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♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.03♪♪♪
ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
第3号・2005年9月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:クリスティーナ・マーガレット・ロウ
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こんにちは、マーガレットです。マージの焼いたセレクトCD2枚組「Chris/Neil」は、もうじっくり聞いてくれたと思うけど、いかがかしら。前にもいったように、このCDは”初心者むき”だから、次のステップを考えないとね・・・というわけで、もっと聞きたい、というペットヘッド(PSBファンのことをこう呼ぶんですよ・・・マージの妄想じゃなくて、世界共通の呼び名です)の仲間入りしたお友達ために、セカンドを想定してみました。もう無理やり渡さないけど、欲しければいつでも焼くから、ご遠慮なくね。乙女超訳は次回から順番にいたします。

PSB/in deep
0.「パリ・シティ・ボーイ」
1.「ロンドン」
2.「シングル」
3.「アイム・ノット・スケアード」(モンマルトルの森)
4.「トライ・イット(アイム・イン・ラブ・ウィズ・ア・マリード・マン)」
5.「アイ・ウォント・ア・ドッグ」
6.「レント」
7.「ワン・オブ・ザ・クラウド」
8.「イン・ザ・ナイト」
9.「ライズ」
10.「キングス・クロス」
11.「ドリーミング・オブ・ザ・クィーン」
12.「バースディ・ボーイ」
13.「イット・クドゥント・ハプン・ヒア」
14.「セ・ア・ヴィダ・エ (ザッツ・ザ・ウェイ・ライフ・イズ)」
15.「ミラクルズ」
16.「ウィー・アーザー・ペット・ショップ・ボーイズ」


0.「パリ・シティ・ボーイ」
 ベストアルバム「ポッップアート」(’03)のフランスで発売されたバージョンのみに、「ニューヨーク・シティ・ボーイ」のかわりに収録。大半をフランス語で歌っている。”シャンゼリゼの貴公子”とかいう歌詞。こんなにつくしているのに、フランスではPSBは意外にも冷ややか。エイス・ワンダーに提供した「アイム・ノット・スケアード(邦題「モンマルトルの森」)」もフランス語バージョンがあるし、セルジュ・ゲーンズブール&ジェーン・バーキンの「ジュテーム・モワ・ノン・プリュ」(クリスいわく“フレンチエロ歌謡”。映画はトラックドライバーのホモカップルX少年にしか見えない美女のガチンコセックスのお話)もカバーしているのに。ニールの声は、もちろんフレンチの響きでもよりいっそうエロくてはまっている。

1.「ロンドン」
 アルバム「リリース」(’02)よりのシングルカット。彼らの拠点であるロンドンをテーマにし、PV(プロモーションビデオ)では2人がギターとキーボードだけで、ロンドンの至るところでゲリラライブ風の映像になっている。ニールの歌い方もメロディも至極やさしい。が、内容は暗い社会背景。歌詞がわからなければさらっと流してしまいそうな、聞きやすい、アコースティック風のメロである。
 ロンドンには現在、たくさんの両極端のロシア人がいるという。原油産出国ならではの大富豪(伝統あるサッカーチーム・チェルシーを買収したロシアン石油王とか)と、歌に歌われているようなブルーカラーワーカーの移民である。ロシアに並々ならない関心を寄せている2人が、この事実をほうっておけなかったはずである。


2.「シングル」
 アルバム「バイリンガル」(’96)からのシングルカット。原タイトルは「シングル−バイリンガル」。2人が言うように、当初は「バイセクシャル」というタイトルにしたかったという(いくらPBSでもアルバムタイトルはなあ・・・こう見えてもセクシャリティはいまだに隠された側面なのだ・・・っーか、バイセクシャル?)。アルバム収録曲は、全体にわりと力の抜けた幸せ感のただようものが多いが、両性、国内と海外、幸せと不幸せなど、2面性を持っていることは確か。サンバのリズムと、アイルランドのドラムを使い、歌の内容は、海外を飛び回る”独身でバイリンガル(バイセクシャル?)のビジネスマン”。PVではニールが架空の“ニール”扮して、壮大な飛行場ミュージカルになっている。ポップだけど、ベストアルバム「POPART」では「ART」に分類されている

3.「アイム・ノット・スケアード」(モンマルトルの森)
 アルバム「イントロスペクティブ」(’88)収録。当時アイドルだったパッツィ・ケンジットを擁するエイス・ワンダーに提供した曲。PSBが最初に他人に提供した曲で、また、歌い手に女性を想定した曲。でも、ニールの声にはもちろん性差なんてない。私はエイス・ワンダーのバージョンは当時からよく聴いていたな。もちろんPSBの曲だと知っていましたが。

