YES 1-1

Love etc.

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原文歌詞はこちらでご確認ください



少年よ、
世界でうまくやっていくのは難しい
太陽が輝かなくても
男は女を必要とする
それはマンネリを脱すること
君には運が必要だ
突き当たるけど
方法はわからない

なる必要なんてないさ
大金を稼ぐハリウッドスターになんて
運転しなくていい
遠くまで走る最高の車なんて
暮らす必要はない
パワーと富の人生なんて
そうなる必要はない
美しいのはいいけどね
買わなくても
ビバリーヒルズの家
いなくてもいい
勘定を支払ってくれるパパ
暮らさなくてもいいんだ
パワーと富の人生なんて
美しくなくてもいい
それはいいけどね

白紙の小切手よりも恋人の方が必要
それとかドア・トゥ・ドアで飛ぶガルフ・ストリーム・ジェット
対岸の上品な何処かの場所よりも
君にもっと必要、必要、必要、必要
もっともっと愛が必要なんだ

何もかもトゥー・マッチは
物足りない
すべてにトゥー・マッチは
物足りない

少年よ、
世界でうまくやっていくのは難しい
太陽が輝かなければ
男は女を必要とする
それはマンネリを脱すること
君には運が必要だ
突き当たるけど、
やり方がわからない

なる必要なんてないさ
大金を稼ぐハリウッドスターになんて
運転しなくていい
遠くまで走る最高の車なんて
装わなくていい
氷より冷たい笑顔なんて
美しくなくてもいい
それはいいけどね

君にもっと必要なこと
壁にかかっているゲルハルト・リヒターより
すぐに調達できるおかかえ運転手つきリムジンで
妻や恋人を正装して舞踏会に連れて行くことより
君にもっと必要、必要、必要、必要
もっともっと愛が必要なんだ

信じている
僕らは必要とする愛を
成し遂げることができると
信じているんだ
単純だと言われても
愛は無償なんだ

なる必要なんてないさ
大金を稼ぐハリウッドスターになんて
運転しなくていい
遠くまで走る最高の車なんて
暮らす必要はない
パワーと富の人生なんて
美しくなくてもいい
それはいいけどね
美しいのはいいけどね
美しいのはいいけどね


Written by Neil Tennant / Chris L
owe / Brian Higgins / Miranda Cooper / Owen Parker / Tim Powell


Produced by Xenomania




ニール:僕らがアルバムの作業を始めるためにケントに行ったとき、Xenomaniaは僕たちに、たくさんのバッキング・トラックをプレーした。この曲は入っていなかった。

クリス: これはブライアンとミランダが彼ら自身のプロジェクトでやっていたサンプルだった。僕たちがそれを聞いたとき、それはマジで新鮮に聞こえたと思う。シャッフルリズムで行われていてトランス(注:
ループをずっと続けることによって、感覚がだんだんマヒしてくる音楽)が壊れたコードですごく気に入った。すごく珍しい音がした。トランスにならずに、トランスの上がっていくエレメンツがあった。さらに、ドラムが始まったとき、マジで重く聞こえた。最初のコーラスの後の部分は別として、すべてがもう既にそこにあった。

ニール: とにかく、ブライアン・ヒギンズに「その弾むようなトラックをもらえるかい?」とすぐに言いに行った。正直に言うと、僕は特に覚えてさえいないんだけど。僕はNew Orderっぽく聞こえる音はみんな気に入っている。そう思える一つが「The loving kind(注:Girls Aloudに提供した曲)だ。

クリス:それがすでに、ほとんど僕たちがやったように聞こえるポイントがいくつかあるというのが、僕はわからなかった。

ニール: 彼らが再びトラックを起こしたとき、思った。ああ…そうか…。クリスがこれに関して言っていることがわかる気がする。彼ら…ブライアンとミランダには、すでに歌の漠然とした考えがあった。僕には、”dont have to be beautiful but it helps”というアイデアがあった。だから僕は思った(歌う)「♪dont have to be!」。彼らが持っていた歌をベースにしている。僕らが”dont have to be”をやった時、ブライアンとクリスがいた。ミランダが”a big bucks Hollywood star”を思いついたけど、ミランダ自身を含めて、僕らは誰もそれを気に入らなかった。それで、それに代わる別のラインに何週間も費やした。ミランダと僕はそれに対してたくさんの歌詞を書いた。それからミランダが輝かしいメロディーを思いついたと思う。それはトリッキーなメロディーで、キーボードのリフが反復する。“boy its tough getting on in the world when the sun doesnt shine and a boy needs a girl”。僕はその歌詞の大部分を書いたけど、それには最初、違ったチューンがあった。彼女はチューンを変えた、それは驚くほど巧みだったと思う。僕はそれが絶対できるようにはならないと思った。それから、ブライアンが”too much of everything...”のパートが気にくわなかったので、僕たちはそれをちょっと控えめにした。それで彼はそこを気に入るようになった。突然、歌のなかばに出てくる。そして、二重コーラスを歌の始めに持ってくるかどうかの、あの議論があった。僕はタイトルに「Love etc.」を勧めた。ブライアンから「これはヒット・タイトルかな?」と書かれたメールが来た。「Love etc」のアイデアはヒット・ソングとして書かれたからね。

