RELEASE1-5

E-mail

 


原文歌詞はこちらでご確認ください



コミュニケーションは
今では難しいことじゃない
君がはるか遠くに行ってしまっても
「愛している」ってメールを送ってくれたら
僕はハッピーな気分になれる
I LOVE YOU」って送ってくれたら
メールを送ってくれ
「愛している」と

いま、時間と時差を超えて
溶け合っている
デジタルは手間取らない
僕らはお互い照れ屋だから
言うより書いたほうがいい
僕にメールを送ってくれ
「愛している」というメール
I LOVE YOU」って言ってくれ
メールを送ってくれ
「愛している」と
他からの誘惑もたくさんあると思う
君の生活をこれ以上
複雑にしたくないけど
僕は君にメールを送っている
「愛している」ってメール
I LOVE YOU」というメール

今、この家には幻がいる
君が今夜
僕の前にいるという幻
君の写真を見て、君を思っている
僕は飛行機に飛び乗って
君にいる場所に向かい
君を驚かせたい
でも、僕にそばいてほしいかな?
僕は不安になる
もし君が僕に「愛している」って
メールを送ってくれたら
僕は落ち着くんだ
I LOVE YOU」って送ってくれたら
「愛してる」って一言でいいんだ
メールを送ってくれ
「愛している」と


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Pet Shop Boys


Q.Eメール

ニール:ある日、こんなことを考えたんだ。歌詞についていえば、これまで誰も(笑)Eメールについてのラヴ・ソングを描いてなかったなって。アルバムの冒頭の“ホーム・アンド・ドライ”に少し似ているんだけど。これは離れ離れになっていること、そしてEメールを通じてコミュニケーションをすることについての曲で、繰り返しの部分はこうなんだ「僕にEメールを送ってくれ/“愛してる”って」。人って時々、普段は面と向かっていえないことをEメールの中では言えたりする。そして何かそういうことを書き、送信ボタンを押した瞬間、「ああ、とうとう送ってしまった!」って。そういうことってあるよね。

クリス:間違った相手に送信してしまったりね。

ニール:ああ、僕も一度経験ある()!んー、Eメールだといえることって言うのはつまり・・・、この曲では、普段恥ずかしくていえないようなこと・・・残念ながら今その言葉は思い出せないんだけど・・・を、Eメールだと言えるってことを歌っているんだ。実際の日常生活では恥ずかしくていえないことをね。それってホントだと思う。Eメールのおかげで、ある意味人生が自由になれた部分ってあると思うんだ。同時に、面と向かっていえないような酷いことも言えたりするんだけどね。より縛られていない感じがするんだよ、Eメールでは。

Q.“ウエスト・エンド・ガールズ”のイントロ

クリス:そうだなあ、僕らはいつも、同じコード進行で違った曲を書ける人たちのことを尊敬してきたんだ。それこそが本物の才能だからね。僕らが始めてボビー・Oと仕事したとき、僕らが感銘を受けたのは、彼のバッキング・トラックが全てみな同じであるのに、彼はそのうえに全く違った曲を乗せて仕上げてるって事なんだ。それからもちろん、ロックンロールは常にコードを3つとかだけしか使っていないしさ。でも能力というのは、新しいメロディを生み出すことをいう。それこそが真の才能なんだ。
 
ニール:それにまた、自分がどれだけそのコード進行に思い入れがあるかってことも大事だよね。このコード進行はとても微妙なんだ。僕らはこれを、あるロサンジェルスのヒップ・ホップのプロデューサーに聞かせてみた。彼はDr.ドレーと仕事した人なんだけど、彼はこう言ったよ。「こいつはずいぶんタイトなコード進行だな。すごくタイトだ。」って。そんな風にしてコードを音階化させる。そしてああいった形に仕上がったんだ。元々は
ウエスト・エンド・ガールズと呼ばれている部分を切り離した。もともとはそれは単なるパーツでしかなかったんだけど、コーラスの流れの中で聞くとそう思えないだろうね。

Q.インターネット

クリス:うん、今では誰もが利用しているよね。実際辞書的な部分だけで考えても、かなり便利なものだし。シャーロック(マックの検索ソフト)を使ってみると、ただクリックするだけでいいんだよね。それだけであらゆる情報が手に入るんだから驚きだよ。英国航のフライトがいつロンドンに到着するのかを調べたり、んー、インターネット・バンキングをしたり、僕はそういうときに利用する。実際、・・・ネットのおかげでどれだけ生活がシンプルなものになったかを考えると、驚かされるよ。光熱費や買い物の支払いとか、そういうやつ。僕はけっこう利用しているんだ。最初はすごく抵抗があったんだけど、でも今は当たり前に存在するものだし、便利だしね。
 
ニール:僕は、今インターネットが重要視されすぎてると感じているよ。まるで電話が発明されたばかりの頃、誰もがそのことで熱くなってた時代のようにね。それはコミュニケーションの手段の一つなんだ。ネットからはよい副産物が生まれたと思うし、人々の間に手紙をやり取りするという習慣を復活させたよね。今、人々は互いにメールを出し合っているけど、これは2030年前までやってたことだよね。しょっちゅう相手にはがきを書き送ったりして「金曜日の6時半、パブ“ドッグ&フォックス”で会おう」とか伝えたりしていた。その習慣はその後途絶えてしまったけど、今また人々はEメールを送ることによって、自分たちの生活を記録している。かなり興味深いよ。研究者たちは、とても喜んでいるだろうね。なぜなら誰かのバイオグラフィーを書くことになった場合、手紙を全然やり取りしていない世代もあるんだしさ。今はまた、手紙世代が戻ってきたからね。何千何万というEメールが、バイオグラフィーの資料として残っているんだ。人々の暮らしが再びそんな風になったって事は、とても興味深いよ。

