ACTUALLY1-4

Rent

rent


クリス:説明の必要はないよね?あ、やっぱりいるかな?
(
一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください



あなたは私をドレスアップする
私はあなたの着せ替え人形
あなたは好きなものを買ってくれる
ステキね
食事も食べさせてくれるし
私に必要なもの
愛も与えてくれる
それが私の糧

私たち二人は、シンパシーを感じあう
どんなときでも、そう見える
私は何もほしいとは思わないけど
私が欲しいときはなんでも買ってくれる
でも、私の希望をわかってよ、私の夢をわかってよ
私たちはどんどんお金を使う
愛している・・・あなたは家賃を払ってくれる
愛している・・・あなたは家賃を払ってくれる

夕方、うわさを聞いて、電話をくれた
そしてキャビアを買ってきてくれた
オフ・ブロードウェイのレストランに連れて行ってくれた
あなたが誰なのか、私に明かしたわね
私たちは決してケンカしないし、計算もしない
どんどん消費するの
愛している・・・あなたは家賃を払ってくれる
愛している・・・あなたは家賃を払ってくれる

私はあなたの操り人形
それがいいの

私たち二人は、シンパシーを感じあい
時にはエクスタシーに浸る
あなたが私の横に寝ていれば
言葉やお金は意味がなくなる
でも、私の希望をわかってよ、私の夢をわかってよ
私たちは消費する
愛している・・・あなたは家賃を払ってくれる
愛している・・・あなたは家賃を払ってくれる

すごく簡単、すごく簡単なこと


Written by Neil Tennant/Chris Lowe

Produce by Julian Mendelsohn


クリス:これは結婚についての歌さ。暴君の亭主を持った女性のことを歌っているんだけれど、ねぇニール、これは暴君になりそうな君の経験から生まれたんだろ?

ニール:うーん、かもね(笑)。あなたが家賃を払ってくれるからあなたを愛しているのよって、皮肉な内容。そもそもこの曲はファースト・アルバムに入れるつもりで作ったんだけど、曲が多すぎて余っちゃったんでとっておいたんだ。すごく悲しいサウンドを持った曲。僕はこのアルバムの中で一番好きな曲。
 
(
以上、1987年レコードインナー本人解説より)

 

 


ニール:僕らは1984年にレイ・ロバーツ・スタジオで「Rent」を書いた。 最初にタイトルを考えたけど、それがかなりおかしいと思った。書くのにはホント長い時間がかかった。34バージョンあるんだ。I love you -you pay my rentは、すぐに思いついた。これはほとんどパズルみたいで、歌がそこから意味づけするように考え出した。僕らはすごくイタリアン・ディスコにのめりこんでいて・・・スマッシュ・ヒッツから送られていたガゼボの「I Love Chopin(マ注:「I Like Chopin」の間違い)というレコードがあって、これはちょっと似た感じだけど、似せたつもりはない。ボビー'0'はそれを信じることができなかったけど。 彼は、それがそれまでの人生で聞いた中で最もおかしなものだと思ったみたい。 彼は、すごく奇妙な歌だと考えた。 彼はそれでほとんど当惑したようだった。 

クリス:元々、それはハイ・エナジー・ソングだった・・・ボビー'0'と一緒に、バリー・ホワイトのアルバムから抽出された輝かしいオーケストラのサンプルで、僕たちはそれをレコーディングした。でも、アルバムには多くのハイ・エナジー・ソングがあり過ぎるとジュリアン・メンデルソーンは考えたから、アンディ・リチャーズがすごく上手く、半分の速さに感じるようにした。

