PLEASE1-5

Suburbia


suburbia


ニール:吠えている犬
(
一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください


サバービア
理想郷と郊外が交わる場所
理想郷と郊外が交わる場所

犬が走るメイン・ストリートで迷い
郊外の少年たちがうろつく
母親はヘアスタイルを整え
おもちゃで遊ぶ歳じゃない、と言う
この郊外の地獄で
フェルト・ペンを持ってバス停のそばに立つ
遠くでパトカーが
郊外の魅力を壊すように走る

乗って行こう
今夜は犬たちと走れ
郊外の街を
隠れることができない
今夜は犬たちと走れ
郊外の街を

タウンホールの窓をぶち破る
聞け!サイレンがうるさく鳴っている
遠くで郊外の夢を
点呼するように

乗って行こう
今夜は犬たちと走れ
郊外の街を
隠れることができない
今夜は犬たちと走れ
郊外の街を

僕はただ、ブラつく以外のことがしたいんだ
僕はただ、ブラつく以外のことがしたいんだ

新聞の一面に載っている
これは彼らの必要な時間
カラーテレビを誰かにとがめるなら
警官はどこにいるんだ?

乗って行こう
今夜は犬たちと走れ
郊外の街を
隠れることができない
今夜は犬たちと走れ
郊外の街を

サバービア
理想郷を満たした郊外
こんなに簡単に壊れる
一種の夢なのか?
僕たちは過去の罪を
非難する者なのか?
未来のスラム街なのか?
郊外は
理想郷を満たした郊外
サバービア
理想郷を満たした郊外


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Stephen Hague

 


ニール:EMIにサインした後に、僕たちは何か書くために、設備の全てが動かない、ターミナル・スタジオに入った。それで、僕たちは「Suburbia」と「Tonight is forever」を書いた。クリスは「Suburbia」の全部の音楽を書いた。

クリス:「Into The Groove」からインスパイアされた。ベースラインからだ。実際には同じなんだけど。歌は同じじゃない、ベースラインだけだ。

ニール:僕はその夜に作詞して、戻って、翌日にデモを終えた。 アルバムバージョンはほとんどデモに似ている。 僕は、それが驚くほど覚え易いと思った。

クリス:僕はつまらないと思った。

ニール:同じく。

クリス:それを許せるのは歌詞だ。

ニール:ハードな歌詞に、ソフトな旋律だ。ディスコっぽくない歌詞で、ディスコ・ミュージックを書くという僕らのアイデアだ。歌詞は、僕らが見た映画、Penelope Spheerisの「Suburbia」からインスパイアされた。僕が、郊外がいかに乱暴であるか、腐敗と混乱の歌を書くのは素晴らしいアイデアだと思った。それはグレアム・グリーンやポール・セローなどのようにイギリスの芸術、文学、音楽のテーマだ
郊外が本当に不快で、みんな、レースカーテンの後ろでは、アルコール中毒で乱暴もので、大量殺人鬼だ。 さらに、トクステスとブリクストンの暴動の時代だった。チェルシーの僕の家に来るために、ブリクストンの暴動を車で通り抜けさせなければならなくて、僕の友人たちがおびえていたのを覚えている。ブリクストンはビクトリア時代に栄えた郊外の街で、80年後に荒廃した市街になった。そして、暴動はバス停の周りをうろついていた子供たちとの言い争いから、警察が始められたという感じがあった。歌の犬は、完全に映画の犬の群れから来ている。クリスがトクステクに住んでいたとき、リヴァプールで暴動が起こったと僕に言ったのを覚えている。大きい犬が前にいて、小さい犬が後ろにいる、大きな犬の群れ。犬の噛まれるのは恐いね・・・僕の姉が一度犬に噛まれたことがあった。新聞配達員はいつも犬におびえている。彼らがドアを通って新聞を置くとき、紙を引き裂く音が聞こえる。暴力の脅威のシンボルだよ。それで、歌は暴動事件について説明する。中間では、僕たちがこの暴動を起きた理由をまとめている。「僕はただ、ブラつく以外のことがしたいんだ・・・」と。みんな退屈なんだ。テレビのレポートに任せてその後は、まさしく社会学のナンセンス、警察の役人がすべてをテレビのせいにする。人々はいつも言う。「必要なときに限って警察官が見当たらない」と。メディアは「カラーテレビを誰かにとがめるなら、警官はどこにいるんだ?」と言い、混乱させる。それから「これは彼らの必要な時間だ」と言う。仕事が必要な郊外の人々には時間の必要性はない。メディアにはナンセンスの重みについて話す語り手が必要だ。僕が子供の頃、僕の母はいつも毎週木曜日に髪を整えていたので、彼女についての「Mother's got her hairdo to be done」という引用を認めている。美容師のドミニクはゴシップをいつも彼女に話していた。

