1.オポチュニティーズ(オリジナルバージョン)(‘85)
監督・・・アンディ・マラハン、エリック・ワトソン
記念すべき‘85年のデビュー曲。ただし、このイギリスバージョンは全く売れず。ビデオも低予算。ニールが牧師に、クリスは車の整備士(!?本人コメント)に扮し、金の亡者を皮肉っている。良くも悪くも、皮肉屋たちのデビュー。30歳のニールは信じられないくらい細く、25歳のクリスはアイドルのような初々しさ。
2.ウエスト・エンド・ガールズ(’85)
監督・・・アンディ・マラハン、エリック・ワトソン
ほとんどの人がこのPVでPSBに出会ったと思う。前髪がウざったい(本人談)のニールは、当時からどうみてもゲイっぽかった。当時の流れだったロマンティックの流れを汲みながら、忘れられない音、歌詞の内容の暗さ・難解さに、ちょっと他とは違う・・・とみんな感じていたはず。ひたすらクールに歌うニールと、気まずそうに横にいるクリスという対比の妙は、すでに“アートデザイン”として確立、その後の全ての“2人組”に大きな影響を与えた。まだ顔をあまり知られてないので、2人がロンドンを歩き回っています。リバプール・ストリート駅で、ニールに遅れたクリスがスキップする姿がとてもかわいらしい。とにかく若い、クールで衝撃的。
半透明のクリス
3.ラブ・カムズ・クイックリー(‘85)
監督・・・エリック・ワトソン
二人とも若い。ニールは年をとるごとに素敵になっているので、若さ=美とは思えないけど、ことクリスに関しては若さがあまり変らない(その割には衣装で激変する)。空中ブランコ用の格子状ネットのうえで、爆睡するクリスですが、「高所恐怖症じゃなかったけど、ニールに合わせて高所恐怖症になった」と言っている。なにそれ。また、珍しく目で演技をしていて、コメントでも「セクシー」って連発されていますが・・・聞き手のクリス・ヒースさんもゲイなんですかね?この曲は、今でも2人の大のお気に入りということです。
4.オポチュニティーズ(セカンドバージョン)(’86)
監督・・・ズビック・ブレゼンスキー
オリジナルバージョンとは打って変わり、当時の最先端技術を使った高予算ビデオ。今度はニールがマジシャン・詐欺師、クリスがロッカーのような労働者に扮している。あきらかに違う2人のキャラは、このあたりですでに確立されていたのでは。無精ヒゲで汚いクリスのブスくれガン飛ばし・・・最高!(どうでもいい話ですが、ゲイ・フェイバリットって、“こ綺麗”か“こ汚い”か、どっちか極端なんですよね)。
クリスのメンチ切りはこのあたりから始まった
5.サバービア(‘86)
監督・・・エリック・ワトソン
ロスとロンドンで撮影。ロスの場面は屋外で二人ともカジュアル(ニールのカウボーイはセクシー)、ロンドンは室内で二人ともスーツ。まだクリスの髪が長めなので、カメレオンのように別人のようです。コメントに「ジョージ&ギルバート風」とあるけど、PSBはポップミュージック界のJ&Gだと、本人たちも思っているんだろうなあ・・・。ちなみに二人とも犬好き。
カウボーイハットだけはニールの専売特許
6.パニナロが全て(’87)
監督・・・ニール・テナント、クリス・ロウ
