ニール: 「Vulnerable」も、デモと変わっていない。
クリス: この曲は僕たちが最初の訪問のときにブライアンにプレーした別の曲だ。つまりオーディションさ。
ニール: デモは、実際は違ったキーがあった。僕がそれを歌うことができなかったから、僕たちはそれを落とした。彼らはそれをちょっと強くしただけ。僕たちがこの曲を書いたとき、いつもそれがシングルになるだろうと思っている。最初にそれをプレーしたのは、ParlophoneのNick Gaffieldだった。彼はEMIのA&Rのグローバル社長で、これは「Love etc.」よりもシングルにするべき曲だと思っていた。彼は、それをデュエットにしたいと思っていたようだ。カーラ・ブルーニ(現仏大統領サルコジ夫人で、元々モデルで歌手)にアプローチする話があった。それはデイヴ・ドレル(当時のマネージャー)のアイデアだった。僕は、彼女がそれを歌うのを想像出来た。歌そのものは僕たちの知人の女性の観点から歌われている。かなり簡単だから、よく知っているだれかに関して書くのは楽しい。他の誰かの観点から歌うのは、面白いとわかった。歌うのは開放的ですらある。外側の殻はとても強くて攻撃的なある誰かは、しかし内面は本当に傷つきやすい。この人は彼らのパートナーに歌っている。そのパートナーは、彼らにとってそんなに重要であるように見えないけど、本当はかなり重要なんだ。
クリス:でも、僕たちは皆、実はちょっと傷つきやすいんだよね?
ニール: そう思うよ。この歌はたぶん本当は僕についてのことだと思う。
クリス: こういう多くの歌は、本当に簡単に出来た。音楽はまさしくすごく安易だった。ちょっとエレクトロポップで。これがそういうものだ、本当に。
ニール: ギターは、実際にクリスがプレーしたサンプルだ。いつもそれがちょっと「Voyage Voyage」(1986年フランスのシンガーDesirelessの曲)とかそういうようなとてもフレンチに聞こえるような感じがしたから、この歌は好きだ。特に美しいメロディーがあると思う。僕たちが当然のように書くタイプのメロディーだ。でも、時々メロディーの全体のアイデアがいま時代遅れかどうかを考える。
クリス:僕たちは、見通しのきかないアルバムを次に作るつもりであることを覚えておかないと。何もナシで。狙いは、誰も好きになりそうにないアルバムを作ることだ。
ニール: それで何を達成したいの?
クリス: 満足感さ。僕は、時々自分たちに音楽的才能があり過ぎると思う。トレヴァー・ホーンが一度僕たちに言ったように、それがロックンロールが発明された理由だ。
ニール: 違う。ブライアン・イーノがそれを言ったんだよ。
クリス: ブライアン・イーノか。
ニール: 僕たちは、公正に見て、その時ノエル・カワードの歌をアレンジしていた。
クリス: まさしく! 僕は、3コードは多過ぎると思う。ロックンロールは、実は誰でもプレーできて、考える必要はない何か簡単なもので出来ているから、音楽的才能のすべてをぶち壊すために発明された。だから次のアルバムで、みんな僕たちからこのような音楽的才能を全て手に入れられるとは僕は思わないね。
(以上、Literally 34号2009年7月より)
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