ACTUALLY1-2

What have I done to deserve this?

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ニール:コーラスなしの曲さ
(
一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください


君はいつも恋人を欲しがっていた
僕はただ仕事が欲しかった
僕はいつも生きるために働いていた
いったい僕はどうしたらいいんだ?
どうしたらいいんだ?

僕はここへは金を求めてやってきたけど
(
求めていた)
愛とともに立ち去る結末になってしまった
君は、僕には何も残してくれなかった
(
何もくれなかった)
いったい僕はどうしたらいいんだ?
どうしたらいいんだ?

君に酒をおごり、花を贈った
君の本も読んだし、何時間も話をした
毎日、たくさんの飲み物と
あんなに多くの花を・・・教えて欲しい
僕は、僕はふさわしいことをしたんだろうか?
僕は、僕は価値あることをしたんだろうか?
僕は、何を・・・

君がいなくなってから、僕はぼーっとしている
なぜこんなに気持ちが沈むのだろう
君がいなくなって、気分はよくなるはずだったのに
わからない、僕はどうしたらいいんだ
どうしたらいいんだ

君は僕にできないことばかり求めていた
あまりに多くを求めすぎた
今、僕は自分のしたいことができる、でも、
僕はどうしたらいいんだろう
どうしたらいいんだ?

夜には人々がいったり来たり
彼らは早口でしゃべり、ゆっくり歩く
なかなか進まない時間を手持ちぶさたに
僕は酒を飲み、花束を破棄する
僕は、僕はふさわしいことをしたんだろうか?
僕は、僕は価値あることをしたんだろうか?
僕は、何を・・・

君がいなくなってから、僕はぼーっとしている
なぜこんなに気持ちが沈むのだろう
君がいなくなって、気分はよくなるはずだったのに
わからない、僕はどうしたらいいんだ
どうしたらいいんだ

僕たちが別れることも、ケンカする必要もなかった
毎晩地獄のような思いをすることもなかった
僕たちにはなにか方法があるはず

僕は、僕は価値あることをしたんだろうか?


Written by Neil Tennant/Chris Lowe/Allee Willis

Produce by Stephen Hauge



クリス:ダスティ・スプリングフィールドとのデュエットがこれ。ダスティは60年代に「この胸のときめきを」を大ヒットさせたイギリスの生んだトップ女性ボーカリストで、アメリカでもすごい人気でディオンヌ・ワーウィックとかアレサ・フランクリンと並ぶ大スターなんだよ。そもそもこの曲は、以前アリー・ウィリスというアース、ウィンド&ファイアーの「ブギー・ワンダーランド」なんかを作ったアメリカ人のシンガー・ソングライターとぼくたちが一緒に作ったもの。たまたまぼくたちのマネージャーが彼女と友達だったんで、彼女がロンドンにやってきた時に、デュエット曲を書いてみようということでやってみたんだ。だから曲作りの時はダスティのパートをアリーが歌っていたんだよ。

(
以上、1987年レコードインナー本人解説より)




ニール:僕たちは1985年の始めにこれを書いた。トム・ワトキンスはアリー・ウィリスというソングライター・アーティストをマネージメントしていて、彼は彼女のアート・キャリアを管理していたんだと思う。

クリス:彼女は非対称の髪型だったね。80年代だったから。

ニール:彼女はかなり有名なソングライターだった。彼女がアース・ウインド・アンド・ファイアーのために「Boogie Wonderland」を共作して、その時、ポインター・シスターズの「Neutron Dance」はビッグ・ヒットになっていた

クリス:その後、彼女は「Friends」のテーマ・ソングを共作している。

ニール:とにかく、トム・ワトキンスが「アリーと一緒に作詞してくれないか?」と言った。僕らは他の誰かと一緒に同じ部屋で曲作りをしたことが一度もなかった。 EMIには、地下のスタジオがあって、僕たちはそこに入った。 事実上、僕たちはリハーサル用のスタジオで始めた。そこでは、クリスがいやな雰囲気になった。 彼はスタジオ出て行ったんで、僕は彼を説得して中に戻さなければならなかった。 僕は、彼がプレッシャーを感じてたと思う。

クリス:うん。僕はキーボードと戦わなきゃならなかったんだ。

ニール: そして中断の後に、それはかなり良くなった。 そう、歌の3パート、クリスによる1つ、僕による1つ、アリー・ウィリスによる1つがあった。 クリスが歌の始めのリフ「僕は君にドリンクを買い 君に花束を買った」の音楽を書いて、僕が詞を書いて、アリーが僕の意見で歌の最も良いパートを書いた、「君がいなくなってから
」のところ。 彼女はすごく良いミュージシャンだった。彼女の効果的な調和をもたらした。彼女はドラムがプリンスのように聞こえるようにプログラムした。

