BILINGUAL*1-1


Discoteca


クリス:時には売れるかどうかを考えずに、気に入ったものをリリースすべきじゃないかな
(
一言コメント:1999)

 

 


原文歌詞はこちらでご確認ください



この辺、ディスコある?

言語を話すこともできない
言葉が理解できない
天使も恐がる場所に
僕は時々歩いていって
話しかけては見たけど
どうやったら聞いてもらえるのさ
こんな世界の中で
僕は迷ったのかな?
自分がやることをやる
見とどける
出かけていって
ノーマルのふりを続ける

この辺、ディスコある?
愛しているよ
わかっているの?
しゃべって
いつまで待たせるのかい?

怒って話したりしない
チャンスを逸して
後悔している
忘れられない
僕に取り付いている
借金の請求書みたいに
十分なのか?
希望に生きるために
いつか自由になれる

この恐怖なくして
外に出て
ノーマルを通す

この辺、ディスコある?
愛しているよ
わかっているの?
しゃべって
いつまで待たせるのかい?


Written by Neil Tennant/Chris Lowe

 

Produced by Pet Shop Boys

 


ニール:僕らはニューヨークのユニーク・スタジオでこの仕事を始めた。この曲と、「The view from your balcony」と、「It always comes as a surprise」と、あとは未完成の曲、4曲一緒にやった。サウンドはちょっとマッドネスやザ・ウォーカー・ブラザースの「Yes in a no kind of way」に似ているかも。僕はこれをスペイン語のフレーズを引用で使ってスパニッシュのレコードにしたかった。スペイン語の中には、何らかのアイデアを僕たちに与えてくれた。僕らはデントンにニューヨークの本屋に行ってスペイン語のフレーズの本を買ってくるように頼んで、この曲を書き始めたんだ。とても妙なコードがあるだろ。クリスはリズムとベース・コードをプログラミングした。

クリス:ニールがコーラス・コードをやった。

ニール:これがコーラスならね。デントンはペンギンの英西辞典とベルリッツのフレーズ本を買って戻ってきて、僕はいいのがあるなって思った「hay una discoteca por aqui?(この辺にディスコある?)」ってのが。いいリズムをつけて、歌になった:「Is there a discotheque near here?」と。それから僕は「te quiero」「entiende usted?」「digame」「cuanto tiempo tengo que esperar?」を作って行った。---つまり「愛してる。わかっているかい?教えて。僕はどのくらい待てばいい?」---。「僕はどのくらい待てばいい?」は、the going-to-the-doctor
s sectionからの引用だ。それ以上の言葉はない。続く4月、僕らは言葉とメロディをベースに入れることを決めた。初めは全体的に違った言葉、チューンも違っていた。僕は、なぜ外国語を入れるのかという全体のコンセプトを作り出すことを試みた。ある国で迷子になるという点で始めてみた。君がどこにいるかわからない。何年か後、僕はそれを変えて、最終バージョンは誰かがHIVかエイズを心配する意味になった。そこにはカタストロフィーの感覚がある。“悪くなっていく何かを心配するかい?パニくっている?ノーマルであろうとふるまい続けるかい?”って言っている。たいていの人がどちらかだろうと思う。メタファーとして外国にする考えを使った。それは突然よく知られていたものがすべて未知のものになる。「私はこの言葉が話せません。この単語の意味がわからない」。そして、コーラスの中で、この歌われている人はディスコに行く。ノーマルであろうとふるまい続けるためにね。全く、冷酷な歌だ。でも音はとても美しい。始まりの、マイナーコードに続く、シークエンス・ラインのクラシカルなペット・ショップ・ボーイズのスタートだ。オリジナル・デモとはいっさい変わっていない。

クリス:これは「ドリーミング・オブ・クィーン」のペット・ショップ・サウンドの範囲の一部だ。とても普通じゃないバスラインってだけじゃなくて、ドラムパターンもすごくヘン。

ニール:クリスが最初、ドラム・プログラミングをやった時は、僕はそれを扱わなかった。僕は考え出せなかった。

クリス:すごくビッグに聞こえるけど?じゃない?