ニール: 僕はヴォーカルがよりリアルに聞こえるように、ダブルトラックにしなかった。僕は現在、違った言い回しで違うように歌う。 僕は
you-oooが好きじゃない。最近は、僕はただyouって歌う。アルバムが出たとき、これがこんなにすばらしいかどうか確信なかったけど、多くの人々がいつも、これをどれだけ好きで感銘を受けていることか。いつも僕たちはあまりにも何度もリピートするから、シングル・バージョンでは、スティーヴン・ヒューグが再編集した。僕らはライヴで、違ったバージョンを何度かやった。ライザ・ミネリのアルバム「Results」のためにもう一度レコーディングした。それはアンジェロ・バダラメンティにアレンジしてもらった。ちょっとブロードウェイのショーでやっているみたいに聞こえる。 歌は娼婦・・・女性の娼婦の観点からだ。 僕はいつも、それが愛人についての歌であると想像していた。で、いつもアメリカが舞台だと想像した。 僕は、何かの理由で、ばく然とケネディ一家のひとりだと考えて、この政治家がマンハッタンの洗練されたアパートに女性を閉じ込めていて、彼には他に家族があると想像した。そして、彼ら2人には、何かの関係があり、彼らはお互いに愛し合っているけど、それはすべて秘密の関係なんだ。 彼はアパートの賃借料を支払う。でも、物凄い忠誠心が愉しみの両側にある。お金は本当に重要ではない。 彼女は完全に満足できるというわけではないけど、無駄に費やした人生、関係に費やされたこの感情的な通用が是か否かどうか考える。 同時に、おそらく彼女はかなりの怠け者だ。彼女は彼のおかげでかなり良い生活をしている。仕事に出かける必要もない。彼女は無事に生きているけど、それでは満足できない。 興奮の感覚、しかし、大いなるあきらめの感覚もある。「Please」の「Why don't we live together」にちょっと似ている。 それでどうなるの?これが全て?”って感じで。でもさらに、”悪くはないけどね”って感じだ。当時、僕は”...you, you...が歌詞に入っていることを心配していた。'I love you, you pay my rentのところね。僕は、それが不恰好であると思ってて、現在は、I love you; you pay my rentと、セミコロンだと思う。 何か接続詞があるとすればそれは、“but”や“because”でなくて、“and”だろうね。

 (
以上、2001年ブックレットより)


 


クリス:元は、エネルギッシュなダンス曲だった。でも、あのアルバムにはそういうのが多すぎただろ?だからアンディ・リチャーズの発案で、スローにして、半分くらいの感じでやったら、すごくうまくいった。

ニール:この「レント」っていう曲は、殺風景な言葉を使った古典だ。何も起こりはしないけど、そろそろレント(家賃)を払う時期、とか、レント・ボーイ(男娼)とか。これも、自分じゃない誰かの歌。この曲の語り手は女性なんだけど、男から逃げられないんだよね。アメリカの政治家がどう呼んでいるか知らないけど、テディ・ケネディがニューヨークでモメる相手は、こういう女性じゃないかって思った。でも、このシチュエーションでは、まだ愛の可能性に望みをつないでいる。「私の望みを察して 私の夢をかなえてちょうだい 私たちお金をどんどん使うわ」。つまりそれは、両刃の剣なんだ。通貨は金、2人は男の金を使い果たした。それでバランスが取れているんだ。「あなたが大好きよ 私の家賃を払ってくれるもの」。おかしいよね。時々自分でもどういうことなのかわからなくなる。この曲の寂寥感みたいなものが好きだ。金銭への執着は、とても80年代的だしね。

 (以上、2003年「POPART」ブックレットより)


 

プロモーションビデオ(You Tube)




1987
年シングルはUKチャート最高8

ライブビデオ (1988)(You Tube)




ライブビデオCUBISM(2006)(You Tube)



