RELEASE1-4

London

london

 


原文歌詞はこちらでご確認ください



僕たちは遠い北からやってきた
クリミアで夏を過ごし
軍から逃げ出して
行方をくらまさなければならなかった
チャーター便で
自由な”西”にやってきたんだ
戦っていた相手を
見るために

僕たちはロンドンにいた
「さあ、やろう、法律なんか関係ない」
僕たちはロンドンにいた
そういうふうに話すよ
僕たちはロンドンにいた
そういうふうに話すよ

ハードワークの仕事を探すか
クレジットカード詐欺
僕たちに何を期待しているのさ?
僕たちは
工事現場に新しい仕事を求めて
外国から来たんだ
とても辛いと思うけど
僕たちは戦っていた
僕たちはロンドンにいた
「さあ、やろう、法律なんか関係ない」
僕たちはロンドンにいた
そういうふうに話すよ
僕たちはロンドンにいた
「さあ、やろう、法律なんか関係ない」
僕たちはロンドンにいた
そういうふうに話すよ

僕の父さんは、アフガニスタンで戦っていた
未亡人の年金じゃとても暮らせて行けない
僕の母さんは仕事から帰り、家では泣いている
僕は死ぬ前に生きていたい

僕たちはロンドンにいた
「さあ、やろう、法律なんか関係ない」
僕たちはロンドンにいた
そういうふうに話すよ
僕たちはロンドンにいた
そういうふうに話すよ


Written by Neil Tennant/Chris Lowe/Chris Zippel


Produced by Pet Shop Boys and Chris Zippel


Q.ロシア訪問

クリス:うん、僕らはこれまでに何度かロシアを訪れている。サンクト・ペテルスブルグは僕らが始めて訪問した場所で、2人ともあの土地に一目惚れって感じだったんだ。衰え行く壮観さって言うのかな、そういう魅力の全てがあそこにある。目を見張るような素晴らしい宮殿だとかね。それらは修復が必要なんだけど、だからこそこの上なく美しい場所なんだ。人々もまた素晴らしいんだよね。ロシアでは、前後不覚なレベルまでみんなが酔いしれる。信じられないほど酔っ払ってしまう様は、見事なくらいだ。またみんなかなりキテいるんだよね。みんな、ちょっとイッちゃっている。そこがまたすごくいいんだ。

ニール:僕らは1993年にMTVロシアに初出演したんだけど、その後祝宴パーティがあったんだ。そして各人のディナーの際には、それぞれミネラル・ウォーターの瓶が1本、ワインが1本、シャンパンスカヤとかいうロシアのシャンパンが1本、それからソヴィエトのブランデーが1本ずつ用意されていた。そしてみんな、それをけてしまうんだ。そのソヴィエトのシャンパンは甘口すぎて、もう二度と飲む気は起きないけどね。考えうる限り最悪の2日酔いになる。

