12. Do I have to?
N:ビデオが出てこない曲はこれだけだよね?
C:君が裏で衣装を着替えている間にソロで演奏した。
E:イヤがっていたわよね。
C:やりたくなかったよ。
E:ニールの着替えのためだものね。
N:ガールズたちも着替えだよ。
E:これは…。
N:僕らは着替えでパニックになっていた。
C:早めに演奏してやった。
E:わざとね(笑)。ミラーボール・ジャケットに光が反射しているわ。
C:恥ずかしいよ。
E:トイレで泣くようなシーンが始まる。ここまでは楽しい金曜の夜だった。
C:ここでお客さんのトイレ休憩ってこと?
E:それじゃトイレは大混雑よ(笑)。ショーンとシャーロットがどうなるか知りたいでしょ?舞台はニューヨーク。
N:それはどうかな。そう言う人もいるかもね。僕の好きな曲だ。
E:私もよ。亡くなったピナ・バウシュを偲んだダンスよ。ここの振り付けは、アステアとロジャースみたいは40年代の社交ダンスがベースよ。
N:箱をかぶって社交ダンスなんて、シュールだ。
E:ここでのニールは、顔がない人たちでいっぱいの部屋にいるように見える。このジェスチャーが、周りの人たちとの関係を表しているの。めったに出席しないのね。このダンサーたちは、さっきはロボットみたいに踊っていたけど、今はとても叙情的ね。リンはこれまで現代舞踊やブロードウェイ、MTVと幅広く活躍して来たからね。素敵なタキシードね。
N:ディオールだよ。ほとんどの曲は、自分のバックトラックに合わせて歌っている。だから歌詞を間違えられない。
C:面白い
E:美しいわ。
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13. King's Cross
E:次はデレク・ジャーマンの世界。「キングス・クロス」のビデオよ。
N:20年前のだ。
C:ロンドンは変わった。
N:特にキングス・クロスのエリアがね。
E:撮影の時の様子は?
C:僕はこの時機嫌が悪くて、途中で帰った。次の日に撮影し直したんだ。
E:あなたのせいで?
N:「レント」のために撮った。
E:そうなの?
N:電車の部分は「レント」のだ。撮影スタッフは2人。でもクリスを撮影するはずのスタッフが来なかったんだ。
C:よくそういう目に遭うんだ。
N: (笑)1922年版では、デレクが8mmの映像を編集で加えていた。
E:ニールの足元から照明が当てられている。多分ね。ロブに聞けばわかるわ。
N:舞台裏で歌っている。
E:翌日撮影し直したの?
C:ああ、確かそうだった。
N:いいビデオだ。
E:見入ってて、言葉が出なかったわ。
N:曲もいい。
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14. The way it used to be
N:クリスが弾いているキーボードは、曲によって音にムラがあった。弾き始めてない?
C:止まったんだ(笑)。
E:うまくいかなかったの?
N:特にアメリカでね。
C:理由はわからない。
N:ショーンだ。白い上着の男たち。
C:君を連れ去りに来た。
E:ショーンとの初リハーサルを終えた後、リンが彼の才能に驚いていたわ。
N:本当?
E:彼には未経験の分野のダンスだったのに。表現力豊かね。
N:この歌は覚えにくいんだ。”次は何だっけ?”と思いながら歌っている。この後ろの箱は…。
E:最初は箱をプラスチックで作ろうと思ったの。結局段ボールにした。骨組みは木でできているのよ。表面だけ段ボールなの。
N:厳密には段ボール箱じゃない。
E:表面だけ。
N:上で動き回るものね。
C:赤と青が映えている。
E:ここの振り付けが表現しているのは、ショーンとシャーロットの出会いと別れまで。
C:僕も今度やってみるよ。なんていうダンス?
N:フリースタイルだ。
E:現代舞踊よ。ランバート・ダンス・カンパニー風ね。二人とも裸足。
N:本当?
E:さっきは運動靴だったわ。
C:手にしているのは?
E:手袋よ。革の手袋。
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15. Jealousy
E:間違えたわ…彼らは靴を履いている…。
C:風船だ。
E:残念ね。愛し合っていたのに。こんな結果に。
N:まったく、ひどいね。
E:彼はカツラまでつけたのよ。
N:うへ〜〜〜。彼は足首を痛めた。
E:でしょうね。ひとつ間違えば大怪我よ。
N:始まるぞ!