唯一のPSB2人自身の監督作品。ミラノで少年たちに囲まれて楽しく(想像)撮影していますね。当時はポップで最先端だけど、今見るとちょっと古いな〜〜ダンス&ディスコの80年代だな〜。パニナロといえばクリス。クリスがボーカルして、踊ってます。「“セックス”と言うときに眉毛がぴょこんと上がる」と指摘されている。後半の方は、クリスの素のつぶやきのように思える。パーソナルな感のある「パニナロ’95」とはイメージがかなり違う。
7.哀しみの天使(‘87)
監督・・・デレク・ジャーマン
難解なアート映画で知られるデレク・ジャーマンの「カラバッチオ」のイメージで撮られたPV。当時もかなり話題になっていた。リビングデッドドールでもおなじみカトリック「7つの大罪」をモチーフに、ニールがなにかの刑(明らかにゲイ的ニュアンス)で火あぶりの刑に処せられる、ゴージャスかつダークな内容。ニールを引っ立てる看守に扮したクリスのコスプレがそそる(←こればっかり)。ライブではニールは悪魔的司祭に、クリスは修道士と、コスプレを変えて出てくることが多い。
8.とどかぬ想い(’87)
監督・・・エリック・ワトソン
クリスがフューチャーされた貴重な1本。クリスのドアップからはじまる。もう2度と見られないであろう、クリスの美しいタキシード姿!本人は「最低」というが、同じ格好で映っているアルバム「アクチュアリイ」のジャケ写真は「自分で選んだんじゃん」って言われているし、突然のダンスも「恥ずかしい」というが、「やりたいって言ったじゃん」って言われているし・・・なんだ、クリス、自分の責任だよ。しかも、へんじゃないから!自信を持て!シャイボーイ。
見事なメンチっぷり
9.レント(‘87)
監督・・・デレク・ジャーマン
「私のレント(家賃)を払ってくれるあなたを愛している」という、お金で繋がっている関係の二人(愛人関係?)の内容で、PVも女性が主人公に。レント=男娼という意味もあり、いろいろ邪推された。PVにも男娼は出てくる。ニールは彼女の運転手、クリスは、コメンタリーでは彼女の弟(以前のビデオのライナーでは「恋人」役と書いてあるが、ちょっと年齢が離れすぎ)。撮影日が変ったのを教えてもらえず、クリスが駅で2時間待たされて帰っちゃったらしい。それにしてはいい笑顔とキスだ!
10.オールウェイズ・オン・マイ・マインド(’87)
監督・・・ジャック・ボンド
PSBの主演映画「夢色の幻想」(というかちょっと芝居がかったプロモーションビデオというか)の、ダイジェストPV。曲はエルビス・プレスリーの没後10周年でカバーされたもの。一応映画なので、2人が演技している姿もあるが、クリスは「ミュージシャンが演技するのは間違っている」と断言しつつも、かなり笑っている。そのクリス、ここではジュード・ロウにかなり似たイケメンっぷり、しかも声も渋くてしびれるので、俳優としても十分やっていけると思うけどな(やらなくていいですけど)。
クリスのドラアグ(女装)!美しい占い師。
11ハート(‘88)
監督・・・ジャック・ボンド
コメンタリーでは「ガンダルフ」と呼ばれているサー・イアン・マッケラン(英国ゲイ組合の俳優代表)を吸血鬼役に迎え、クリス扮する運転手によって屋敷に花嫁を連れてきた花婿ニール。花嫁(ニールよりでっかいニューハーフ顔のモデルさん)と、にやにや見つめあうシーンで一堂大爆笑。最終的に花嫁はガンダルフに取られてしまうのですが、あ〜ああ、ゲイが2人してなに女を取り合ってるんだあって感じ。吸血鬼のしもべ=クリスも笑っていますが、コスプレがあまりに美しく似合ってて、ドキドキします。クリスにはコスプレをもっとやって欲しい。
魅惑の運転手コスプレ!