Q.ロンドン

ニール:僕らアルバムの大半をイギリスの北部にある僕の家でレコーディングしたんだ。ロンドン、っていう実際ベルリンで録音した1曲を除いてね。この曲はクリス・ジップルという男がプロデュースしたもので、僕らはプロデュースしていないんだ。ベルリンには2,3年前にグレイテスト・ヒッツ・アルバムの作業をしていた時に行ったことがあったんだ。そのとき僕らは「ポジティブ・ロール・モデル」っていう曲を買いたんだけど、この曲は結局、僕らのミュージカルに使われることになったこの曲(「ロンドン」)をベルリンに行って、彼と一緒に録音した。この曲は元々3分の2出来上がっていたある曲をベースに作られたんだけど、彼が演奏して見せた曲と、なんていうか、一緒にしちゃったんだよね。だから実際は共作したようなものなんだ。そして彼は実際曲のプロダクションのほとんどを手がけたんだ。この曲はアルバムに不思議なことにぴったり収まっちゃうんだよね。ギターの音も入っているし。彼のベルリンの友達がギターを弾いてくれている。それからこの曲のアイデアだけど・・・これがまた話があるんだよ。うーん、僕はいつもロシアについて考えているんだけど、ホラ、旅行したがっているだろう、彼ら。ロシアの人たちは今では、冬にサンクト・ペテルスブルグからカナリー諸島までチャーター機でフライトできる。彼らはアメリカに行きたがったり、ロンドンに来たがったり、時には実際来るし。でも時にはロンドンに来るためのヴィザを手に入れられなかったりしてる。イギリス人はロシア人にヴィザを出すことについてはちょっとおかしいんだよね・・・僕は2人の若者がロシアの軍隊を脱退することを想像していたんだ。ロシアの軍隊の酷い状況については耳にするからね。彼等はロンドンまでチャーター機でやってくる。そして代金では、ロンドンには実に多くのロシア人がいるんだ。もしウエスト・ロンドンでピザの宅配を頼むとすると、配達してくれるのは間違いなくロシア人なんだよ。それに僕は思うんだけど、彼らの大半は明らかに労働許可を持っていないんだよね。彼らには手に入れられないから。

 というわけで、この曲は2人のキャラクターについての曲なんだ。ロンドンで生活を始めようとすることに、どこかヒロイックな気持ちでいて、彼らはそのことに興奮している。ロシア人である彼らはホームシックも感じているし、あらゆることに興奮している。そしてこの曲は物語のように綴られていく。映画にフラッシュバックがあるように、コーラスにはフラッシュバックがあって、それは現在形でこう歌われる「僕らはロンドンにいる、さあやろうぜ、法律なんてかまうものか!」、そう、この曲はロンドンで生き抜くことを歌っているんだ、実際、僕らもロンドンで生活するロシア人を知っているしね。

 クレジットカード詐欺についてふれているところがあるけど、僕らその経験があるんだよ。だからすぐこの歌の中に取り入れたんだ。典型的なイギリス人の準・人種差別的な態度だよね・・・彼らは海外からやってきて何を期待しているんだ、やっぱりロシア人だ、ロシア人のやりそうなことだ、とか。だからこの曲では皮肉を込めて繰り返している。「僕らは外国からやってきた、僕らに何を期待しているんだい?」ってね。

クリス:僕はそんな風に感じていないから、実際そういう考え方に自分の気持ちを結びつけることは出来ないんだ。だけど、僕らより上の世代はそういう態度なんだろうね。こういうことは、僕らが島国だって事から来ているのかもしれない。

 (
以上、2002EMIブックレットより)




●「Disco3」収録の「LondonThee Radikal Blaklite Editについて

ニール:僕らがツアーでデンバーにいたとき、フェルクス・ダ・ハウスキャットに会ったんだ。僕らは彼にこの曲をリミックスして欲しくて。僕らはこの曲がシングルとして発売されると知り、彼にリミックスを頼んだ。彼は僕の声のサンプルを録って、全く違うレコードを作った。それはすごく長かったんで、CDのために僕らで編集した。

クリス:まさしく80年代のサウンドだった。すごくいい。アルバムのどの曲とも違っているように聞こえたし、アルバムをマスターしたティムはよくやってくれた。同じアルバムの一部のように聞こえる。グッジョブ。

●「Disco3」収録の「
London Genuine piano mixについて

ニール:これはほとんどクリス・ジッペルがやった。

クリス:と、彼のピアニスト。

ニール:クリス・ジッペルは、彼のコンピューターに材料を入れれば、際限なく作業し続けるよ。彼は無限のものを生み出すし、しかもそれが素晴らしいんだから。

クリス:いつも作業を処理中。

ニール:誰かが「ヤめ!」って言っても彼はやり続けるだろうね。彼はこのアルバムの「Positive role model」をリミックスをした。これに関しては、彼はピアニストの友達を入れて、曲全体を再調律した。これを聞くと、坂本龍一の「Forbidden Colours(禁じられた色彩)」をちょっと思わせるよね。彼はオリジナルのボーカルでそれをやった。マイクロフォンで詰めたのが聞こえるだろう。さらにそこで彼が入れた新しいコードが不思議な感じで聞こえると思う。だから僕はもう一度歌った。僕たちは「RELEASE」にこのバージョンで作ることに決めた。このアルバムでは、クールなトラックの役目っぽくなった。

