ベスト版[POPART]
★POP部門★

 

 

 

 

2004年、デビュー20周年に際し、彼ら自身でヒット曲を「POP」「ART」に振り分けたベストCDと、膨大なコメントの入ったPV(プロモーションビデオ)のDVDが発売された。
 CDには、1曲1曲を振り返った、詳細な彼らのコメント、歌詞の入ったリーフレットが入っていて、感心することしきり。
 DVDは約3時間の間、画像を見ながらほぼコメントをしゃべり続けている。コメントはニール&クリスと、彼らの専属ジャーナリスト、クリス・ヒース(ニールの「スマッシュヒッツ」時代の同僚、彼らに関する本も出している)だが、コメンタリーでは、ニールの声は明らかに判別できるのに、2人のクリスの声がちょっと判別しにくいのが難点・・・(別アングルでコメント収録時の2人の画像を入れてくれるか、英語の字幕も入れてくれるとよかったなあ・・・ぜいたくですが)。

彼らの曲は全てダブルネームになっているので、実際、アイデアや音を出し合って2人で作っているらしいが、“乙女系”と“やんちゃ系”というベースの違いがあるので、「ニールっぽい」「クリスっぽい」というのはなんとなく憶測(妄想)できるのである。以下、「ポップアート」に収録の曲から、歌詞とPV(プロモーションビデオ)を元に彼らの実際のコメントをメインに、こちらの妄想も含めて解読してみました。

●ベストアルバム「POPART」(3枚組みCD)’04発売●
シングルヒットを自ら「POP」と「ART」に振り分けたベストCD。限定版のみ、プラス「MIX」のCD同封

 

 

 


1.ゴー・ウエスト(’93)

PSBでは一般に最もよく知られた曲で、いろいろな応援的高揚歌として間違って使われている。が、内容を聞いて驚け、っつーか、ジャニーズのよい子たちはこれ意味をわかっていてコンサートで歌っているの?まさかねえ。ジャニーさんにはめられましたね。ピンポイントの人たちが喜んじゃうよ。
アメリカのマッチョゲイグループ、ビレッジピープルのカバー。「愛しているよ、西(海岸)に行こう!」という意味は、ゲイの楽園であるサンフランシスコを目指すゲイカップルの能天気ラブソング。クリスが大好きな曲で(カバーの選曲は全てクリス担当だとのこと)、PVも、ド派手なCGを駆使してマッチョな白タイツイケメンがモスクワを行進するという、あまりにもダイレクトで、もう、こっぱずかしいPV。CXのコント番組「ワンナイ」で轟さん&きんに君(ゲイカップル)が、サンフランシスコでマッチョと戯れる耐え難い映像のバックでかかっていたが、実際、こういう使われ方が正しい。
 但し、裏意味があるので、詳しくは「クリスlove」のページをご覧下さい。

 

 


2.サバービア(‘86)

 
彼らの曲やイメージには、よく犬が出てくるが(実際に飼っているようだし、ちっこい犬を抱いたジャケもあったはず)これも犬が出てくる。ただし、あまり感じは良くない。最悪のサバービア(郊外)で「今夜は犬と走るんだ!」と呼びかけてくるような歌。PVではロサンジェルス郊外でカジュアルな服装(カウボーイハットのニールが、珍しく妙にセクシー)の2人、イギリスの館ではフォーマルな服装の2人が見られる。

 

 


3.セ・ア・ヴィダ・エ〜幸せの合言葉(‘96)

 
2人いわく、「何の意味もない、ハッピーな曲」。イタリア語「セ・ア・ヴィダ・エ」を「これが人生」と、ニールが微妙に勘違いしてタイトルをつけてしまったようだけど、それはそれではまっている。PVは「ビーイング・ボアリング」のように、美男・美女がプールで戯れている、これまたパッピーな映像だが、2人はこれを眺めている感じ。ただ、最後のほうでは撮影に参加したようで、プールに引っ張り込まれて大はしゃぎ、たのしかったとのコメント。残念ながら着衣(そういえば、この2人はライブでさえ肌の露出がほとんどないなあ)。2人がプリクラを取る場面もある。

