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♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.37♪♪
別冊「まりりんのの日記」/ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
第37号・2006年08月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:マーガレット(題字:ニール王子)
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「クローサー・トゥ・ヘヴン」が見たい!
 
 PSBが全曲を作ったミュージカルだけど、出演したり歌ってるわけじゃないからしばらく放っておいた「クローサー・トゥ・ヘヴン」(以下「CTH」)のCD。しばらくぶりに聞いてみたら、あら、いいじゃん、これ!思えば私の好きなアルバム「ナイトライフ」(でもどっちかというとメロウで闇の世界を描いているため泣いちゃうので、聞く時を選ぶアルバム)と曲の製作時期も曲そのものもかぶっているので、絶対好きなわけです。既存のヒット曲を使うのではなく、ほとんど書下ろしで作られるのも珍しいかも。しかも舞台・芝居はかつて自分自身かかわってたほど好きなジャンル(まあ、ミュージカルはちょっと・・・だけど)。先日、オーストラリアで再演もされたし。そういうわけで、今さら「CTH」のおさらいです。
舞台は見てないけど曲を聞いて想像で語ります。

注*データは日本版CD「クローサー・トゥ・ヘヴン」(ペット・ショップ・ボーイとジョナサン・ハーヴェイによるミュージカル オリジナル・キャスト版)のライナーなどをもとにしております。持っている方は引っ張り出しておさらいしながら、持っていない方は新鮮なキモチでお楽しみ下さい。

注*PSBがミュージカルってのはちょっとベタだよね。世界征服者として、ベタじゃないエッジなところで勝負をしているPSBだけど、実はとんでもなくベタだということはうすうすバレてますね・・・。

注*「CTH」のパクリといわれたボーイ・ジョージの自伝ミュージカル「TABOO」が映画化・DVD化されたのに、なんで「CTH」は映像化されていないのだ!ニューヨークで再演との動きもあるらしいが、その後聞かなくなった・・・。

注*マーガレットはかつて1990年にロンドンのピカデリー劇場で再演された「ロッキー・ホラー・ショー」をわざわざ見に行ったくらい好きなもんには時間とお金を惜しみません!もし「CTH」がロンドンで再演されたら、またスケジュール立てるわ!
 
CTH」は、2001年5月31日から約5ヶ月、ロンドンのウエストエンドの劇場、アーツ・シアター(ライナーによるとキャパ100人って!めちゃくちゃ小劇場じゃん!…ちょっと待って、サイトで調べたらキャパは公称340…3.4倍も違う!どっちが正解?)で公演された。大スターのPSBと、売れっ子脚本家のジョナサン・ハーヴェィの夢のコラボ仕事にしては入れ物が小さい。毎日300人X5ヶ月だと、ほぼ満員でも45,000人しか見ていないことになる。1回のコンサートでこのくらいの動員だってあり得るのに。まあいい、ともかくそういう過去だからこそ、「CTH」は幻、語り草な訳で。見た人はかなり気合の入ったファンかラッキーな人なんだろう。しかし、評論家からの批評は賛否両論だったようだ。理由は「ゲイっぽい」ということに集約されるようだけど、ゲイっぽいミュージカルはいっぱいあるし(っつーか、ミュージカルそのものがすでにオネエっぽいし、大の男がミュージカル好きだなんて言ったら普通「ベタにゲイっぽい!」って言われるだろう・・・欧米では特に)「蜘蛛女のキス」「ベント」「プロデューサーズ」「ドレッサー」「レント」、みんなゲイが出てくるのに。そんな理由はイマイチピンとこないんだけど。
 
 ストーリー
 アイルランドからロンドンに出てきたデイヴは、ゲイクラブの経営者ヴィックの娘、シェルと恋に落ちる。一方で芸能界の大立者ボブにドラッグを流すディーラー、マイル・エンド・リーと出会ったデイブは彼とも関係を持つ。シェルと別れ、マイル・エンド・リーも失ったデイブはゲイとして生きていくことを選択する。ものすごくベタです。べタな部分を大放出させた感じです。舞台はゲイ・クラブ・カルチャーとドラッグの蔓延した芸能界・・・って、これってもしかしてニールand/orクリスの自伝?って感じですか?脚本家ジョナサン・ハーヴェイはイギリスのドラマ界ではよく知られた脚本家だそうですが、まあ、100%ゲイでしょう。

収録曲はみんなイイのだ!だって全曲PSBが作ったから!
 
