ACTUALLY1-7

Its a sin

sin2
 sin3


ニール:カトリック的な罪の意識についての、陽気な考察
(
一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください



自分の人生を振り返ると
いつも恥を感じる
いつも責められるのは僕
僕がやりたいと望むことはみんな
いつ、どこ、誰、なんて関係なく
みんな共通している

それは罪、罪、罪
それは罪
僕がやってきたこととみんな
僕がしようとすることみんな
僕が行った場所みんな
僕が行こうとするところみんな
それは罪

学校では、彼らは僕がどうするべき教えた
考え、言葉、行為、とても純粋
彼らはみな成功したわけじゃない
僕がやりたいと望む全てが
いつ、どこ、誰、なんて関係なく

それは罪、罪、罪
それは罪
僕がやってきたこととみんな
僕がしようとすることみんな
僕が行った場所みんな
僕が行こうとするところみんな
それは罪

ファーザー、僕を許して
僕はそうならないように努力した
改心するよ
あなたが僕に教えて事を全て
僕は破ってしまった
僕は信じられない
ファーザーは僕を拒否した
僕が守らなかったから
でも、僕はまだ理解できないんだ

自分の人生を振り返ると
いつも恥を感じる
いつも責められるのは僕
僕がやりたいと望むことはみんな
いつ、どこ、誰、なんて関係なく
みんな共通している

それは罪、罪、罪
それは罪
僕がやってきたこととみんな
僕がしようとすることみんな
僕が行った場所みんな
僕が行こうとするところみんな
それは罪

(
ラテン語)
私は全能の神と兄弟たちに告白します。
言葉、行為、怠慢、私の過失で、私の過失で、もっとも悪い過失のために、私は思想で大罪を犯しました。


Written by Neil Tennant/Chris Lowe

Produce by Julian Mendelsohn
Additional Production by Stephen Hauge

 


ニール:この曲はすでにイギリスで3週連続No.1になった。これはとてもうれしかったね。というのもまるで予期していなかったから。2位ぐらいになるとは言われていたけどいきなり5位から1位でしょ。すごく興奮したよ。曲そのものは5年前に書いたもので、EMIと契約するとき作ったデモ・テープにも入っていて、当事からすごく評判が良かったんだ。それでいずれレコーディングしたいと思っていた。僕自身カトリックの教育を受けて成長してきたというところから出来た曲さ。だからラテン語の説教が入っていたり、聖歌隊のコーラスが入っていたり。実際とてもエキサイティングな作品だし「ウエスト・エンド・ガールズ」と同じくらい成功したレコードといえると思う。
 
(
以上、1987年レコードライナー本人解説より)




ニール: 1982年のある日、僕たちが80年代初頭の歌を書いていたカムデンのレイ・ロバーツ・スタジオにいた時、クリスはいくつかのコードを演奏し始めた。それは僕にとってとても宗教的に聞こえた。賛美歌みたいに。で、僕は“it's a, it's a, it's a sin“と歌い始めて、僕は5分くらいで作詞した。 “it's a sin“というフレーズを思いついたから、僕は”罪って何だろう?“って考えた。で、カトリック教徒として生きて来たら、全てが罪であると考えた。 思う事はやることと同じように悪い事だと考えられる。この歌は、ちょっと大げさでおかしくてキャムプだよね。

クリス: ニールはカウベルを演奏している。 僕らはこの頃、カウベルに夢中だったね。

ニール: ”ファーザー、僕を許して”というミドル・ビットのセクションは、クリスが書いた別の歌から来ていて、僕は”「It's a sin」にそれを入れよう
と言った。僕らはそれに時間をかけた。 それは、元々はもっとヨーロッパ的で、違う旋律があって、とてもフランスっぽい音を持っていた。 僕たちはボビー'0'と一緒にニューヨークでそのデモをやった。 僕らはストック・エイキン・ウォーターマンとのレコーディングを考えていた。彼らがやったディヴァインのレコード「So You Think You're A Man」が気に入っていたから。でも、ピート・ウォーターマンはこの歌を気に入らなかった。僕たちはディヴァインのマネージャーにそれを提出した。 ミゲル・ブラウンがやったように、僕たちはそれをイアン・レヴィンに送るつもりだったけど、僕が彼に電話をしたとき、彼は、タイトルにがあるこの歌は良くないんじゃない?と言って、「He's A Saint, He's A Sinner」だけをやった。ACTUALLYのためにこのレコーディングしたとき、僕たちは、レコード全体を壮大にカトリックっぽく、派手派手にすると決めた。僕たちがジュリアン・メンデルソーンと一緒にブロンプトン礼拝堂に行って、雰囲気音をレコーディングしたところに、有名なため息(fuff)がある。それは”father forgive me...のセクションのバックグラウンドで聞くことができるよ。