クリス:歌の意味することについての多くの議論があったのを覚えている。 僕は、「本当に重要なの?」って思った。

ニール: 彼女は正しかったよ。 僕は歌詞の大部分を書いた。 歌のストーリーは2人の人間が別れたと言うこと。そして、別れた事を後悔しながら、彼らはともに異なった場所にいる。そして、歌の最後では、彼らはよりを戻すんだ。 男性は感傷的な弱いダメ男で、女性は強い資本主義者を意味している。僕は、時々それがちょっとつまらないし、歌の最もおもしろい部分でないと思うから、歌の筋を他のものに偽装しようと思う・・・それは、どう表されるか、どう議論されるか、歌詞はそれを言い表すのに使われる。これらのすべてのものが、すでに300万回も言い尽くされてきた。どうやってそれらを言うかということ。 ディティールだ。 僕はある夜、スマッシュ・ヒッツから家に帰る22番のバスの先頭で作詞した。 僕は「what have I done to deserve this?」を考えていた時にピカデリーを下っていた。それから、「I bought you drinks/I brought you flowers...」って考えていた時、ホテル・リッツを車で通り過ぎたのを覚えている。そして僕は、ブリーフケースからペンを手に取ってそれを書き留めた。それから、アリーは歌詞を調べて、それらのいくつかを簡素化して、「なにかあった?」と言った。僕は「hanging around」のようなことは一度も書いたことがないだろう・・・僕にはそれよりちょっとどこかイギリス的だ。僕たちはそれに関してすごく興奮していて、それに関してあやふやだったトム・ワトキンスにデモをプレーした。 僕らの最初のアルバムにそれを入れるつもりだったけど、女性パートを誰が歌ってくれるかを思いつかなくて。トム・ワトキンスのオフィスで働いていたニケ・スライトが「そう、あなたたちはよくダスティ・スプリングフィールドがとても好きだってよく言ってるけど、なぜ彼女に頼まないの?」と言った。その時点で、僕たちは、ダスティが必要だとわかっていて、ダスティはアプローチされていたけど、何も起こらなかった。みんなダスティはもう歌えないと言った。彼女には、すごく悪い評判があったんだ。 その後で、「Please」が発売された後に僕たちは、ダスティがそれをやりたがっていると聞いたんだ。クリスと僕は、彼女に会って、歌について話し合った。

クリス:彼女はシェル・スーツを着ていたと思う。

ニール:違うよ。彼女はブラック・レザーを着ていた。

クリス:僕は、いつも彼女がシェル・スーツ・・・ピンクのシェル・スーツとリーボックを着ている姿を思い描くな。

ニール:僕たちがソロ・アルバムをレコーディングしたとき、彼女は後からそうしたんだよ。

クリス:それこそ、ほつれたブリーチ・ヘアのクラシック・ダスティだ。

ニール:彼女が入って来た。 クリスと僕はアドヴィジョンのオフィスに座っていた。 率直に言って、僕は脅かされていた 彼女は、「私にどう歌って欲しいの?」と尋ねた。そして彼女は、「
あなた」という答えで驚かされているように思えた。 それから、クリスと僕はThe Tubeで「Paninaro」をしにニューカッスルに行かなければならなかったから、僕たちは、彼女が声をレコーディングするのを聞き逃した。 僕たちが戻ったとき、それはファンタジックに聞こえた。僕たちがそれをレコーディングした後に、クリスと僕は僕らの古典的なやり方でトラックを続けた。僕たちは、それにシングルにしたくないと決めた。それはそんな異様な非難があったし、僕たちは、つじつまが合わないと心配した。しかし、僕たちは再び気が変わった。 元々、レコードは飛行機の雑音から始まる。彼が彼女の元に戻るからね。でも問題を複雑にするからそれを取り去ろうと、僕らは思った。僕たち自身の12インチのバージョンをジュリアン・メンデルソーンとリミックスした。それはまさしく80年代だ。僕はバスが7インチのミックスよりうるさいという事実が好きだ。

クリス:リアルな構造だよ。

 (
以上、2001年ブックレットより)


 


