっぽい質問といい、PSBをシニカルで悪口言いたいグループと決め付け感があり。それもロックが熱々だった時代のせいか。今日は、一歩引いているといわれるその原因でもある『シニカルさ』についての話。

聞き手:本当にシニカルなヒトには『オプチュニティーズ』のような歌詞は書けないと思います。そういう意味で、あなたはシニカルだとか現実的だとかではなくて人一倍理想が高いんじゃないですか?以前「どうせすぐ終わってしまうんだから恋愛なんてこの世にないほうがいい」って言ったのを覚えていますか?
ニール:「発言自体は覚えていないけど、まあ、それは僕が言いそうなことだねえ。」
聞き手:これなんかも理想が高いことの裏返しですよね。
ニール:「確かに…そう、僕は恋愛に対して理想が高いのかもしれない…。何を言わせたいのかよくわからないけど、僕が失いたくないと思っているのは、実はオネスティ(誠実さ)だってのは言えると思うよ。だからこそポップスタートしてお金を稼いでいる一面までも歌にせざるを得ないんだ。単にキレイ事を並べるんじゃなくてね。ところがU2のようなバンドだったらそんなことは絶対しないわけじゃない?連中のやることといったら、ありもしないことをひたすらに伝説化するばっかりでさ、それに比べたら僕たちはよっぽど誠実だと思うな。もっとロマンチックで心の通うものを書いているつもりだよ。」
聞き手:結局のところ、自分たちのイメージの被害者になっている部分がありませんか。
クリス:「まあ、ある意味じゃそうだよね。要するに僕たちの静的な雰囲気がそうさせるんじゃないかと思うよ。例えば、ニールがもっとミック・ジャガーのようにステージでひざまづきながら歌ったりするんだったら、人々も僕たちにもっと誠実さを感じてくれるんだろうな。」
ニール:「だけど、そういう見せかけだけの誠実さに僕は疑問を感じるんだよ。」

クリス:「そう。でも、結局、僕たち意外にそういう疑問を感じている人は少ないんじゃないの?」

★★★★今日のビデオレビュー/ハイライト(MCMLXXXIX)★★★★
 1989年のファースト・ツアー。タイトル名は不明。デビューから4年もツアーをやらなかった理由は、彼らの音楽スタイル(バンドという形態を取らないプログラミングされた楽曲と、熱唱しないヴォーカル・スタイル)ゆえであるが、“ライブやってなんぼのたいていの同業者・批評家からは“冷鉄ロボットのレッテルを貼られることに。微妙に”仕方ない感“もあり日本や香港だけの予定だったが、評判がよかったために他の市でも開催された。ツアー・ディレクターはデレク・ジャーマン。監督の撮った映像がバックスクリーンで流され、この映像集はまた別に『Projection』として販売されている。
 さて、肝心の内容。少なくとも1時間半はあるはずのライブがたった30分の映像集にまとめられているのは、製造・販売元がケチったからかと思っていたが、彼ら自身が気に入らない部分を切ってこの尺になったらしい。最後の曲の映像にタイトルロールがかぶるのは製造元のせいだと思うけど。でも、その切った後はにクリスが歌って踊った『パニナロ』が入っていないのがすごく悔しい!噂では、すっごくウケたらしい。入っていないものをグダグダ言っても仕方ない・・・。
 最大の見どころは2曲目の『イッツ・ア・シン(哀しみの天使)』だろう。演劇のようにゴージャス。ニール(司祭)もクリス(修道士)も舞台俳優の一部のようだ。特にニールのきらびやかさとオーラったら、今までライブをやらなかったことが悔やまれる。このときのニールは若いし髪も多いし細いし、ずいぶんメイクが濃くて、ニューウェイブ系かセクシー系シンガーかもしれない。『レント』でもゴージャスな毛皮をまとっている。ただし、たくさんいるダンサーたちとはまったく絡むことはなく、孤独な印象。『パニナロ』が収録されていない限りクリスの印象は全編通してすごく薄い。最後の『オールライト』で、ニールにマイク向けられたクリスが『イッツ・ゴナ・ビー・オールライト』と言って終わるところくらいかな。このライブではまだ
ペット・ショップ・ガールシルビアは参加しておらず、次回から全てのライブに欠かせない存在になる。