12.ドミノ・ダンシング(’88)
監督・・・エリック・ワトソン
クリスが中米での休暇中に友人(つうか、恋人のピ−ター・・・クリスはいつも彼のことを「友人」と呼ぶ)と夢中になったドミノゲームから発想してできた歌。PVもプエルトリコでとられている。1人の女の子をめぐる、少年2人の若い苦い話だけど、どういうわけか、このPVはゲイの間で話題になって、今ではゲイ・フェイバリットらしい。ラストの喧嘩がラブシーン風に見えるのかな?まあ、PSBってゲイっぽいよね〜なんていわれていた時期ですから。もう、どうでもいいって。
13.レフト・トウ・マイ・オウン・デバイセズ(‘88)
監督・・・エリック・ワトソン
壮大なオーケストラがかかり、ささやき系のニールの声が響くこの歌は、ニールの自伝的ソングで、名曲のひとつ。PVは、ストーリーはなく2人がひたすら下からのカメラで撮られ、ニールはいつものようにクールに歌い、クリスはイジワルな尻ビューでクルクルッと踊らされている。プラス、マッチョなタイツの体操選手。コメンタリーではクリスは後半ズーッと爆笑しております・・・ニールのラストのダンスが面白いんだって。「ジョージ&ギルバートのように芸術的なポーズで終わる。
14.イッツ・オール・ライト(’89)
監督・・・エリック・ワトソン
たくさんの赤ちゃんに囲まれたPV。ちなみに2人の顔が映っていない場面は代役で、2人はランチに行ってしまったそうだ。ニールの髪がクリクリに戻っている。クリスがユアン・マクレガーばりのイケメン、そして、パパのような顔つきになっている。泣いている赤ちゃんに対するニールの嘆きが、あ〜、この人は本当にやさしい人なんだなあ・・・と、感心してしまう場面も・・・。
ユアン・マクレガーに似ている。パパっぽい
15.SO HARD(‘90)
監督・・・エリック・ワトソン
個人的に私のベスト3に入るこの曲。内容も曲もハード、そしてメロウ。相変わらずクリスのメンチ切りが効いていて、いいですね〜ちょっと表情がやわらかくなっているし。浮気ばかりする恋人(そして自分も浮気をする)ゲイカップルの実話を基に書かれた歌ですが、さすがにまだそれをそのまま映像化できる時代ではなく、2組の男女の話になっています。個人的にはこの時代のクリス&ニールが一番(見た目の)バランスが良くて、並んでいるとアートのように見えます。
アートな2人はポップアイコン。
16.ビーイング・ボアリング(’90)
監督・・・ブルース・ウェーバー
「僕はイングランドの北の果て、ニューカッスルから来た。そこには、だれもがドレスアップしたパーティーがあった。あるパーティーの招待状に“彼女は退屈な人ではなかった、なぜなら、彼女は退屈しなかったから”と書いてあった。この歌は、若かった時代と、成長についての歌」とのニールのことばの走り書きから始まる。ニールが親友の死を経て、思い出とともに生きて行くことを歌った、とてもノスタルジックな歌。PVも大変な支持を得ている。美男美女がパーティーして「とても楽しい撮影だった」。2人はちらっとしかでてこないけど。
美男美女にまざりた〜い
17.シリアスリー(’91)
監督・・・リアム・カーン
曲の内容と同じく、ポップスターとそのスキャンダラスな行動、マスコミなどの批判や自分たちに対しての皮肉も込めた内容。ニールがエルビスみたいなロカビリーになったりジョージ・マイケルのような革ジャンを着たり、いろいろなポップスターに扮している。クリスはキーボード弾いたり、ダンスを披露。
18.ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノーネーム(君の瞳に恋してる)(‘91)
監督・・・リアム・カーン
U2とディスコという、ハードとソフトの奇跡のメドレーなのですが、PVはどちらかというとバカっぽく撮っている。ニールが踊り子さんにキスされたり、無理やりっぽく踊らされたり・・・それにしても、ニールの8頭身のスタイルの良さは完璧(今はちょっとガタイがよくなっていますが・・・)。さらっとサングラスを外すクリスもいいけど。ここは四の五の言わず、一緒に踊るしかありません。コメンタリーでは、U2には悪かったね〜などと今さら言っています。
19.ジェラシー(’91)
監督・・・エリック・ワトソン
問題作。レストランで起こる浮気カップルエロシーンと暴力シーンで、TVでは放送規制があったようだ(今見ると別にどうってことないのに)。クリスが珍しく生ピアノを演奏している姿が拝める。でも、ファンにとって問題なのは、ピーターがちょい役で出演していること。ジェラシー。多分、冒頭でイスに座っている、白い服のおにいちゃんだろう。勝手にしてよ、もう。ちなみに、ニールは歯を矯正したそうです。
20.DJカルチャー(‘91)
監督・・・エリック・ワトソン
なかなか面白いコスプレが見られるPV。湾岸戦争が世界中で衛星放送で配信されたことに発想を得、戦場、法廷、サッカー、フィットネスなど、いろいろな場面を皮肉った映像がいろいろ流れてきて面白い。まあ、相変わらずクリスは無表情ですが・・・アーセナルの応援を除いては。
オスカー・ワイルド(を演じたスティーブン・フライ)のコスプレするニールと裁判長クリス
21.ワズ・イット・ワース・イット(’92)
