RELEASE1-7


Love is catastrophe

 


原文歌詞はこちらでご確認ください



愛は破滅
僕がどうなったかごらん
ここでひどく落ち込んで
どこにも行けず、途方にくれる

集中できない
ただ、会話を繰り返すだけ
僕がこの流砂にどうやって落ちたか
理解しようとするけど

何が次に起こるのか?
僕のつまらない人生に
カッターナイフのような痛み
僕の人生で最悪の孤独を感じる

だれが指示をしたんだ
この狂気の破壊行為を?
均衡の終わり
運命は笑う:
私たちが彼にしたことをごらん!

木を通る激しい風
 11
月の枯葉が落ちる
低く垂れる弱い太陽
夏は遠い昔に思える

僕の以前の夢
未熟なロマンチックな計画
僕が信じていたものはどれも
とてもナイーブだとわかった

愛には最も親切な法として
僕の人生と正気には
宣戦布告はない
今、僕はついにわかった
愛はカタストロフィーだと


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Pet Shop Boys


Q.“ラヴ・イズ・カタストロフ”

ニール:多分これまでに僕らが書いた中で、一番ダークな曲だね。つまり人生の中のある時期、僕がある人についてどんな気持ちを抱いていたか、それが反映されているんだ。今聴くと「僕はなんてドラマの主人公気取りだったんだろう」って思うけど。

クリス:()

ニール:でも・・・あれはしかも11月の風が強い日でね、すごく惨めな気持ちになったんだ。とても惨めな気持ちだったよ。

クリス:君がそんな気持ちを経験しているときにこの曲が生まれるなんて、偶然だよね。

ニール:うん。作曲を担当したのはクリスだったからね。

クリス:2つのこと、つまり曲とニールがそんな気持ちでいたときの雰囲気が偶然一緒になったんだ。もし僕が書いていたのがウキウキするような曲だったら、こんな風に上手くはいかなかったよね!()

ニール:僕らは午前中に作業を始めたんだけど、クリスは腰を下ろして、曲全体に流れているあのアルペジオを弾き始めたんだ。「ホーム・アンド・ドライ」に一貫してアルペジオが流れているのと同じようにね。あのシーケンス(反復進行)は、ギターみたいに聞こえるけど実際はキーボードなんだよ。現在はジョニー・マーが実際にギターを重ねているけど。それからクリスは曲に肉付けをしていった。僕はスタジオの隅に座って、歌詞を書いていたんだけど、5時ごろになって、「じゃあ、歌を入れてみるよ」って。レコーディングしたときだけ。そのただ一度だけしか僕はこの曲を歌っていないんだ。ヴォーカル部分に少し直し入れたけど、それで大丈夫だと思えたし。でも面白いよね。だって、何か個人的体験について曲を書いたときって、ちょっと恥ずかしいものだろ。僕の姉は隣の家に住んでいるんだけど、僕らが留守をしているときは、家の管理をしてくれているんだ。彼女がお茶を入れてきてくれたとき、僕は彼女に見つからないように歌詞カードを隠そうとしたのさ。そしたら電話が鳴って、彼女は歌詞を手にとってしまったんだ。するとそれを読んだ彼女の目から涙が溢れてきたんだよ。そんな風に自分の気持ちをさらけ出すことって、ある意味とても難しいことだよね。その曲は、可能性が閉ざされてしまったこと。希望を失ってしまったことについての歌だから、その意味では死についての歌だともいえる。僕は実際、電話である人に言ったんだよ。「愛とは破壊的なもの」って。この曲ではその理由を説明しているんだけどね。そしてその友達が「ああ、それは曲の題にするべきだよ。」って言ったんだ。もちろん曲づくりをすることで得られるすばらしいことは、それがカタルシス的な体験となるというのがある。自分がある出来事についてどんな風に感じたかをレコーディングするという体験をするんだ。そしてそれはある意味、踏ん切りをつけて新たに前進する助けとなってくれるんだね。その気持ちや経験がそこにカタチとして残るから、前に進むことが出来るようになる。

