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♪♪妄想乙女マーガレット通信★vol.09♪♪
別冊「まりりんのの日記」/ペットさん(ペット・ショップ・ボーイズ)偏愛フリーペーパー
第9号・2005年10月発行★発行人:まりりん石原、執筆乙女:クリスティーナ・マーガレット・ロウ

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こんにちは、マーガレットです。マーガレットも歳をひとつ、とっちゃった!でも、大事なのは肉体年齢じゃなくて精神年齢。’90のインタビューで『毎年誕生日を迎えるたび、僕は若返る』とクリスが言っております。
★★★★今日の乙女訳リリック★★★★
『ライズ』(‘99`)
 
クリスの5年に一度くらいしかないボーカル。しかもラップや喋りでなく歌は珍しい。過去、彼がボーカルを取るというのは、何らかの意味があったから、この曲にも意味を求めてしまうのが筋ってもんだ。詩を書いたのはニールかもしれないけど、悲しいよね、こんなの。


寂しい、寂しい、寂しい

全ての嘘
僕についた君の嘘全て

僕が気にしていると思うのかい?
絶望したように見えるかい?
今日、君がしたことを言いに来たのかい?
なぜって、もし僕が気にかけていると思うのなら
それなら君はわかっている
僕は君の事は何も感じない
それでも、どうするんだい?

全ての嘘
僕についた君の嘘全て

君は、自分をカッコイイと思ったろうけど
君は僕の心の負担だった
でも、君はとても間違っていたんだよ
もう遅すぎた
僕がなすすべもないって
本当に信じていたのかい?
君が言うことは全部嘘だった
僕はわかっていたよ


★★★★今日のピックアップPV★★★★
シングル』(‘96)監督・・・ハワード・グリーンハルフ


 珍しく陽気な(?)、ミュージカル風PV。ロンドンのスタンテッド空港で撮影され、近未来的な雰囲気。ちょっと冷たいブルーの画面も素敵(バーでナンパするおねえさんだけオレンジ画面)。

ニールは架空のビジネスマン・独身でバイリンガル(でバイセクシャル?)なビジネスマン・ニール氏に扮している。ドラムのサンバチームといい、ラストの大掛かりな戦闘機といい、スケールがでかいです。でも、PSBが使う飛行機は明らかにファーストクラスよね?

 一方、クリスはというと、空港の警備員。これ、やばいっすよ。どう見てもサンフランシスコのゲイ・パレードによくいる制服コスプレのお兄さん。はまりすぎ、わかりやすすぎてため息が出るよ。クリスの最近のお気に入りのアメリカのドラマ『シックス・フィート・アンダー』だって、主人公の次男の彼氏が制服警察官ってとこに「ボーナス★ポイント」と思うし。ゲイドール・ビリーもよく警察官コスプレしているし。まあ、クリスは欲望に素直なのでいいにしてあげます。ただし、“ハッテン場トイレで警官とモメて逮捕&カミングアウト、その後居直ってPV『アウトサイド』(’99)で警官コスプレした”ジョージ・マイケルに関しては二人とも昔から嫌っているようですね。(さらにマリリン・マンソンがこれをPV『ドープ・ショウ』でジョークに…。) いつも組合員を大事にするPSBにしては、ジョージには厳しい批判。『シリアスリー』PVでもヤリ玉にし、ジョージと女性とのツーショットの写真も「君のガールフレンドじゃないだろ」(PSB同名曲タイトル)と、ぴしゃり。ジョージがゲイ・イメージを悪くしたから?スマートじゃないから?