★★★★今日の関係“ナイ”者★★★★
ジョージ・マイケル

 スキャンダルも含め、自分のプライベートまで赤裸々に語ったジョージのドキュメンタリー映画が公開されるとのこと。そして今年12月21日に、英国では同性カップルに通常の夫婦と同様の権利を保障する法律が施行されることになったので、早速ジョージは結婚を表明しています(エルトン・ジョンの方が先に表明していたけど)。英国にはゲイカップルがものすごく多いので、みんなこぞって結婚式を挙げるみたいですよ。ちなみにジョージは「ウェディングドレスは着ない、ジミ婚」と言っているそうです。あのガチな容姿で
奥さんだったんですね。ちなみに彼氏は10年以上交際(その前の彼氏はエイズで死去している。意外に一途?!)しているフィットネス・インストラクターのケニー・ゴスさん(多分マッチョ系)です。

ジョージ・マイケル
これなんてまだいいほう。もっと汚いヒゲのこともある。

ジョージとPSBは仕事上、何の関係もありません。むしろ彼を嫌っていたりパロディにしたり。同じ英国ポップ界のゲイ・ミュージシャンであり、組合員とは仲の良いPSBだけに、理由はよくわかりません。89年、ジョージがワム!解散後、ニールはインタビューでこんな辛辣なことを言っています。
「ジョージ・マイケルみたいに仕事の質である程度の真価を人々に問う努力はあまりしないで“自分はシリアスなアーチストとしての評価を得たい”と言っているだけじゃ、永遠にそれは得られない」・・・この考えが彼らのポップスター批判曲『シリアスリー』につながっていて、PVでは、ニールがまんま、ジョージが『フェイス』で着ていた革ジャン&ジーンズを着て歌っていますね。
 
99年に逮捕&カミングアウトしてから現在のジョージを見ると、ワム!は遠くになりにけり・・・って思いますわ。少なくともワム!時代〜解散直後は、ジョージは女性ファンも多かったのに、今のハードゲイめいたヒゲ面を見ると、私の青春まで遠くなります。ジョージなんて、ちゃんとまだスターなんだからまだいいほう。相棒のアンドリュー(こいつは本当に、当時から曲作りも歌もほとんど何もやってなかった)は、現在はレストラン経営という、音楽界にこれっぽっちも未練のない「あの人は今」状態。80年代ポップ&ロックの負け組を見るたび、旧ファンの維持はもちろんのこと新しいファンを取り込み続けるPSBは偉大だなあ、とつくづく思います。

★★★★今日のお写真★★★★

 
まあ、多分“衣装”として作ってんでしょうなあ

 あるフランスの雑誌に載っていた、88年頃のインタビュー。2人の衣装が、いつもと逆でまるで交換したようです。

あれ、この「BOY」ってニールの帽子、いつもクリスが好んでかぶっていたものと同じ!?ニールのこの帽子着用ははじめて見たけど。こう見えてニールはいつもあまり帽子をかぶらないんだよねえ(かぶるといえばカウボーイハットのイメージがある)。クリスのを借りたのか、おそろいで持っていたのかもしれないね。

 

★★★★今日の映画★★★★

 『クライング・ゲーム』(89)・・・PSBがサントラに参加しているのって、意外に少ない。他に『サイコ』(ガス・ヴァン・サント版・・・これもゲイ組合つながり?) に1曲提供しているくらい?昔『007』の話もあったけど流れちゃったのよね、確か。PSBの曲って印象が強すぎてBGMには向いていないのよね。
 この映画は“オチを言ってはいけない”ジャンルのひとつだけど、監督がニール・ジョーダン、主題歌がボーイ・ジョージ(PSBプロデュース)でサントラ絡んでいるといえば、隠された秘密がなんなのかわかっちゃうかも。言っちゃっていいよね。女性だと思われていたディルという美容師でクラブシンガーが、実は男性だったこと。演じたジェイ・デビットソンは本当のドラーク・クイーンで、デレク・ジャーマンのパーティで監督が紹介されたという。IRAのテロリストである主人公が、ディルの恋人を死なせてしまった罪の意識から、彼女を守るうち恋に落ちてしまうのだけど、真実を知ってしまう。苦悩しつつもディルを見捨てられないノンケ男の「優しさ」にぐっと来るわ。世界中のクイーンが“こういう男がいてくれたら!”と涙したと思うわ。

 


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