 例えばもし、ヴィクトリア時代に生きた人のバイオグラフィーを執筆する場合、あの時代の人々はとんでもない数の手紙をやり取りしていたからね。彼らは一日中でも机に向かって手紙を書いたり、はがきを書いたりしていたんだ。それから時が経ち、1950年代に人々は手紙を書くことをやめてしまった。またその周囲の人も、特に意識していない限り手紙をとっておいたりもしないし・・・。たいていの用事は電話で済ませてしまっていたからさ。それがEメールによって昔の習慣が復活したんだ。とても面白いと思うよ。

クリス:でもそれには悪い面もあるよね。Eメールでいろんなゴシップやくだらない噂が広まったりしているし。
 
ニール:つまり・・・。

クリス:それを取り締まる法律とかが何も整備されていないから、人々は何でも好きなことを書いてもいいと思っている。それがすごくイライラするんだよ。それを呼んだ人は、全部本当のことだと信じてしまう。例えば僕らのケースでは、僕らが知らないところで誰かがファンたちの間に、僕らに関するゴシップを広めたりすることも出来るってこと。またそれを僕らがチェックすることも出来るから、内容を知ってすごく嫌な思いをすることもあるんだ。
 
ニール:以前は僕も、ホームページをいくつか見ていたよ。僕らについてのチャットとかあるでしょ。でもそういうことはもうしていないな。出来ないんだよ。アタマがどうにかなってしまうから。自分について、人々がくだらないで間を語り合っていて、誰かが恐ろしいゴシップを流し始める。すると今度は、それを元に、人々が自分のことを判断し始めるんだ。そんなホームページをこれでもかこれでもかと見ていたら、いい加減アタマが・・・もう、文字通りおかしくなってしまう。実際ね。だから僕は自分に関するホームページは見ないんだ。

 またもうひとつの悪い面をあげるとすれば、ある意味アーティストとして、レコーディング作品を創るアーティストとして、自分の好きなように自分の曲や音楽をリリースするという、自由だとか決定権が侵害されるという展がある。なぜかというと、現在起きている事というのは、究極的には自分の作品が盗まれ、インターネットで流されるという状況なんだ。シングルをリリースするということを重要イベントとして行うのは、もう不可能になっている。「ホーム・アンド・ドライ」のリリースをイベント化することは出来ないんだ。ラジオなりテレビなりの番組で誰某がその曲を初公開する、そんなことはもうたいした問題じゃないすでにインターネットで聴けるんだからね。アルバムの全曲が、さまざまな形でインターネット上にアップされているんだ。それは本当に恨めしく思っているよ。自分が作家なら、そういうことは起きないんだけどね。映画を製作しているなら、技術が発達すればありえるかもしれない。でも音源を盗むという展では、インターネットはものすごいスピードで発展しているし、やり口も巧妙になっていると思う。すでに発表している作品に関してはそれほど気にしていないんだ。もうリリース済みのものに関してはね。それらは自分でリリースすることに決めたんだから。僕が憤慨しているのは、いつどんな方法で自分がそれを発表するかという、アーティストとしての決定権が奪われてしまったということ。それはジャーナリストなのかレコード会社の誰かなのか、ともかくそういう人によってインターネットに載せられることにより、奪われてしまっているということ。僕自身には選択の余地が与えられていないんだ。未完成のデモ集なんて、必ずしも世に出したくないよね。だから気をつけなくちゃいけない。そういう気持ちになるのもイヤなんだ。ある意味恨んでいるよ。ブートレッグ(海賊版)はいつの時代にも存在していたけど、今は本当に簡単だからね。ただ自分のコンピューターのHDにCDをセットして、それでOKなんだから。だから情報伝達の自由というのは、実際プライバシーの侵害と表裏一体なんだよね。事実これは、僕らがこの仕事についてからずっと気を配ってきたプライバシーの領域に当たるんだよ。インターネットの問題は。それに人々は嘘を広めて、それを元に人を判断したりするからね。

 (
以上、2002EMIブックレットより)


 

プロモーションビデオ(You Tube)
I get along / E-mail

 

 


★用語・人物メモ★

Dr.ドレー(1965-)・・・本名アンドレ・ロメル・ヤング。エミネムを売り出した音楽プロデューサーとして有名。

パブ“ドッグ&フォックス”・・・ロンドン南西ウィンブルドンに実在。
24 High Street,Wimbledon Village






 ある意味「Home and dry」とセットになっている、遠くにいる恋人へのラブソングEメールと言う(2001年に書くならば)最新ツールをテーマに選ぶ、ある種の若さとミーハーさvs永遠に変わることのない、オールド・ファッションでベタとも言うべき愛しい人への思いというPSBらしい2大テーマがキモだ。曲は、ちょっと切ないね。まるで寒い日の夕暮れ・・・しかも河原ね。あの鼻にツーンと来るようなノスタルジックな原風景を、どんなにノスタルジックを狙った映画や映像より、ワタシに感じさせてくれる曲だ。これって、昭和?でも、イギリス人が作ったのに。なにか人類のDNAに組み込まれているスイッチなんじゃなかろうか。PSBはそのスイッチのボタンを押しちゃうんだよね、いっつも。



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