Messege of Bebe
48号へ 人形情報紙
ベベ通信49
vol.49 '02/9月 BYまりりん石原
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「ベベ通信」は、もともと通信販売商品に同封する為に発行している人形情報のフリーペーパーです.
これは、そこから抜粋したホームページバージョンです.
きものの基礎を知っておきましょう

人形のきもの、自分で作れたらすてきですよね.
でも、現代人が着物を着なくなった(着こなせなくなった)今,きものの基礎さえ知らない,という若い人がすでに大部分だと思います.
しかも、そのきものを作るのは,どんなに道のりが遠いか,検討もつかないことでしょう.
現に,和裁の学校は,かなり長い時間をかけてきものの基礎から製作までを勉強します.

だからといって,始める前から挫折することはありません。
確かに,基礎から製作までは,ある程度の時間を必要としますが,きものというのはほとんど同じやり方で進めていけばいいので、一通り習得できれば、あとは同じことの繰り返しなのです.
技術的アレンジは必要ありません。正確に縫う技術があればいいのです.
その技術は、練習すれば、誰でも習得できます.
ある程度以前の学校教育、あるいは現在でも女子高などではきもの(浴衣)を家庭科で縫うほど、一般的な技術だった筈なのです.

では、きものにとって、機械のような正確さ以外に、”自分らしさ”を出すために、何が一番必要なのでしょう.
それは、ずばり布(表布および八掛布、だて衿、帯など)選びのセンスです。こればっかりは個人のものなので、練習できるものでもありません.
こうしてみると、きものは"人形"そのものとほぼ同じ状態のものであると思います.

きものの種類

きものの種類は昔のものを含めれば膨大にありますが、ここでは、一般的に人形に着せることの多い、子供〜若い女性が着るきものについて説明します.

下図は女性用の一般的きもので、袷の長着(あわせのながぎ)と呼びます.
袷(あわせ)とは、浴衣などに代表される裏のない単(ひとえ)に対し、裏のあるものの総称です.
時代によって多少は違いますが、袖が長ければ、「ふりそで」となります。

また、浴衣などの夏のきもの(綿、麻など)、真冬のきもの(毛織物)を除けば、よそ行きのきものはほとんど絹織物で作られます。 最近では晴れ着は手入れの簡単さ、またあまり出番がなかったりする為、化繊で良しとする場合も多いですが、化繊は、きものの基本である手縫いにはあまり向いていません.

また、洋服を「立体構成(縫製)」と呼ぶのに対し、きものは「平面構成(縫製)」と呼びます.
きものはほとんど直線で、洋服で言うところの型紙を使用しません.
きものは何度もほどいて洗い張りをし、またもう一度縫いなおし、ずっと長く着るものなので、製作方法も、1本の反物に極力はさみを入れない方法で作られています.
きものが痛んできたら襦袢(下着)にしたり、子供用に仕立てなおしたり、とことん使います.現在のように使い捨てではないし、100年近くのきものでいまだ色と風合いを保っていることを知れば、たやすくはさみで切り刻んだりは出来ないと思います.

きものの各部の名称

次に、きものの各部分の名前を覚えましょう.

きものの裏、すそ裏の斜線部分は「八掛」(はっかけ)と呼びます.
表布八枚にぐるっと渡っているので、この名があります.

基本的にこの部分は表裏と共布か、表裏に合った色の同素材(表がちりめんなら八掛もちりめん)を用います.
この部分の色を選ぶのが「センス」であり、表布が地味なら八掛を派手にしたりして、粋を楽しみます.
普通、八掛と袖口布は同じ布を使用します.

「裾ふき」は、「八掛」を表から少し見えるように表布より出してあります。
「褄(先)」は、表布と八掛を合わせて、うまく合うように角を尖らせて処理する場所ですが、ここがきもの製作で、最も難しい技術です.
この部分がうまく出来るようになったら、きもの製作の及第といえるでしょう.
きものの採寸は、右図の採寸をします。

着丈は、首のうしろの付け根から、くるぶしまでまっすぐ下ろした値です.

ちなみに、おはしょりをほどいたきもの全体の着丈は、身長とほぼ同じです.
子供の場合はおはしょりが多いほうがかわいいです

裄丈は、うでを水平に伸ばし、背骨の真ん中から、親指の付け根くらいです.
袖は長めのほうが、短いよりはきれいに見えます.
布を選ぶ

人形のきものには、アンティーク布を使用するのが最もよいでしょう.柔らかく、縫いやすく、雰囲気も良い為です.
新しい着物は布がばりっとして硬く、手縫いするのにたいへんですし、柄が大きいものが多く、また、新しいきものをわざわざ切ってしまうなんて、もったいないです.あまりお勧めしません.

布としては、必ず絹織物で、最も適したちりめんを筆頭に、色柄の美しいきんしゃ、りんずなどが適しています.
アンティーク布は最近はますます品薄になっており、安くて良い物はなかなか見つかりにくくなっています.
それでも、いいものを探し、見つけるのはとても楽しいものです.ただし、色柄も美しくてあまりにも安いものは、化繊であったり、ショウがない(すぐ破ける)ものかもしれませんので、充分気をつけて下さい.

では、そのアンティーク布はどこに行ったら買えるのでしょうか.

a.自分のきもの、あるいは家族の古いきものを利用する

おばあさま、おかあさま、ご自分のきものがたんすの肥やしになっているようでしたら、人形のきものとしてよみがえらせてあげましょう.
ただし、持ち主に相談後、大事なもの、思い出のきものは、ある程度技術が上達してからにしましょう.

b.アンティーク市に行く

現在、骨董市はブームですので、各地で開催されています.
東京では年に何度か、平和島などで大きなイベントがあります. 1度だけではなく、何度も行ってみましょう.
ここで大切なのは、気を長く持つことです.
みんな失敗を経て目を肥やしていきます.
いきなり高いものを買うことはないでしょうが、ある程度のステップアップはあって当然と思ってください.
なんどか通っていると、自分の気に入ったきものを扱っている出店がわかってきます.躊躇せずにお店の人に話しかけて、仲良くなることは、かなり効果があります.
人形のきものにしたい、というと、合ったものを出してくれるかもしれません.また、何度か通っていると、前回も見たきものが売れ残っているかもしれません.
こういう時は、値下げ交渉してみると良いと思います.

c.専門店に行く

アンティークきものの専門店に行けば、たくさんきものを扱っています.
人形のきものに利用する人も多いです.
ただし、専門店はアンティーク市のように迷わない分、値段は安定しており、骨董市のような激安掘り出しものは少ないかもしれません.
時間のない人向きですが、確かなものを欲しい時は便利です.また、価格の目安、目を肥やすためにも時々行って見ることも必要です.

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆今月のギャラリー☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「香〜kao〜」

55cm、三つ折れ.
香〜kao〜
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