監督・・・エリック・ワトソン
デレク・ジャーマンのチャリティー・ライブの映像から始まる。信じられないことに、デビューから4年ほど、PSBはライブをやらない珍しいユニットだったので(まあ音作りが生音ではなかったからと思われる)、この映像は、一般的に始めて見せたライブ映像だったかも。そのライブ映像に、それっぽい美男美女ダンサーたちを配したもの。踊りまくるパーティーアニマルたちを尻目に、ぴくりともともしないクリスです。
パーティキッズもおしゃれでみもの。
22.キャン・ユー・フォー・ギブ・ハー(’93)
監督・・・ハワード・グリーンハルフ
実はこの曲とアルバム(「ベリー」)を出す前、PSBはキャリアの集大成であるPV全集「ビデオグラフィー」を出して、新しいレーベルを立ち上げてプロデュースをはじめたり、別行動も目立ち、ファンの間では、これで解散するのでは・・・という不穏な噂があった。でも、新しいアルバムは出たし、ツアーやライブもやるようになったし、もちろん今でも以前と変わらず活動している。これはそんな空気を破った第1弾。
内容も曲調もハードなので、PVはコミカルな作り。これまでのクールな2人だったら、こんなへんなコスプレはやらなかったろうに・・・面白いけど。
コスプレ!股間をおさえてるクリス・・・仮面ってやっぱりいいな〜〜。
23.ゴー・ウエスト(’93)
監督・・・ハワード・グリーンハルフ
この歌の企画&意味自体は重いが(「ゲイのパラダイスの西海岸に行く」が、そのパラダイスのエイズなどで失墜の時代性)、もうひとつの意味である「東欧・社会主義」が「西欧化」する時代性もある。PVでは後者が採用され、マッチョな男たちがCGとモスクワで行進するビデオになった。たくさんいるクリス・・・1人くらい下さい。2人のコスプレといい、なんともポップでお気楽だが、当時クリスの恋人が闘病中だと思うと辛い。CGとインストルメンタルだけのPV(バージョン2)もあり。なお、アルバムにはこの曲の後、彼に宛てたと思われる短いマジ・ラブソングが収録されている。
90年代半ばはゲイ・ピープルの受難期。また、股間をぎゅっ。
24.いつもこんな僕じゃない(‘93)
監督・・・ハワード・グリーンハルフ
ひき続き面白PSB。曲の「恋したから、イエ〜イ!」感が伝わってくるようなはっちゃけっぷりで、二人とも有り得ないくらい踊っている。ただ、現在のコメントでは二人とも「やめてくれ〜〜!恥ずかしい〜!」状態です。スタイリッシュなニールがピンクを着るなんて、ありえないでしょ(まあ、心は乙女だけど、外見をいじるのをやっちゃったらもうヤバイって、自分を知っていますから)。でも、ファンはこういうのが大好きなので。いつもと違う彼らが楽しい。
激烈ダンス!
25.リベレイション(’94)
監督・・・ハワード・グリーンハルフ
珍しく(?)幸せな恋愛の真っ只中にあるような愛にあふれた曲。PVはほとんどCGなので、生ニール&クリスは登場しないので、ファンにはちと物足りないけど、これはこれで曲に合っていると思う。そのときそのときの最先端を使ったり、逆に期待を裏切ったりするのが彼らの特色でもある。
26.イエスタディ・ホエン・アイ・ワズ・マッド(’94)
監督・・・ハワード・グリーンハルフ
ニール壊れる。白塗りでホラーチックなメイクのニールは「ロッキー・ホラー・ショー」か、はたまた「キングダム」か。不気味な病院に拘束されて拷問まがいのしうちを受けるという状態は、まさに、ニールがふだんツアーなんかで訳の分からない批評を聞かされたりすることらしい。彼らは意外に批評にセンシティブだ(もしかしたら、こんなにメジャーなのにもかかわらず、意外に閉じているのかも)。クリスはランプになったり、CGキャラとして登場。
全部ニール。ホラーとコメディの融合です
27.パニナロ‘95(’95)
監督・・・ハワード・グリーンハルフ
クリスの感情が静かに大爆発!前年、ピーターをエイズで失い、その後のディスカバリー・ツアーで初披露されたバージョンを、マッチョダンサー従えて「‘95」としてシングルカット、PV製作。泣けてくるような惜別のラップを踏んでいる。半裸で絡むマッチョ映像に、ニールはのんきに「ゲイのエロだね〜」とか言っていますが、クリスはほぼノーコメント。超クールな仕上がりだけに、泣けてきますってば。
マッチョ、マッチョ・・・。クリスは鉄壁の無表情
28.ビフォー(‘96)
監督・・・ハワード・グリーンハルフ
画像が一枚一枚の絵画のように芸術的。曲も女性コーラスが入り、ニールもほとんどファルセット。ちょっといつもとは違う感じ。この曲も、終わった幸せな日々を思い出すというセンチメンタルな感じ。
29.セ・ア・ヴィダ・エ〜幸せの合言葉(’96)
監督・・・ブルース・ウェーバー
比較的歌詞には”ハッピーな感じ“意外には重要ではないノリのいいラテン・ソング。「ビーイング・ボアリング」と同じ監督ウェーヴァー作品には、とにかく美男美女が出演している。ニールとクリスもこの楽しい撮影には、飛び入りで参加したような感じでプールではしゃいだり(それにしても肌の露出はNGらしい)、プリクラ撮ったり・・・。ハッピーでいいなあ。
クリスは若いコたちと、きゃっきゃっ(クリスもニールも、プールの中でも絶対に着衣!)
