先日私は、運良くロンドンのライブのあと、
ニール・テナントその人と接近遭遇してきた。
まるで周辺に妖精がいて絶えず金粉を撒き散らしているかのごとくブリリアントで、
50歳を超えたナチュラル・ボディ(彼はセレブなら当然の整形美容否定派なのだ)とは思えないほどの
細い体型とツルツルお肌とエレガントな身のこなしに驚愕した。
まさに「見ちゃった!会っちゃった!生きててよかった!おかあさ〜〜ん!」って感じだ。
しかも、一仕事終えて疲れているのになんというフレンドリーさ。
こういう風にきゃあきゃあと囲まれるのが決して嫌いじゃないんだろうと思うけど、
誠実だよなあ。
私は、彼は彼自身に備わっている才能なり天分なりを、自分で十分理解している人だと思うし、
だからこそ「自分ってちょっと尊大だ」なんて言ったりするんだろうと思っていたけど、
飾らない、驕らないナチュラルな雰囲気には、ただただ、もう、うっとりするばかり。
同時に、「あ、この人、違う・・・私とはステージが違う」といった、
絶対に超えられない見えない身分の壁みたいなものを感じました。
だからこそまた、恋焦がれてしまうのです。
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ワタシ、あまりにも大きすぎて、この方の正体がつかめないんですもん。
一見わかりやすいものほど真実は深い。
確かに、PSB=ニール・テナントと言い換えられるほど、ニールこそPSB。作品についての表立った発言はほとんどニールのものだし、クリスの言いたいことまでニールは代弁している。
でも、ニールはあらゆる矛盾を背負っているように見える。
陰と陽、男と女、優しさと厳しさ、寛容と辛辣、まじめと不真面目、乙女とセクシー、天界と魔界、閉じていたり、開かれていたり、複雑でベタ・・・
もう、あらゆる対極の矛盾。
そして、そんな彼を見ていると、この人はキリストだ、と思う。
全てのものに愛を与え、ダメ人間へのふところの深さ、全てを許してくれるようなやさしい笑顔。
どこまでも優しい・・・と安心すると、間違ったことには厳しいオシオキ。
これが意外に強烈。
そして、揺ぎ無い、天が与えた世界で唯一の声という楽器。
なのに、彼の書くリリックったら、なんて悲しい恋の顛末ばかり。
愛を与えすぎて、自分のところに愛が残らないんじゃないの!?
本当にあなたはしあわせなのっ!?
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