★★★今日の他人の批評★★★★

 今回このコーナーは、マーガレット別人格・まりりん石原が執筆します。
 今更ながら、過去を振り返る・・・1968年生まれの私は、まさしく80年代に10代を過ごした。いまでこそ80年代ブームがあったものの、これに関しては仕掛け人が私とほぼ同年代、80年代に青春を過ごしたからであって、決して80年代の音楽が”軽薄で歴史に残らない不毛時代”であることを覆すことは出来ない。しかし世間的評価がどうであろうと、誰だって、センシティブな時代をともに過ごした音楽を忘れられるわけがない。実はPSBは80年代(後半)の、軽薄な音楽を担った一員であるらしいのだ。
 田舎の10代にとっての80年代は、いまと比べると恐ろしく原始時代だった。なにしろ、ビデオデッキ、CD(デッキ)が家にはなかったのだ。もちろん主流はレコード、ただ、LPを買うお金は中学生にはない。レンタルビデオ・レコード店が出来たことは事件だったが、1泊\1、000とかキチガイみたいだったし、ソフトも少なかった。TVも地上波以外の選択肢はなく、ビデオデッキがない限り、オンエアはただ一度の視聴チャンスなのだ。ちなみに当時放送していた洋楽番組といえば小林克也の『ベストヒットUSA』のみ。幸いにも懇願の末、中学3年のときに馬鹿デカイビデオデッキが家に来て、1本のテープが擦り切れるまで番組はローテーションで録画された。小林克也は私の洋楽の師匠だった。
 PSBに関しては、85年、最初にFMラジオで出会った。デビュー曲『オポチュニティーズ』の12”バージョンで、あまりにも音が印象的だったので、そのテープは今でも消すことなく私の手許にある。直後『ベストヒットUSA』で『ウエスト・エンド・ガールズ』のPVを見た。小林克也はPSBをあまり気に入っていなかったようだけど、そのときの事はよく覚えている。『ベストヒットUSA』で流すPVは全部ヘンテコな日本語訳がついていて、途中でぶつッと切られていた。なにか難しい歌詞だなあ、と感じたもんだ。そして、ボーカル(当時は個々の名前も知らない)のことしか覚えていなかった。

 80年代の日本の芸能界は転換期でアイドル全盛期だったが、私はそれに目もくれず洋楽派だった。ただ、どちらかといえばミーハー系。与えられるものが少ないので、ヒットチャート中心。ユーリーズ・ミクス、デュラン・デュラン、ワム!、マドンナ、シンディ・ローパー、ABC,a~ha、デビッド・ボウイ、カーズ、ニュー・オーダー、デペッシュ・モード、ティアーズ・フォー・ティアーズ、デット・オア・アライブ…ああ、たくさんで思い出せない。もちろんPSBも。洋楽雑誌はミーハー系かロック系のどっちかだったが、10代後半になるにつれ、ミーハーからユーロビート、さらにロックにシフトした。ロック雑誌のPSBに関する評価は惨憺たるもので(これについては、またマーガレットが怒りながら紹介すると思う)、ロックからは嫌悪されていたのを記憶している。おそらくPSBはまだ本来の熱い魂をひた隠し、冷徹なヒットメーカーとして未来を見ていたにちがいない。現に、当時のロック誌で熱いことを語っている若いロックヤロウたちはあらかた解散して、あるいはボロボロになって、今いったいどこにいるのかわからない。たぶん、いいマイホームパパやっているか、細々とスタジオミュージシャンとかやってるのがマシなところ。上にあげたミーハー系ミュージシャンだって、大物になって作品より行動が語られる伝説のフリークになった場合もあるけど、解散したか、今や地味でコアなファンに支えられる存在であることは否めない。
 でも、誰もそれを責めることは出来ない。毎年、あまたのミュージシャンが輩出され、チャートをにぎやかし、有名になって、時代を作っていく。彼らも過去からの影響を確実に受け、前時代に築かれた礎の上に城を築き、また、自ら礎となって行く。それでいいじゃないか!

 確かにPSBだって現在は行動が即座にニュースになるほどのソースではなくなっている。だけど、PSBは未来の礎となりつつも確実に現在も進化し続け、作品の完成度は果実の熟すがごとく、21世紀になってからも甘く複雑な味わいで大人を魅了し続けている。かつて“ディスコ?ハイエナジー?シンセ?”と、軽んじていた者(やや私も含めて)にとって、PSBは再評価に値するだろう。未来も当然だが、かつての作品も、みじんも古さも隙も感じさせないのは、驚異的としか思えない。仮面の下に隠し続けてきたシャイなPSBの本来の姿…実は誰よりもロマンチストで優しくて厳しくて正しい視点…に気がついて、愕然としてほしい。今からでも決して遅くない。
『いまさらPSBが好きなの!?なんで!』などとのたまった連中は、全員、私がPSB中毒に変えてしまったのだ。ザマミロっ!