30.シングル(‘96)
監督・・・ハワード・グリーンハルフ
エアポート・ミュージカル。ニールがビジネスマンに扮し、世界中を飛び回る。撮影地はロンドンのスタンテッド空港。ブルーに煙った色調がクールで、なんだか近未来的。クリスは空港警備員。ちょっとセクシーすぎるけど。ラスト、大掛かりな戦闘機がやってくるシーンは圧巻。PSBでは比較的コミカルなジャンル。
ビジネスマンと、そそる警備員コスプレ
31.お祝いの日(‘97)
監督・・・ハワード・グリーンハルフ
どこにでも行列を作る人々を笑うようなPV。どの行列にも必ずニールとクリスがいる行列なら、並んでみたい。ニールの瞳がいつもよりブルー。クリスはお気に入りのロシア帽をかぶっている。この曲はハッピーで希望的でキュートで好きな歌。やっぱり、ニールの「他人と違っても心配しなくていいんだよ」というメッセージがココロに染みる。ラストはブラックジョーク。
ニールの瞳は何より美しい
32.サムウェア(’97)
監督・・・アニー・グリフィン
97年の、伝統あるロンドンの劇場サボイシアターで行われたライブ「サムウェア」の内容を取り入れたもの。リハーサルで仕切るニールと、楽屋でグダグダするクリスの素の対比が面白い。ラスト、ものすごい愛しげな顔(?)でニールを見るクリスには一堂大爆笑!なんなんでしょうかね、あれ。
33.アイ・ドント・ノー・ホワット・ユー・ウォント(バット・アイ・キャント・ギヴ・イット・エニイモア)(‘99)
監督・・・ペドロ・ロンハニル
歌詞の内容は本当に辛いもので(ニールが実際に恋人とのケンカの最中に作ったものだという)、胸が痛くなる名曲だけど、PVはSF映画や未来的な感じ。これまで違う個性がキモだった2人が、人体実験のような感じで、若くそっくりな人間に変わってしまう。パンクなウィッグ、海苔眉毛、はかまのようなスカート、長いコート、それに犬を連れて颯爽と歩き出す2人、そっくりな子供たちが加わる・・・。う〜〜ん、なんの暗示でしょう・・・共犯者的連帯にも見える。クールで面白いけど。
このジャケ大好き!何をやってもスタイリッシュ
34.ニューヨーク・シティ・ボーイ(‘99)
監督・・・ハワード・グリーンハルフ
前作で若く生まれ変わった2人がNYに登場(でも合成)。まだ世界貿易センターのツインタワーが見えるニューヨークを、田舎にいる少年が歩きまわるPV。後半は伝説のゲイディスコ「54」の様子を再現した超エキサイティングな内容。ああ、昔のディスコって、こんなに楽しかったんだよな。ちょびっとですが、クリスも踊っていて「打ち上げみたい」とポツリ。
35.ユー・オンリー・テル・ミー・ユー・ラヴ・ミー・ホエン・ユー・アー・ドランク(’00)
監督・・・ペドロ・ロンハニル
内容は、どうしようもなく演歌で、ニールのダメンズっぷりをカミングアウトする内容だが、PVは美しい白黒映像。ここでもやっぱりニールとクリスはいっぱい存在する。カタルシスを感じさせるような終わり方。私は、この曲聞いて泣きながら眠りにつくのが癖になってしまいました。
36.ホーム・アンド・ドライ(‘02)
監督・・・ウォルフガング・ティルマンス
PVが出るなり「出たッ!」という、当時から”逆に“話題になっていた、ネズミが地下鉄を這い回るだけも映像・・・まあ、調教されたネズミを使い、営業時間の合間に撮影するなど、苦労はあったようです。すこしだけライブ映像が使われている、ニールいわく「ポップ音楽に合う、アート作品」。この頃から、ニールは好んでギターを弾くようになり、ずいぶんと彼らは「ホーム」、「アコースティック」、落ち着いた感じになってきました。
