ACTUALLY1-9

Heart

heart


ニール:マドンナのために書いたけど、結局彼女にはあげなかった

(一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください


君に会うときはいつも、僕に何かが起きる
君と僕にある、連鎖反応みたいなものが

僕のハートは鼓動が乱れ始めるんだ
僕のハートは鼓動が乱れ始めるんだ
いつも
ああ、いつも

もし僕が君を愛してないなら
他の誰かに現を抜かすだろう
でも君に会うたび
同じことが起きる

僕のハートは鼓動が乱れ始めるんだ
僕のハートは鼓動が乱れ始めるんだ
いつも
ああ、いつも

僕の横で君のハートの音を聞くといつも
僕は君に恋してしまう
僕の言っている意味は
君に恋しているってことさ
君は知らないだろうけど
君と一緒にいるだけでいいってことなんだ

君に会うときはいつも
例外なく
おかしなことが起きる
君も感じているだろ?

僕のハートは鼓動が乱れ始めるんだ
僕のハートは鼓動が乱れ始めるんだ
いつも
ああ、いつも
ああ、ああ

僕の横で君のハートの音を聞くといつも
僕は君に恋してしまう
僕の言っている意味は
君に恋しているってことさ
君は知らないだろうけど
君と一緒にいるだけでいいってことなんだ

ああ、いつも
ああ、いつも


Written by Neil Tennant/Chris Lowe

Produce by Andy Richards and Pet Shop Boys


ニール:この曲はタイトルを考えるより先にクリスが書いたんだよね。

クリス:そうそう、ファーストアルバムを作っている時だった。ピアノが奏でるディスコ・ミュージックって言うところかな。

ニール:このアルバムの中では一番ハッピーな感じのサウンドじゃないかな。マドンナが歌ってもおかしくないような曲だと思う。それから、日本盤にのみこの曲のダブ・ミックス・バージョンを収めたボーナス・シングル(限定7万枚)が付いているんだよ。

クリス:日本だけ、本当に日本だけだからね()

(
以上、1987年レコードライナー本人解説より)

 

 


ニール: これはフィリス・ネルソンの「I Like you」からインスパイアされた。その曲はシェップ・ペティボーンのプロデュースで、最初にシェップと一緒に仕事した理由がこれだ。シェップと一緒に「Heart」を「ACTUALLY」のためにレコーディングするって決めた。その前に、僕らはナラダ・マイケル・ウォルデンに、これと「What have I done to deserve this?」のテープを送って、彼は僕らとの仕事に興味を持っていたけど、歌を聞けないって言ったんだ。シェップと一緒に、僕はデモを作り変えた・・・そのとき、スティーブン・スピルバーグが製作した「インナー・スペース」という映画のためにアルバムをやっていたんだけど・・・そのヴァージョン(CD2-2)がもっともらしくなかったので、使われる事はなかった。で、僕らは、ジュリアン・メンデルソーンと一緒に仕事しているアンディ・リチャーズに、彼が僕らと一緒に仕事してくるかどうか尋ねた。僕たちが彼と一緒にそれをやった時、僕はまだ3番の歌詞しか書いていなかった。で、僕は、ちょっと歌詞を変えようと思った。僕たちが彼と一緒にやった最初のバージョンでは、シンセ・ドラムがあった。結局、次の年、1988年の7インチ・シングルでJ.J.ベルがギターを弾いたけど、僕らはいくつかの理由でそれを取り払い、それからジュリアン・メンデルソーンに、アルバムのためのミックスを頼んだ。彼は、それが複雑過ぎると言ったので、ギターを取り除いて、彼は本当に偶然、トラックから外れてワイプした・・・それがbeat.. Beat.. Heartbeatになった。彼はちょっと戸惑っていた。 これはマドンナにあげたかった歌だったけど、そうしなかった。ステージで、僕らはヘイゼル・ディーンにあげようともした。でも当時の僕らは、この歌がすごく気に入っていて、自分たちにとっておこうと決めていた。僕らが今までに書いたことがないような最高のミドル・ビットのひとつがあると思う。もちろん、歌詞は全くありふれている。歌詞は、キングス・ロードを走っているバスの中で書いた。僕はPLEASEのレコーディングのためにアドヴィジョン・スタジオに行く途中だった。ピーター・ジョーンズを過ぎて、僕は歌い出した。every time I see your something happens to me like a strange reaction/between yogi and me/my heart starts missing a beat...って。それからアドヴィジョンで書き出した・・・クリスは1日の何時間かを即興演奏していて、それはすっごく素晴らしかった。クリスは覚えてないけど、僕は忘れられない。