Q.ジョニー・マーのギター

ニール:彼はやってくれたよ!僕らは今作では自分たちでいろいろ手掛けたんだ。僕はギターも弾いたし、「このアルバムでは僕たちだけで何もかも演奏したんだ」って言えるようにしたくて仕方なかったんだよね。なぜかというと、僕らみたいなグループに関して人々は、自分たちでは楽器を演奏していないんだろうと、時々思ったりするんだ。多分機械とかを使って演奏しているんだろう、って。この前ボーイ・ジョージと話していたんだけど、僕らが彼と「ザ・クライング・ゲーム」という曲を作ったとき、彼がどれほど感銘を受けたかって事を、誰か会った人に説明したって言っていた。彼は、ミュージシャンとしての僕に抱いていた認識を、完全に改めざるを得なかったそうなんだ。なぜならあの曲で共演したとき、彼がスタジオにやってきたんで、座って一緒に話したんだよね。僕は「ああ、じゃあ実際にちょっと、どのキーで歌うのが合うのか調べてみようよ。」って言った。そして「まずGで弾いてみるから、どんな風になるか試してみようか」とね。僕がピアノの前に座り、3つのちがうキーで弾いてみて、「OK、じゃあ、このキーで行こう。Eフラットでやろうか」とか何とか言った時、彼は信じられなかったんだって。だから僕は、自分たちで何もかも演奏しようっていうアイデアがすごく気に入っていたんだ。もし必要に迫られたら、僕らにはそれが出来るんだからね。でもギターの音に関しては、もっと改善の余地があるって感じていたんだ。そしたらある日、偶然2,3年ぶりにジョニー・マーに会ったんだよ。僕らが昔の再発ものをますたリングしているのと同じスタジオに彼がいたんだ。それで、えーと、また話をするようになってね。それでこのアルバムのことを話したら、彼は是非やりたいって言ってくれた。それで4日間ほどやってきて、10曲でギターを弾いてくれたんだ。実際にアルバムに収録されている曲以外にもね。この「ラヴ・イズ・カタストロフ」では、実際にはキーボード・パートである部分に、音を重ねるようにしてギターを弾いている。ジョニーはいろんな音楽的アイデアをたくさん持っているんだ。それで、ギター主体の曲の大部分で、彼のギターを僕が弾いたのと差し替えることにした。そして「アイ・ゲット・アロング」(僕は少しオアシスっぽいと思うんだけど、実際彼は、リアム・ギャラガーとのレコーディングから、僕らとのセッションに直行してきたんだ!)でやっているように、アコースティック・ギターの音色をそこに敷き詰めたり、ちょっとしたリード部分を加えたりした。僕を含め、他の誰も思いつかないようなギターのパートを彼は奏でるんだよね。彼はプレーヤーとしてもダイナミックだから。

クリス:それに、彼は一緒に仕事をしていてすごく楽しい人なんだ。彼は始終僕らのことを笑わせてくれたっけ。どうしてかというと、彼はすごく、まあこう言っても彼が気にしないといいんだけど、彼はすっごく物まねが上手いんだよ。彼はいつもいろんな人の面白い物まねをやっていて、おまけに雑談もすごく好きで、また音楽について語るものもすごく好きなんだ、彼は音楽のことなら何でも知っているから、彼と一緒に仕事をするといつも本当に楽しいんだ。

Q.レパートリー

ニール:そうそう、うん、そうだ。気分もいいよ、だって、僕はそう思っていないから、そうだとは感じていない・・・。つまり、僕らの曲づくりの方法は変わったと思うけど、弱体化したとは感じていないんだ。人々は良く商業的な成功について質問する。「ああ、そうだね、君たちは80年代にはすごかった」って、誰もがそのキャリアの中でピークを経験するものさ。さっきも言ったけど、僕はボブ・ディランについても本を読んでいたんだ。ボブの場合、誰もが彼をずっと引き合いに出し続けるけど、それは彼が60年代中期に創作上のピークを迎え、そしてまた今度は70年代初頭に別のピークを迎え、そしてまた最近、別のピークを彼は経験したからなんだ。だから人々はそういうのを引き合いに出すんだよ。僕は自分たちの過去のアルバムを今も聞くことが出来るよ。ダンス・コンピレーションとかそういうのを除いたら、これは僕らの正式な8作目のアルバムなんだけど、ソングライティングの質は、これまでも常に高かったと思う。それに僕らは変わった方法でものを語っていると思うしね。「ラヴ・イズ・カタストロフ」は、ペット・ショップ・ボーイズの手によってのみ出されえる宣言だと思っているよ。僕らには他の誰とも違う、僕ら独自のやり方があると考えている。

 (
以上、2002EMIブックレットより)


 

ライブビデオ(2002年)(You Tube)





★用語・人物メモ★

アルペジオ・・・和音を構成する音を一音ずつ低いものから(または、高いものから)順番に弾いてゆくことで、リズム感や深みを演出する演奏方法。

ボーイ・ジョージ(1961-)・・・元カルチャークラブのヴォーカルとして、一世を風靡した。現在は残念ながら音楽活動よりもコカイン所持や男性監禁容疑での逮捕で世間の話題になってしまっている。PSBとの関係としては、1985PSBが「West End girls」でブリット・アワードの新人賞に輝いたとき、プレゼンターをつとめている(普通、プレゼンターは受賞者となんらかのつながりがあることがほとんど)。また、ニール・ジョーダンの映画「クライング・ゲーム」の同名主題歌をボーイ・ジョージが歌い、PSBがプロデュース。その後、PSBプロデュースでジョージがアルバムを出す計画があったようだけど、立ち消えになった。ニールはデビュー前のライター時代、スマッシュ・ヒッツでカルチャークラブを酷評している。


リアム・ギャラガー(1971-)・・・オアシスのヴォーカリスト。兄のノエルと良くモメる。




 ニールの失恋ソング。恋多き男が失恋のたびにこんな酷い思いをしていたんでは、身が持たないなあ。しかし、こういうドラマチックで感情的なところはキャンプで大好き。



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