 20代で完全にフランス人化したり、自らを傷つけるような刺激的な音楽を聴いたり、つい最近まで中学生のようにマリリン・マンソンに入れ込んだりして浮気しほうだいだった私に、PSBはあたたかく帰る場所を空けて待っていてくれた。PSBは痛い経験をした大人こそが聞くべき、熟した音楽だと思う(もちろん若い人にだって聞いてほしいけど)。今はもう、PSBは完全に私の一部だ。正直、2003年のベストPV集『POPART』のコメンタリー(原語)を聞かなければ、今でも誰かが言ったとおり、PSBは冷たいインテリだと思っていたかもしれない。普通、違う才能が何年もコンビ組んでいたら仲悪くなるのだろうに。何なの、このあり得ないパートナーシップ!冷たい表面の中に熱い魂を持った男たちだと自分の頭で落ちたとたん、ただのファンである石原まりりんから、熱狂的ペットヘッド・マーガレットが生まれた。俳優にしろミュージシャンにしろ、ただのファンであれば音楽なり映画なり作品が全てだからプライベートなんて知ろうとしないけど、マーガレットは2人の全てを知りたがる。曲ができる背景(その人そのもの)を知ることは、壁をひとつ超えることだと思う。今の私が’94にいたなら、ニールがカミングアウトしたときなど『勝訴』と書いた紙を持って走り回ったかもしれない。あまりにも全肯定はキケンかもしれないけど、新興宗教じゃあるまいし実害はないので、勝手に騒いどけ、といったところである。

★★★★今日のピックアップ関係者★★★★

ジョニー・マー (1963年マンチェスター生まれ)
 ’02アルバム『リリース』では全面参加、古くは『ビヘイヴァー/薔薇の旋律』(’90)頃からの協力体制。80年代半ば(‘84〜’87)に一世を風靡したザ・スミスの早熟ギタリストだが、’89年、マーの脱退によってスミスは解散、伝説となった。解散後、マーは漂流するギタリスト。ザ・スミスといえば、他のメンバー2人には悪いが、モリッシー(歌・詩)とマー(ギター・作曲)という、2人の天才のコラボ。私はこの内なる崩壊性を匂わせるザ・スミスが当時はあまり好きではなかったが、残した功績は輝かしいと思う。また、ザ・スミスはPSBより先にPVなどでデレク・ジャーマンと組んでいる。


  (モリッシー&マー)

89年のインタビューでマーは、自分とクリス・ロウは似ている、と言っている(熱いギター/ロックと冷たいシンセ/ハイエナジーという、真逆の音でありながら)。モリッシーとニールもタイプは真逆だが、共通のカリスマ性を持っている。ちなみにモリッシーはマーより4歳年上(’59生まれ)の評論・執筆オタクである。役割的には、(+)のマーのほうが(ー)のモリッシーを引っ張っていたような感じはするが、PSBとザ・スミスは共通点が多いのだ(スミスファンは先ずそう思わないだろうが)。ちなみにモリッシーはゲイ、マーは妻帯者だが、この2人の間に天才の持つある種の連帯感があり、その危ういバランスが崩れてザ・スミスが消滅したことを思うと(妄想かもしれないけど、モリッシーのマーに対する依存と惚れっぷり)、ニール&クリスの関係さえ、諸刃の剣のように危うく思えてしまうのだ…。だからニールとクリスは…たとえどっちも恋愛対象になりえたとしても…これだけ持続するパートナーシップを見れば、実際に恋愛関係にはないと断言できるのだ…(だからお願いだからこの微妙な関係は壊さないでくれ!)。モリッシーで”懲りた”と思ったけど、またも繊細でフラジールなゲイ・ピープルと組むジョニー・マー。男心は複雑だ。


デビッド・ボウイ 

 

 

デビッド・ボウイを知らない人はいないだろうと思うが、デビューからはや30数年、スキャンダラスなプロフィールと驚くべき衰えない容貌は、やっぱり地球人じゃないんだろうなあ、としみじみ思う。この人は自分のそういった人間離れした外側と、わざわざバイセクシャルだと公言したり、ミック・ジャガーとの関係を暴露したり、ステージでヤバイパフォーマンスしたり、レズの嫁もらったり、おクスリ好きを公言したり、喧嘩で片目が義眼だったり…“不自然体”な架空のキャラクターで人々を惹きつけ堕落させてきた戦略家だ。もちろん、それはファンもわかっている。ファンはだまされる快感すらも味わっていたんだと思う。だからジギー・スターダストを自ら殺し、過去を否定して新しい男に生まれ変わった80年代以降の彼を、誰もが寂しいとは思えど、否定することはできなかった。地球に落ちてきた男は、地球で暮らすパフォーマーとして地球人になったのだ。賛否両論だったボウイをモデルにした映画『ベルベット・ゴールドマイン』は、監督がボウイをファンとして死ぬほど愛していたから、そうであってほしいというファンタジーを、私は理解できる。
 PSBとボウイは’96の『ハロー、スペースボーイ』でコラボしている。捨て去ったはずのジギーが20年ぶりに戻ってきたようなテーマである。嫌でもジギーを思わせる化粧&アクセサリー&細いパンツ&ヒールで歌う美しきボウイ!!曲はボウイとブライアン・イーノという夢のコラボ。最初のダカダカデケデケという音からして「クリスだ!きゃ〜」って感じだ。私は’02年のPV集『ベスト・オブ・ボウイ』を予約して買ったくせに、最近見直してようやくこの曲にニール&クリスも出演していたことを再確認した。何度も見てたろ〜に、バカだ。こうしてみると紛れもなく、地に足をつけた現実主義者であったハズのPSBの方が宇宙人みたいだ。ニールの声は、深遠の宇宙から届いたみたいだ。『ヴェリー』付属アルバム『リレンタレス』に『ウィー・ケイム・フロム・アウター・スペース』という曲もあるし。近くて遠い。やっぱりPSBは奥深い。