クリス: そのとき僕らは、彼に紅茶とケーキを買いに行かせたよね。

ニール: 蝋燭スタンドをきれいにする男性がいて、僕らはそれもレコーディングした。次に僕らはウェストミンスター大聖堂に行って、そこには司祭がいて、039秒で彼の説教が聞くことができる。444秒で「amen」と歌うコーラスもいた。始まりの「20 seconds and counting(20からのカウントダウン)」はアンディ・リチャーズのフェアライトのサンプルだ。で、僕は「それ、使おう」と言った。それは。アポロ計画の一つからだ。全く関連性はないよ。それから僕はカトリック信者の祈祷書
Confitiorを持ち込んだ。ラテン・ミサはラテン語で暗唱する。「私が過去に犯した罪を告白します・・・」と。ジュリアンはこれをプロデュースしたけど、僕はあまり満足じゃなかったね。僕らは7インチ・バージョンを作ったけど、僕のヴォーカルがあまりよくなかったから、リリースされる事はなかった。それで、僕らはそれ以上の仕事はスティーヴン・ヒューグに託した。

クリス:彼はオーケストラ・ヒットの半分を取った。

ニール:ある日、僕らは「Suburbia」のプロモーションのためにパリにいた。僕たちはゴールデン・タイムにラジオでパントマイムしながらリハーサルしなければならなくて、それがすごくバカバカしかったから、僕らはさじを投げた。トム・ワトキンスが電話して来て言った。「ちょっと、EMIの誰もあえて言わないけど、これは君らのためだよ。みんな君らはおかしくなって「It's a sin」をリリースしないんじゃないかと。だって、アルバムの曲にとって一番簡単なコマーシャルなんだから。君らが僕の言うことを何も聞かないようになったのはわかるけど、君らはもうちょっと考えるべきだ。」と。で、僕らはやった。僕らは同じアートワークを使うつもりだった。でも、ジル・キャリントン・・・EMIで働いていて、後に僕らのマネージャーになる・・・が言った。「ダメね。「It's a sin」にはばかばかしすぎるわ」って。それで、僕たちはスピタルフィールズの教会でエリック・ワトソンと新しいセッションをした。スティーヴン・ヒューグと12インチをやった。これはすごく特別だ。エキサイティングなミックスだよ。

 (
以上、2001年ブックレットより)


 


ニール:カトリックの罪を歌った曲。正直、僕とは無縁だけどね。すごく短時間で書き上げた。1983年頃のこと。まずクリスがメロディを書き始めた。僕たちはカムデン・タウンの小さなスタジオで曲を書いていたんだけど、クリスがメロディ・ラインを弾き始めるとなぜか僕は“When I look back upon my life / it's always with a sense of shame(自分の生きて来た過去を振り返ると/いつも罪の意識を感じずにはいられない)”っていう詞を思いついた。ちょっとモリッシー風のサウンドじゃない?どこから出て来たのかはわからないけど、15分後には書き上げていた、本当に。

クリス:そうだな、あれは楽しかった。

ニール:うん、すごく。

クリス:スタジオで踊りまわったよね。尼さんになったつもりで。

ニール:おかしなことに、クリスも僕もたいした曲だと思っていなかった。ただ楽しかった。それだけ。その後ボビー・Oと組んでレコーディングした。ニューヨークで最初にレコーディングしたときは、先ず僕らが彼に演奏して見せて、彼が気に入ってくれて、それからようやくレコーディングに取り掛かった。ファースト・アルバムに入れはしなかったけどすでに完成していたんだ。セカンド・アルバムまで待って、このビッグで壮大で途方もない作品を採用することに決めた。当時の僕たちはトレヴァー・ホーンに多大な影響を受けていた、部分的にだけどね。ビッグでとてつもない作品をやろうって決心して、デレク・ジャーマンとビデオも製作した。以前に見たからヴァッジオの映画と雰囲気がよく似ている気がする。仕上がりには大満足、すごく興奮したよ。