 

 


4.とどかぬ想い(’87)

 
当時“あの人は今”だった名歌手ダスティ・スプリングフィールド(ニールが彼女の大ファン)をカムバックさせ、いろんな意味でPSBの力量を見せ付けた1曲。
 恋した相手にポイ捨てされたあとの喪失感を歌い、すごく耳残りがするイイ歌。ここでのみものはPV。クリスの右目からパンで始まるのダッ!目の色はヘーゼル!仏頂面!ここでのニールはショーレビューのシンガー、クリスはバンドのトロンボーン奏者。どちらもタキシード&蝶ネクタイ、とくにクリスがメガネも帽子もなく、髪をセットしているのはほとんど見られない・・・別人のよう。クリスは10代の頃、バンドでトロンボーンを本当に弾いていた(おじいさまが奏者だったらしい)。このPVで気になっていたのだが、クリスが突然幕裏で踊りだすシーンがあり、コメンタリーで明かされるのだが・・・「ニールのうしろを歩く以外に何かしたかった」という不可解なもの。まあ、とりあえずクリスはほとんど過去の自分にダメだししますからね。ニールも自分のカーリーヘアにダメだししております。
 ダスティの歌っているパートは、デモではクリスが歌っていたという・・・基本的に二人がデュエットした曲はないので、もしこのデモが存在したなら、とても貴重なデュエット!探して、探して!(クリスの声を想像してすりかえてみます・・・。)

 

 


5.オールウェイズ・オン・マイ・マインド(‘87)

 
元はエルヴィス・プレスリーのカバー、当然クリスのセレクト。後期ラスヴェガス時代のエルヴィスがお好み。彼ら主演の映画「夢の幻想」(ヒット曲を流しながらのロード・ムービー。演技あり・・・DVDはない)・・・。PVもその映画からのシーンをつないで作られているので、演技をしたり、いろいろなコスプレの2人が見られる(クリスが女装・・・というより、占い師に化けてるような場面もあり)。また、車を運転しているクリスが、奇跡的にジュード・ロウにそっくりなんですよ!

 

 


6.いつもはこんな僕じゃない(‘93)

 
「いつもの僕はこんなことはしない、でも、恋をしたから「春の祭典」(男性全裸ダンスのあるバレエ!)にあわせて裸で踊りだしたくなった」という、全くニールのことじゃん(実際にニールが車を運転中にできたという)、と突っ込みたくなるようなハッピーでかわいい曲です。PVでも、ふだんはおちゃらけないクールなニールが踊ってます(ダメ出し入りまくりですが・・・DVDから削りたいとか・・・)。でも、いつもと違うアナタなんですから、ファンはみんな見たいんですよ!イケズですね。ちなみに格好は二人とも変なメガネにカツラで、女性ダンサーやまわりのカラーやサイケCGなど、まるでオースティン・パワーズ。もちろんこちらのPVの方が先に世に出ているので、オースティン(マイク・マイヤーズ)がパクった可能性が。リズ・ハーレイにそっくりな女性も出てくるし。おちゃめです。

 


7.ホーム・アンド・ドライ(’02)

 
「僕の恋人は今、仕事で海外・・・早く帰ってこないかな・・・。」!ニールほどの人が、こんな切ない気持ちになっちゃうなんて。セレブなんて浮気やつまみ食いし放題、いくらでも言い寄ってくる人はいるでしょうに、なんという誠実さでしょ。ご本人も、不倫(既婚男性との恋愛)はしない、と言い切る誠実な人っぽいし。家庭的で、お休みの日には恋人とのんびり美術館にでも行くような人(実際にニールは美術コレクター)・・・なんだと思います、この人、さずが“かに座の男”です。クリスは大勢にモテるの大好き・てんびん座の男・・・クラブ大好き(あ、私も同じてんびん座だ・・・)。
 PVは当時、たいへんな物議をかもした、ネズミが地下鉄駅構内を走り回る映像。

 

 


8.ハート(’88)