4.「トライ・イット(アイム・イン・ラブ・ウィズ・ア・マリード・マン)」
 
アルバム「ディスコ3」(’03)収録。「ディスコ」シリーズは3枚あるが、原曲LOVERとしては、あまりいじり倒されているのは、もうPSBじゃないのではないかとも思う・・・歌がばっさりとかもあるし。でも、この「3」は、アコースティック色の大きい「リリース」を中心にリミックスしていて、なかなか面白い。この曲はロメオ(ボビー・Oの作ったガールズグループ)のカバー。カバー選曲担当はクリスだが・・・。主役が女性の歌だけどどっちにしろ、不倫の曲。それをニールがさめざめと歌っているわけですが、ニールの声で「既婚男性を愛してしまった・・・」なんて、ゾクゾクしちゃうぞ。ニール自身は「不倫はしない」ってことですが。でも、悲恋ばっかりのニールの場合、知らなかったけどそうだった、なんてことも有り得そう。

5.「アイ・ウォント・ア・ドッグ」
 シングル「レント」(’87)のB面及びB面集アルバム「オルタナティブ」収録。ピーター(彼らの友人でプライベートスタッフ)が、「犬が欲しい、部屋が小さいので、チワワがいい」といったのが、そのまま歌詞になっている。それでかどうかは知らないけど、ピーターとクリスは一緒に大きい部屋(?)に住むことになるのだが・・・(聞きたくもないなれそめを聞いちゃった感じ・・・2人が犬を飼ったかどうかは不明。実際に飼ったのはニールの方)。クリスが犬種ラップを入れている。また、この歌詞は「DOG」=「BOY」、「CAT」=「GIRL」と読み替えることができると話題にもなったが、本人たちが「DOGはDOGだよ」と、これを否定した(ファンクラブ会報誌’94に掲載)。

6.「レント」(‘87)
 アルバム「哀しみの天使(アクチュアリー)」(’88)からのシングルカット。「“レント=家賃”を払ってくれるあなたを愛している」という、「愛」と「経済」についての冷めた歌にも思えるが、ちょっと悲しいメロディと前半と後半で抑揚をつけた歌い方は、真実の愛への希望も感じさせる。誰かの愛人である女性の心情を想定して書かれているが、“レント“には実際”愛人、娼婦、男妾“という意味もあり、ライブではニールが真っ白い毛皮をまとい、ちょっと憂いを帯びて歌っていたので、せっかくだからあえて超訳では”男の愛人“を想定してみました。

7.「ワン・オブ・ザ・クラウド」
 シングル「イッツ・オールライト」(’89)のB面及びB面集アルバム「オルタナティブ」収録。ライナーに歌詞が掲載されていないので、ウェブから抜粋しました。「クリスの哲学」と定義されているように、おそらくクリスが書いたものを歌い、シンセで大幅に声を変えている。あまり人前に出たくない彼の心のうちのようだ。が、最初のセンテンスはどう見てもナンパ(特にゲイスラングで『クルージング』は相手探し、『フィッシング』はナンパ)。有名人がナンパなんてするのかな。クリスは誰かが横にいないと眠れない人らしいけど、それは愛が深いって言うの?誰でもいいの?(泣)

8.「イン・ザ・ナイト」
 
デビューシングル「オポチュニティーズ」(’85)のB面及びB面集アルバム「オルタナティブ」収録。かなり初期の曲ながら、反戦、社会問題、皮肉、ゲイテイスト、アタマのよさが見え隠れする・・・PSBのテーマがすでに確立されている。歌詞に出てくる「ザズー」は、第2次世界大戦(ナチス・ドイツ支配下)のパリの粋な若者たちのこと。ただの反戦ではなく、おしゃれでカッコイイ若者に注目するところが(「パニナロ」もそうだったけど)、ニールっぽい。

9.「ライズ」
 シングル「ユー・オンリー・テル・ミー・・・」(’00)のアメリカ版パート3のカップリング、また、日本限定ミニアルバム「ミニ」(’00)収録。なかなかのレアトラック。クリスの数少ないボーカル曲のひとつ(「パニナロ」「灯りを消して」はラップ・喋りに近いし、「追伸」が隠しトラックなので、唯一の「マジ歌ってる」曲かも)。歌詞はニールが書いたのかもしれないけど、「君が嘘をついた」と冷ややかに歌われている。わざわざ彼が歌うということは、何らかの意味があると思う・・・やっぱり経験に基づくのかな。報われない愛に対して、乙女ニールよりも、強い姿勢が感じられる。

10.「キングス・クロス」
 アルバム「哀しみの天使(アクチュアリー)」(’88)収録。ロンドンのキングスクロス駅は、東京で言えば上野駅みたいなもので、北部出身者の2人にとって、「上京」といえば「キングスクロス」なのだ。サッチャー時代の不景気の影響がある。「PSBの不吉予言その1」。この曲を発表してすぐ、キングスクロス駅の古い木造部分が火事で炎上、多くの被害者が出た(’05年もテロの標的になったのも記憶に新しいが・・・)。2番目は、恋人の死を予言することになってしまった「パニナロ」、3番目は次のトラック「ドリーミング・オブ・ザ・クィーン」。

