●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.52♪♪
別冊「まりりんの日記」/ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
第52号・2007年5月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:マーガレット(題字:ニール王子)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
  

  ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
シリーズ:1曲に固執してみる・7▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
 
「1曲を徹底的に研究してみる」第7弾。今日は、説明がなけりゃ、“スターとファンの熱い一夜を歌にしてみました---ええっ、PSBってファンを食っちゃうような人たちだったの!?ヒドーイって感じですが、そんなんじゃありません。PSB式イヤガラセ・ソングともいえる「The night I fell in love」恋に落ちた夜(02 ) (アルバム「Release」収録)です。
 まずは2人の解説をお聞きください。

クリス「(笑)うんうん、極めて簡単に言えばね。」

ニール「一言でいうならね、うん。このアルバムの曲は、現代の生活を基に物語仕立てになっているということはさっきも言ったけど、(中略)ここではエミネムを取り上げたんだ。僕らがこのアルバムの曲を書いているとき、ちょうどマスコミがエミネムの同性愛嫌悪について大騒ぎしていたんだ。実際僕らはエミネムがすごく好きなんだけどね。事実エミネムはここ数年の間に現れた中で、非常に重要なアーティストだと思っているし。つまりさ、彼はすごくすごく想像力に富んだソングライターであり、アーティストであり、またパフォーマーとしては信じられないほどのカリスマ性ももっている。でも、彼の同性愛嫌悪はすごく難しい問題なんだ。レコードの中で何度も言い続けている”ホモ野郎”だとか、ああいう差別的姿勢についてのエミネム側の弁解では、彼は曲の中では本当の自分自身ではなく、キャラを演じているんだってことなんだけどね。彼はアメリカやアメリカの人々が様々なテーマに関して気持ちを実際に代弁している。大きな物議を醸しているけど、僕は彼を信じようとしているんだ。彼の手法を採用して、僕も何かのキャラクターを演じながら曲を書いたら面白いんじゃないかって思ったんだよ。そうやって書いたのがこの曲なんだ。僕は実際、自分が英国のドラマ『クイーア・アズ・フォーク』の主人公であると想像してみたんだ。そのドラマはゲイの恋愛模様についての物語で、とても、とても大胆だったんだよね。この曲の中で、まだ中高生の少年がマンチェスターでエミネムのライヴを見に行く。物語の舞台は一貫してマンチェスターなんだけど。そして彼はバックステージ・パスを手に入れることに成功し、エミネムと一緒に、彼の泊まっているホテルに戻ることになるんだ。そしてエミネムが本当は実はゲイだったことがわかって驚くんだよ。そしてそれが曲中で順を追って描写されていく。まずどんな風にして少年がエミネムと出会ったか、そしてエミネムが彼に何と言ったか、それから彼はエミネムに同性愛嫌いの件について尋ねる。”彼に尋ねてみたんだ/どうしてこれまでさんざん/彼が同性愛嫌いとかそういうことで/非難されたって話を聞かされてきたのかと/彼はただ肩をすくめた”ってね。僕はエミネムがそういう立場にいるのが想像できたんだ。それから翌朝、彼らは一緒に朝食をとる。そこでエミネムはDrドレーについて語るんだ。そして、少年は明らかにもう2度とエミネムに会うことはないんだけど、それでも急がなくちゃならないんだよね。なぜなら、学校に遅刻しそうだと気付くからさ。そんな感じの、ちょっと笑えるほんわかしたストーリーなんだよ。”スタン”がちょっと笑える不気味なストーリーであるのと同じくね。これってぼんやりと考えを巡らすには面白い題材だと思うんだ。なぜなら、エミネムは、どうしても同性愛というテーマにこだわっているからね。」

クリス「このアルバムの歌詞はみんな、本当にものすごく優れていると思ったよ。期待通りかって?自分が何を期待しているかなんてわからないよ。」

ニール「面白いんだよね。なんていうか、優しい
ユーモアがあるんだ。」
(「Release」‘02東芝EMI販促ブックレットより)

*マ注:「クイーア・アズ・フォーク」はイギリス(99年・チャンネル4)で話題になったゲイのベッタベタのドラマ。マンチェスターが舞台。プレイボーイと彼をひそかに好きな親友、プレイボーイに熱を上げる中学生の3人がメインキャラ(当然全員男性)。ふだんTVを見ないニールも、これはチェックしていたと思われる。どうやら去年、スカパーでまったく違う邦題をつけられてシーズン1が日本でも放送されたらしい。是非見たかった。誰か、ビデオってない?