クリス:ダスティとのコラボレーションを大いに楽しんだ作品。彼女は大好きなシンガーの一人だからね。自分たちの作品に彼女が参加してくれるだなんて実に光栄だったよ。

ニール:当時ダスティはLAに住んでいて。数年前、ダスティのマネージャーであるヴィッキー・ウィッカムがダスティに関する本を出版したんだ。それを読んで、初めてダスティがどこまで「落ちて」しまったかを知ったんだ。彼女はウェスト・ハリウッドの安モーテルで暮らしていた。僕たちはもちろんダスティは大スターだと思っていたからビックリさ。当時「Dusty in Memphis」が再リリースされたり,ビニル盤が出てまもない頃だったし。ダスティ・スプリングフィールドのグレイテスト・ヒッツはしょっちゅう再販されていて、ぼくたちのお気に入りだった。この曲を書いたとき、「フレンズ」のテーマを書いたアリー・ウィリスと共作したんだけど、まず彼女が歌い、僕が歌い、ほかの誰かが必要だってことになって、ダスティを思い浮かべたんだ。マネージメント・オフィスの人間が言った、「いつもダスティ・スプリングフィールドを崇め奉りたてているけど、何でダスティなんだ?」って。彼らはティナ・ターナーとかシャーデーを推していたんだ。でもぼくらはダスティを求めていた。彼女はなかなかつかまらなかったんだけど、そんな折にヴィッキーの本を読んでダスティの暮らしぶりを知って辛かったよ。ダスティは「ウェスト・エンド・ガールズ」をアメリカのラジオで聴いて気に入ってくれてたんだ。で、最終的に一緒にやることを承諾してくれた。彼女が来てくれた時、クリスと僕はロンドンのアドヴィジョン・スタジオにいた。そこで彼女とプロデューサーのスティーヴン・ヘイグを交えてとことん話し合ったんだ。その後、クリスと僕は当時やっていた番組「The Tube」に出演するためにニューカッスルに行かなきゃならなくなった。1日半ほど留守にして戻ってみたらダスティはボーカルのほとんどを録り終えていたんだ。僕らが入っていくとスティーヴンが言った、「すごいよ!」。これまで百万回も繰り返し語ってきたことだけど、みんなは「ダスティはもう歌えない。あの声は出ない。」って言っていた。だから僕たちも少々ナーヴァスになって痛んだけど、実際聞いてみてビックリさ。(歌う)♪“Since you went away・・・”ってところが2箇所あるんだけど、2番目なんて、天にも登る歌声だったよ。それを聴いたら突然アドリブが思い浮かんだ。曲の最後の(歌う)♪“We don't have to fall apart・・・”ってとこ。彼女は「あら、もう録り終えたと思っていたのに()」って言ったけどね。ダスティは、本当に一語一語、一音節一音節レコーディングしていくんだ。正しく構築し、頭の中でアレンジして、メロディに陰影を与えるために。そして、その追加部分を歌ってくれたんだけど、あれは実にスリリングな経験だったよ。まさに鳥肌モノ。この曲でのダスティは本当に素晴らしいと思う。この作品はアメリカでは彼女にとって過去最大のヒットになった。全米2位になったんだ。その後、彼女はEMIと契約して僕たちはさらに数作品を共作した。アルバムの半分を一緒に作ったんだ。

 (以上、2003年「POPART」ブックレットより)


 

プロモーションビデオ(You Tube)


1987
年シングルはUKチャート最高2

ライブビデオ(1999年ナイトライフツアー)(You Tube)


この年亡くなったダスティへのトリビュートです。


クリス:やめてくれ、見たくない。
ニール:あははは。
クリス:これは外そうよ。
ニール:いい作品さ。
クリス:僕を見たろ?
―なぜ嫌がる?
クリス:最低さ。あの髪形も蝶ネクタイも。嫌いなのにアルバム・ジャケットにも使われた。
―写真を選んだのは君だろ。
クリス:そうだけど。
ニール:シンディ・パルマノが担当だった。撮影地はブリクストン・アカデミーだ。007の衣装を使った。「ディーバ」のジャケットのアニー・レノックスと同じ衣装だと思う。
クリス:「オクトパシー?」
ニール:「オクトパシー」。ダスティがメイクにかける時間は6時間?
クリス:ああ。僕は昔、トロンボーンを吹いていたんだ。今は練習していないから、急には吹けないよ。
ニール:“君に酒を用意し・・・”
クリス: それ以上望むな!
―楽屋の人間模様か?
ニール:華やかなショーの舞台裏の話だ。
クリス:僕のトロンボーンの話も?
ニール:入っている。
クリス:あの髪型・・・。もうすぐ恥ずかしいダンスシーンだ!
ニール:ダスティは最高だな・・・。あの手の動きには興奮するよ。
クリス:謎めいた微笑み・・・。
―(クリスのダンスが)始まるぞ。
クリス:恥ずかしくってたまらないよ。カットしよう!
―君がやりたいと。
ニール:ニールの後を歩く以外に何かしたくて。看守役でもなくてね。
―最高だよ!ここがいい。
ニール:イエ〜〜イ!
クリス:ちゃんと振付師がついていた。
―ステキだ。ダスティはスターの役?
ニール:うん。僕もバンドメンバーだ。う〜〜カーリーヘア。
クリス:うへへへ。
ニール:ちゃんと吹いた?
クリス:もちろんやった。
―裏方たち。素晴らしいよ。
ニール:ミュージシャンの誰かがこのビデオの内容を新聞社に売ってトラブルになった。ポーズがキマっている。