 01「マイ・ナイト」/ビリー・トリックス
この芝居の狂言回しであるクラブ・クィーン、ビリー・トリックス(70年代に活躍した女性歌手)が歌う曲。オープニングにふさわしい、観客にこの世界観を説明する曲である。
 
 02「サムシング・スペシャル」/ストレート・デイヴ
田舎から出てきた青年デイヴの希望にあふれた力強い曲。ちょっとハスキーでセクシーな声。
 
 03「クローサー・トゥ・ヘヴン」/シェル&ストレート・デイヴ
タイトル曲。出会った若い男女・デイヴとシェルはこれが運命の恋だと気付く。スローバージョン。PSB版はアルバム「ナイトライフ」(‘99)に収録。
 
 04「イン・ディナイアル」/ヴィック&シェル
ゲイクラブを営む父親ヴィックとその娘シェルの葛藤のデュエット。PSB版はアルバム「ナイトライフ」(‘99)に収録。ニールとカイリー・ミノーグとのデュエット。歌詞もちょっとだけ違う(PSB版にはマッスル・メアリーが出てくるが、こっちには出てこない)
 
 05「コール・ミー・オールド・ファッションド」/ボブ・ソーンダーズ
芸能界を牛耳るボブが「古いといわれようと、これが芸能界のしきたりだ」と、ドラッグとセックスとショウビジネスの関係を楽しげに歌う。“セックスは楽しいし、金になる”んだそうだ。
 
 06「ナイン・アウト・オブ・テン」/シェル&ストレート・デイヴ
 恋人同士のキスの場面の歌。「僕はストレートだ」「あなたは10点満点の9点よ」という掛け合い。「リリース」(02)の「The night I feel in love」の“スターも「10点満点の9点」と歌われている。
 
 07「イッツ・ジャスト・マイ・トリビュート・トゥ・カリグラ、ダーリン!」/ビリー・トリックス&ベイブス
ベタなのかなんなのか、ニールの詩にはたびたび「性豪」が登場する。カリグラ、ドンファン、「ファンダメンタル」(06)のカサノヴァ。もしかしてうらやましいのかなあ。彼って、セックスをやっかいだとか言いつつも、ものすごくこだわっているよね。現実と理想とのギャップなんだろうなあ。じゃあ自伝書いてよ!性豪伝説に入れてあげるからさ!
 
 08「ヘドニズム」/インストゥルメンタル
 
 09「フレンドリー・ファイアー」/ビリー・トリックス
ビリーがしっとりと歌う人生観。歌、上手いなあ(当たり前か)。
 
 10「シェイムレス」/ヴァイル・セレブリティーズ
PSB版はシングル「ゴー・ウエスト」(‘93)に収録。ということは、この曲だけはこのミュージカルのために書かれたのではないということ。でも、ぴったりはまっている。明るくポップな曲調ながら、内容は栄光のためなら恥も外聞も捨てる人たち”といった、皮肉な曲。
 
 11「ヴァンパイヤーズ」/ヴィック&ビリー・トリックス
PSB版はアルバム「ナイトライフ」(‘99)に収録。ゲイ=ヴァンパイア、という比喩なんだろうけど、怪しい雰囲気がとてもナイス。ヴィックの俳優さんの声は渋くて力強くて、ニールとはまた違って、いい。
 
 12「クローサー・トゥ・ヘヴン」/ストレート・デイヴ&マイル・エンド・リー
2度目のタイトル曲。今度はゲイ・カップルが歌う。うう…せつない。
 
 13「アウト・オブ・マイ・システム」/シェル&ビリーズ・ベイブス
デイヴの心変わり(しかも男に寝取られた)と知ったシェルの絶望と、デイヴへの別れの曲。
 
 14「K−Hole」/インストゥルメンタル&ビリー・トリックス
 
 15「フォー・アール・オブ・アス」/ストレート・デイヴ
マイル・エンド・リーの死を嘆くデイヴ。
 
 16「クローサー・トゥ・ヘヴン」/ストレート・デイヴ
マイル・エンド・リーを失い、失意の中ひとりで歌う3度目のタイトル曲。
 
 17「ポジティブ・ロール・モデル」/ストレート・デイヴ
PSB版はアルバム「DISCO3」(‘03)に収録。自分をゲイと自覚したデイヴの自立の歌。

CDに入っていないけど「CTH」のために作られた曲
*「Tall thin men」・・・ヴィックのボーイフレンドについての曲。
*「A litter black dress」・・・シェルの容姿をたたえる歌
*「You
ve got to start somewhere」
*「Nightlife」・・・“ナイトライフ”はもともと「クローサー・トゥ・ヘヴン」のタイトル第一候補だった。アルバム1999年「ナイトライフ」にPSB版が収録。
*「The only one」・・・アルバム1999年「ナイトライフ」にPSB版が収録。
*「For your own good」・・・アルバム1999年「ナイトライフ」にPSB版が収録。
*「You only tell me you love me when you
re drunk」・・・アルバム1999年「ナイトライフ」にPSB版が収録。シングルカットもされた割に寂しげなヒット曲。
*「Mild-life crisis」
*「The night is the time to explore who you are」
*「Home」・・・後にアルバム2002年「リリース」の「Here」になる。

ジョナサンの日記
ライナーに載っていたジョナサン・ハーヴェイの執筆日記が面白かった。ふだん見れないニール&クリスの日常が伺えるからです。PSBとジョナサンは’97年に1年間サリー州に一軒家を借り、創作に取り組んだそう。
3人のゲイ(推定)とお手伝いさんのサンドラさん(女子)との4人でまるで修学旅行の夜みたいッス!