クリス:僕はモノ忘れに関しては一流なんだ。

ニール: 歌は元々、「Heartbeat」にするつもりだったけど、アルバムが出るすぐ前に、カルチャー・クラブのジョン・モスはHeartbeat UKというグループを始めて、それらがロンドンのそこらじゅうポスターが貼ってあったから、僕たちは、改題すると決めた。その時ブロスがいたのに、この曲のシングル・バージョンがナンバー1になってすごく驚いた。トム・ワトキンスの会社、マシーヴ・マネージマントでは、これがナンバー15くらいは行けると思ったと言っていた。 でも、これはナンバーワンになって、3週間そこにいた。 だから僕は、それがうまくいった理由は、イカれたビデオで、完璧にシンプルなラブソンだからだと思う。僕らはシングル・バージョンの12インチ(CD2-7)をやった。それには7インチも含まれていた。その時、シンセ・ドラムを思い切って使ってみた。

 (
以上、2001年ブックレットより)


 


ニール:僕たちが書いて、マドンナに提供しようかと考えた曲。とてもポップな曲だから。でも思い直した、「どうせ断られるさ」って。だから自分たちでレコーディングした。でも、すごくポップな作品。それが「Art」じゃなく「Pop」の方に収めた理由。歌詞が少し「ミラクルズ」に似ているだろ。「君に会うたび僕に奇跡が起きる 心臓の鼓動が乱れ始めるんだ」とか。トラディッショナルなラヴ・ソングだけど、一筋縄じゃ行かない。面白いことに、人は微妙で複雑なことより、単純明快なことのほうが、歌にするのは簡単だと思い込んでいる。この曲みたいな作品は純粋にインスピレーションの賜物なんだ。うまく形に出来て自然なサウンドに仕上がるとすごくうれしい。思いかけずビッグ・ヒットになって。僕たちもレコード会社もビックリしたよ。この曲はいろいろと取りざたされたけど、先に起きるこのが読めてしまう現代と違って・・・今じゃなんだって予測、予測、毎日が予測で、頭がヘンになるよ・・・当時はまだそこまで行ってなかった。思い出すよ。ニューカッスルの両親宅に滞在したときのことさ。日曜日に、ピクニックでも出かけた帰りに、車の中でチャート番組を聴いていたんだ。トップ10番組。前の週が7位だったから、「6位くらいかな、落ちてれば9位とか」なんて思っていたら、違ってた。「なんてこった。一気に40位圏外か?2週目でトップ10から落ちちゃうなんて!」とショックだった。当時、新曲は“チャートを上昇するもの”だったからね。そしたらラジオの声が言った。「第一位はペット・ショップ・ボーイズの『ハート』です。」仰天したよ。だって、1位になるなんて思いもしなかったから。3週間にわたってトップだったんだけど、あれほど驚いたことはなかったね。

 (以上、2003年「POPART」ブックレットより)


 

プロモーションビデオ(You Tube)




198
8年シングルはUKチャート最高1

ライブビデオ(1989年ツアー)(You Tube)






ニール:再びジャック・ボンド監督。内容が複雑で、彼なら映画にしたがると思ったが、この「ハート」は結局映画にはしなかった。撮影場所はユーゴスラビア。
クリス:ガンダルフ(イアン・マッケラン)だ。
ニール:スマッシュ・ヒッツがニール・テナントとティファニーの結婚を報じた。ははは。
クリス:彼がボンド監督だ。
―撮影地は?
ニール:ユーゴスラビア。ザグレブの近くだ。ザグレブの近くだが、クロアチアではないと思う。
クリス:ぶっふぁふぁっふぁ(爆笑)。思わず笑える。
ニール:毎回ね。
―ドラキュラの話?
ニール:そう。「ノスフェラトゥ」を基にした。静かなところだ。
―また?
クリス:運転手だ。デュオだから仕方ない。代わって欲しいね
ニール:実際に結婚しろよ。はははは。
クリス:何か企んでいる顔だ。
ニール:変態っぽいよ。何かやらかす気だ。
―何を探しているのかな
ニール:あの笑いはよかった。
―素晴らしい。
クリス:こんな作品を増やそう。ホラー仕立てのね。
ニール:おっと初夜だ。
―楽しんでやってた?
ニール:まあね。・・・歌詞の引用は賛成だ。
―歌を聴いた?
ニール:うん。彼は妻をさらう。制作費は高かったね。撮影日数は3日だ。
クリス:でも費用はかかった。馬車は面白かったよ。
ニール:自分で操っていたね。
クリス:うん。
ニール:矯正していない歯が役に立った。
―自分の歯?黙っていればだれもわからなかった。

