FUNDAMENTAL1-9

Casanova in Hell



原文歌詞はこちらでご確認ください



完璧な少女
感動をかきたてられる
おかしなことに
ここでは
彼の魔法が利かなかった
彼女の方には
どこか近くに
恐れを感じる
地獄のカサノヴァ

裸の少女
裸の少年
彼は隠している
密かに
秘密の部屋を
そこが開き
ヴェルベットのカーテンを抜け
レイプの妄想をする
地獄のカサノヴァ

彼女の鋭い暗示
彼は勃起ができなかった
ショックが襲う
彼は気がついた
お笑い種だと
彼は老いる運命を
よく考えた
地獄のカサノヴァ

図書館に戻り
彼は自分の物語で復讐する
彼の書くものは
ちょっとした回想や
彼の英智
そして名高い欲望
彼は遊蕩者
天国のカサノヴァ

最終的にカサノヴァは笑う
神話と擁護を創作し
彼の性愛遍歴の
決定的なエピソード集を作り
彼の人生、恋人、すべては
彼の“創設物”の名で
歴史に行き続ける


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Trevor Horn

 


ニール:これも2003年に書かれた。カサノヴァについてだ。

クリス:”地獄の“カサノヴァ。

ニール:カサノヴァ・イン・ヘルのアイデアは、カサノヴァがセックスできなくなったら、彼の考えでは地獄だ。僕はカサノヴァについての本を2冊読んで、それにインスパイアされた。ポップソングの中に通常ないものを入れることをウリにしている場合、それ…つまり"勃起”という言葉はそれらのもののうちの1つだ。この言葉はもともと”マスターベート“だったけど、僕は取りやめた。なぜなら、それはやりすぎだと思った。それはピカソの”地獄はマスターベートすること”というアイデアだが、”マスターベートで老化の運命、カサノヴァ・イン・ヘル“と言われている。でも、僕らがレコーディングしたとき、マイケル・ジャクソンの裁判期間だったが、そこでマスターベーションを行うことに関してあまりにも多く語られたので、僕はすぐそれを削除した。ぞっとすると思う。でも、このアルバムでは僕のお気に入りの一つだよ。

クリス:ビッグ・ラス・ベガスなエンディングがある。

ニール:クリスは僕の北の家のピアノで音楽を書いた。僕はメロディを変えた。メロディが本当に感傷的なセンチメンタル(schmaltzy)だったからね。

クリス:schmaltzy!いい単語だ!

 (以上、2006年「Literally30より)




ニール: 曲を書く場合、新しいテーマにチャレンジしたいと思うものだ。この曲では、カサノヴァが勃起の能力を失うという点に触れている。そういうテーマってこれまで聴いた曲になかったから()

地獄=肉欲に溺れるという意味も持つ。


 (以上、2006年「FUNDAMENTAL」ライナーより)

 


ライブ音源(withルーファス・ウェインライト)(2006年)(You Tube)






★用語・人物メモ★

ジャコモ・カサノヴァ(1725-98)・・・ベネツィア生まれの貴族。“女たらし”の代名詞。ニールの話にも出てくる「回想録」によれば、1000人の女性、また数人の男性と恋愛関係にあった。フェデルコ・フェリーニの傑作映画「カサノヴァ」(‘76)では、わざわざハンサムでないドナルド・サザーランドがカサノヴァ役を演じている。

パブロ・ピカソ(1981-1973)・・・スペイン生まれ、パリで活躍した20世紀最大の画家の一人。カサノヴァに負けないくらいプレイボーイ。彼の人生には常に女性(ミューズ)がいて、60代で子供(ティファニーのデザイナー、パロマ・ピカソ)が生まれている。

ニールの“北の家”・・・一説によると、ニールは4件の不動産物件を所有しているらしい。“北の家”は、ニューカッスル郊外の家か?





男ってのは、いつまでたっても(というか年齢を経れば経るほど)、勃つことに男の威信をかけているようです。50代だからこそ書ける曲かも。この曲はほとんど歌詞も曲もニール主体で書かれているようだけど、クリスは「面白い!」と笑っていた。いままでにないほど“性”についてズバリ書かれた歌詞もさることながら、ドラマチックでストーリー性を感じさせる曲も素晴らしい。ニールは本当にカサノヴァをテーマにミュージカルを書くんだろうか(バレエを書いているという話題はあったが、テーマがカサノヴァかどうかは不明)
「うらやましい訳じゃない」と言ってはいるものの、子供の頃すでにセックスについて「たくさんしたい」と耳年増発言だったニールは、絶対うらやましいはず。1000人斬りは男の浪漫です!(でしょ?)

ちなみに上記YouTube音源は、マーメイド・シアターでのライブ(CDConcrete」)で、ゲストのルーファス・ウェインライトが歌ったもの。ニールの天使のようなユニセックスな声とはまた違い、惚れ惚れするような叙情的な歌いっぷり。



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