クリス:デモをしたとき、僕たちはちょうどエミュレーターに自動車事故のサンプルを発見した。

ニール:いたるところにあった。僕たちはスティーブン・ヒューグと、そういうことや、たくさんのオーケストラ・ヒットのサンプルでいつも口論していた。彼はいつも「いいか、すごくたくさんのオーケストラ・ヒットがあるけど、すごく騒々しくなるから、このトラックには、オーケストラ・ヒットの50パーセントを採用する。」と言っていた。元々そこには自動車事故のソロがあった。僕らは、映画の暴動のノイズと、同じ頃ヒットしていた「Axel F」から影響された高いキーボード音を使った。アルバム全体で10週間しか時間がなかったので、このトラックには長い時間を取れなかった。僕らはいつもこの曲は大急ぎだったと思う。「Please」が発売されて、ファンのみんなや家族は、「Suburbia」はシングルにすべきだといった。僕らはその時点ではいつも通りに受け流した。それから、シングルとして、トム・ワトキンスが推薦したジュリアン・メンデルソーンと再レコーディングすることに決めた。ジュリアンは「Relax」をミックスしていて、彼はキーボード・プログラマーのアンディ・リチャーズを連れて入った。彼は、トレヴァー・ホーンのレコードの一部で仕事していて、僕らはいつも信じられないほどトレヴァー・ホーンに感動していたので、リチャーズに非常に感動した。僕らはニュー・バージョンはもっと映画的にしようと決めていた。アンディ・リチャードはシンセ・ラインをとって、ホーン・セクションの音を入れた。ニュー・バージョンは犬がいる。僕らは犬のサンプルをアップした。基本的に7インチを編集した12インチ・バージョン(the full horror)の「Suburbia」は、もっと叙情的だ。とても「Diamond Dogs」的で、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド的だ。特に「
理想郷と郊外が交わる場所」という部分が。ところで、「suburbia」はという言葉は、「suburb」と「utopia」から来ているんだよね。最後にたくさんの爆弾が発射される。郊外全体が、暴動で一気に破壊されている。12インチはダンスのためにはミックスされなかった。サーム・ウエスト・2でガラスの割れる音をレコーディングした。いいガラスの割れるサンプル音が見つからなかったからね。僕らはガラス窓を入手して、アシスタントが割った。半分はレンガでだったと思う。

クリス:何度か試した。

 (
以上、2001年ブックレットより)


 


ニール:このアルバムからの2曲目、「サバービア」。誰かが間違ってvideo mixと記載してしまった、ビデオのほうがイントロが長いんだ。同時に全ビデオを収録したDVDも出すことになっていたからそれ用にビデオ・ミックスを残しておいたんだ、イントロが長いやつね。すごくクールなんだよ。その2つは微妙に違うんだけど、そっちのほうは通常の7インチ・シングルになった。僕たちの楽曲にはジャーナリスティックな感覚が込められたものも多い。そう皆忘れちゃっただろうな。80年代半ばにブリクストンで2度の暴動が起きたこと。あの頃感じていたフラストレーション、警察に追い立てを喰らった事とか、時代の退屈さとカ。何もかも。貧困と富の対比とかね。そういった全てが、「サバービア」にインスピレーションを与えたんだ。書いたのは・・・確か1984年、ブリクストンで2度の暴動が起きた年。ぶつかり合う音やパトカーの音は、全部その時のものだ。TV報道のすぐ後であの曲を書いたんだ。

 (以上、2003年「POPART」ブックレットより)


 

プロモーションビデオ(You Tube)




TVライブ(1994年)(You Tube)