クリス: うん。

ニール: とにかく歌はすごく急速に、ある種の反物質主義のものが合体した。それは、富と有名人に対する現代の妄想が、人々を幸福にするものでないということをシンプルに示している。人々を幸福にするものは愛だ。たぶん、最も広い意味ではね。

クリス: う〜ん、それが必ずしも幸せにするというわけじゃないんでしょ? 読者たち、僕は”love was a catastrophe(愛は破壊的)”だと思うよ。

ニール: うん、僕たちがキューブにこだわる理由は僕たちがキュービズムのように多くの違った観点から同じものを見るからだ。そして、この歌はある特定の視点だ。


(
以上、Literally 3420097月より)




テナント「僕たちのアルバムの最初のシングルは、実際にXenomaniaが自分たちのモノにする予定のプロジェクトのために持っていたトラックだった。 僕たちはそれを、彼らのソロのプロジェクトからアルバムに何とか苦労して手に入れたんだ。次に僕は‘You dont have to be beautiful but it helps(君が美しい必要はないけど、助けにはなる)‘というアイデアを思いついた。それは歌詞のベースになった。 ミランダは‘Boy, its tough getting around the world(少年よ、世の中で上手くやっていくのは厳しい)‘という部分の、とても巧妙なメロディーを書いた。それは自分とクリス、どちらかが思いついたメロディーではない。それは、必要とするのは愛だけで、お金で愛を買うことはできないことを実際に示している。 それはビートルズへの回帰だ。そして、僕は、それがその時の世界にぴったりな感情であると思う。僕たちは、落ち着いてそれをやるのを計画してなかったけど、まさに世の中に出た。でも、それは確実に2009年の歌だ。」

(
以上、Big Issue in the Northより)





ニールがチャーミングに歌いかけるファースト・シングル。キラキラ印のテクノ・ポップスで、新人アーティストを彷彿させるようなフレッシュな魅力を感じさせる。もっとも、ここで彼らが投げかけているメッセージは、時代が時代だけに大きな意味があると思う。
「お金では幸せになれないが愛では幸せになれるという内容で、スーパースターでなくてもいい、スーパーカーを運転しなくてもいい、といった内容の歌詞の羅列が好きなんだ。それに、いいメッセージだと思った。反物質主義のメッセージだ。僕らは物質主義の世界に住んでいて、そのために今問題が起きている。これまでにもヒップホップなどの音楽でお金に関しての曲が数多く書かれてきたが、この曲はそういった曲とは違うメッセージを投げかけているのがいいと思う。」(ニール)


 (以上、2009年「YES」ライナーより)

 

 

プロモーションビデオ(You Tube)



PV監督・・・Han Hoogerbrugge

テレビライブ(2009年)(You Tube)






★用語・人物メモ★

Gulfstream jet・・・アメリカの航空機メーカー。主にビジネス・ジェット。

Gerhard Richter
1932-)・・・ドイツのアーティスト。偶然かもしれないけど、YESのモザイク的アート・ワークはリヒターの作風にそっくり。2008年にロンドン・サーペンタイン・ギャラリーで展覧会を開催。ニールが好みそうな現代美術のアーティスト。


Han Hoogerbrugge
1963-)・・・オランダのデジタル・アーティスト、ウェブ・アニメーター。「Love etc.」にも登場するスカルがトレードマーク。



 PSBらしくもあり、PSBっぽくもない、ちょっと不思議な歌だと、初聴きで思いました。結構Xenomania(ブライアン、ミランダ)の手が入っていると思う。でも、時間がたつとすっかりこれはPSB節。強引かつやんわりと自分たちのものにしてしまう、そういうところがさすが。珍しく、聴く側に覚悟がいるメッセージソングだけど、ノンケ(ストレート)男性に、ニールが高いところからやさしく恋愛指南です。でも、男の子に“美しいのはいいよね”ってのが本心?でしょでしょ?

 ただし、ニールは富とパワーの生活を決して否定していないと思うし、クリスは“愛が人を幸せにする”とはそんなに強く思っていないと思う。つまり、ちょっと“PSBが正直じゃない”タイプの歌。



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