 曲自体はわりかしダイレクトな「君を見るとドキドキしちゃう」なラブリーソングですが、PVは英国ゲイ芸能人のファーザー、サー・イアン・マッケランが登場します(コメンタリーでは「ガンダルフ」と言われていますね)。ゲイの御大とはほとんど仕事しています、彼ら。花嫁(もちろん女性)をつれて城に帰ったニールですが、あまりのベタベタ演技っぷりに、副音声ではクリスに大爆笑され「結婚しちゃえ」と冷やかされております。そのクリスはこれで3回目の運転手役ですが(妙にかっちょえ〜、のは制服っぽいから?)。で、その花嫁をサー・イアン扮する吸血鬼に奪われるわけですが、ホモ2人が奪い合う花嫁も、美人だけどニューハーフ顔、2mはあろうかという(ウソ)大女で、なんだか別の意味で笑いがこみ上げてきます。実は吸血鬼のしもべだったクリスも笑ってますよ。わはは。ラスト一瞬しか出ませんが、馬車を操るクリスが顔の下半分を隠していて、仮面・マスクフェチとしては、またも胸を打ち抜かれました。

 

 


9.ミラクルズ(’03)

 比較的新しい作品は、このようにアコースティック色が大きい。いろいろな音のサンプリングに、似ているだのと、いろいろ言われてはいるのもの、どうきいたってPSBの曲にしか聞こえないですから。そのオリジナリティがすばらしいのです。

 

 


10.ラヴ・カムズ・クイックリー(’86)

 発売当時の邦題は「愛は素早く」だと思ったが、正式にこのタイトルに変ったのかな。比較的初期の作品だが、彼らが社会皮肉ばかりでなく”恋愛体質”だということを世に知らしめた(?)曲。まあ、PVもケバ目のルックスで歌うニールのバックに、回転ブランコ用ネットのうえで本気でバク睡しているクリスがオーバーラップ。クリスが時々熱い視線を送ってくるので、ドキドキします。コメンタリーでも、さんざん「セクシー」「悩ましい目」と、言われております。

 

 


11.哀しみの天使(’97)

 
ヘンな邦題。「イッツ・ア・シン」でいいじゃん。こちらも当時相当話題になったPV。壮大な曲とともに、”7つの大罪”を扱ったPVは、故デレク・ジャーマン(当然ゲイ。エイズで死去)で、ジャーマンはその後、PSBのライブステージも手がけている。ジャーマンの映画「カラバッジオ」を見て、曲にぴったりだと確信したらしい。ニールが、自分の少年時代(カトリックの厳しい全寮制男子校だったようだ)を思い出して書いた曲だが、PVでは監禁され裁判され火あぶり・・・という、なんとも厳しい内容です(クリスは看守を演じている)。ニールはもうひとつ、「僕が離れたかった場所」という学生時代を思い出した曲を歌っている。相当嫌だったんですね(マリリン・マンソンといい、厳しい宗教教育はかえってヤバイですね)。
 デレク・ジャーマン演出のライブでは、ニールは司祭(悪魔が化けたような・・・)なお姿で歌っています。

 

 


12.ドミノダンシング(’88)

 これは嫉妬の曲。プエルトリコで撮影したPVは1人の美女と2人の青年の若い・苦い関係をかさねて、ベストにあげるファンも多いが、PSBがほとんど出演していないので、私的にはまあ、まあですかね。ドミノダンシング=(美女を見て)ドミノのようにバタバタ倒れていく男たち、だそうです。ただ、製作のきっかけは、プエルトリコでバカンス中のクリスが、友達とのドミノゲームで負け続け、その友人が小躍りしたこと・・・という、全然関係ない感じです。PVでの2人の男の海辺でのとっくみあいのケンカがラブシーンに見えるとクレームがついたことに不満をもらしているが、それもPBSならではか?(その後このビデオはゲイの人たちのお気に入りビデオになったようだ。)
 このPVに出てくる女の子とクリスの間に娘がいるという根も葉もない噂があるらしい・・・そのせいで、この曲を嫌いになってしまった。