DiscoVeryツアー中にアルゼンチンのTV出演時。インタビューとアコースティックライブ。

1986
年シングルはUKチャート最高8位



ニール:ロスだ
クリス:アルマーニのコート
ニール:ブランドは忘れない
―本当に犬と格闘を?
クリス:いや
ニール:クリスは逃げ回っていた
クリス:犬が恐くてね・・・イギリスだ
―ここはどこ
ニール:ロス郊外の小さな町だ。郊外のイメージで、監督と意見が割れた。監督は美しい地区を撮りたがっていたが、僕らはこの労働者階級の地区にこだわった。・・・映像マジックで場面が転換する
クリス:明るさが変わる
―見事だ
ニール:デビッド・オールトンがこのビデオに出ている
クリス:ペットがいる家だ
ニール:ギルバート&ジョージ風に撮ったんだ
―いいね。後で数字が出る
ニール:再びロスだ
クリス:廃棄バスを使った
ニール:窓に落書きがあった
クリス:楽しそうだ
ニール:未来を暗示している
―あの箱の何の意味が?
ニール:コメントに困る
クリス: 演技するぞ!気をつけろ
ニール:このスーツは悪くない
―似合っているね
ニール:またアルマーニだ
クリス:この作品でも歩いている
ニール:クリスが僕の前を歩いている
―コレクターズ・アイテム!
ニール:すごく珍しい
クリス:隠された狂気?
ニール:そうだな
クリス:さっきのビデオだ
ニール:表情がいい
クリス:いいポーズだ
ニール:良くないよ
ロスとイギリスを使ったわけは?
ニール:好対照だからかな
クリス:いいソファだ。犬も
ニール:かわいい犬だった。よく訓練されてたよ。脇でトレーナーが肉を手にしていた。ホラ、取りにいくぞ
―自分たちのビデオだ
ニール:あのガウンは撮影日にファンから届いた
―それで着たんだ
ニール:80年代的な行為だ。スローモーションは断った。そそる目だろ
ニール:ものであふれている

聞き手―クリス・ヒース

 (
以上、2003POPART/DVDコメントより) PV監督・・・Erick Watson

 

 

★用語・人物メモ★

Into The Groove」・・・マドンナの4枚目のシングル。1885年リリース。

Penelope Spheeris(1945-)
の「Suburbia(1984)・・・アメリカの女性映画監督。映画は舞台を元にしたパンク映画で、日本未公開。レッチリのベーシスト、フリーがパンク少年役で出演している。

トクステス・・・Toxteth・・・リバプール郊外の町

ブリクストンの暴動・・・ブリクストンはロンドンの南に位置し、アフリカ系の移民の町。1981年と1984年に起きた黒人系住民対警察の暴動は、いずれも人種差別が原因で起こっている。

グレアム・グリーン(1904-1991)・・・
Graham Greene・・・イギリスの作家、映画評論家。代表作は「第3の男」。

ポール・セロー(1945-)・・・
Paul Theroux・・・アメリカのトラベル・ライター、小説家。

チェルシー・・・かつて文豪や有名人(オスカー・ワイルドとか)も住んだ、ロンドンの高級住宅街。北はキングス・ロードから南はテムズ川までのあたりを言う。チェルシー・フラワー・ショー、チェルシー・アンティーク・マーケットなどのイベントも有名。

Axel F」・・・ハロルド・ファルターメイヤー(PSBのとの仕事も多数)によるインスト・シングル。1987年リリース。エディ・マーフィーの映画「ビバリーヒルズ・コップ」のテーマ曲。

ジュリアン・メンデルソーン・・・クイーンなどを手がける。PSBのアルバム「DISCO」「BILINGUAL」などのプロデューサー。

トレヴァー・ホーン(1949-)・・・「バグルズ」「イエス」の元メンバーで、ソロ後はプロデューサーとしての才能を発揮。アート・オフ・ノイズ、ベル&セバスチャン、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド、タトゥー、などを手がける。PSBのシングル「Left to my own devices」「It
s alright」とアルバム「Fundamental」を製作。ZTTレーベル、サーム・スタジオを所有。

Diamond Dogs」・・・デビッド・ボウイの1974年の7枚目のアルバムおよびシングル。

フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド・・・1980年、トレヴァー・ホーンのZTTレーベルからデビュー。ジョン・ボーナムのドラムをサンプリングした「Relax」は最大のヒット曲だが、歌詞の内容はゲイのセックス、PVはあからさまなSMだったため、各地で放送禁止に。日本では「ココリコミラクルタイプ」のオープニングで使われたので、ほとんどの人が聞いたことがあると思う・・・英語のわからない平和な国です。すでに解散しているが、2005年のトレヴァー・ホーンの25周年記念コンサート(PSBも出演:CDDVDになっている)で一時的に再結成している。ヴォーカルのホリー・ジョンソンはオープンリー・ゲイ。

ギルバート&ジョージ・・・
ギルバート・プロッシュGilbert Proeschイタリア出身、1943-)とジョージ・パサモアGeorge Passmoreイギリス出身、1942-)の二人組のアートユニット。常にパンクでスキャンダラスな作品を発表し続けている。ゲイ・カップルということになっているが、本当のところは不明。





この曲はすごく音楽が印象的だった。初めて聞いたのに一度聞いたら忘れられないようなキャッチーさ。プロっぽい“音運び”で、かつ聞きやすい。こういうのを聞くとやっぱりクリスは天才だなあ、って思う。まあ、歌詞はロマンチックな方向じゃなくて、時代の怒りやイライラ感なので、「うっとり」より「アゲアゲ」なのだけど。歩いたり走ったり運動するのに最適な曲。



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