NIGHTLIFE2-2

Je t'aime ... moi non plus


クリス:これぞフランスのエロ歌謡
(
一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください


愛してる、愛してるわ
ええ、愛しているわ・・・僕もそうじゃない
ああ、わたしの肌は
何かを探しているみたい

行ったり来たり
あなたの中を
行ったり来たり
行ったり来たり、あなたの中のわたし
自分を覚えている

愛してる、愛してるわ
ええ、愛しているわ・・・僕もそうじゃない
愛しい人、あなたは波だわ
わたしは裸の孤島

あなたは行ったり来たり
わたしの中を
行ったり来たり、私の中のあなた
自分を覚えている

愛してる、愛しているわ
ええ、愛しているわ・・・僕もそうじゃない
ああ、わたしの肌は
何かを探しているみたい

行ったり来たり
あなたの中を
行ったり来たり
行ったり来たり、あなたの中のわたし
自分を覚えている

あなたは行ったり来たり
わたしの中を
行ったり来たり、私の中のあなた
自分を覚えている

愛してる、愛してるわ
ええ、愛しているわ・・・僕もそうじゃない
愛しい人、明日なんてない
大波のように

行ったり来たり
あなたの中を
行ったり来たり
行ったり来たり、あなたの中のわたし
ダメ、やめないで

僕はそうじゃない

行ったり来たり
・・・行く・・・


Written by Serge Gainsbourg

  
Produced by Pet Shop Boys

 Vocal by Sam Taylor-Wood

 


P.G Brunelli
(インタビュアー):このアルバムからのファースト・シングル「I Don't Know What You Want But I Can't Give It Anymore」のB面に「Je taime moi, non plus」(ジェーン・バーキンの60年代の曲で、歌詞はほとんどないが、セクシュアルな音がたくさん入っている)の君たちのバージョンが入っているよね。これもやっぱりジョークなの?

ニール:いや、アレはもともと「We love you」というアルバムに収録されていたんだ。アーティストやミュージシャンのコラボレーション・アルバムだよ。サム・テイラー・ウッドがジェーン・バーキンのカバーをやっていて、僕たちにも一緒にこの曲をやらないかって誘ってきたんだ。どうにも収拾のつかないアルバムで、行き場をなくしたような感があったから、結局途中で作るのを止めたんだけどね。

P.G
:このバージョンは、オリジナルには似ているのかい?

ニール:近いね。オリジナルより8小節長いだけだよ。「We love you」ではこのB面に入っているバージョンより少し短いけど、これは単にあのアルバムのほうでカットされた部分を僕たちが付け加えただけだからね。

クリス:僕らのバージョンでは、オリジナルとは違って彼女(ジェーン・バーキン)はオルガズムに達していないんだ。僕らの方は、全部英語に翻訳してあるんだけど、問題なのは「moi, non plus」ってところで、これはまったく何の意味もないから、どうにも上手く訳せなかったんだよ。

ニール:多分フランス語でも何の意味もない言葉だよ。サムは例の「イングリッシュ・ローズ」みたいな声を持っているから、「you are the sand and I
m the lapping wave」って言う部分を彼女が歌うと、実に妙な感じがするね。

 (
以上、1999年「In Rock」インタビューより:インタビュアー=P.G.Brunelli)




*以下はアメリカのファン・マスターWayneさんのサイトの曲説明を訳したものです。
http://www.geowayne.com/psbhtml.htm

 このトラックは1998年、最先端のヴィジュアルと音楽アーティストにより創られたレアなコンピレーション「We Love You」に登場した。そして後に「I Don't Know What You Want But I Can't Give It Any MoreCDシングルのボーナストラックとして入れられた。3つの点で際立っている。

1.
ゲスト・シンガーとしてイギリスの写真家/ビデオ作家、Sam Taylor-Woodをフィーチャーしている。

2.
それは今までレコーディングされた中で最も奇妙なデュエットの1つ。

3.
実際にはポルノグラフィーであるので、それはたぶん私が母に聞かせたくない唯一のPSBのトラックだ。

 フランスのシンガーソングライター、セルジュ・ゲーンズブールによって書かれ、オリジナルのレコーディングは1986年までリリースされないままだったゲーンズブールとブリジット・バルドーの1967年のデュエットだ。最初のリリースされたバージョンは1969年の女優のジェーン・バーキンとゲーンズブールのデュエットだった。 イギリスではナンバー1ヒットだったにもかかわらず(または、だからこそ)、明らかに性的な内容のための世界中の多くの国で広く発売禁止になった。以来それは多くのアーティストにカバーされているが、1978年の「Thank God It's Friday」のサウンドトラックのドナ・サマーとジョルジオ・モルダーによるものがもっとも有名だろう。

 オリジナルやほとんどすべてのカヴァー・バージョンのように、PSBバージョンも異性愛者だ。まあ、ある意味では、だけど。 ご存知のように、Sam Taylor-Wood(いままで知らなかったあなたのために言うが)女性だ。そして、伝えられるところによれば、デュエットの声は、マッキントッシュのコンピューターだ。みんなは変装したクリス・ロウだと疑うかもしれないが。この2番目の声は人間の男性よりも、機械や宇宙人のように聞こえ、ずっしりとひずみのある一本調子で表される。したがって、ささやき、喘ぐ、ミセスTaylor-Woodと、無表情なマシン/エイリアンが繰り返して挑発的な歌詞を交換する。「私/あなたは行く、私/あなたが、あなたの/私の中に来る」 (だれがそれを言っているかによる代名詞のシフト)で、「私たちの愛は罪の意識がない」のように、2,3の他のセンテンスで、余分に投げかけられている。それはすべて、「I'm coming!」という無我夢中のうめき声の中で崩壊する前に、女性があえいでオルガズムのクライマックスと言うことができるものまで組み立てられる