(
以上、2002Literally26より)

 

 


プロモーションビデオ(You Tube)




002年シングルはUKチャート最高?位



ニール:次は写真家のマーチン・パーの作品だ。彼の撮る写真には、イギリスの特徴が色濃く出ている。ロンドンに着いた2人のロシア人が主人公で、僕らはストリートミュージシャン役だ。
クリス:チップをもらった。
ニール:(Caf
é Rest)スタジオの向かいの店だ。観光とは違う、真のロンドンを撮りたかった。本当に職を探した。ドイツ人観光客に、“科学博物館は近くか”と聞かれ、ノーと答えた。そして撮影に誘ったんだ。
クリス:僕らはもうすぐ発売される曲のコピーをして歌っているみたい。
ニール:まさしく。ナンパしてる。(ギターの)手の動きがずれてる。地下道だ。奥の若者の声に、僕らの歌はかき消されたよ。無視してた。
―別バージョンは?
ニール:完成しなかった。ルーイシャムあたりを巡ってミックスを作ろうとしたが、残念ながら・・・(ビデオのおじさんがバスに)乗れなかった。人生は厳しい。このビデオで伝えたいことだ。これが真のロンドンさ。
―うーん、帰りたくなったね。
ニール: うん。酔っ払いだ。終わりだね。
クリス:刺激的だった。
ニール:見てくれてありがとう。

聞き手―クリス・ヒース

 (
以上、2003POPART/DVDコメントより) PV監督・・・Martin Parr

 

 


★用語・人物メモ★

Chris Zippel
・・・「DISCO3」「RELEASE」「CLOSER TO HEAVEN(オリジナル・キャスト)のアルバムを手がける。

Felix Da Housecat(1972-)・・・シカゴのハウス・ミュージックDJ。ブリトニー・スピアーズ、ケミカル・ブラザーズ、グェン・ステファニー、マドンナ、ニューオーダー、ミレーヌ・ファルメールなどのリミックスを手がけた。

坂本龍一(1952-)・・・「Forbidden Colours」は、「戦場のメリー・クリスマス」のテーマ曲「
メリー・クリスマス ミスターローレンス」のトラックにデヴィッド・シルヴィアンが歌詞・メロディーを作り、歌を乗せたもの。タイトルは三島由紀夫の「禁色」から引用。

ルーイシャム(Lewisham)・・・ロンドンの南東の地区。ロンドン中心からグリニッジ方面に行ったところ。

科学博物館・・・サイエンス・ミュージアムはサウス・ケンジントンの近く。住所:EXHIBITION ROAD,LONDON SW72DD

Martin Parr(1952-)・・・イギリスの写真家。“旅行者”の写真をよく題材にしている。





 郷愁を誘うメロディーである。しかも彼らのホームタウンであるロンドンがタイトル。さぞやロンドンに対する愛が詰まっているんだろう、と思いきや、主人公はロシア人。・・・相変わらず、ヤラレタという感じだ。なんというか、この“また出し抜かれた”というか、“どうしてもPSBと一緒の感覚になれないもどかしさ”が、PSBがアーチストゆえ、我々一般人とは超えられない一線なのだろう。
 ある意味「Go west」。石油が高騰する現在、石油産出国ロシアでは、ケタ違いの石油成金がゾクゾクと出てきている。その反面、相変わらず貧しい人も多い。この曲を聞くと、そんなことを思い出させる。



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