BILINGUAL*1-10


Before

before1
 before


クリス:未来なら、愛の可能性があるということ
(
一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください



電話に出る人はいない
何度も鳴らしていても
いろいろな理由がある
涙をたくさん流す
愛を見つけるまで
愛がドアをノックするまで
君が確信するまで
君が待っていたものはこれだ

たくさんの恐怖に襲われるだろう
懺悔するか、否定するか
君をその気にさせる男たちがいるかもしれない
忘れられないかもしれない
愛を見つけるまで
愛がドアをノックするまで
君が確信するまで
君が待っていたものはこれだ

愛しすぎた男の話は
刑務所の牢獄の中で終わった
欲しいと思うようにならなければ
同じような地獄に戻ってしまう
以前にもあった
以前にもあった

めぐり合わせと忍耐は
この致命的な欠点を埋めてくれる
それは長く待つかもしれないけど
他の人もここにいる
愛を見つけるまで
愛がドアをノックするまで
君が確信するまで
君が待っていたものはこれだ

ある日、電話が鳴り響き
君は待っていた言葉に返事をする
涙もなく、駆け引きも牢獄もなく
君が必要なものを、彼が与えてくれるよ
以前にもあった
以前にもあった


 

Written by Neil Tennant/Chris Lowe

Produced by Pet Shop Boys and D
anny Tenaglia


クリス:これは好きだ。違和感がない。音楽的に不必要なものがない。

ニール:これを作るためにアメリカに発った。そのときの僕らのアメリカの所属レコード会社、アトランティック・レコードに「ボックス・スマッシュの安直さ」と批評された。そこではヒットしなかった。

クリス:この歌のニールのボーカル・スタイルは好きだ。

ニール:すごくスムーズだね。女性みたく歌っているけど。

クリス:君はもっとしょっちゅう女性みたいに歌うべきだよ。

ニール:これまでのどのレコードにも似ていない音だ。ゴージャスで愛すべきレコードだね。トム・ステファンが推薦してくれたダニー・テナグリアと一緒に仕事をしたかった。ダニーの仕事はほとんど知らなかった。僕らはデビッド・モラレスとの仕事でニューヨークに行ったけど、モラレスのエージェントに僕らが行く2日前にキャンセルされた。スタジオは押さえていたのに。トムは「それならダニー・テナグリアと仕事をするべきだ」と言った。それで僕らは彼に電話をかけたら、彼はものを落っことすほど驚いた。ダニーはそこでヒップ・イン・クラウドにいたけど、世界一有名なDJというわけじゃなかった。今はもちろんビッグ・イベントになったけど。

クリス:ほとんどのDJたちと違って何とダニーはキーボードが弾けることがわかった。僕らの驚きを想像してよ。彼はすごくいい製作の仕事をした。彼がバスラインを入れると、「ワオ」って思った。コードのルート・ノートに続くバスラインを作れなかったのに。

ニール:僕らはそれをスタジオでやった。

クリス:僕らは慎重に、何も行動しなかった。

ニール:歌のベースは2ビットで、クリスはいやいやながらもイアン・ライトのテープと一緒に書き上げていた。

クリス:僕はいつもいやいややるんだ。2つの違った歌がひとつを圧迫する。それは無駄なこと。

ニール:ダニーはドラムのプログラミングをやって、僕らがスタジオで少し入れて、「Before」を歌い始めた。クリスは「すぐに歌いに行けよ」と言った。すぐ歌うほうがよかったし、君はニュアンスをつかんでいた。僕はすごく簡単にニュアンスを忘れてしまう。僕はホテルに戻り、すべての詞を書いた。次の日には歌っていたよ。ヴォーカルはすごくよく聞こえる。それからエンジニアが3番目の小節を間違って消した。3人の女性のヴォーカルがかわいいと思う。最初、ダニーは「before・・・before・・・before」のところを好きじゃなかった。でもぼくらはそこをレコードに残した。「Love comes quickly」と同じメッセージがある。視点は違うけど。愛に失望したとき、困難なシチュエーションにいるとき、突然ひたむきになるとき、こんな気持ちになる。突然人生に正義の味方が現われる。中間の「愛しすぎた男の物語」は、ちょっと違う。これらはTVにずっと出ているO.Jシンプソンについてだと思う。