 CUBISM
の中で一番切なくて、アレンジもよくて、好き。



ニール:これもデレク・ジャーマンだ。キングス・クロス駅の旅行者を撮るって彼の考えは、面白いと思った。
クリス:またマージだ。
ニール:他にも大勢出る。ここは近代芸術協会の近くの家だ。クリスが駅で怒る事件があった。
クリス: あれは頭にきた。
ニール:怒って家に帰ったろ。
―別行動?
ニール:この撮影ではね。
―何があったの?
クリス:駅に集合のとき・・・。
ニール:2班に分かれていた。
クリス:僕は時間通りに行ったが、2時間経っても誰も来ないから帰ったんだ。撮影日が変更になった。
ニール:駅には申し訳ないことをしたと思っている。英国国有鉄道は時刻表のボードの上に“歓迎”のサインまで出してくれて広報の人が撮影作業を見守っていた。そこに男娼や薬物常用者を集めたんだ。
―実際は扮装した役者たちだったけど。その広報が彼らをどかしていたよ。
ニール:本当?マージと僕が車で走る場面は、トラックに車を積んで撮ったんだ。
クリス: 運転が出来ないからだね。
ニール:(男娼に扮した青年を見て)彼の父親は下院議員だ。
―彼は誰?
ニール:彼女と喧嘩中で・・・誰か知らないが名優だ。退廃的な生活から、彼女は逃げ出す。弟がやってくる。
―彼女を連れて帰りに来たわけだ。
ニール:そうだ。彼女は偽りの生活を捨てようとしている。
―運転手は?
ニール:彼は彼女を愛している。二人が関係を持つ案も出たが、実現しなかった。ははは。ハリウッド映画みたいだ。クリスは本物の不良に見える。
クリス:ははは。後ろに機関士募集のポスターがある。
唇にキスした。
ニール:おお〜。

聞き手―クリス・ヒース

 (
以上、2003POPART/DVDコメントより)
PV監督・・・Derek Jarman

 

 

★用語・人物メモ★

ガゼボ(1960-)・・・本名Paul Mazzolini。イタリアの歌手。1983年のI Like Chopin」が世界的に大ヒット(私もけっこう好きだった)。日本でも小林麻美のカヴァー・バージョン「雨音はショパンの調べ」が大ヒットした。ビデオはこちら。

バリー・ホワイト(1944-2003)・・・アメリカのソウル歌手。代表作は「愛のテーマ」。

ライザ・ミネリ(1946-)・・・ゲイ・アイコンであるジュディ・ガーランドを母に持つ女優、歌手。「キャバレー」が代表作。PSBプロデュースによるアルバム「Results」は1989年発売。全曲PSBが作詞作曲かカバー・ソング。アルコール依存症と、のどの病気で現在は歌っていない。

アンジェロ・バダラメンティ(1937-)・・・イタリア系アメリカ人作曲家。デビット・リンチの映画/ドラマの音楽でお馴染み。「Twin Peaks」のテーマはこちら。今でもこの曲を聞くと、私は悪夢的世界観に引き込まれます。

テディ・ケネディ(1932-)・・・テディは愛称で、本名はエドワード・ケネディ。ジョン・F・ケネディ、ロバート・ケネディの弟。アメリカの連邦上院議員。民主党。愛人スキャンダルがあるかどうかは不明。

近代芸術協会
(「現代美術研究所」と訳されることもある)・・・Institute of Contemporary ArtsICA。美術館。バッキンガム宮殿への道The Mall沿い。住所:Carlton House Terrace, London SW1, England

名優・・・名優かどうかはわからないんですが、ヒロインの夫役は第7代バース公爵のAlexander George Thynn氏だとのこと。




 すごくPSB的だと感じるのは、ヒロインは愛人に甘んじているけど、“ことを起こすのがめんどくさいから”そこから何もしない。他のアーチスト(例えばマドンナとか)なら、愛を、あるいは地位を勝ち取るために、彼女は何か行動を起こす(またはそうであるように呼びかける)はずだ。何もしない・・・これは「Behaviour」(1991年)くらいまでのPSBの歌詞にはすごくよくある傾向。ただ単に“勇気がない”のか、それとも“達観した神の目”なのか、PSBにあからさまなメッセージ・ソングはない。
 この曲を簡単に、「愛とお金を秤にかける人間の皮肉っぽい現実」だと割り切ってしまうのは簡単だけど、愛とお金の両方が大事だと言い切ってしまうことは、ロマンチックな夢物語であるポップスにはあまりにもリアルなテーマだ。でも、彼らはそれが悲しい現実であることを知っているのだ。



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