C:楽しそうだな。
E:そりゃそうよ。箱を投げてもいいんだもの。
C:僕に当たらなきゃね。
E:当たったの?
C:いや、全然。
N:踊っているショーンが僕にぶつかったことはある。(←NYで見ました:マーガレット)
E:本当?
N&C:うえ〜〜い!
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16. Suburbia
E:トイレで泣くシーンの終わり。
N:第4部に入る。
E:テーマは”ラテン”?
N:いや。”祝福”だ。
E:このビデオのアイデアは、ブリット・アワードから来ている。「オールウェイズ・オン・マイ・マインド」で、ニールとクリスがエスカレーターに乗っているの。
N:そうだったね。スタッフは準備中だね。
E:ここで出てくるのは双子(ソフィーとポリー)よ。ショーンとシャーロットはひとまず置いておいて。四角い頭をしたロボットが仕事へと向かう。エスカレーターに乗って。カフカ風で、「1984年」っぽいわね。
N:役人たち…カフカは偉大だ。
E:たしかにね。
N:ここから開放的な感じになる。
E:これはブリット・アワードの時と同じスーツよ。60人が着たやつ。ロンドンではエスカレーターの撮影が難しいの。これは、カナリー・ワーフで撮影した。人が乗っていない時を選んでね。
N:アニメーションかと思った。
E:クリス、ジャケットに飽きて、脱いだの?
C:このライヴの時だけだよ。
E:ここで二人が顔を見せる。
C:このドレスは彼女たちが選んだんだ。自分たちで買ってきた。
N:TOPSHOPでね。
C:マジ!?
N:1着50ポンドだ。
C:似合ってる。
E:ジェフリーは許可したの?ここよ。(2人が箱を取る)まさか。
N:双子だ。
E:双子だとわかるまでに何分かかってる?
N:1時間4分だ。この髪型!
E:恋人たちはけんか別れ。双子たちは箱から開放された。
N:そういうことだ。
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17. What have I done to deserve this?
N:ヘッドフォンを外す時があるよね。
C:曲によっては外す。
E:同じドレスが3着。
C:ショーンは着ないの?
E:(笑)4着目がなかったの。
N: (笑)ショーンはこういうのは着ない。
C:振り付けがいいね。
E:後ろに見えるピクセルは…。
N:ダスティ。
E:ピクセル化したダスティの顔よ。
C:確かに彼女だ。
E:わかるでしょ。鼻でわかるわ。オリジナル・ビデオの映像よ。
N:ブリクストン・アカデミーで撮った。
E:別のライヴのスタッフに会ったんだけど、このツアーを羨ましがっていたわよ。普通は重いセットを運ばなきゃならないのに、このツアーでは段ボール箱を運ぶだけ。背中も痛くならないし。
N:ローテクとハイテクのミックスだよね。アンディ・ウォホール調だ。
E:フランシス・バーナーの目に似せたの。「クローサー・トゥ・ヘヴン」の時のね。ウォーホール調に。パンツのうえにブーツをはいているのね、ニール。なぜこうなったの?
N:パンツを換える時間がなかった。だから同じパンツとブーツで通した。
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18. All over the world
N:途中、休憩を入れる代わりにクリスに演奏してもらった。だから着替えの時間はあったんだ。でもパンツと靴の両方は無理。
E:早替わりね。
N:そう。
E:すごい。
N:2分で着替えた。
E:2秒に思えた。
N:曲が終わる前に舞台裏に引っ込むんだ。
E:カラー・ブロックを表現しているのね。昼から夜になっていく。後ろに映っている建物は、世界中の公営住宅よ。
N:そうなの。知らなかった。
E:彼らはルービック・キューブのブロックなの。ショーンとシャルロットはお互いを無視している。
N:まだ役の中に(笑)?
E:良く見ればわかるわ。完全にお互いを無視している。
N:仲直りしていないなんて、残念だね。
C:ハッピーエンドじゃないの?
E:その辺はあいまいなの。
C: シャルロットの表情がいい。
N:彼らは常に全力を注いでいるね。
E:ジェフリーがストライプのゴムを縫い付けてくれた。モスクワでは安全ピンでとめてた。
N:細かい情報だね。
E:大事なことよ。ピンがはずれたら大変だもの。
N:確かに。
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19. Se a vida /Discoteca/Domino dancing/Viva la vida
C:ヌフフフ。
N:古いミュージカル風だ。
E:ニールも一緒に踊っているのね。
N:僕も振り付けされた。精いっぱいやっている。これが限界だ。ステップも踏んでる。
C:わっはっはっはっ。
N:ここが見せ場だ。
E:マドンナ・ウォークに匹敵するわね。
N:ここの振り付けを忘れた。
C:ダンスを?