 それで、これは何を言いたいのか? 本当に、それは異性愛者の情熱の激情への賞賛なのか? しかし、なぜ男性ボーカルの風変りな扱いを? このトラックは、実際に異性愛を意味するのか?それか、異性愛の関係において、女性との関係で男を機械かエイリアンとみなす、一般的な男役のパロディなのか?自分たちで都合のいい判決を下すのは、リスナー次第だ。

 ボーイズがこの歌をやるずっと前から、タイトルの英語の意味に関しては思惑があった。 "Je t'aime"は明らかに「I love you」だ。そこは問題ない。 しかし、難題は「moi non plus」にある。文字通り翻訳すると、「me not more,(私はそれ以上でない) 」だが、熟語が確実にかかわっている。それはさまざまに訳される。文字通り、完全に満足できるように思える「me not more,"(私はそれ以上でない)」と同様に、「either me,(私は違う)」 「me neither,(私も違う)」「neither do I,(私はそうしない)」「nor do I(私もそうしない)」など。ゲーンズブールはフランス語のしゃれがナンセンスだと悪名高い。彼はかつて、歌のタイトルは、Salvador DaliPablo Picassoと自分を比較する際に語ったものを真似たものであるとインタビュアーに言った。「ピカソは天才・・・私は、もっとそうだ。 ピカソはスペイン人・・・私はもっとそうだ。ピカソはコミュニスト・・・私も違う。」 したがって、「私はあなたを愛している・・・私も違う」は、 たぶん大部分はゲーンズブールの意図に正確な訳だろう。しかしながら、ペット・ショップ・ボーイズは、より賢明にそれを翻訳する。「I love you ・・・ but not more than me.(愛している・・・しかし私が愛するより愛していない)」。 もちろん、また、英語のその特定の意味も解釈は広く開かれている。いろいろに考えて欲しい。
 

 

 
 アンオフィシャルビデオ(You Tube)





イメージビデオ(ゲーンズブール&ジェーン・バーキンのバージョン)(You Tube)




★用語・人物メモ★

Je t'aime ... moi non plus」・・・フランスのセルジュ・ゲーンズブールの映画とその同名主題歌。当時恋人で主演女優のジェーン・バーキンが女性ボーカル(ブリジット・バルドーのために書かれた)、ゲーンズブールがバッキング・コーラス。
映画は、ジョー・ダレッサンドロ演じるトラック・ドライバーとそのゲイの恋人がたまたま寂れたドライブ・インに立ち寄る。そこのボーイッシュな娘(バーキン)は彼に惚れるが、ゲイだという事実を知る。しかし彼女は諦めず、彼に身を捧げる。これはハッピーな愛の物語ではなく、愛情などカケラも介さない男女の痛々しい不毛のセックスの物語。だから女が「Je t'aime(愛している)」と言っても、男は「moi non plus(俺も違う)」という掛け合いになる。
男性カップルはPSB「Track driver and his mateの元ネタだと思われる。

Serge Gainsbourgセルジュ・ゲーンズブール(1928-1991)・・・フランスを代表するカリスマ的歌手・俳優。ロシア系。フランス・ギャルの「夢見るシャンソン人形」を作詞作曲、日本でも大ヒット。さまざまな女性と恋愛関係に。有名なのがバーキン(結婚・離婚)とバルドー(不倫)。心臓発作で死去。

Sam Taylor-Wood(1967-)・・・イギリスの女流写真家。PSBとはスタジオをシェアしていて、仲がいい。これまでに写真家としてPSBの「Somewhere」の舞台装置の映像作品、「Numb」のジャケットなどを手がけている。シンガーとしては“Kiki kokoaとしてドナ・サマーの「Love to love you baby」をカバー、2008年秋にザ・パッションのカバー「I'm in love with a German film star」をリリース(いずれもPSBプロデュース)。アート・ディーラーの夫とは2008年9月に離婚。

Thank God It's Friday」・・・1987年のアメリカの映画。日本未公開。挿入歌であるドナ・サマーの「Je taime」のビデオ(音源)はこちら

サルバドール・ダリSalvador
Domingo Felipe Jacinto Dalí Domenech (1904-1989)・・・スペイン・フィゲラス生まれの画家。天才で愛妻家で奇人のアーティスト。

パブロ・ピカソPablo
Pablo, Diego, José, Francisco de Paula, Juan Nepomuceno, María de los Remedios, Crispin, Cripriano, de la Santísima Trinidad Ruiz y Picasso(1881-1973)・・・スペイン・マラガ生まれの芸術家。20世紀最大のアーティストの一人。

 




 歌詞は、公式サイトになかったので、他のサイトから取りました。オリジナルの仏語を英語にだいたい直したものだと思います(それにしても、ほぼエロい内容なので、訳しづらいって)

 ちなみにフランス語をかじった人間から言うと、肯定文の後の「moi, non plus」というのは文法的には間違っていて、肯定文に肯定の答えをするなら「moi, aussi」、肯定文の後に否定の答えをするなら「non plus」となるため、「moi, non plus」は肯定と否定の2つが混ざっているのです。あえて日本語訳するなら「僕も、そうじゃない」になります。

 しかし、なぜこの問題作をPSBが取り上げる・・・って、男がゲイだからだと思うが、PSBバージョンの男性ボーカルは明かされていない (上の歌詞には、男性ボーカルの“ささやき”の多くが記されていないのだが・・・)



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