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♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.18♪♪
別冊「まりりんのの日記」/ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
第18号・2005年12月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:クリスティーナ・マーガレット・ロウ

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こんにちは、マーガレットです。寒いですね!今年の一年は、80年代・90年代自己回顧(青春時代のやり直し)にはじまり、ひたすら「過去」にベクトルが向いた1年だったわ。人生でいえば「冬眠」のような時期だったけど、きっといつか栄養になる日が来ると信じているわ。唯一の心残りは、メールが来てくれること。これが来ないと年が越せないわ・・・ともあれ、来年もよろしくね。

★★★★今日の乙女訳リリック★★★★
『イッツ・クドゥント・ハプン・ヒア』(’88)
 エンリコ・モリコーネ(映画音楽界の巨匠)が作曲参加、アンジェロ・バダラメンティ(デビット・リンチの映画音楽でおなじみ)がアレンジという、なんとも豪華な顔ぶれでできた1曲。
 
アルバム「哀しみの天使(アクチュアリー)」(’88)収録。不思議な映画「夢色の幻想」の原題でもある。シンクレア・ルイスの小説「イット・キャント・ハプン・ヒア」から取ったもの。ニールのニュー・カッスル時代の親友(クリストファー)の死の病が発覚したときの心情を歌ったものだといわれている(そして彼の葬儀を歌った「ユア・ファニー・アンクル」、彼を思い出に生きて行く自分「ビーイング・ボアリング」と続く)。二人とも、愛する人や親しい人をHIVで失っているが、残されたものの悔しさほどもどかしいものはないはず。さすがのニールも悲しい歌声。


昨日はどんなに晴れやかだったか覚えている
6インチのヒールを履いて雑誌に答えていた
なんだってできると、君は思っていたはずだ
そこまではよかった

誰かが、なんだと思っているんだ、と聞いた
誰に養ってもらっているんだと
誰のおかげでここまで来れた、と
そいつを無視してドアを閉め、鍵を掛けた
そこまではよかった

信じられない
僕たちは飲みすぎて、みんなを起こしてしまった
僕は間違っているかもしれないけど
僕たちは言ったはずだ
こんなはずじゃなかった


意味だてて言おうとは思わない
僕たちの威厳と、傷ついたイノセンス
相反するもの
君の戦いの傷は、なんとかここまで治ったんだ

信じられない
僕たちは笑い過ぎすぎて、みんなを起こしてしまった
信じられない
僕たちはスタート地点に戻ってしまった

★★★★今日のピックアップPV★★★★
『ニューヨーク・シティ・ボーイ』(’99) 監督・・・ハワード・グリーンハルフ

最初にこのPVを見たときは多分MTVがVIBEだったと思うけど、前作で2人が若く生まれ変わるコンセプトを見ていなかったので、眉毛とカツラに「どーしちゃったの!?」って驚いた。



ちょうど伝説のディスコ「54」をモデルにした同名映画(主演は当時美青年だったライアン・フィリップと、怪しげなオーナーはオースティン・パワーズじゃないときのマイク・マイヤーズ)が公開されたと思うので、何か関連があるのかとも思ったが、偶然だったのね。「54」っていえば麻薬の温床になってたり働いている美青年たちがカラダ売ってたりしたことで問題になったんだけど、華やかな70年代ゲイ・カルチャーのあだ花だったんだよね。コメントでも2人はあの時代をなつかしがっています。
 前作で若く生まれ変わった2人がNYに登場(でも合成)。まだ世界貿易センターのツインタワーが見えるニューヨークを、田舎にいる少年が歩きまわるPV。後半は「54」の様子を再現した超エキサイティングな内容。アンディ・ウォホール、リキテンシュタインなどのセレブ顧客、トラボルタに扮したダンサー、ディスコ・サリーなど実在の関係者たちも配置。ああ、昔のディスコって、こんなに楽しかったんだよな。ちょびっとですが、クリスも踊っていて「打ち上げみたい」とポツリ。(←いいなあ!)