N:左右に動くはずだった。
E:ここでは傍観者ね。
N:このあと加わる。
C:うへへ。
E:スーツじゃ暑いでしょ。
N:ずっと暑かったよ。汗をダラダラかいたけど、映っていない。ここがいい。
E:ここから先は、切れ目なしに踊る。
N:クリスのドラム・ソロだ。
E:ここから先は、スチュアートがいろんな曲をミックスしている?全部で何曲入っている?
N:「ディスコティカ」をつなぎに使った。ここはラテンっぽい。
C:(バク転)僕にはできない。
N:凄いね。見ろよ。
E:次のシーンには裏話があるのよね。
N:裏話?
E:サンクトペテルブルグよ。
N:最初の公演だね。
E:そう、最初の公演の初日だったわ。最終リハーサルの後に、私の弟の友達と出掛けたでしょ。
N:弟の友達だったのか。
E:彼はカメラマンなのよ。
N:歌詞に聖ペテロが出てくる。聖ペテロの街(サンクトペテルブルグ)にぴったり。ピョートル大帝の像が映っている。
E:王冠の出来がよくなかったから、2つくっつけたの。
C:雨が降っている?
E:ええ、傘を差しっぱなしだった。
N:雨のせいで。
E:傘は予定外だったけど、雨が降っていたから使ったのよ。見物人が後をついてきたわ。二重の王冠よ。最後はエルミタージュ?
N:エルミタージュの裏だ。グラスゴーの方が(観客の歌が)うまいな。
E:お客さんにはすぐに理解できないわ。何が求められているかをね。あなたの歌に酔いしれているのよ。なぜこの曲を歌うことに?
N:コールドプレイのこの歌が大好きなんだ。彼らがこういう曲を出すなんて驚いた。ヒットしたからリミックスできなかったんだ。観客が参加するのにぴったりの曲だと思った。
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20. It's a sin
N:箱が落ちてくる。後ろにいたから怖かったよ。王冠を脱いでいる間に落ちて来た。
E:最初これを見た時は全部が崩れたと思ったわ。
N:ワクワクする。そして上に。
E:ナイロン製の釣り糸が付いてるの。後ろから叩いただけで、落ちてはいない。このシルバーの衣装は一晩で作ったのよ。
N:大騒ぎだったよね。
E:ええ、ブリット・アワードの時もそうだったわ。
N:そう、同じだ。
E:結局素材はライクラにしたの。80年代のエアロビクスの衣装みたいにしたかったから。
N:白い上着の男たちが、後ろで作業しているね。裂け目を直しているんだ。
E:裂け目があったら上がれないものね。パンズ・ピープルを意識した振り付けよ。「トップ・オブ・ザ・ポップス」のね。母があの番組を見るのを許してくれたのは、パックス・フィズとかノーランズとか、出演者の衣装がおそろいの時だけ。
N:パンズ・ピープルは?
E:おそろいの衣装だったわ。おそろいでなきゃだめなの。ブリット・アワードの時と同じ振り付けもある。
N:うん。
E:ダンテ風ね。
N:リンゴだ。リンゴが登場するのは2回目だ。
E:1回目は?
N:「パフォーマンス」。最初の曲でリンゴをかじった。
E:そうだったわね。
N:アメリカでは観客にリンゴを投げられなかった。
E:そう、安全上の問題でね。もらった人は記念に保存するのかしら。
N:この時のカメラは2班に分かれていた。DVD用のカメラマンに、会場のスクリーン用のカメラマンたち。カメラだらけだった。
E:ピットにいたんでしょ?
N:見えるだろ?彼は会場のカメラマンだ。
E:白いジャケットね。
N:怪しいラテン語だ。
E:ストロボは注意が必要よ。
N:注意した。キラキラを降らせる。
C:できない会場もあった。
E:爆発を心配したのよ。
N:掃除が大変だからさ。
E:超過料金を取られるわ。
N:無理ないよ。散らかるもんね。
E:使った段ボール箱は500個くらいだったかしら?
N:450個じゃなかった?
