VERY1-6

Yesterday, when I was mad

yesterday
 yesterday2
(1993)


ニール:僕たちの最近のワールドツアー
(
一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください



「ダーリン、素晴らしかったよ、君は本当に良かった
楽しかった、もっとも、だれも理解してないけどね
何故うまく行っているか、彼らにはわからない
彼らは僕が理解するように君のユーモアのセンスを理解できないさ」

君はすごく親切だ
僕は笑いながら殺意を覚えたよ

昨日は、僕はおかしくなっていたんだ
全部を投げ出したくなっていた
誰の誠実さも信じられない
それがホントに重圧なんだ

「君には、本当にユニークな素質があるよ
無表情だし、すごく皮肉っぽいし、君の声は弱々しい
音楽がすごくうるさいから、別に必要ないよね
もちろん、全部クチパクだろうけど、誰にもわからないさ」

君も僕を嫌っていた
でも僕が君を嫌う比じゃないんだよ

昨日は、僕はおかしくなっていたんだ
全部を投げ出したくなっていた
誰の誠実さも信じられない
それがホントに重圧なんだ

それから一人になると
考え直して
心を入れ替える

それから僕たちは、コンペ優勝者と写真にポーズをとる
ホテルの部屋と夕食をどこに行くかで言い争う
だれかが言った「今日も君たちがいられるのは素晴らしいことだ
2
人とも、よくこんな長いこと細々とやってきた」

昨日は、僕はおかしくなっていたんだ
全部を投げ出したくなっていた
誰の誠実さも信じられない
それがホントに重圧なんだ

それから一人になると
考え直して
心を入れ替える


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Pet shop boys
Additional produced by Stephen Hague

 


ニール:プログレッシブ・ロックの中では、彼らはいつもタイムを変更していて、誰もそれ以上のことはしなかったって事を、クリスと僕が話し合っていたから、これは、6/8タイムで始まって、テクノに入る。 僕たちはこのとき、テクノにすごく興味があったんだ。

クリス:誰もがそうじゃなかった? みんなテクノ、テクノ、テクノ・・・。

ニール:音楽が最初に書かれた。 僕たちはハートフォードシャーのスタジオでこれを書いて、僕はすぐにコーラスを入れた。

クリス:全部、ツアーについてだよね?

ニール:ツアーで僕たちが1991年にアメリカにいたとき、僕は「yesterday, when I was mad」という句を書き留めた。それは、腹立たしいよりも笑えることを意味しているけど、会話があるから、ちょっと怒りもある。誰かが「
2人とも、よくこんな長いこと細々とやってきた」と言い、さらに「彼らは君らのセンスを分かっちゃいない、僕のようにね」とも言った。それはパフォーマンス・ショーの人々の反応だ。特にアメリカで、人々が舞台裏に来て、こういうことを言ったんだ。「僕はわかった…誰もわかってないだろうけど」って言った。僕はよく言っていた。「何がわかったって?これはショーだよ。」それに関しては、気まぐれでうまくいくものは何もない…それはただ衣装、ダンス、スタッフの比重にすぎない。リア王の話じゃないんだ。それはポップ・ソングで語られるラ・ボエームじゃない。みんながくだらない事を言うと、ギブ・アップしたくなるよ。

クリス:普通、ツアーでは、ギブ・アップしたくなるでしょ。

ニール:ツアーでは、城の王だから、人々の誠意を信じるのが難しくなる。みんな言った通りをやるから、彼らが何を考えているかわからない。それから次に、自分でホテルに行き、「まあいいや」って考える。人々の誠意を信じようと思い始める。コンペ優勝者と、ホテルの部屋と夕食について議論することに関しては、「Pet Shop Boys Versus America」を見てよ。

クリス:それは珍しい音のレコードだ。 僕たちが時々やるパンク・ディスコ範囲からやった。いわゆる モッシュ・ピットって言うんだろうな。 他の誰もこんな風に作詞作曲しないだろう。

ニール:僕たちがシングルとしてそれをリリースするつもりで、ジャム&スプーンがリミックスして、彼らはイントロを変えた、そして、僕たちはシングル・バージョン(CD2-15)でそれを使った。 それはすごく不気味でテクノっぽくなった。 ジュリアン・メンデルソーンがリミックスした。

クリス:ビデオは驚くほど良かった。 僕は、ランプ・シェードになったことがすごく気に入っている。

 (
以上、2001年ブックレットより)


 


ニール:「Yesterday, when I was mad」は、ツアーのことを歌った曲。どんなバンドもツアーのことを歌わずにはいられないのさ。90年代の初めのパフォーマンス・ツアーでは、監督と美術に英国国立歌劇場から2人を招いて12人のダンサーとかつら担当の2人を連れて、300着の衣装を持って回った。すべての曲でセットが変わるし、肉体的にもすごくタフだったけど、過去最高のショウだったね。オーディエンスの反応がすごかった。最初のセリフは「ダーリン、君は素晴らしかったよ、君は本当に魅力的な人だった」()。みんながそう言うんだ。「自分ほど君たちのユーモアを理解できる人間はいない」とか。スゴいのは、人がいつも僕らに言うセリフ。「君たちのことはすごくよくわかる」。とくにアメリカで。「ほかのやつらが理解できなくても、僕にはわかる」って。で、僕らは言うんだ。「理解すべきことってなんだい?」僕にはわからない。ある意味、侮辱的ですらある。僕たちはいつもこう答えた。「ただのポップ・ソングだよ。大それたことじゃない」。でもいつでも「理解できるよ」って言われ続けた。とにかく、これはそういったことを歌った曲。心にもないセリフを言う人たちの歌だ。それがいかに頭に来ることかもね。そして、ツアーに出るということ。クリスと言い争いしたりね。「コンペ優勝者との撮影のためにポーズを取って、ホテルの部屋のことでモメて、夕食をどこで食べるかでまたモメて。誰かが言った。今日もこうして生き残っている。わずかなキッカケでたいした出世だって。」

クリス:誰かがそう言ったの?

