FUNDAMENTAL1-1

Psychological



原文歌詞はこちらでご確認ください



君には問題がある
なぜそうなるのかって
アシンメトリーな髪型
ペイントされた目

これは心理的なものだ
サイコロジカル

助かるために泣くのかい
それとも助けを呼ぶ?

フラストレーション
偽りの警報

これは心理的なものだ
全部心の内


屋根裏に何かある
すごく臭う
葬儀屋だ
山高帽をかぶっている
心理的なものだ
何がこぼれている?
キッチンの床に
誰がノックする?
貯蔵室の扉を!

心理的なものだ

それとも君の想像なんじゃないの?
ただの想像なんじゃ?

僕をおかしくする
ベイビー、ベイビー、お願い

心理的なものだよ
心理的なものだよ

僕は赤ん坊が泣くのが聞こえた
電車の音かと思った
下に降りれば
セロハンのお墓

これは君の習性だ
全部心の中のもの

心理的なものだ
サイコロジカル
心理的なものだ
サイコロジカル


Written by Neil Tennant/Chris Lowe

Produced by Trevor Horn

 


ニール「最初はクリスが何か書き始めたんだよね。」

クリス「僕のフラットで小さいキーボードで弾けるように準備していたんだけど、ドラムとバスとメロディーラインをプログラミングして、それで、すごくいいと思った。で、僕はスタジオにもって行って没頭した。それがホント、いかしてたね。で、ニールが中盤を加えた。」

ニール「だいぶ後だったね。自分の電話に“Psychological”というタイトルを書き込んだ。前にオスカー・ワイルドの本を読んだことがあったけど、僕はその本に熱中してしまって・・・“Psychological”という単語が冒頭に使われていたんだ。一般的にそれは“ゲイ”って意味に使っていたんだろう。ホモセクシャル。”あ〜、彼はむしろ”サイコロジカル”だ”なんて言ったんだね。」

クリス「“earnest(*)って単語みたいだ。」

ニール「クリスが書いたものを僕に弾いてくれて、僕はこのサイコなものを歌った。それで、ぞっとするイメージのリストを作る考えができた。書くのにそう時間はかかっていない。スタジオで、30年代から40年代に書かれたウォルター・ベンジャミンの本を持っていた。それは、デイブ・リマーが僕にくれたもので、“ボーラーハットをかぶった葬儀屋”は、これが由来だ。それはアルバムのために僕らが書いた最初の曲で、すごく奇妙で、最小限で、ファンキーなグルーヴで、僕は好きだ。それから、僕は、それがポップソングのようでいて、一種の説明であるべきだと思った。僕は僕たちの歌のミドル・セクションは、歌について説明するか、反対の視点を与えるかのどちらかであるとわかった。僕たちは、今日世界で起こっていたものに対する歌を書きつつあるこのアルバムのために僕らのマニフェストがあり、ミドル・セクションとは恐れの文化についてであり、人々がホラー映画を怖がるのはとても面白いといえる。彼らは、テロリズムの脅威に脅えることや鳥インフルエンザや核爆弾を好きなのだろうか?おびえる何かがあるんだろうか?“それ、君の想像なのでは?”それはミドルポイントだろう。この歌はちょっとマドンナの”ヴォーグ“みたいにダンスっぽいワイドスクリーンになった。僕は、歌のメッセージだと思う。アルバムの最初はこうだ:恐れは外の世界以上に、心の中にたくさんある。」

 (以上、2006年「Literally30より)




ニール:(テクノっぽいというと、80年代のジャーマンテクノやクラフトワークと比べてしまうが)全く80年代的でないと思うよ。クリスが書いたリフが基礎になっていて、(第3者的に)クラフトワークみたいだって言われたけど、そうじゃないと思うな。エレクトロニック・ミュージックだと、安易にクラフトワークと関連付ける人が多すぎるよね。

ちょっぴりホラー映画のようでもある。恐怖にさらされることを楽しんでいるというのかな。政治的な状況からいっても、人々は恐怖にさらされることをある種楽しんでいるような観がある。だからこの曲では、近年僕らが政治的にさらされた恐怖とホラー映画を見に行くことの共通点を言及している。(ニック・イングマンには)ヒッチコック映画を手がけていた映画音楽家バーナード・ハーマン風の雰囲気にしてくれって頼んだんだ。上手く行ったと思うよ。「サイコ」みたいな感じに仕上がった。

 (以上、2006年「FUNDAMENTAL」ライナーより)



ライブビデオ(CUBISM/2006年)(You Tube)




イメージビデオ(REMIX)(You Tube)


★用語・人物メモ★

オスカー・ワイルド(1854-1900・・・アイルランド生まれの劇作家、童話作家。ワイルドいえばゲイのアイコンだが、実際に同性愛に目覚めたのは結婚後、パリで客死するまでの15年間くらいだった。ニールは子供の頃からワイルドの大ファンで、「DJカルチャー」PVではワイルドのコスプレをしている。また、2005年にプライベート(パリコレ見物)でパリを訪れたニール&クリスは、ワイルド最期の部屋のある“L‘Hotelに宿泊しているが、”ワイルドの間“に実際に宿泊したのはクリスだという。クリスもワイルドファンらしい。

earnest”・・・「まじめ、熱心」「前兆」という2つの意味があるが、スラングでは「重大で意図精神的な状態」という意味で、こちらが近いと思われる。

ウォルター・ベンジャミン(1892-1940)・・・ドイツ語ではヴァルター・ベンヤミン。文芸評論家、文筆家、翻訳家。ユダヤ人で、ナチスから逃亡中、服毒自殺をした。

マドンナ(1958-)・・・アメリカを代表するポップ・スター。「ヴォーグ」のPV監督はデビット・フィンチャー。イギリス人映画監督ガイ・リッチーと結婚したゆえか、現在はロンドン(ノッティングヒル)在住。ノッティングヒルはロンドンの西にあり、高級住宅と移民文化が入り交ざるおしゃれな街。ポートベロー・アンティーク・マーケットがある。

クラフトワーク・・・1970年にドイツで結成されたテクノ・エレクトロニック・ポップ・バンド。ジャーマン・テクノを世に広め、80年代の世界的テクノブームに多大な影響を与えた。メンバーチェンジを経て現在も現役活動中。

アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)・・・イギリス生まれ、後ハリウッドの映画監督。サスペンス、スリラーの巨匠。「サイコ」(1960)はスリラーの代表作。主人公ノーマン・ベイツを演じたアンソニー・パーキンスは一生この作品に付きまとわれるほどの名演をした。「サイコ」は1998年にカス・ヴァン・サントがそっくりにリメイクするが、その時にPSBは楽曲「Screaming」を提供している。なんだかんだ言って「サイコ」はゲイっぽい。

バーナード・ハーマン(1911-1975)・・・映画音楽の作曲家。ヒッチコック「サイコ」、デ・パルマ「愛のメモリー」、スコセッシ「タクシードライバー」などの映画の音楽を担当した。




「サイコロジカル」は、2006年までのFundamentalツアーの最初の曲だった。DVDのコメントで2人は「オープニングにこの曲はふさわしくないんじゃない?」と言っている(2007年になったら最初の曲は「Were the PSB」に変更された)
この曲は歌詞にはそんなに意味がなく、曲主体だと思う。曲は静かだけど内に秘めたダンス路線ですごく聴きやすい。



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