「2月19日:昨日の夜は、スタジオで全員酔っ払い、ニールとクリスは2曲分の作曲をした。(中略)クリスはアーセナルの試合があるというので今日ロンドンに戻った。昨日は寝る前にニールがサンドラに残したメモに落書きをした。「クリスよりあふれるほどの愛をこめてと」それと山ほどのキス。彼女はたいしたもんだ。」
4月1日:ニールとクリスは僕の書いたサウナのシーンを声に出して呼んで大笑い。すごく嬉しい。そのあとデイヴとスティーヴのベッドルームのシーンを読んでもらった「かなりセクシーだね」とニール。猫が木に登って下りられなくなっている。ニールが骨付き肉を切り分けてイッセー・ミヤケのシャツをグレイヴィーだらけにした。」
「4月2日:今現在、ニールは自分の部屋でわけのわからないクラシックを大音量でかけている。寝てしまえばいいのに。」
「5月4日:今日は電話でニールを笑わせた。BOYZ誌のお相手募集中独身ゲイのコーナーに彼がのっているところを読んでやったのだ。僕は「残念でした、交際相手あり」のリストのーーーなんとエルトン・ジョンを差し置いてーーートップだった。」

*やっぱジョナサンはゲイじゃん。ニールはこのときフリーだったの?あらまあ、お珍しい。
 
 「9月10日:ニールとクリスとディナー。トニー・ブレアも来ていて、シェリーと食事をしていた。僕たちが店を出るとき、トニーはニールを呼んでちょっとおしゃべりをした。あとで「僕と一緒にミュージカルを書いているって言った?」と聞いたら「うん。でも君のことは聞いたことないって。」だと。ムカツク。
*このときはまだニールは労働党員で、ブレアびいきだった。その後、離れることになるけど。
 

 「9月15日:今朝車で拾いに行ったら、ニールはむちゃくちゃ機嫌が悪かった。僕が行く直前までドイツ人のストーカーが彼の家の呼び鈴を押し続けていて、僕のことを彼女と思ったらしい。ニールがそのストーカーを押し出しながら「君は3年間もそこに突っ立っているんだぞ!」と言ったら、彼女は「もっと前からよ!」と叫び返した。彼女はニールが悪評をばらまいたと責めている。到着したとき、クリスはホットケーキを2枚リクエストしたのにマフィンを2個出されたのでぶんむくれていた。」
*ぞ〜〜。女ストーカーよ、相手を間違っていてよ。痛いほどキモチはわかるけど、無駄だっつーの。
 
 「9月16日:クリスは、マイルエンド・スティーブが死ぬことに決まっておかんむりだ。ニールが「刑務所に入れるってことにしてもいいかも。」と譲歩を始める。僕は譲らない。クリスは気分よく見られる芝居にしたがっているが、登場人物の一人は精神に異常をきたしたドラッグ・ディーラーなんだと指摘する。(中略)クリスは寝に行った。ドアのところで振り返って「まだ、マイルエンド・スティーブが死ぬことに納得行かないよ」と言った。ニールが「歌を書く口実にはうってつけだよ!」と言い返した。」
「9月16日:マイルエンド・スティーブが死ぬことにクリスが降参した(「だって2人とも譲らないんだもん!」)。今日はサウンド・オブ・ミュージックを見る。クリスが歌詞に合わせて口を動かしているのを目撃!」
*まあ、クリス的には恋人が死ぬのは許せんでしょう。苦いよ。「サウンド・オブ・ミュージック」はクリスの「生涯の1本」で、泣けるらしい。ああ、ベタ。
  
 
ところでこのドラッグ・ディーラー、マイルエンドは「ウエスト・エンド・ガールズ」で、ロンドンに流れてきた主人公に話しかけてくるドラッグ・ディーラーの具現化じゃなくて?わりとつながっているから・・・。
 PSBとは縁深いイギリスのゲイ雑誌「Attitude」で「CTH」の特集号アリ(マーガレット未見)。




キャストとニール&クリス(ドアのうしろ)

怪しそ〜な舞台です・・・



さあ、見たくなっちゃったね〜。ロンドンで再演されないかしら。

 

 


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