C:笑える。
N:キーノだ。紙吹雪を吹き飛ばしている。
E:お金を貰おうとしているみたい。
N:吹き飛ばした理由は、ダンサーが滑らないようにするためだ。ステージにこのキラキラがあると滑る。観客に照明が当たっているね。
E:サンタの帽子ね。
N:「It doesn’t often snow at Christmas」を歌えと。いい感じだ。
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21. Being boring
N:羽根付きの帽子だ。
E:どこで買ったの?
C:ドーバー・ストリート・マーケット(注:コム・デ・ギャルソンがロンドンのメイフェアに新しくオープンしたコンセプト・ショップ)だ。
N:作ったのは誰?
C:それは…。
N:マイケルだ。ナイトクラブを経営していた彼だよ。ビデオに出て来ただろ?フランツ・フェルディナンドみたい。低い声で歌っている。ダブル・トラックに合わせている。
E:パーティの翌日っていう感じの暗い照明ね。
N:二日酔いしているみたい。
E:そうね。灰色のロンドン。起きたら灰色の夜明けだった。
N:まだ風船が見える。クリスの帽子が最高
E:段ボール箱は見栄えが悪いから、物哀しい感じがする。
C:新しい箱なんじゃ?
E:新しくてもすぐに汚れて安っぽく見えるの。
C:箱は今、倉庫に?
E:コンテナの中かも。出番待ちよ。箱だと会場に合わせてサイズを調整できる。小さい会場は、セットを組むのが大変なの。どこでも同じようなライヴをやれた。
N:そうだね。ハンブルグの会場は天井が低くて、一番苦労した。不可能に近かった。
E:箱の数を減らしたわね。
N:ライヴをやるに当たって、最初に考えたことは、各地の会場の大きさだった。ミルウォーキーでは小さな劇場、O2みたいな大きな会場でもやったし、フェスでもやったから、順応性が必要だった。
E:フェスの時は、風が不安材料だった。
N:結局大丈夫だったけど、心配したよ。ラッキーだった。
E:問題なし?
N:ファンダメンタル・ツアーでは強風が吹いた。
E:素敵なレインコートね。
N:ニコル・ファーリだ。ジェフリーがチャリティーの店で買ったんだ。
E:オックスファムでしょ。
N:50ポンドで。
E:かっこいいわ。
N:帽子と合っている。この日は「マイ・ガール」を歌った。このDVDのためのボーナス・トラックだ。ライヴもそろそろ終わり。
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22. West End girls
N:これはシェップ・ペティボーンがリミックスした。
E:ブリット・アワードの時の振り付けを参考にしている。ジャズ・バンドね。
N:ジャズ・バンドは最高。
E:ロボットとブロードウェイのコラボ。リンはミュージカルも手掛けて来たからね。
N:「クローサー・トゥ・ヘヴン」だね。いいね。
E:ブロードウェイから興業性を取り去った感じ。リンは今、ブロードウェイの仕事をしているけど。
N:実はこの時、イヤホンが片方外れている。観客の声が聞けるよ。
E:メダルかブローチをつければよかったわね。そうすればイヤホンが目立たない。
N:たまたまだよ。
E:次はメダルをつけてあげる。
(N:歌って!)
C:いや、歌わないよ。…ここが好き。
E:スーツ姿でジャズ・ハンド。
C:アスターのスーツ?
E:そう。パンツが6ポンド。
C:いいね。
N:ブリッツでスーツが60着必要だった。マネージャーが駆けずりまわって探した。
E:同じスーツが大量に必要だったの。
N:傘のダンス。僕も振り付けされている。あはは。ここで…傘が入らなかった。
C:次が面白い。
N:最高だ。見ろよ!素晴らしい!
C:ここもいい。
E:この日、帽子を作った人が観に来ていたの。自分の帽子を見て、喜んでいたわ。
N:ライヴをやった3週間後に、この映像を見ている。編集もミキシングも、素晴らしい出来だ。短期間だったのに。
E:マネージャーは、帽子(キューブ?) をかぶるのに反対していた。物語上、最後は開放すべきだって。でも、ペット・ショップ・ボーイズに解放は似合わない。
N:理論的には彼が正しいけど、見てて面白い。一回りして、振り出しに戻る。
E:彼らは開放されずに、箱の中で同じ仕事を繰り返し続けけるの。このコンサートで踊れて楽しかったと思うわ。
C:こういう終わり方だっけ?知ってた?
N:先週話し合っただろ?
E:不満?
C:沈黙で終わらせるとかさ。
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