 (以上、2003年「POPART」ブックレットより)


 

プロモーションビデオ(You Tube)




1987
年シングルはUKチャート最高1

ライブビデオ(DiscoVery1994)(YouTube)




I will survive」とのマッシュ・ヴァージョン


ライブビデオ(ニューヴァージョン2003)(YouTube)







クリス: アートだな。
ニール:デレク・ジャーマンらしい。
―歴史劇の開始。
ニール:その通り。歴史劇の時代に突入だ。
―大作だね。
ニール:デレク・ジャーマンに監督を頼んだのは、「カラヴァッジオ」を見て曲に合うと思ったからだ。
最初はケン・ラッセルに?
ニール:頼んだ?廃墟の雰囲気がよく出ている。悪魔狩りだ。監督のアイデアさ。
―君はジャンヌ・ダルクを描こうと思ってたろ。
ニール:だから篝火が焚かれている。僕は火炙りにされる囚人で、クリスは看守だ。7つの大罪が描かれる。衣装デザインはアカデミー賞を受賞したサンディ・パウエル。マージ・クラーク(マ注:この場面ではジーナ・ディヴィス似の女優の間違い)。スタッフのチームワークがよかった。撮影場所はカナリー・ウォーフの倉庫だったよ。
クリス:「フルメタル・ジャケット」と同じだ。
ニール:ああ、その残骸があった。
―ジャーマン監督の印象は?
クリス:よかったよ。素晴らしい人だ。とても仕事熱心で、最高の監督だよ。
ニール:彼は8ミリでの撮影を僕らが願っていると思っていた。
クリス:マイったね。
ニール:僕らが作りたかったのは映画なんだ。監督の日記を読んだが、もっと低予算の映画も彼は作っていたよ。
―高くなったわけは?
ニール:さあ、8万ポンドの予算だったが、映画作りは楽しいので・・・。
―この俳優は?
ニール:「オリバー!」に出ていたロン・ムーディだ。彼が演じた役は・・・。
―フェイギン
ニール:そう、フェイギンだ。
―自伝的内容の歌?
ニール:まさか。違うんだが、母校から苦情が出た。罪の概念を教えられた学校に、なぜ非難されたのかわからない。カトリックの教えの曲さ。
―彼らが7つの大罪のどれかなわけ?
ニール:彼らだけじゃない・・・。彼女はもちろん
大食だ。
―修道士が整然と並んで不気味だ。
クリス:食事のときだね。
ニール:さあ、ロンの前に。裁判にかけられる。そして有罪に。監督らしい映像だ。そうだろ?“怒り”
クリス:“怠惰”。僕の得意技だ。
ニール:あくびがうまい。“嫉妬”、“色欲”、“欲”正確には“強欲”。
クリス:いやな光景だろ。
ニール:優しいね。
クリス:Dem,dem,demm・・・
ニール:ついに僕は死刑に。

聞き手―クリス・ヒース

 (
以上、2003POPART/DVDコメントより)
PV監督・・・Derek Jarman

 

 

★用語・人物メモ★

最後の歌詞、ラテン語部分の英訳・・・I confess to almighty God, and to you my brothers, that I have sinned exceedingly in thought, word, act and omission, through my fault, through my fault, through my most grievous fault.