 

 


13.ビフォー(’96)

 
PVはかなりアンディ・ウォホールみたいでポップですが、内容は、これもやはり愛の終焉、けっこうさよなら感が強い寂しい歌詞です。ニールが友人を想定して書いたものですが、音的には、コーラスがたくさん入っているので意外にPSBらしくないかも。

 

 


14.ニュー・ヨーク・シティ・ボーイ(‘99)

 わりと最近、ラジオやMTVでヘビー・ローテーションで聞いたなあ。”夜の街に出る”とう、テーマは同じ、裏「ウエストエンドガール」。わざわざビレッジピープル風のコーラスを使い、NYに憧れる田舎の少年を通して、かつてニューヨークに君臨した伝説のゲイ・ディスコ「54」をモデルにPVが作られている。常連だったアンディ・ウォホールらしき人物がVIPルームに陣取り、ダンスフロアはコスプレ男女入り乱れ、馬まで登場、トラボルタ風の男がフィーバーしております。2人はこの映像を見ながら「この頃はよかったな〜。」としみじみ。でも、打ち上げはこんなだった、ともポロリ。いいなあ!楽しそう!
 ちなみに、「パリ・シティ・ボーイ」というカバーが存在するらしい。
 全くの余談ですが、このPVを始めて見たとき、例の海苔眉毛&カツラ&サングラスの姿が、わが敬愛する柳下毅一郎氏(翻訳家・映画ライター)に似ていて、「ニューヨークシティボーイ」を聞くと勝手に、柳下氏の得意ジャンルである猟奇殺人へとバイパスができてしまい、困ったものである・・・。

 

 


15.イッツ・オールライト(’89)


 
これもカバー。クリス色。アフガニスタン問題や社会主義の崩壊など社会的であり、音楽に賞賛をささげる歌でもある。白黒の映像で、未来の象徴である赤ちゃんがたくさん出演。二人とも、赤ちゃんにはあまり縁がないと思われるが、たくさんの赤ちゃんに囲まれ、ものすごくいい表情。いつもブスくれクリスが、赤ちゃんを抱っこしているとかなり表情が和んでいるし、泣いている赤ちゃんを見て、ニールが「なんてこった」と嘆いている。こんなやさしいパパになれそうな二人とも、実際にはパパじゃないのは世の中の皮肉?しかも、こんな天才のDNAがこの世に受け継がれないなんて悲しい・・・。今からでも遅くない、クローンのために精子を保存して欲しいです。技術があれば、2人のDNAをミックスしてみるってのは・・・ヤバイですかね。

 

 


16.ホエア・ザ・ストリーツ・ハヴ・ノー・ネーム(君の瞳に恋してる)(’91)


伝説のリミックス。当時、U2は音楽界では狼みたいな存在で、だれもカバーしようだなんてとんでもないことは考えなかったのに、その堅い名曲「約束の地」を、あっちゃこっちゃでかかりまくっている「君の瞳に恋してる」(同名アホパカトレンディードラマ名と相まって、ものすごくバブリーでIQ低い・・・でもドラマ主演はこちらも現在おネエ文化の担い手、日本のヘドウィグこと・三上博史ですが)にすり替わる・・・って、初めて聞いたときはビ・ツ・ク・リでしたよ。アレンジは当然、天才クリス。いじれないものほどいじりたくなるって、サガよのう。実際にU2は現在では快諾(っつーかあきらめ?)し、懐の深いことを見せた。「荒廃したこの土地で・・・君の瞳に恋してるっ!」って、もしかしたら今でも受けるんでは?

 




17.お祝いの日(’97)

 
本国イギリスで、彼らはアビー銀行のCMに出演していたらしいが(未見)、そのCMを髣髴とさせる、というPV。人々がどんな場所にも行列を作る様子をパロっている。「君が好きだといってくれたら、その日が記念日になる」という、愛らしい(そしてやっぱり乙女な)内容である。前奏にヴェートーヴェンの「歓喜の歌」がサンプリングされて話題になった。




 


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