 


★★★★今日のお写真★★★★

02のアルバム『リリース』のライナーはほとんどが花の絵でファンにはちと物足りないのだけど、そんななか、唯一収められているこの写真。いや、実に彼ららしい。かつて鉄仮面だのロボットだの、やる気がないだのライブできねえんじゃないのだの、表面的なスタイルだけで決め付けられていたのが恥ずかしいほど、自然。確かに賢いし計算高いとは思うけど、彼らは自分のやりたいことを、臆せずやってきたんだと思うんだよね。もともとビジュアルで売っているようなタイプではないけど(でも、かつてはアイドル的扱いがなかったわけじゃない)、世界的に有名人なのに、そしてやろうと思えばボトックスだってフェイスリフトだって植毛だって、何でもできるほどお金持ちだろうけど、見かけにはほとんど気を使わないことが、彼らの計算なしの誠実さを物語っている。ニールはヨガとダイエットはやっているといっていたけど、それは健康のためだろうし。世間の中年オカマセレブがフリークになっていくのは、誰も責めるべきじゃないと思うけど、やっぱり悲しいもんね。
 もしもニールとクリスが整形や植毛や性転換や…その他もろもろ人工的になったら、それは世界が終わるときよ!

 

★★★★今日の映画★★★★

 
まりりん石原はかつて10年ほど映画のフリーペーパーを執筆していたほどの映画好きだった。21世紀に入ってからはほとんど普通の映画ファン程度だけど、劇場・ビデオ合わせて1年で100本は見ていた時期もあった。正直な辛口批評は商業誌でもあたりまえになってしまったけど、久々に書いてみました。

『プリシラ』(`94)…オーストラリアの大自然と、合成着色料のような色彩のドラッグクィーン。クィーン系ゲイの大好きな世界が濃厚に詰まりまくったケバくて哀愁があって、ひどい目にも合うけどハッピーで前向きな世界。社会の隅っこを歩かされているマイノリティのはずなのに、ノンケにも元気を分けてくれる懐のでかさは清々しい。PSBがサントラに使われていないのが不思議なくらい。ただしビレッジ・ピープルの『ゴー・ウエスト』は収録。
 3人のクィーンには、性転換マダムは、かつてヨーロッパ映画に愛され、失神するほど美青年だったテレンス・スタンプ(ギャ〜、エレガント)、妻子持ち中年クィーンはMr.スミスこと妖精王ことヒューゴ・ウィービング(Mr.スミスってちょっとニールに似ているのよね)、はっちゃけマッチョクィーンには『メメント』のガイ・ピアース。特に後者2人はこの映画の後で出世したせいもあって当時は無名で、あまりにも上手すぎる演技で本当のクィーンかと思ったくらいよ。“辛いときの処方箋”になりえる1本。

超どうでもいいオマケ:下はマーガレット(10月8日生まれ)の占い。けっこう当たってるな。
性格:一見温和ですが、心の中には野心を隠し持っています。負けず嫌いで、ライパルに勝利するために人知れず努力するような一面があります。あなたの人生は、目標が決まっているかどうかで180度違ってきます。目的がなけれぱ怠楕になりやすく、夢があればどこまでも頑張れるでしょう。独立心は旺盛。若い頃のひとり暮らしはツキを呼びます。
恋愛:征服欲が強く、自分からアタックして異性をモノにすることに大きな喜びを感じるタイプ。恋敵が多いほど燃えるので、人気のある異性と交際する確率が高いでしょう。ただし、一度ステディーな関係になると、情熱は低下。また新たな相手を求めたくなりそう。結婚後は、愛しあう努力をとんと忘れがちで、やや波乱気味の運勢に…。
相性のいい人:教養のある人、育ちのいい人、冷静な異性、AB型の人。(←これってニールみたいな人のこと?)
相性の悪い人:口の悪い人、グズな人、気まぐれな異性、魚座のA型。

 


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