VERY1-1

Can you forgive her?

forgive1
 forgive2
(1993)


クリス:ノー
ニール:イエスって言おうと思ったのに

(
一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください



目が冴える夜
眠りにつくにはもう遅いし、起きるにはまだ早い
君は呼吸困難だ・・・心臓麻痺?
高熱にうなされ、君は事実に直面する
君は恋に落ちて、恥ずかしく思っているんだ
なぜって、彼女は去り、またしても君を人前で侮蔑した
でも君は恋に落ちているし、それが苦痛になっている
なぜって、君は、彼女の罵りが本当だってことに気付いているから

今、自分の胸に聞いてみろよ
彼女を許せるかって
もし彼女がまだ君を求めていたとしても
自分に問いただしてみろ
彼女の望みに
君は答えてあげられたかどうかを

君は奇妙な夢をさまよっている
若い頃の過ちや、チーム換え
自分の間違いを認めるんだ、ああ、まだダメだ!
そして、君は目覚めて、忘れられないことを思い出す
彼女は君を笑いものにしたんだ
君はディスコでダンスし、ロックミュージックを好まない
彼女は、ベッドの中でも君を嘲笑した
そして、“本当の男を捜す”といって、君の元を去っていった

今、自分の胸に聞いてみろよ
彼女を許せるかって
もし彼女がまだ君を求めていたとしても
自分に問いただしてみろ
彼女の望みに
君は答えてあげられたかどうかを
リベンジしたいのかい?
そんなの子供っぽいよ!なんて子供っぽいんだ

君が穢れていなかった時代を思い出すんだ
クリケットの練習場や自転車置き場で
夢が叶ったことにうち震えて
君はあの青い瞳の中を見て気がついた
それは恋だったし、君はそれをもう偽装できない
君ははじめての友人に約束したことを全部忘れてしまった
君が感じたことを彼女に知られるだけでも十分辛いのに、
彼女は君と思い出を共有することを拒否したんだ

今、自分の胸に聞いてみろよ
彼女を許せるかって
もし彼女がまだ君を求めていたとしても
自分に問いただしてみろよ
彼女の望みに
君は答えてあげられたかどうかを
今、自分の胸に聞いてみろよ
彼女を許せるかって
もし彼女がまだ君を求めていたとしても
自分に問いただしてみろよ
彼女の望みに
君は答えてあげられたかどうかを
リベンジしたいのかい?
そんなの子供っぽいよ!なんて子供っぽいんだ


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Pet shop boys
Additional produced by Stephen Hague

 


ニール:この曲は笑えるようにしようとした。僕らはもともと、最初のシングルは「I wouldnt normally do this kind of thing」にしようと思ってたけど、2,3曲をEMIにプレイしたら、彼らはこれを気に入った。アメリカ人は時にこれが好きだね。僕はこの歌詞をレイから電車で戻るときに書いた。チャリング・クロス駅からチェルシーの家まで歩いている途中、頭の中で歌詞を作った。「she's made you some kind of laughing stock/because you dance to disco and you don't like rock彼女は君を笑いものにしたんだ/君はディスコでダンスし、ロックミュージックを好まない)」を思ったら笑えてきた。ペット・ショップ・ボーイズを要約しているだろう。タイトルは、アンソニー・トロロープの小説のタイトルからだ。僕が休日にこの本を読んでいたら、ジョン・サヴェージが僕に言った。「すごくモダンなタイトルだ」って。それで、僕はこのタイトルを使って書き出して、そのワケを考えた。クリスが音楽を書いた。6/8タイムでね。

クリス:出発点は4/4タイムにならないようにしたかったんだと思う。どんなものにも似てないようにしたかった。

ニール:6/8ビートが密かに聞こえるのがいい。それが曲に臆病な感じのクオリティを与えて、それが歌詞にインスパイアされたのかもしれない。クロゼットの隠れオネエについてなんだ。この歌の中の人物は惑っていながら冷静のふりをしている。そして、彼は、彼女の言うことが彼にとっては真実なので、彼女がこういう風に彼を侮辱するのを寛大に許そうかどうか考えている。彼はたぶんゲイで、彼のガールフレンドはそれに気がついているけど、彼は自分自身を認められない。それが、彼女と険悪な雰囲気になっている理由だ。彼は、自分が誰かに恋していた少年時代の学校を思い出している。彼の最初の性体験が同性愛だったと彼女は知っていたうえで、「
彼女は君と思い出を共有することを拒否した」。自伝的な歌じゃないんだ。こんな状況に陥ったことはこれまでにないし、僕は自転車置き場でセックスしたことはない、決してね。

 (
以上、2001年ブックレットより)


 


ニール:「キャン・ユー・フォーギヴ・ハー?」はユーモラスな作品だ。” Can you forgive her?”っていうのは、トロロープの小説で、Palliserシリーズの最初の物語。トロロープは、ビクトリア時代の小説家なんだけど、僕が呼んだことがあるのは実はこの1冊だけなんだ。とにかく最初の1巻は“Can you forgive her?”っていうタイトルなんだよ。休暇中に呼んでいる僕に、友人が言った。「それ、曲のタイトルにいいじゃないか?」って。その通りだと思った。で、クリスが曲を書いた。(歌う)「“de,der,de,de,de・・・♪“「これは” Can you forgive her?”にピッタリかもしれない」と思った。それで、クリスが本格的に曲を書いて、僕が詞をつけて、” Can you forgive her?”っていうタイトルをつけることにした。で、主人公が何を歌っているのか考えたんだ。何を許さなきゃならないのか。相手は恋人だ。彼女は言う。彼は女々しくて、本当はゲイに違いない。ロックも好きじゃない、ディスコ・ミュージックで踊るのが好きで、とさんざん言い募る。それで彼は本当に怒ってしまうんだ。それがこの歌。この曲にも、すごく好きな詞があるんだ。「彼女が君を世間の笑いものにしたことを/君がロックを嫌いで/ディスコ・ミュージックに合わせて踊ったからって」。きわめてペット・ショップ・ボーイズ的だろ?