ミゲル・ブラウン(Miguel Brown)(1945-)・・・カナダ生まれの女優/ディスコ・シンガー。「He's A Saint, He's A Sinnerは現在、ゲイ・アンセムとして有名。

イアン・レヴィン(Ivan Levin)(1953-)・・・ソングライター、プロデューサー、DJ。ブラックプール生まれ(クリスの高校Arnold schoolの先輩)で「ドクター・フー」の大ファン。ミゲル・ブラウンの「So Many Men So Little TimeHe's A Saint, He's A Sinnerを書いてプロデュースした。イギリスにおけるハイ・エナジーの元祖の一人で、PSBにも影響を与えている。

ブロンプトン礼拝堂(Brompton Oratory)・・・ロンドンのケンジントンにあるカトリック教会。ヴィクトリア&アルバート美術館の横。

ウェストミンスター大聖堂(Westminster Cathedral)・・・フランシス通り42番地。ロンドンにある、イングランド最大のカトリック教会。ビッグ・ベンに隣接する有名なウェストミンスター寺院(Westminster Abby:イギリス国教)とは別のもの。

スピタルフィールズ・・・ロンドンのイースト・エンド(下町)、リヴァプール・ストリート駅の東側。ヴィクトリア時代は貧困の街だったが、現在はスピタルフィールズ・マーケットの建物が立ち、アートの街になっている(下町であることにはかわりないけど)。スピタルフィールズ教会はそのマーケットの、大通りを挟んで向かい。切り裂きジャックの被害者たちが通っていた教会。

デレク・ジャーマン
Derek Jarman (1942-1994)・・・このPV監督。実はツアーに使われたもうひとつのPVが存在する(映像集「Projection」収録」)。こちらは PSBは出てこないが、より「カラヴァッジオ」的。「カラヴァッジオ」は、カラヴァッジオ(1571-1610:イタリアの画家、ミケランジェロ・メリージの通称)の生涯を描いたジャーマンの映画(1986)。カラヴァッジオが同性愛者だったという観点で描いているが、真相は不明。

ケン・ラッセルKen Russell(1927-)・・・イギリスの映画監督。もとバレエ・ダンサー志願だったということで、バレエやクラシックにちなんだ映画も多い・・・つまりキャムプでゲイを題材にした映画も多いけど、本人は軽く女装趣味があるくらいのストレートらしい。毒々しい映像は私も大好き。

7つの大罪(
seven deadly sins・・・カトリックでいうところの罪。「傲慢(Pride)」「嫉妬(Envy)」「憤怒(Greed)」「怠惰(Sloth)」「強欲(Wrath)」「暴食(Gluttony)」「色欲(Lust)」の7つ。映画「セヴン」はこれに模した殺人事件が起こる。

サンディ・パウエルSandy Powell(1960-)・・・「恋に落ちたシェークスピア」「アビエーター」でアカデミー衣装デザイン受賞。ほかに「ベルベット・ゴールドマイン」「オルランド」「クライング・ゲーム」「シルヴィア」などゲイ・ムービー多数。

マージ・クラー
Margi Clarke (1954-)・・・主にTVのソープ・オペラに出演する女優。ジャーマンの撮ったもうひとつのPVRent」でヒロインを演じている。このPVでは「色欲(Lust))」役。ただ、ここで彼女だと指摘しているのはニールの間違いで、これは「傲慢(Pride)」役の女優(ジーナ・デイヴィスという説もある)。

カナリー・ウォーフ
Canary Wharf・・ロンドンの東、ドックランドの再開発地区。80年代に再開発が始まった。

「フルメタル・ジャケット」・・・スタンリー・キューブリック監督の1987年の映画。

ロン・ムーディRon Moody(1928-)・・・1968年キャロル・リード監督の「オリバー!」(ディケンズ原作)で冷酷なフェイギンを演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。




 ニールの説明によると、この曲が書かれたのは1982〜3年、クリスと出会って1〜2年後。この曲は明らかに、カトリックとセクシャル・マイノリティの対立だけど、当時、そしてリリースされた87年もまだ、その事は公にできなかったし、抑圧も大きかった。82年頃、ニールは明らかにこの時期、自分をゲイとして吹っ切ったと思われる兆しがあって、この曲を書いたんだと思う・・・書くことは抑圧から心を解放することでもある。そして“わかる人だけわかってくれ”と87年に世に発表した。94年、カミングアウト直後のライブでは、伝説のディスコ・ソング(そしてゲイの聖歌)I will survive」とマッシュして見せた。そして今21世紀、ゲイであることが当たり前の前提にしているニールにとって、この曲は余で「とても面白い曲」になった。時代ともに歩む曲だ。

 ちなみに、真のテーマを何も考えないでつけられた邦題「哀しみの天使」に、ニールは激怒したといわれている。



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