僕はバックステージにいた
僕はこのラッキーな出来事が信じられない
彼は愛想よく僕に近づいてきて、ハローといった
彼はとても丁寧にしゃべるので、とても驚いた
僕が、あなたのステージが好きだというと、彼は微笑んだ
夜にはよくあることだと思うけど・・・
そう、僕は恋に落ちてしまった

僕たちは、彼の滞在している部屋に行った
彼はビデオカメラを持っていて、

僕はちょっとナーバスになった
僕は口ごもらないようにせいいっぱいだった
彼はこう言っていた
「君が僕のステージを楽しんでくれてよかったよ
ファンたちは今夜も楽しんでくれたようだ
もっと見たくはないかい?君を特別招待したい
僕のプライベート・パフォーマンスに・・・」
僕はすっかり夢中になった

彼になぜって聞かなかった
彼はとても普通の男に見えたと
彼は、僕らは2人だけの秘密の恋人同士になれると言った
それから、ジョークも飛ばした
「ヘイ、君はスタンって言う名前じゃないよね!
僕らは一緒にいるべきだと思わないか?」

そして彼はとても情熱的だった
彼を評価するなら、10点満点中の9点
僕は恋に落ちてしまったんだ

彼に質問した
あなたは同性愛を毛嫌いしているってよく聞くけど・・・と
すると、彼は肩をすくめた

(シークレット・ラヴァーズ)

翌朝、僕たちが目覚めると、
彼はきさくで
朝食のとき、冗談を言っていた
Dr.ドレーのこと、友人や仲間の事・・・。
僕たちは、どちらからも、
次に会えるかどうかを聞くことはなかった
それもクールだと思ったから
だって、僕はもう学校に遅刻してしまう
でも、あの夜は本当に恋に落ちた


(マーガレット訳)

 

 たしかに、歌詞の内容も興味深いし、エミネムのヒット曲である「スタン」(エミネムのストーカーみたいなファンを題材にしている)やエミネムの決まり文句「We should be together(俺ら一緒にいようぜ)」を入れてくるのは、なんとも巧みで、しかも曲は胸がキュ〜〜ンとなるほどのせつない系なんである。ただ、ワタシが一番オモロイなあ、と思ったのは、上記ではニールはあんなこと言っているけど、実際はこの曲はイヤガラセであるって事。クリスだって、この頃アチコチでエミネムを褒めているし、エミネムのフィギュアを自分で購入して部屋に飾っていることまで告白している(このエピソードはエミネムの伝記本に書かれている)。
 エミネムのホモフォビア発言は、エルトン・ジョンにも目をつけられた。いつもの姐さんのようにキィ〜〜っと怒ると思ったら意外にも姐さんはジェントルマンな(いや、レディーか)態度でエミネムと共演を希望し、実際にステージできゅ〜っと抱きしめたんである。
 確かに色白・やんちゃ・マッチョ・・・エミ君はゲイに好かれる要素がいっぱいあるが。
 PSBといい、姐さんといい、地位のある大人のゲイは怒らせると恐いんである。頭の足りない単細胞なら喧嘩上等で舌戦(あるいは本当に実力行使)が繰り広げられたかもしれないが、このやり方をされては、怒るのがバカらしくなる。この余
のイヤガラセっぷりには惚れ惚れする。
 見事PSB姐さんは、エミネムを黙らせることに成功したんである。
「彼って、10点満点中の9点よね!きゃっ!」
(ニール、このフレーズが気に入っているのか、ミュージカル「クローサー・トゥ・ヘヴン」でも使っている)

★★★★★★★★★★★★★コメンタリーby PSB CatalogB★★★★★★★★★★★★★★


06年発売されたアートワーク本「PSBカタログ」掲載の「Pet Shop Boys in conversation with Chris Heath, April 2006」を訳してみました。その3。

どうやって「this is what we look like, this is what we do?(僕らがどう見えること、僕らがやること)」をやり始めたか覚えている?