 (
以上、2003年「POPART」ブックレットより)


 

プロモーションビデオ(You Tube)



 
1993
年シングルはUKチャート最高7

ライヴ(1993年トップ・オブ・ザ・ポップス)(You Tube)




クリスが踊らされております

ライヴ(1995年ライヴ・イン・リオ)(You Tube)




エロすぎ!R18!この状況で歌い続けるニールに乾杯。

珍しいスウィング・バージョン(You Tube)






―奇抜だね。なぜこんな格好を?
ニール:“再生”というテーマに合わせたんだ。
―詳しく聞かせて
ニール: マンネリ化していたからイメチェンすることにして・・・新しい技術だったCGでもビデオ製作を思いついた。それでビデオクリップの監督をハワード・グリーンホフに頼んだんだ。彼は他のビデオもやっているよね。
クリス:うん。「リズム・イズ・ア・ダンサー」だ。
ニール:「リズム・イズ・ア・ダンサー」。彼が企画を進めてくれた。衣装や演技のことはデヴィッド・フィールディングに任せたんだ。
クリス:(人ごみの中、歩くとんがり帽子)あれ、僕らじゃない。
ニール: あれは代役だな。
―グランジなど、当時の流行が反映されているね。
ニール:そうだったかな。
クリス:虫みたい・・・SFっぽいよね。
―現実世界にうんざりしていたのかな。
ニール:うーん。グランジな感じにしたかったんだ。
―なぜエミューを?
ニール:見栄えがするから。僕らの新たな世界に誘う意図もあった。
クリス:革新的なんだ。
―屋外撮影は?
ニール:神経質になったよ。公衆の面前だから、
―エスカレーターを逆走すると迷惑だよね、ショッピング・モールで。
ニール:僕は気にしない。
クリス:(ボートを)漕いでいるのは僕だ
ニール:わかるよ。僕は漕げない。
クリス:服がきつくて大変だった。
撮影を見ていた人の反応は?
ニール:みな、見て見ぬふりさ。哀れな道化師さ。
クリス:面白いゲームだ。
―なぜとんがり帽を?
ニール:ダンスキャップさ。学校で悪戯した時、お仕置きでかぶった帽子だよ。そのときの心情も歌詞にある。
クリス:公園だ。
―撮影はスタジオで?
ニール:うん。その後、数週間で編集し、ハワードが仕上げたんだ。

聞き手―クリス・ヒース

 (
以上、2003POPART/DVDコメントより) PV監督・・・Howard Greenhalgh

 

 


*この曲は「マーガレット通信vol.46」の“1曲に固執してみる”でも取り上げています。


★用語・人物メモ★

Anthony Trollope アンソニー・トロロープ(1815-1882)・・・イギリスの小説家。もともと郵便局員だったが、40代で小説家として日の目を見る。

Palliser nobel
・・・トロロープによる6話のシリーズ小説(186479)Plantagenet Palliserと彼の妻Lady Glencoraが中心となった、政治陰謀や家族の話。「Can you forgive her?」は第1話にあたる。

Jon Savage(1953-)
・・・メジャー音楽誌の「メロディ・メーカー」の元ライター。ジャーナリスト。パンク、ニュー・ウェーヴ、エレクトロ・ミュージック、セックス・ピストルズに詳しい。ニールの友人。ポップスにおけるゲイ・メッセージを集めたアルバム「Queer Noises 1961-1978」(2006を編集。

Rhythm Is a Dancerリズム・イズ・ア・ダンサー)」・・・ドイツのエレクトロ・ポップ・グループSnap!の1992年のシングル。PVHoward Greenhalghが監督。「メトロポリス」を髣髴させるビデオはこちら

David Fielding デヴィッド・フィールディング・・・非常にユニークな舞台デザインや衣装などを手がける。PSBの「Parformance」ツアー(1991)をてがけ、「VERY」のヴィジュアル・イメージにも起用された。




 すごく面白い構造。カップルに「オイオイ、違うんじゃないの?」と茶々入れる、PSBの中でも極めてゲイっぽい1曲。ライヴを見てもわかるとおり、このあたりから2人は歌の中のゲイ・テイストを隠さなくなってくる。また、ヴィジュアル・イメージ(デヴィッド・フィールディング担当)に驚かされた。これまでのクールで知的・近づきがたいイメージを覆す、まさかの全身タイツ(ジャンプ・スーツ)!まじめな顔で笑わせるのがイギリスのコメディの真髄だけど、まさか彼らまで・・・。いくらなんでも思い切りすぎのイメチェンだよね。



NEXT

BACK