★★★★今日のビデオレビュー/PV集★★★★
 プロモーション・ビデオ・クリップ集。当時はよほど売れていないとわざわざビデオクリップが販売されることはなかった。PSBはその都度その都度、ビデオが販売されている。つまりPSBは東芝EMIの稼ぎ頭だったのだ。あとで気がつけばダブっているし、たった30分程度のPV集でも\5,800とかするんだから(で、その後\500くらいで叩き売られる運命に…)。無駄とは知りつつ買ってしまうのがファン…。
 『テレビジョン』(’86)は、『オポチュニティーズ』から『パニナロが全て』までの6曲のビデオクリップの合間に、彼らが各国でTV番組に出た映像が短く納められているが、そのとき演奏したライブではなくPVに切り替わる。今思うとライブの方がずっと良かった。ビデオが始まっていきなり古舘伊知郎の声で「ペット・ショップ・ボーイズです!」と入っているが、これはもちろん「夜のヒットスタジオ」に来たときの映像。あ〜、私もリアルタイムで見たよ、これ。当時の「夜ヒット」は、けっこう外タレが多かったので、よく見ていた。もちろんPV以外で動いている2人ははじめて見た。セーラー帽のクリスがかわいい。このときの来日はライブではなく、プロモーションだったと思う。たしかファンと東京湾クルーズをしたと思う(田舎高校生のマージは当然行ってないけど)。この映像のほか、TV番組出演時の5、6本の短い映像が、当時の2人を伝えている。意外にもクリスのはしゃぎっぷりが目立つ。
 ビデオ『哀しみの天使(原題:I like it here, wherever it is)』(’87)は、『イッツ・ア・シン(哀しみの天使)』から『オールウェイズ・マイ・マインド』の4曲しか入っていないが\3,000.唯一のお宝映像は、冒頭、イギリスで放送されたアルバム『Actually』の30秒程度のTVCMが入っていること。例のあのジャケットのメンチ&あくび顔になる2人のコミカルな映像。でも、それだけだな。
 ビデオ『プロモーション』(’91)。『レフト・トゥ・マイ・オウン・デヴァイセズ』から『ジェラシー』までの7曲収録。特典映像なし。33分で\3,500.DVD時代では考えられない。
 ビデオ『ビデオグラフィー』(’91)。ベストアルバム『ディスコグラフィー』のビデオ版。『ウエスト・エンド・ガールズ』から『ワズ・イット・ワーシ・イット?』(日本のみの特典)まで、19曲PVの歴史総まくり…でも『オプチュニティーズ』のファースト・バージョンは未収録。\5,800。
 ベスト版を出したことで、解散の噂が。でもアルバム『ヴェリー』(‘93)で噂を払拭。PV集『ヴァリアス』(’95)は、『キャン・ユー・フォーギヴ・ハー』から『アブソリュトゥリー・ファビュラス』までの6曲と『ゴー・ウエスト・パート2』(音楽とCGのみの作品)の33分で\4,800って高くない?もう、完全にファンの足元を見ている!
 そして最新の『POPART』(’03)では、時代は変わり、DVD。エクステッド・バージョンを加えた全曲(42曲、3時間)とぶっとうしのコメンタリー入りで\3,800!!いやあ、いい時代になりました。ただ、この中にはシングルアルバム『POPART』からのシングル『ミラクルズ』と『フラボヤント』は入っておらず。私もコマドリ画像でしか見ていないの(MTVはいってないんだもん)!来年のニュー・アルバムからまたシングル&PV作られると思うので、そのときは是非入れて下さい。


★★★★今日の関係者★★★★
ニュー・オーダー
 ‘05年フジ・ロック・フェスでトリをつとめ、最近でも車のCM(ニッサン・セレナ)で新曲が使われるなど、トップ現役バリバリのニュー・オーダー。PSBとは「音楽性が似ている」とカテゴライズされ、ファンもかぶるし、実際に友好関係。
 以前、私が高校生のときにFMからエアチェックした『オポチュニティーズ』がPSBとの出会いだと言ったことがあったけど、そのテープにはニュー・オーダーの『ステイト・オブ・ザ・ネイション』も(そしてa〜haの『ルージング・ユー』も)エアチェックされていた。私の出会いは実は2組同時だったのだ。


左から、クリス、バーナード・サムナー、ジョニー・マー、ニール。

81年、バンド「ジョイ・デビジョン」のカリスマボーカル、イアン・カーティスの自殺によって残されたメンバーによって再結成されたのが「ニュー・オーダー(新体制)」。以来24年、バンド内のゴタゴタ、休止、メンバー交代などなど、いろいろな危機を乗り越えて現在に至る(うう・・・簡単に語りすぎか)。イアンの死をテーマにした『ブルー・マンデー』に代表されるように歌詞がドン底っぽい暗さ、どうしようもない社会への苦言など、イタイんだが、曲がポップですんなり入ってくるので聞きやすい(この辺PSBにも似ている。相変わらず歌詞がわからない日本人はある意味ハッピー)。89年、バーナード・サムナーと元スミスのジョニー・マーがバンド「エレクトロニック」を結成したとき、PSBも参加するが、そのときの「Rock`in on」の記事を抜粋してみた。