聞き手―クリス・ヒース

 (
以上、2003POPART/DVDコメントより)
PV監督・・・Eric Watson

 



*この曲はマーガレット通信Vol.61「1曲に固執するI」(裏レビュー)でも取り上げています。


★用語・人物メモ★

ダスティ・スプリングフィールDusty Springfield (1939-1999)・・・60年代、イギリスでヒットを放った女性ロック歌手のポップ・アイコン。話にも出てきたマネージャーの本による80年代の凋落&女性の恋人による精神的不安定などは、映画化の噂もあった(今のところ、ただの噂だが)。PSBによってダスティは復活したのだけど、88年のニールの発言によると「でも3回しか会ったことが無い」らしい(その後アルバム制作のときに会ったはず)。1999年に乳癌で死去、お葬式ではニールが弔辞を読んだ。

アリー・ウィリ
Allee Willis (1902-)・・・アメリカの作曲家・シンガー。この曲を作ったとき、すでに83歳!現在100歳超えてます!

アース・ウインド・アンド・ファイアー「Boogie Wonderland」・・・1979年のヒット曲。ディスコ定番。ビデオはこちら

ポインター・シスターズの「Neutron Dance」・・・3姉妹コーラス・グループの1984年のヒット曲。ビデオはこちら

Friends」・・・「フレンズ」は1984年から10年間続いたアメリカの人気ドラマ。ジェニファー・アニストン主演。テーマ曲は「I
'll Be There for You」で、The Rembrandtsが歌っている。ビデオはこちら

ヴィッキー・ウィッカム(1939-)・・・ダスティの友人であり、マネージャー。ダスティに関する本Dancing With Demons: The Authorized Biography of Dusty Springfield(2002)
で、ダスティがレズビアンであったことが明かされた。彼女自身レズビアンである。

ディオンヌ・ワーウィックDionne Warwick (1940-)・・・アメリカの黒人歌手。ホイットニー・ヒューストンのいとこ。

アレサ・フランクリン
Aretha Franklin (1942-)・・・アメリカのソウル・シンガー。ロックの殿堂入りをしている。

ティナ・ターナー
Tina Turner (1939-)・・・アメリカの黒人シンガー。1996年アルバム「Wildest Dreams」からのシングル「Confidential」はPSBが作詞・作曲&プロデュース。

シャーデー・アドゥ
Sade Adu (1959-)・・・イギリスのアフリカ系女性ミュージシャン。“シャーデー”は彼女がヴォーカルをつとめるバンドの名前。

シンディ・パルマノCindy Palmano・・・写真家。ACTUALLYのジャケット写真を撮影。

ブリクストン・アカデミーBrixton Academy・・・・・・ロンドンの南、ブリクストン地区にある、歴史あるホール。数々の有名アーチストが出演。かつてカルチャー・クラブやデュラン・デュラン、スウェードなどのPVも撮影された。200710月に行われたチャリティー・コンサート「War Child」にもPSBは出演した。

007
「オクトパシー」・・・1983年公開の映画。ロジャー・ムーア版。

アニー・レノックス
Annie Lennox(1954-)・・・イギリスのミュージシャン。元ユーリーズ・ミクス。現在はソロ。デビュー時は男装していた。「ディーバ」は1992年のソロ・アルバム。画像はこちら。




 この曲を語るときの主題はどうしても「憧れのディーバの胸を借りる、勢いのある新人デュオ」という風になりがち。まあ、実際そうなんだけど、歌詞の内容の切なさと現実感はただの企画ものとは思いがたい。
 裏レビューでもちょっと書いたけど、「君の本を読んだ」ってところが、君=男性っぽい。だからこれは、男女カップルの歌に見せかけているけど、セクシャリティは曖昧だ・・・実際、ニールも(何かを)偽装してるって言っているし。だからこそ、デュエット相手はダスティじゃなきゃいけなかったんじゃないか。
 この曲は2007BBC調査のオールタイム・デュエット・ソングの第8位に選ばれている。ちなみにAttitude(イギリスのゲイ雑誌)のニール&ダスティの写真のキャプションには「完璧なデュエット」と書かれている。



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