RELEASE1-3


Birthday boy

 


原文歌詞はこちらでご確認ください




バースディ・ボーイ
説明はできないけど
クリスマスイブに
彼は生まれ変わる

線路の上の
壊れた列車
どこにも行くことができない
エンドレスの雨

バースディ・ボーイ
とても恐れている
アーケードのゲームマシンで
遊んでいる

ベイビー、君は覚えている?
彼は以前にも同じ思いをしていた
夏の間
何もせず
この街の全ての非難を受けて
計算をしても
痛みから
哀れみが生まれる
クリスマスイブは
楽しい時間
もし君が
バースディ・ボーイを信じるのなら

この時
全ては間違っていた
彼は欺かれたのか
ジョークか、フェイクか?

ベイビー、君は覚えている?
彼は以前にも同じ思いをしていた
夏の間
何もせず
この街の全ての非難を受けて
計算をしても
痛みから
哀れみが生まれる

もし君が彼の名前を知っていたとしても
同じ思いだったかい?
彼の名前を知っていたらどうだった?

バースディ・ボーイ
もうすぐ始まる
ドラマのために
存在している

突然の裏切り行為
迅速な裁判
前のような
完全な否認

ベイビー、君は覚えている?
彼は以前にも同じ思いをしていた
夏の間
何もせず
この街の全ての非難を受けて
計算をしても
痛みから
哀れみが生まれる

もし君が彼の名前を知っていたとしても
同じ思いだったかい?


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Pet Shop Boys


Q.バースディ・ボーイ

ニール:そうだな、“バースディ・ボーイ”はまた・・・クリスがあるコード進行を作って、それから僕らは長いこと曲に時間を割いていたんだ。僕は歌詞についてのアイデアが全く浮かんでいなかったんだけど、ある時クリスが新聞を手にしてこういったんだよ。「“バースディ・ボーイ”ってタイトルが浮かんだんだ。」って。その“バースディ・ボーイ”っていう見出しは、ちょうどそれがマイケル・オーウェンの誕生日だったからなんだ。それで僕は即座にバースディ・ボーイで行こうって思って、そう言った。イエス・キリストのことが思い浮かんだんだよ。多分クリスマスが近かったせいだと思うんだけど、イエス・キリストを、クリスマスに誕生日を迎える人って風にとらえていたんだよね。でも僕は、ロンドンで人種差別主義者たちによって殺されたスティーヴン・ローレンスやアメリカで同性愛差別主義者によって殺されたゲイの少年、マシュー・シェパードの悲惨な事件についても考えていた。そして次々に湧き上がる怒りが、人々の姿勢や法律すらも変えてしまったことについても考えていた。ロンドンの警察は、スティーヴン・ローレンス殺害事件によって変わったよ。彼らはある意味、キリストのような存在になったんだ。彼らは我々の罪のために命を落とした。そして彼らの死によって、世界は変わった。まるでイエス・キリストがそうしたようにね。それからこの曲は、映画のような構造になっているんだ。物語がだんだん展開していくんだけど(主人公である)誕生日を迎えるその少年は恐怖を感じていて人生の最期の瞬間に、自分に何が起ころうとしているかを知る。何が起きようとしているかに気づくんだ。まるでイエス・キリストが十字架に架けられ、「主よ、主よ、私を見捨て給うな」と言った時のようにね。その瞬間のことなんだよ。そして同時にまた、それがTVで報道されているのを見ている人たちがいる。「ああ、覚えているかい?我々は前にも同じ経験をしている」って言いながらね。そこで聴き手は違った視点から見ることが出来る。でもこれはある種、TVドキュメンタリーみたいに展開してくと思う。ある意味、真実を描いた曲だと思うよ。僕はその観点が気の滅入るようなものだとは思わないし、単に実際起きたことを説明しているだけなんだ、ほんと。寒々しいとは思わない、本当のことなんだ。

 (
以上、2002EMIブックレットより)


 

イメージビデオ(アンオフシャル)(You Tube)



(
Here」とコラボ)

 


★用語・人物メモ★

マイケル・オーウェン(1979-)・・・現在イングランド・プレミアリーグのニューカッスルユナイテッド所属のサッカー選手。イングランド代表。あだ名はワンダー・ボーイ。誕生日は1214日である。

スティーヴン・ローレンス(1974-1993)・・・南西ロンドンに住んでいたジャマイカ系の少年。1993422日、人種差別のヘイト・クライムにより、バス停留所で殺害された。

マシュー・シェパード(1997-1998)・・・1998106日、アメリカ・ワイオミング・ララミーの路上で殺害された。大学生だったマシューはオープンリー・ゲイで、やはりヘイト・クライムだった。
マシュー・シェパードの事件は『The Laramie Project』、『The Matthew Shepard Story』という映画にもなっている。




 この曲は恐らく、はっきりした日付が出てくる唯一の歌かもしれない。しかも誕生日の1224日、クリスマス・イヴに、ヘイト・クライムによって殺される少年の話とうい、悲惨な歌である。でも、ニールは彼らの痛みを自分の痛みと共有せざるを得なかったに違いない。だから、アルバムの曲はみんなニールが弾いたギターをジョニー・マーが弾いたものに後から変えているけど、この曲だけはニールが弾いたギターのままになっている。ある意味、生きることの不器用さを感じさせる演出だと思う。



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