参加のいきさつについて、インタビューより:
クリス:「誰が誰に電話したんだっけ?」
ニール:「先ずマンチェスターを根城にしている僕たちのデザイナーから電話が入った。『実はバーナードがソロを作っている』って言うもんだから、逆に僕は自分もぜひ参加したいと伝えてもらったんだ。バーナードと直接面識はなかったけどね。昔から作品の交換はずっと続けていて、幸いなことにその話にバーナードも乗ってくれたわけ。で、いざバーナードのところに行くに担って、まあ、クリスも一緒につれてったんだ。」
クリス:「一人じゃ嫌だなんて言うからさ(笑)」
ニール:「でもあらかじめバーナードに電話したんだよ。クリスも連れて行きたいんだけど言いかって。そしたらバーナードはむしろつれてきてほしいって感じだったからね。で、マンチェスターまで行って、ジョニー・マーのスタジオで実際の作業をしたというわけ。」
クリス:「それも自宅の中にあるスタジオ。」
ニール:「ジョニーもけっこう満足していたみたいだしね。」
クリス:「面白いヤツでさ。ジョニーのお気に入りのレコードというのは、実はね、もうことごとくダンス・レコードなんだよ。『古典』といえるようなものはもう何でも揃っていたな。」
ニール:「それに音楽についてもなんでも知っていたね。とにかく、そういうわけで2晩そこで働いたんだ。バーナードとジョニーが一緒に書いた曲の演奏にも参加しているし、僕たちとバーナードとの共作でまだ準備中の作品もあるんだ。」
クリス:「でもバーナードは仕事が遅いから。」
ニール:「うん、驚異的に遅い(笑)。」


出来上がったシングルの評価:
「それにしても当初、バーニーとジョニーとニールがバンドを作ったというニュースを聞かされ時は、わけもわからず生唾を飲んでしまったもんである。まさにイギリスの最強トリオではないか。こんなものが共通の目的の元に集まったら、いったいどんだけスゴイ音楽が出来てくるだろう・・・(中略)・・・ところがシングルは凡庸な出来。余興は余興、ホビーはホビーでよろしい。こういう制約のない立場で音楽を作ることはミュージシャンにとっても必要なことかもしれない。(中略)・・・とにかく今度出るフル・アルバムが「疲れたおじさん大集合」にならないことを期待しています。」

 ・・・と、けっこう期待はずれだったのね。悪いはずないんだけど、多分ビックネームで期待しすぎなんだろう。このシングルはニールが詩も共同制作、ビデオにも参加している(マージ未見)。92年のエレクトロニックのシングル『Disappointe』はニールがタイトルをつけた。これはなんと、ニールがお気に入りの曲『Disencantee』からインスパイアされたと言っているが、この曲、私がPSBのほかにもうひとつ私設ファンクラブをHP上で展開している、愛するミレーヌ・ファルメール姐の曲。うわ〜〜、またつながっちゃったじゃん。運命かしら。ニールがミレーヌを聞くとは思っていなかったけど、好きなものが次々とつながって行くというのは、必然的かもしれないね。

★★★★今日のお写真★★★★


うれしそう、うれしそうです!

 ブルース・ウェバーの撮ったPV『アイ・ゲット・アロング』(’02)の1コマ。わざわざMTVから抜かれてファンサイトにアップされていた問題(?)ショット。ニューヨークのアートスクールの学生と合同ワークショップする2人を追った映像だけど、そのなかのクリスの”半裸の若い男子に萌え〜”の図。まあ、コメンタリーで女子のモデルにも「美人、美人」と言っているからいいんですが、「若いコはいいねえ」「楽しかった〜」と言っています。確実に“クリシー・ベイビーたん”から“おやじ”に格下げされた瞬間。こんなショットは入れないように、あらかじめ監督にゆっといて下さいな。

 

★★★★今日の映画★★★★
『モンスター』(’04)・・・マージは真性レズっ気がないので、いつものジャーリーズ・セロンにはグッと来ても、ブスメイクの彼女には萌えないわ。ともあれ、これでシャーリーズは「きれいなだけの脱ぎ要員」から脱却、見事アカデミー賞主演女優賞まで持っていってしまった。これが初監督のパティ・ジェンキンス(レズだそうです)。
 アメリカで有名な“史上初の女性連続殺人鬼”(ただし大抵の男の連続殺人鬼は“趣味”だが、彼女の場合は単純に金品目的)アイリーン・ウォノスとその最後の恋人(クリスティーナ・リッチ)を描いている。アイリーンの凄惨な殺人場面はあるものの、アメリカという、一見ドリーミーな場所に生まれながら、動物同然の人生を歩んできたアイリーンの半生に戦慄して同時に同情してしまう。アメリカって言っても、ホワイトラッシュはとんでもなく多く、売春くらいしか稼ぐ方法がない場合だってあるんだ。こんなところにいてはダメ、と客観的に思っても、そこから出られる方法が思いつくもんならもうとっくにやっていただろう。そして、最後の恋人との関係の脆さといったら、そりゃあ、ない。人は人を必要とし、愛し、搾取する。ううん、重いな。

 


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