37.アイ・ゲット・アロング/Eメール(’02)
監督・・・ブルース・ウェーバー
ブレア首相がピーター・マンデルソン(イケメン・カムアウト・ゲイ)を疑惑でクビにしたことを題材に、恋人に去られた男の気持ちに託して歌ったこの曲。当然クリスはブレア嫌いでマンデルソン支持派だと思われる。PVではおじさんのPSBがニューヨークの若い学生と一緒にワークショップをするという、夢の企画。二人ともはしゃいでおります。「Eメール」のPVが後半に付属。911テロ後のNYに対する、監督のラブコールという。
ニヤニヤ。オヤジでも何でもいい、あなたがいれば・・・。
38.ロンドン(‘02)
監督・・・マーティン・パール
ロンドンにやってきた2人のロシア人が主人公。彼らは曲の内容どおり、職を探したり、街を徘徊する。PSBの2人は、ストリートミュージシャンに扮し、地下鉄構内や路上でライブをやっている(撮影に出くわした人は最高にラッキー!知らずに投げ銭するおっさんも・・・)。20年後「ウエスト・エンド・ガールズ」と同じことをやってみたようだ。
ラスト「見てくれてありがとう。」と入っているところが優しいニールらしい。
こんな場面に出くわしたい
不思議なことに、クリスはどんどん若返っている!
*
?番外?
アブソリュテリィ・ファビュラス(‘94)
’94年のこのシングルは、なぜか「POPART」に未収録。なぜ別扱い?(「VARIOS」収録)
「アブソリュテリィ・ファビュラス」は、イギリスのファッション業界を描いたTVドラマで、それをフューチャーしたと思われる。おそらくその登場人物たち(ほとんどオバサマ)が、淡々と歌い・キーボードを弾くニール&クリスのところに乱入して、邪魔をする映像。クリスが大事な帽子を取られちゃったり・・・。ところで、「ファ〜ビュラ〜ス」って、よくオカマさんが使う言葉よね。
「POPART」以降
ミラクルズ(‘04)
水をテーマにしたイメージビデオ。ちょっとエニグマのPVっぽい。2人はあまり登場しないが。クリスが急に長髪に!
フラボヤント(‘04)
イギリス人には「欽ちゃんの仮装大賞」がアートに見えるのかもしれない、大フィーチャー。私にはこの番組は胡散臭いのだが・・・しかし、“日本を誤解して、どっかのアジアと混合”の怪しさも全開。ニールとクリスはTVの世界のCMキャラクターとしてたびたび登場。コミカルな感じ。
アイム・ウィズ・スチューピッド(‘06)
アルバム「Fundamental」からのシングル。「リトルブリテン」のデビッド・ウァリアムズとマット・ルーカスが2人に扮し、「キャン・ユー・フォーギヴ・ハー?」「ゴー・ウエスト」のコスプレをする。この学芸会っぽい舞台を拉致されて見せられているニールとクリス。最後、クリスに扮したマットが「アイム・クリス・ロウ」、デビッドが「アイム・ジ・アザー・ワン」(もう片方)、というのは皮肉に他ならないだろう。
ミニマル(‘06)
久々に“カッコイイ“PV。歌うニール、キーボードを弾くクリス、踊る男女、モノトーン。途中、ニールにCGの花が舞うのが乙女チックでいい。
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