ニール:誰かが言ったんだよ。何度かね。だから詞に入れたんだ。この曲は好きだよ。すごく面白いもの。

クリス:分類するならユーモアの項目。

ニール:ユーモアのHにファイルして。

クリス:3枚目のCDが必要だったね。ユーモア。

ニール:ユーモア()

 (
以上、2003年「POPART」ブックレットより)


 

プロモーションビデオ(You Tube)




199
4年シングルはUKチャート最高13

ライブ(1996年Somewhereライブ)(You Tube)






クリス:これはいい。
ニール:君は出演してないよね。
クリス:うん。ランプ・シェードがいい。
―スキャンの回数は?
クリス:1回さ。
ニール:1回だけ?2回かと思った。
クリス:素晴らしい。
ニール:これが5作目だね。ハワードは良くがんばったよ。明確なテーマがある。
クリス:怖いからPG指定だね。
ニール:ロケ地は閉鎖したウェストミンスターの病院さ。義足が転がっている部屋で撮ったんだ。金属の骨みたい。
―現実的に見せるべく趣向を凝らしている。
ニール:そうだね。
“君にはユニークな素質がある・・・”
ニール:君(画面の中のコスプレ・ニール)もユニークだよ。僕はゲイ支持者の役さ。
クリス:ふーん。
ニール:彼女、本当にペンキを塗ったんだ。
クリス:(ランプ・シェード)このシーン、良いね。幸せそうな顔だ・・・この上なく。
ニール:恍惚の表情だ。
クリス:君が撮影の日・・・いなかったから。
ニール: この日ブレアが労働党の党首に選ばれたのを、車内のテレビで見ていた。撮影の合間に。
―普通の病院でも撮影を?
ニール:少しだけ。ハサミのシーンを撮影中に、奇妙なことが起きた。夜1時に手術していた人が、うめきながら出てきて、撮影を止めたんだ。
―映像には?
ニール:映っていない。気味が悪かったよ。手術室のすぐ外で撮影をしていた。これが医療の現実さ。
クリス:ブレアが当選するまでのね。
ニール:その通り。ジャム&スプーン・ミックスをベースにしている。
―映像が曲に合わせて一変するね。
ニール:その方が内容に忠実だよ。それをツアーで歌うわけだし・・・。正気を失う怒りを歌った曲だから。コミック仕立てで恐怖感が出ている。

聞き手―クリス・ヒース

 (
以上、2003POPART/DVDコメントより) PV監督・・・Howard Greenhalgh

 

 

★用語・人物メモ★

プログレッシブ・ロック・・・先進的・実験的ロック。現在ではかなり細分化されているが、代表的なアーティストはピンク・フロイド。

King Learリア王・・・シェークスピアによる4大悲劇のひとつ。

La Boheme
ラ・ボエーム・・・プッチーニ作曲のオペラ。悲恋劇。

「Pet Shop Boys Versus America
・・・1993年、クリス・ヒースがペット・ショップ・ボーイズのアメリカ・ツアーに同行してまとめたドキュメンタリー。現在は絶版。

mosh pit
モッシュ・ピット・・・モッシュはメタルやパンクなどから発生したダンスの一種。主にライブ会場などで見られるが危険な行為。モッシュ・ピットはそのモッシュの発生地。

Jam&Spoon・・・Jam El Mar(本名Rolf Ellmer1960-)とMark Spoon (本名Markus Löffel1966-2006)の音楽ユニット。2006年スプーンが亡くなり、コンビは解消。これまでにPSBのリミックスを何曲かしている。

ブレアが労働党の党首に選ばれた日・・・1994721日。そのニュース映像はこちら。ニールは労働党員で、ブレアとも親交があった。





 残念ながら「Pet Shop Boys Versus America」は読んだことがないのだけど、1991年のPerformanceツアーは、日本やヨーロッパの反応とは逆で、アメリカでは酷評するメディアが多かったようだ。そこから急速にアメリカとPSBは疎遠になったように思える。もちろん今でも熱狂的ファンはいるものの、いわゆるアメリカのヒット・チャートに登場しなくなった。なぜか。アメリカは単純でわかりやすいものがメジャーだからだ。アメリカにはPSBのシニカルさや捻った笑いが理解できなかったのだ。例えばアメリカのコメディは言葉がわからなくても見れば笑えるように作ってあるけど、イギリスのコメディは言葉での笑う上に、さらに捻りを考えなきゃならない、といったふうに。
 PVは楽しい。キングの「シャイニング」のような双子の女の子が出てくる。



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