聞き手―クリス・ヒース

 (
以上、2003POPART/DVDコメントより)
PV監督・・・

 

 

★用語・人物メモ★

フィリス・ネルソンの「I Like you」(Phyllis Nelson(1950-)・・・アメリカの歌手。「I Like You」は1985年のディスコ・ダンス曲。たしかにちょっと似ているかも。ビデオはこちら。

ナラダ・マイケル・ウォルデン(Narada Michael Walden(1950-)・・・アメリカの音楽プロデューサー。「ボディガード」のサントラなど。

スティーブン・スピルバーグが製作した「インナー・スペース」・・・1987年公開。監督はジョー・ダンテ。デニス・クエイド主演。この映画とPSBとのつながりは、初耳です。

J.J.
ベル・・・初期から現在まで、PSBのギターをところどころで手がける。「パフォーマンス・ツアー」などではツアー・サポートも。

ヘイゼル・ディーン(Hazel Dean)(1956-)・・・イギリスのハイエナジー、ダンス・ポップのシンガー・ソング・ライター、音楽プロデューサー。
ストック・エイキン・ウォーターマン、イアン・レヴィンなどと組む。代表曲は「Turn It Into Love」「Searchin' (I Got To Find a Man)」など。

アドヴィジョン・スタジオ・・・ロンドンのソーホーにあったようだが、検索しても現在の情報が出ないので、クローズしたのかも。


ピーター・ジョーンズ(Peter Jones)・・・ロンドンのスローン・スクエアにあるデパート。スローン・スクエアはおしゃれな高級ショッピング街だけど、ここは比較的庶民的。ちなみにニールがスマッシュ・ヒッツの通勤に使った22番のバスはキングス・ロードから、スローン・スクエアを通り、ピカデリー・サーカスが終点。

カルチャー・クラブのジョン・モス(Jon Moss)(1957-)・・・カルチャー・クラブのドラマー。ボーイ・ジョージと恋愛関係にあったが、2人の関係悪化がカルチャー・クラブの運命、ボーイ・ジョージの精神状態を狂わしたといわれている。

ブロス(Bros)・・・双子のイケメン&普通のルックスの3人組。当時、すごいアイドル的人気だった。PSBはマネージメントが同じトム・ワトキンスで、1987年のインタビューで「出待ちの(女の)子はみんなブロスを待っていた。僕らなんかただのオマケ扱い。」と言っている。普通のルックスの人は今、俳優をやっているらしい。

イアン・マッケラン
Sir Ian Murray McKellen(1939-)・・PVに出た頃はシェイクスピアの舞台俳優。「ゴッド&モンスター」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、以来、ハリウッド映画に多数出演。ゲイの権利活動家でもあり、サー・イアン主催のチャリティー・コンサートにPSBは出演している。

ティファニーTiffany(1971-)・・・80年代にアイドルだった。PVのニールの花嫁役がティファニーに似ているからの発言だが、実際に演じているのはティファニーではなく、現地のモデル
女性Danijela Čolić(それにしても背が高くてドラーグ・クィーンにしか見えない)

「ノスフェラ
トゥ」Nosferatu, eine Symphonie des Grauens・・・1922年のドイツ映画。F.W.ムルナウ監督。ドラキュラ映画の元祖。1978年にイザベル・アジャーニ主演でリメイク。




 この曲の評価は、ワタシ的にはグラグラ揺れます。正直、この曲がUKシングルチャートで1位になったのは、それこそこの時代の彼らの勢いの成せる業だったと思うんだけど、PSBらしくない、シンプルな音とまっすぐなリリックで迫るラブソングというのは、ある意味貴重かもしれない。Fundamentalライブでは実に18年ぶりにライブで歌ったと思うけど、意外にノレた。



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