11.「ドリーミング・オブ・ザ・クィーン」
 アルバム「ヴェリー」(’93)収録。「ヴェリー」製作時のこの時期は、2人にとって、転機とともにとても辛い時期だったと思われる。アルバム発売前、ベストアルバムを出したために解散の噂があり、それぞれにプロデュース業もやっていたため不仲説も出たし(どっちも噂に過ぎなかったが)、ゲイの友人たち、クリスの恋人などの闘病や死去などの暗い時代にあった。この歌に出てくる「クィーン」と「レディD」は、エリザベス女王とダイアナ(この時点ではまだ生存)であろうが、そうなると、ずっと泣いているダイアナの不幸を予言しているようにも見えるし、ゲイのオネエたちかもしれないし、もう一人の登場人物である「君(恋人)」がいまはもう存在しないかのようにも聞こえる。いくらでも深読みできる内容でもあるので、詩を読んで検討してみて下さい。どっちにしろ、死の匂いがします。

12.「バースディ・ボーイ」
 アルバム「リリース」(’02)収録。全編ニールのギター。ゲイだというだけで路上で射殺された少年の事件(また、オランダではマイノリティのために戦うゲイの政治家が路上で撲殺される事件もあった)があり、それについてニールは言う。「彼らは僕の罪のために犠牲になった。」と、ニールは語っていた。能天気に愛を歌うこともできるし、重い意味を持たせることもできる。タイトルは、ニールがたまたまクリスマスイブに見た新聞に、誰か有名人の記事(サッカー選手のオーウェンだったと思う)が出ていたから・・・だったと思います。タイトルなんて、そんなものらしいです。

13.「イット・クドゥント・ハプン・ヒア」
 アルバム「哀しみの天使(アクチュアリー)」(’88)収録。不思議な映画「夢色の幻想」の原題でもある。シンクレア・ルイスの小説「イット・キャント・ハプン・ヒア」から取ったもの。ニールの親友の死の病が発覚したときの心情を歌ったものだといわれている(そして彼の葬儀を歌った「ユア・ファニー・アンクル」、彼を思い出に生きて行く自分「ビーイング・ボアリング」と続く)。二人とも、愛する人や親しい人をHIVで失っているが、残されたものの悔しさほどもどかしいものはないはず。さすがのニールも悲しい歌声。

14.「セ・ア・ヴィダ・エ (ザッツ・ザ・ウェイ・ライフ・イズ)」
 アルバム「バイリンガル」(’96)からのシングルカット。日本でもなにかのキャンペーンソングだったので、さんざん流れていた。代表的ハッピーな曲。深刻な内容ではないので、聞きやすい。ニールはスペイン語の「サ・エ・ヴィダ・エ」の意味をちょっと間違えてタイトルをつけてしまったようだけど、本当の意味は「もし人生が・・・なら」という意味のようです。言葉を伝えるのって、本当に難しい。日本語同士でも、方言とか。
 綺麗な「アウトサイド」(ジョージ・マイケルがカミングアウト後に出したちょい自虐ソング)みたい。ちなみに「クロゼットから出ておいて」という歌詞があるけど、本来「カミングアウト」というのは、「カム・アウト・フロム・ア・クロゼット」というのが全文。私的には、クリスにクロゼットから出てきて、ラクになってもらいたい・・・あ、これはじゃあ、ニール→クリスへのメッセージ?ちなみにクリスはこの曲をPSB版「リビン・ラ・ヴィダ・ロカ」(リッキー・マーチンのヒット曲・・・あ、こいつもクロゼットに入ったままじゃん)と呼んでいるらしい。

15.「ミラクルズ」

 ベストアルバム「POPART」(’03)よりのシングルカット。21世紀のPSBはひたすら優しい。彼ら自身も歳を重ね、時代が癒しを求めている?恥ずかしくなるほどの「君」絶賛ラブソング、奇跡のオンパレード。・・・なのに、なぜかちょっと切なくなるようなメロディ。いつもちょっと悲観主義(特にクリスは、そう)な彼らにとって、愛がいつか消えてしまうとでも思ってしまうんだろうか。・・・まあ、それは確かに現実かもしれないけど、今だけは、思いっきり奇跡を謳歌してほしいのです。

16.「ウィー・アー・ザ・ペット・ショップ・ボーイズ」
 タイトルにミュージシャン名が入った、面白い曲。でも、切ないメロウな旋律&リリックですよ。ミラクルズ(‘03)のシングルCDのカップリング。デビューの1984年など、キーワードがちらほら。他のタイトルをちりばめたラップは多分クリスが言っている(相変わらずデジ音だけど)。ところで、「ペット・ショップ・ボーイズ」に冠詞の『ザ』がつくのは正しいの?

★★★★今月のお写真★★★★

この写真は、とあるイベント(2004年)でのお写真よ。他のショットでも珍しく、クリスがよく笑っている(しかもマイク持って喋っている)けど、こちらはさらに珍しく、二人が顔を見合っているわ。宣材写真だとお互いにカメラメンチか別々の方を向いている写真が基本だから、以外にないのよ、こういう仲良しモード。ただ、インタビューだと、ニールはクリスのほうばっかり見ているわよ。きゃー、恥ずかしい。ニール先生の目力は強力だから、とろけちゃうわ〜〜。

 

 

 


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