クリス:これはいいと思えるもののひとつだった。

ニール:大ヒットにならなかった理由がわからない。イギリスではヒットしたけど、ヨーロッパではヒットしなかった。大きなホワイトレコードを期待してかける人がゴージャスで滑らかなブラックレコードをかけるのはすごいことだ。あまりにもそのままかもしれないと思う。とても速くすべてを聞いてしまった。2小節目で何かが起こるんじゃないかと、僕の耳は期待する。僕らはロンドンでミックスをやったけど、あまりよくなかった。ニューヨークでレコーディングしたものとあまりにも音が違ったものを加えたから。それで、それは使わなかった。

クリス:時々、みんなの方が悪いって言わざるを得なくなる。トラブルは、僕らがビッグ・レコードをリリースするふりをすることだ。もし僕らが違ったことをしていたら、みんながっかりしていただろうよ。
 
 (以上、2001年ブックレットより)


 


ニール: この曲で言わんとしているのは、「人は時に心底絶望してしまう」ってこと。知人のことを歌った歌なんだけど、今となっては、それが誰だったのか思い出せない。どこまでも落ち込んでるとき、先に何が待っているかなんてわかりはしない。だからとことん落ち込んだ時こそ愛が見つかる、って歌なんだ。そんなときこそ、愛がドアをノックする、信じられるようになる。つまり、現状と未来の対比を描いた作品。ニューヨークで、ダニー・テナグリアとレコーディングした。バックシンガーを招いてね。みんな名のある人だよ。彼らが歌い始めた瞬間、とても情熱的で厚みのあるハーモニーが生まれた。素晴らしいコーラスだった、それまで経験したことないようなね。ダニー・テナグリアによる、実にダンサブルでイカしたリズムナンバーだ。

 (以上、2003年「POPART」ブックレットより)


 

プロモーションビデオ(YouTube)




199
7年シングルはUKチャート最高8位



ニール: これもハワード・グリーンホフ監督だ。
クリス: 冒頭はアンディ・ウォホールの世界だ・イメージの反復。
クリス・ヒース:君は絵画だといっていたね。
ニール: 聞くのは2回目?
クリス・ヒース:どうかな。
ニール:「It
s a sin」と同じロケ地だ。
ニール: そうだね
クリス・ヒース:あれはどこ?
ニール:再開発地区。
クリス:ロンドンの南西部。
ニール:ハワードだ。
クリス・ヒース:あそこはダンジネスだ。
ニール: いい映像だね。
クリス: ああ。
クリス・ヒース:全ての映像がつながっているの?
ニール: 彼女が電話をかける。この男がその電話を心待ちにしているんだ。
クリス・ヒース:あれはどこだろう?
ニール:ダンジネスだよ。確かにそうだ。

 (
以上、2003POPART/DVDコメントより)
PV監督・・・Howard Greenhalgh


★用語・人物メモ★

トム・スティーヴン (不明-)・・・ニューヨーク出身、ロンドンでも活躍中のDJで、歌手SuperchumboとしてCDも出している。PSBの「Sexy Northerner(Disco3」収録)などのリミックスをしている。200203年頃ニールと付き合っていたらしいが、噂なので定かではない。ゲイかどうかも不明。

ダニー・テナグリア(1961-)・・・ニューヨークの人気DJ。「Before」の共同プロデューサー。

デビッド・モラレス(1961-)・・・ニューヨークのミュージシャン、ハウスDJ、プロデューサー、リミキサー。PSBのリミックスを手がけた。特にFundamentalツアーでも使われる「So hard」のリミックスは傑作として名高い。

O.J
シンプソン・・・元アメフトの大スター。妻とその男友達が殺された事件で容疑者になり、警察から逃げるカーチェイスがTVで生中継された。裁判も話題に。TVが「事件は視聴率画とれる」とされた出来事。刑事裁判で無罪、民事裁判で有罪に。

ダンジネス・・・ドーヴァー海峡に面した砂地海岸。「It
s a sin」のPVを撮った映画監督デレク・ジャーマンが住んでいた場所として知られ、ジャーマンの映画はほとんどここで撮られている。ゲイの巡礼地のひとつ(多分)。



 

先行シングル・カット。失恋の歌。“(過去はもう終わってしまったけど)未来には希望がある”という意味合い。でも、ニールのファルセットがBeeGeesっぽくて、やっぱりちょっとディスコっぽい。シザー・シスターズの「Comfortably Numb(ピンク・フロイドのカバーをディスコにしちゃった)をちょっと思い出す。
これも男同士の恋愛の歌なんですね。普段、ニールは主人公や登場人物の性別を「総ての人に当てはまるようにしたいから」特定しないけど、これはモデルがいるというからだろうか。というか、やっぱりゲイの人が身に染みてわかるのは、ゲイの恋愛であるから、そうなるのは仕方ない。というか、このモデル、クリスなんじゃ。



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