<%group_var="atelier"%> Pet Shop Boys 5 Songs

PSB皮肉屋さん5曲



ニールとクリスが英国人である限り、PSBが皮肉っぽくなるのは、そりゃ当然です。英国人は、いくら「いいね」と思っても、「悪くないね」なんて言い回しをする人種ですから。いいものを「いいね」とダイレクトにしか表現できないアメリカ人とは、そこが違います、コメディでも英国産はほとんど皮肉で笑わせるもんね。
よって、PSBの曲には皮肉やイヂワルが多いです。特に素人時代に作ったと思われる初期の頃の曲は、お金にまつわる皮肉が多いですね。まあ英国は大不況時代だったし、ニール&クリスもお金がなかったんです。さすがに今ではお金にまつわる恨みはほとんど影を潜め、対・気に入らない人に皮肉を言いまくる傾向になって来ています。でもね、気をつけてね、あまり毒舌だと、どんどんキャムプになっていくから。たいていのオネエは毒舌だから。英国人がゲイっぽいのは皮肉屋のせいかも。




♪「Opportunities (Lets make lots of money)」(86)

デビュー2曲目にして、「俺は頭が良い、お前はルックスが良い、おカネをいっぱい儲けよう!」って。ポップ・ソングはある種、キレイ事(愛だの夢だの希望だの)を歌うことが常識だったため、なんて下品ことを言うんだって、かなり叩かれた。結果、ファースト・バージョンでの売り上げは惨憺たるもの(シングルチャート100位圏外)。結果的には「West Eng girls」の世界的ヒット後に出したセカンド・バージョンは売れたものの、人々の拒否反応は正直だった。
実際、ニールは頭が良く、クリスはルックスが良く、お金もいっぱい儲けられたから、この曲はまるで自伝のように語り継がれているが、ニールによれば、これは間抜けなバディ(相棒)が金儲けできないストーリーで、やっぱり皮肉なんですよ。
ところでこの曲の長いバージョンだけに、“愛”についての歌詞が入っている。このバディたちは愛で結ばれていたようで・・・って、やっぱり自伝??

*1986年の
Old Grey Whistle Test でのライブ。ファースト・バージョン。デペッシュ・モードっぽかった。2人ともロッカーっぽいし。 (YouTube)



 
*歌詞(原文/対訳)、ご本人解説、レビューはこちらのページへ。

 




♪「S
hopping」(’87)

「世界的不景気」をポップ・ソングに置き換えたらどんな曲が出来るか?答えはこれ。
80年代後半のイギリスは、サッチャー首相のせい(ニール曰く)で、英国は大不況だった。その政府の民間企業買収の失策を皮肉たっぷりに、「ショッピング♪」という楽しげなタイトルとノリノリな音楽で歌った。これは当時のイギリス人にとっては相当な皮肉だったと思う。
シングルにはなっていなくて、アルバム「Actually」のなかの曲だけど、シングル化されても良いほどポップで楽しくてブラックな曲。

*2006年のFundamentalライブ「Cubism」。1989年にライブでやって以来、2006年のライブでこの選曲とはちょっとびっくりしたけど、PSBのスタイルが20年前と変わっていないことを実感。
(YouTube)




*歌詞(原文/対訳)、ご本人解説、レビューはこちらのページへ。





♪「T
he night I fell in love」(02)

この曲は「切ない曲」に入れてもよかったくらい、切ないグレードが高い曲。でも皮肉。
ラップでゲイをこき下ろしたエミネムを、どうやったら参ったと言わすことができるか・・・、そこから発しているにもかかわらず、心に染みてしまう切ないラブ・バラードが完成。内容は、某ラッパーに声をかけられた少年が、ホテルで熱く甘い一夜を過ごすというゲイ・レイティング・ソングなんだけど、某ラッパーは誰がどう見てもエミ君。エミ君は隠れゲイでしたって設定。しかも彼を腐すのではなく、少年目線で褒める、褒めまくる。ステキだと何度も言う。このあたりにニール&クリスの底知れない静かな怒りが垣間見えるよね。怖いね。みんな、何があってもPSBだけは怒らせちゃいかんよ。
ちなみにその後、エミ君は自分の曲の中でPSBを車で轢き殺しちゃったけど、あまりのストレートな仕返しっぷりに、かえってPSBの皮肉たっぷりなこの曲の怖さが引き立っちゃったね。
これもシングルにして欲しかったなぁ。世界初(多分)、ゲイ・ラブストーリーのPVが見たかった。


*残念ながら、音源はYouTubeにありません。


*歌詞(原文/対訳)、ご本人解説、レビューはこちらのページへ。





♪「Shameless」(93)

Go west」のB面ゆえ、曲調こそ思わず口ずさみたくなるようなアゲアゲですが、内容はドズ黒い。名声のためなら何でもやる人たちを、もちろんその人たちになりきって、嬉々として、欲望を正当化し開き直ったそのポリシーを歌い切ります。つまりはいまに始まったことではないゴシップ・セレブたちへの痛烈な皮肉です。90年代は、アイドルであるボーイズグループ、ガールズグループがあっちこっちで結成されていたころ。でも、所詮グループが“ソロじゃデビューさせてもらえない寄せ集め”であることを、一番よく知っているのはその当人、同じようなルックスのメンバーたちのなかで少しでも目立とうと思えば、スキャンダルを起こすしかないのです、彼ら、彼女らは。ニールは、自分自身はマスコミ嫌いだけど、他人のゴシップは、実は大好きだと思えます。でなきゃ「The Sun」なんて購読しないでしょ。

*NIGHTLIFEライブより。 (YouTube)





*歌詞(原文/対訳)、ご本人解説、レビューはこちらのページへ。




♪「Flamboyant」(
03)

Shameless」と同じく、大したこともしていないのに悪目立ちしまくるゴシップ・セレブについての曲。「Flamboyant」は「光り輝く、目立つ」と言った良い意味もあるけど、ここでのニュアンスは「ケバい、ウザい」と言うような、あまりいい意味ではなさそう。どうやらモデルになっているのはデヴッド&ヴィッキー・ベッカム夫妻のようだけど、元々PSBって、スパイス・ガールズをすごく嫌いだよね、見下しているというか。歌詞の中に、イッセー・ミヤケのファッションが出て来るけど、クリスはイッセー・ファンだったじゃん・・・80年代に来日した時、買いまくったじゃん。こういうところに、ただの見下しではない、なにかこう屈折した愛情すら感じる。実際は、けっこう楽しそうとか、カッコイイ〜とか、うらやましいと思う部分があったりしません?

「欽ちゃんの仮装大賞」にかけるサラリーマンを追ったPV。ホントに仮装大会優勝者だそうです。舞台は大崎だそうです。クリスがロンゲ金髪でニコニコしているので、別人だと思います。(YouTube)





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