BEHAVIOUR1-5

Only the wind



クリス:僕はそういって言い訳する
 (一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください


ただ風が吹いているだけ
周りのゴミを吹き散らして
ちょっとした風で
木々が倒れていく
誰も泣いてなんかいないさ
昨日のことだ
心の中ではみんな微笑んでいる
全ては上手くいく

ただ風が吹いているだけ
通りを缶が転がっていく
誰かのゴミ箱の蓋
平和をめちゃくちゃにして
誰も隠れてなんかいないよ
鍵のかかったドアの後ろに
誰も嘘なんかつかないさ
僕らはもう嘘をつかないから

ただの風さ
どうやってか不意をついて
突然始まった
それから終わったと知る前に
僕の手は震えてないさ
僕は雫に触れていない
間違ったんだろう
僕は止めるときを知っていた

人生が静かなら
僕は疑問を抱かない
ドラマに怒りはない
嵐は吹きやむ

ただ風が吹いているだけ
悪くなっているといわれている
もたらされるトラブル
呪いのように出現する
僕の神経はグチャグチャだ
でも僕は乗り切っている
扱えるといいけど
しなきゃならないことを

人生が静かなら
僕は疑問を抱かない
ドラマに怒りはない
嵐は吹きやむ
嵐は吹きやむ

ごめんよ・・・


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Pet Shop Boys and Harold Faltermeyer


ニール: 僕らはUltravoxのひとつに所属するノッティング・ヒルのスタジオを借りた。「So hard」と「Only the wind」をやり始めた。ライザ・ミネリが断った「キャバレー」からの「Maybe this time」のラフなデモをやった。

クリス:オール・セインツが名を残す前に、僕らがノッティング・ヒルに事務所を構えていたのを忘れないようにしよう。


ニール: 前に、フィルムが世に出たことがある。クリスはピアノを弾き始めて、僕は「わー、なんて美しい旋律なんだ」って思った。

クリス:僕はもうハイブリーの家のピアノでこの曲を書き上げていた。


ニール: すぐに、僕は歌詞を書いた。「Only the wind」というのは、本当に外はハリケーンだったんだ。それで、道にはゴミ箱が転がっていた。ノッティン・ヒル・ゲートの中をごみだのトタンだのが飛び交っていたから、誰も外に行こうとは思わなかっただろう。風は僕を怒りについて考えさせた。この歌のアイデアは、誰かがある夫婦に会うために訪問したとしよう。その家に到着したとき、そこでは大きな騒ぎが続いていて、彼らのひとりがそこからいなくなっている。それは夫婦で、彼は妻を殴るDV夫だ。彼の言うことはみんな嘘だ。「誰も嘘はついていない・・・」。彼女が嘘をついたので、彼女が彼に殴られた、と彼は思っている。とても暴力的な歌だ。風は、ドメスティック・バイオレンスと大きな喧嘩のメタファーだ。彼は誰かが泣くのが聞こえてもそれを否定し、このように耳をふさぐ。彼は悪かったとわかっているから、ごめん、ということで歌の全部が強化されている。でも、彼のことを聞くと、彼は哀れで、彼女は彼を捨てるべきだと思う。アンジェロ・バダラメンティがストリングをやった。

クリス:すごく脆いヴォーカルだ。


ニール: 以前、ロビー・ウィリアムズがグルーチョ・のクラブの階上のバーで僕に全部歌った。彼が飲む日だったね。

 
 (以上、2001年ブックレットより)


 ライブ(NIGHTLIFE)(You Tube)





 
★用語・人物メモ★

Only the wind」・・・一言コメントで、クリスが言っているのは、おならをしたときの言い訳。こんない美しい曲をおならに例えるなんてさすがクリス。

Ultravox・・・ウルトラヴォクス。1975年結成のイギリスのニューウェーブ・バンド。シンセを多用し、その後のいろいろなバンドに影響を与えた。

オール・セインツ・・・1996年結成のガールズ・バンド。解散後、現在は再結成されている。名前はノッティング・ヒルのサーム・ウエストのZTTスタジオ(トレヴァー・ホーン所有:PSBもよく利用している)の近くにあるオール・セインツ・ロードから取った。

ライザ・ミネリ・・・PSBにも縁が深い、ゲイアイコン女優。

ハイブリー・・・ロンドン北西、イズリントン地区にある。アーセナルのスタジアムの近く。アーセナル・ファンのクリスが前に住んでいたところ。

アンジェロ・バダラメンティ(1937-)・・・ニューヨークの映画音楽家。デビッド・リンチの映画音楽で有名。

ロビー・ウィリアムズ(1974-)・・・ポップシンガー。PSBとはお仕事多数。元テイクザット(再結成には参加していない)。ファンの目に余るほど・・・特にニールがお気に入りで、しょっちゅうデートしているが、一応ロビーはノンケ。

グルーチョ・クラブ・・・ロンドンのソーホーにある、会員制のアート&メディア・クラブ。バーもあり、イベントが催される。ロビーの歌うバージョンも聞いてみたかった(ちなみにロビーは「Jealousy」「We are the Pet Shop Boys」をカバーしている)。




PSBDV男はあんまり結びつかないんだけど、多分、想像。ニールやクリスに暴力的なところはほとんどなさそうだけど、こういう社会現象も放っておけないのがPSBらしい。悲しい歌だけど、旋律はすごく美しい・・・のがかえって痛々しい。歌詞中、「out」といっているのが「ouch(痛ッ!)」に聞こえる。
ちなみにアメリカのPSB博士・ウェインさんの解釈では、「Wind」はAIDSのメタファーだという。



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