人形のきもの、自分で作れたらすてきですよね.
でも、現代人が着物を着なくなった(着こなせなくなった)今,きものの基礎さえ知らない,という若い人がすでに大部分だと思います.
しかも、そのきものを作るのは,どんなに道のりが遠いか,検討もつかないことでしょう.
現に,和裁の学校は,かなり長い時間をかけてきものの基礎から製作までを勉強します.
だからといって,始める前から挫折することはありません。
確かに,基礎から製作までは,ある程度の時間を必要としますが,きものというのはほとんど同じやり方で進めていけばいいので、一通り習得できれば、あとは同じことの繰り返しなのです.
技術的アレンジは必要ありません。正確に縫う技術があればいいのです.
その技術は、練習すれば、誰でも習得できます.
ある程度以前の学校教育、あるいは現在でも女子高などではきもの(浴衣)を家庭科で縫うほど、一般的な技術だった筈なのです.
では、きものにとって、機械のような正確さ以外に、”自分らしさ”を出すために、何が一番必要なのでしょう.
それは、ずばり布(表布および八掛布、だて衿、帯など)選びのセンスです。こればっかりは個人のものなので、練習できるものでもありません.
こうしてみると、きものは"人形"そのものとほぼ同じ状態のものであると思います.
きものの種類
きものの種類は昔のものを含めれば膨大にありますが、ここでは、一般的に人形に着せることの多い、子供〜若い女性が着るきものについて説明します.
下図は女性用の一般的きもので、袷の長着(あわせのながぎ)と呼びます.
袷(あわせ)とは、浴衣などに代表される裏のない単(ひとえ)に対し、裏のあるものの総称です.
時代によって多少は違いますが、袖が長ければ、「ふりそで」となります。
また、浴衣などの夏のきもの(綿、麻など)、真冬のきもの(毛織物)を除けば、よそ行きのきものはほとんど絹織物で作られます。 最近では晴れ着は手入れの簡単さ、またあまり出番がなかったりする為、化繊で良しとする場合も多いですが、化繊は、きものの基本である手縫いにはあまり向いていません.
また、洋服を「立体構成(縫製)」と呼ぶのに対し、きものは「平面構成(縫製)」と呼びます.
きものはほとんど直線で、洋服で言うところの型紙を使用しません.
きものは何度もほどいて洗い張りをし、またもう一度縫いなおし、ずっと長く着るものなので、製作方法も、1本の反物に極力はさみを入れない方法で作られています.
きものが痛んできたら襦袢(下着)にしたり、子供用に仕立てなおしたり、とことん使います.現在のように使い捨てではないし、100年近くのきものでいまだ色と風合いを保っていることを知れば、たやすくはさみで切り刻んだりは出来ないと思います.
きものの各部の名称
次に、きものの各部分の名前を覚えましょう.
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