ニール「ああ。実際にはその時までには見つからなかったけど。クリスがキャップとサングラスを、僕がコートを身につけていた時、流行とは大きく違っていた。コートはすごく高価だった・・・それまでの僕の人生で一番高い服じゃなかったかな・・・400ポンドかそのくらいで、EMIから借りたんだと思う。基本的にずっと着ていなくちゃならなかったんだけど。EMIのために最初のTV出演と2本のヴィデオでそれを着た。でも、エリックとの写真では、僕らはひとつのイメージを作ることを試みた。エリックは
グループにとって大切なのは、一種の神話を作ることだって言っていた。」

クリス「・・・不可解だ・・・」

ニール「まったく。」

写真を撮られて満足だった?

ニール「とても奇妙なことだ。最初、君が写真を撮った。プロの写真家に自分の写真を撮られた最初のとき、スマッシュ・ヒッツの1983年のイヤーブックで・・・クリスにとっても初めてだったと思うけど、僕らはTシャツだった。自分がカメラの前に立つのがどれくらい恐ろしかったか、信じられないほどに自意識が強く感じたのを覚えている。」

クリス「僕は恐怖を覚えていないな。僕は実は興奮していた。君はデビッド・ベレイの60年代のイメージで写真を撮ったけど、そのテーマはすごく面白かったね。」


ニール「まあ、デビッド・ベレイには似てなかったけど、エリックのエンドレスの、明るい、正しい、大きな技術は、彼が照明に実際に素晴らしい才能があったということだった。ニューカッスルから来た僕らが知っている男が撮った
スナップ写真“ではなかった。かわいらしいスナップ写真を撮るエリックは自分を殺していたね。でも、僕らは全ての真剣なアプローチが好きだ。僕らはそれを賞賛するよ。僕らもそうあるべきだ。」


突然
イメージがついたことを理解していた?多分、大衆はなにか起こるまで固定したイメージを持つってことを、知ってる?

ニール「人々の僕らの固定イメージって、
ウエスト・エンド・ガールズのビデオで通りを歩き回るやつでしょ、クリスが僕の後ろにいて。」

クリス「ロンドンで車窓から僕らを見かけたら、現実に、1週間に何日かはそうなんじゃあ。」

ニール「僕はクリスより早く歩くから。」

クリス「ニールは歩くのが早いよ。僕はホップ、ステップ、ジャンプして追いつかなきゃならないよ、今でも。」

ニール「そう、それは僕たちの実際に真実の姿の一例だ。クリスと僕じゃ、こんなにベアリングが違う。僕ははしはしと大股で歩く・・・。」

クリス「僕はのろのろ、元気があったりなかったり。」

ニール「まさしくそうだね。」

                                              続く

★★★★★★★★★★★★年に一度のマーガレットPSBまつり★★★★★★★★★★★★★★

07もやってきました、PSBのロンドン・ライブ。今年もマーガレットは行ってきます。ロンドンよりパリがメインですが。
5月21日・火曜日、パリのGrand Rex、これは最前列クリス前の予定。
5月27日・日曜日、ロンドンのHammersmit
h Apollo、こちらはスタンド席。かき分ければ最前列もアリか?
22〜26日までの間、アムステルダム、ウォルバーハンプトン、ゲーツヘッドはパスしました。
他にもルーファス・ウェインライトとジャスティン・ティンバーレイクのライブにも行きます。ライブ&旅行のレポートは、また後日ご報告します。

 

 


前号へ

次号へ

indexへ戻る