BILINGUAL*2-3


The truck-driver and his mate


クリス: ううーっ、お好きなように
 (一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください



待避所に駐車して
目的地を待たせて
月明かりの中でダンス
トラックドライバーと、パートナー

無理を通して
時間外に荷台に座り

ニューカッスルから石炭を運ぶ道すがら
男同士で語る

夢中なほど忠実で
運命の行動のように厳粛に
月明かりの中でダンス
トラックドライバーと、パートナー


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Pet Shop Boys


ニール:このタイトルは、何年か僕のノートにあった。ヨーキー・チョコレート・バーの広告に“トラックドライバーとお仲間も大満足”とか何とか書いてあったんだと思う。ロック・トラックにしようというのはクリスのアイデアだ。

クリス:音楽は完全にオアシスの「Some might say」のパクリだね、多分。とにかくそれが始まりだ。

ニール:信じられないほどスタンダードなロック・コード・チェンジだ。

クリス:僕らはオアシスやロックの転向にそそられていたね。ロック・レコードみたいには聞こえないけど。でも、僕らがそう思ってたかはわからない。いつもB面だったからね。

ニール:ロッキー・レーンでそれをやった。面白かった。僕らはロック・ギター・コードのサンプルを使った。それから、“ow-wow-wow”はすごくT-REXっぽい。僕はアコースティック・ギターを弾いているけど、本当にグラムロックっぽい“solemn as an act of fate(運命の行為のように厳粛)”なんてデビット・ボウイの歌詞みたいだ。これ、オリジナルのフレーズかな?誰か知ってる?男同士の絆についての歌だ。“トラックドライバーと仲間”というフレーズの1区切りにホモエロチックなものがある。2人が月明かりの中で一緒にダンスするのをイメージした。ロマンチックなものがあるだろう?

クリス:ホントの月明かり?

ニール:そう、本当の月明かりだ。今、販売促進用の12インチのこのコピーがある。これが"Before"B面としてリリースされたとき、ロンドンのPopstarsのようなインディーズ・クラブでかけ始められた。それでEMIはこのトラックのプロモをいくつか出すことを決定した。"Before"のプロモに、萎えたペニスを据えて、その下に"Before"の文字がある。まさしくジョークなんだけど。目覚める”前”だ。アメリカでは、レコード会社がそれをいたく気に入って、彼らはそのジャケットでリリースしたがった。僕らはその考えにぞっとしたね。僕らは実はとても上品ぶっていたのさ。とにかく”トラックドライバーと仲間”のプロモには、別のものの横にもう一つ、ペニスを繰り返してやったんだ。


 (以上、2001年ブックレットより)

 

*ライブ・サムホエア・1997年(YouTube




*この曲は「マーガレット通信vol.49」の“1曲に固執してみる”でも取り上げています


★用語・人物メモ★

オアシス・・・90年代ブリットポップを代表するマンチェスター出身のバンド。仲の悪いノエルとリアムのギャラガー兄弟が中心。同じブリットポップのバンドブラーとの確執がある。基本的にオアシスはPSBをリスペクトしているが、PSBはブラーの「Girls and boys」のリミックスも手がけている。「Some might say」のビデオはこちら。

T-REX
・・・マーク・ボランが中心のグラムロックバンド。1968年デビュー。彼らのファンだったニールは、Smash Hitsのライター時代にマーク・ボランにインタビューに行っているが、録音テープのスイッチを入れ忘れるという大失敗をする。マーク・ボラン本人がそれを指摘したらしい。77年のマーク・ボランの事故死により、解散。


ニューカッスル・・・ニールが18歳まで育った街。イングランドの北の果て、スコットランドの境界線に近い大きな街。かつては炭鉱で有名だった。イングランドで最も訛りの激しい地域で、その訛りは“ジョーディ語”と呼ばれる。炭鉱町のせいか男らしいことが身上とされ、ゲイには厳しい町。そのくせ1000人も収容できるゲイ・ディスコがあったりする。

"Before"のプロモ写真の萎えたペニス・・・こちら。


Before」のB面だけどわざわざ「Somewhere」ライブで歌っているから、けっこうお気に入りじゃないかと思う。しかし、エレガントで知的なニール(だからこそ?)にとっても、一般的なゲイのベタ趣味のように男臭いトラックドライバーがセクシー・アイコンなのね〜、と思う。あと、ニールはチョコの包み紙にまでインスピレーションをもらうのか、と思った。でも曲はすごく好き。話の中の、日本では絶対出せない問題のプロモジャケットは、先ず持っている人はいないと思うけど、2007年発売のアートワーク本「PSB CATALOGUE」に出ています。遊びすぎですよ。



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