PLEASE2-5

Jack the lad



クリス:なんてセクシーなタイトルなんだろう
(
一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください


砂漠のロレンス
彼はどのようにして知ったのか
国に戻った男たちからの
これほど多くの圧力の下で
火遊びするなら、君は狂っている
ただの若者ジャックだろう?
銃を弄ぶなら、君は悪い子だ
それとも何か隠しているのか?ジャック

公然に嘘を言う
家では掟破り
毛布の下では
別の役目
嘘をつくなら君は狂っている
ただの若者ジャックだろう?
毎晩豹たちにご馳走をやる
気をつけないと、ジャック

彼らに君を拘束させないで
これは君の唯一の信仰
彼らに君を引き止めさせないで
君だけが愚かじゃない
僕らはみな失敗する、僕でさえ、若者ジャック
僕らはみな失敗する、若者ジャックですら失敗する

砂漠のフィルビー
電話を探す
舗道で待っている
家からの呼び出しを
火遊びするなら、君は狂っている
ただの若者ジャックだろう?
友達に背を向けるなら
彼らは君を傷つけるよ、ジャック

彼らに君を拘束させないで
これは君の唯一の信仰
彼らに君を引き止めさせないで
君だけが愚かじゃない
僕らはみな失敗する、若者ジャックですら
僕らはみな失敗する、若者ジャックですら失敗する


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Pet Shop Boys and David Jacob

 


ニール:それはエリック・サティの「3つのジムノペディ」の1つの模倣から始まる。 僕たちはニール盤とクリス盤を「Suburbia」のシングルにするアイデアがあった。クリス盤は「Paninaro」で、僕のはこの曲だ。「Jack the lad」という歌のアイデアは、Big Audio Dynamiteの「E=MC2」という歌からきている。「E=MC2」は「West End girls」のコード・チェンジにすごく良く似ていて、「君は誰だと思う?−若者ジャック?」という、「Performance」の映像からのサンプルがある。僕はそのとき、アラビアのロレンスとスパイのキム・フィルビーの本を読んでいて、彼らは度を越しすぎた人々で、偽証を実行する人々だ。2番の歌詞は、アラビアのロレンスが同性愛者だったらしいという事実を指す・・・「Telling lies in public/Breaking codes at home/Underneath the blankets・・・」の部分。「ただの若者ジャックだろう?」というのは「君は何に困っているの?」ということだ。「豹たちにご馳走をやる」は、オスカー・ワイルドからの引用で、彼が男娼たちと外出する時はいつも非常に危険で、それが彼のすべてを破壊しかねなかったので、ヒョウとごちそうを食べることに似ていると言った・・・で、当然ながらそうなった。アラビアのロレンス、オスカー・ワイルド、3番の歌詞のキム・フィルビー・・・彼らはそれぞれが、有名人として生きたけど、同時期に別の人生を送った。歌は、彼らがなぜそれをしているかを尋ねている。 それは虚勢のためだけなんじゃないのか?「ただの若者ジャックだろう?」とか、別の暗示「彼らが君を傷つけるに違いない、ジャック」とか。それは、君が彼らを裏切るのは、上流階級の人々の仲間に対する一種の怒りなのだろうか?ある意味では一種の反虚勢歌だ。感じている怒り全てに折合いをつけたらどうか、と言っている。「僕らはみな失敗する」・・・みんな間違いを犯す。「これは君の唯一の信仰」は、抑制されないのが彼らの人生の主なポイントになったと示唆している。 決してそうならないために、成長してほしい、そして、責任に直面してほしい。 僕はちょっと自分のためにも言っているんだ。

 (
以上、2001年ブックレットより)




★用語・人物メモ★

Jack the lad・・・“Jack”はアメリカで言うところの“John”、フランスで言うところの“Jean”、日本で言うところの“太郎”、つまり匿名的に男性を指す。この場合も固有名詞というより、一般的な若い男性のこと。イギリスに同名のフォークグループ(1973年結成)もいる。セクシーなタイトルなのかは・・・よくわからない。

砂漠のロレンス・・・Thomas Edward Lawrence(1888-1926)・・・イギリス軍人。オスマン帝国(トルコ)に対するアラブ人の反乱(アラブ反乱)を支援し、その成功に貢献した。映画にもなった「アラビアのロレンス」として有名。46歳でオートバイ事故死。

砂漠のフィルビー・・・Kim Philby(1922-1988)・・・本名
Harold Adrian Russell Philby英国とソ連の二重スパイ。大学時代にマルクス主義にかぶれ、英国諜報部MI6で働くが、後にソ連に亡命、KGBで働いた。

エリック・サティ(1866-1925)・・・フランスの作曲家。生前は異端児として社会的評価はあまり高くなかったようだが、ドビュッシーやラヴェルなどの印象主義の作曲家からはリスペクトされて来た。また、20世紀後半になって一般に広く知られるようになり、評価が高くなった。「3つのジムノペディ(Trois Gymnopedies)」は1888年作、サティの代表的ピアノ曲。1番と3番はドビュッシーが管弦楽曲に編曲している。パリ郊外オンフルールにサティの家が公開されている。

Big Audio Dynamite
・・・元クラッシュのミック・ジョーンズのバンド。1984年結成。後にBig Audio DynamiteU、さらにBig Audioと名前を変える。「E=MC2」は1986年のシングル。

Performance」・・・1970年公開の映画。ドナルド・キャメル/ニコラス・ローグ監督、ミック・ジャガー主演。「E=MC2」のPVはこの映画の会話を入れるなどのインスパイアをされている。

オスカー・ワイルド(1845-1900)・・・アイルランド生まれ、ロンドンに住み、パリで客死した作家。ワイルドがはっきりと同性愛を行動に出すのは、結婚もし、子供も出来、名声も得た、30代以降である。ニールはたびたびワイルドから引用する。ワイルドの伝記本にニールもかつて寄稿をしている。




 ニールらしい、とても美しい曲。わかりにくいリリックも、こうやって説明してもらえると納得です。でも、やっぱりニールがニールらしい所以は、文学的、政治的、かつ(若い)男性への渇望のようなもの・・・というのが良くわかる。



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