ニール:そう、ビッグだよ。20人のSheBoomっていう女性たちがドラムを演奏した。SheBoomはグラスゴーから来た。すごくファンタスティックだ。スタジオで大音響だった。僕らは新しいサウンドを発見したって思ったよ。他にはない。全部とてもムーディだ。

クリス:僕はすごく高揚感だと思う。

ニール:そうだね。これはサヴァイヴァルについての歌だ。

クリス:シングルになっていないんだよね。どうかしてる。

ニール:ファンはみんなこのトラックを嫌っているさ。

クリス:そりゃ、みんな間違っているよ。

ニール:僕らはシングルバージョンを録ろうとした。シングルになるべきだと思ったから。「バイリンガル」が終わった後、僕らはスタジオに戻った。ケイティー・キスーンが来て歌った。“ある日、わたしたちは自由になった”。僕らはそれをすごくクラブ的な歌詞だと思った。僕らは引用してそのヴァージョン(シングル・ヴァージョン)に使った。すごく気に入ったけど、これはシングルにはならないって思った。そのバージョンはリリースされることはなかったけど、1999年のナイトライフツアーで僕らが演奏したバージョンの元になった。それから僕らは全部のトラックを再録音して、いくつかのスペイン語のバッキング・ボーカルをいれ、僕と一緒にコーラスを入れた。彼らはスペインの島の名前 “bacalao”ってシャウトした。 信じようがいまいが、僕はカナリアン・クラブでシャウトするように言った。彼らがハウス・ミュージックでエキサイトしていた時にね。彼らはスピード・アップして全く違ったヴァージョン(ニュー・ヴァージョン)を完成させた。僕らは仕事に年月を費やしたけど、シングルにしないことを決めた。それで、これは「Single」のB面としてリリースされた。

クリス:僕らはボビー
Oタイプのリフを使った。ヒューマンリーグの「Dont you want me」からパクッた彼の「I'm so hot for you」みたい。

ニール:僕らはもっと多くのコーラスを試しているよ。僕はこのラップをやって、ヒットしていたストレッチ・アンド・バーンの「I
m alive」からリズムを取った。クリスがそれと同じようなリズムを書けって言ったから、僕は忠実に応じたんだよ。

クリス:彼は請負いライターだね。

ニール:僕が本当に言ったのは「方言をしゃべれる男を理解してくれ/君はシェイクスピアのようにしゃべりたがっている」ってこと。僕はその時は何かを意味するように思えた。

 (以上、2001年ブックレットより)



1999年「NIGHTLIFE」ライブビデオ (You Tube)


 


★用語・人物メモ★

where angels fear to tread”・・・(「The Sodom and Gomorrah show」から転記)イギリスのゲイの作家、E..M.Forster1879-1970)の小説タイトル(邦題「天使も踏むを恐れるところ」:1905年)からの引用と思われる。大元は18世紀イギリスの詩人アレグザンダー・ポープの「An essay on criticism(批評論)」の有名な一節「天使も足を踏み入れるのをためらう場所に、愚か者は飛び込む」から引用されている。この原作は邦題「天使も許さぬ恋ゆえに」(1991)として映画化されている。他に「モーリス」「眺めのいい部屋」「ハワーズエンド」など、フォースターの著作には映画化された作品も多い。

デントン・・・Daintonthe bearConnell90年〜01年くらいまで、PSBのパーソナルアシスタント兼ボディガードだった人物。ガタイのいい黒人。アーセナル・ファンでグーナーズ代表。「So hard」「JealousyPVやライブ「Somewhere」にも出演している。2007105日、モスクワで急逝。

マッドネス・・・ロンドン・カムデンから出たスカ・バンド。70年代と90年代以降に活動。日本ではホンダの「City」のCMで有名。

ザ・ウォーカー・ブラザース・・・6070年代に活躍したロサンジェルスのロックバンド。

ケイティー・キスーン・・・ブラジル人シンガー。DiscoVeryツアーでバックシンガーをつとめた。

ヒューマンリーグ・・・80年代シンセ&ニューウエイブの代表格。女2人、男1人の構成。現在も活動。「Don
t you want me(81)は最大のヒット曲。ビデオはこちら。

ボビーO・・・ボビー・オーランド。80年代ハイエナジー・ミュージックのカリスマ。ディバインなどもプロデュース。1883819日、ニューヨークのレストラン「アップルジャック」で、ニールにチーズバーガーとキャロットケーキをおごられて、PSBの「West end girls」のファースト・バージョンを手がけた。PSB2003年「Disco3」でボビー“Oの作った「Try it (Im in love with married man)」をカバーしている。「Dont you want me」とそっくりな「I'm so hot for you」(82)のビデオはこちら。

ストレッチ・アンド・バーンStretch & Vernの「I
m alive」・・・テレビ番組の効果音で聴いたことあるな。ビデオはこちら。




スペイン語の入った、彼らのお気に入りの曲。スペイン語で「この辺にディスコある?」というフレーズとか、面白い音がいっぱい入っている。Stretch and Burnの「Im alive」の歌詞を引用。気に入ったら何でも取り入れてしまうところとか、子供っぽいまでの音楽へのオタクっぷりが凄い。若いもんみたいにいろいろ勉強して吸収している。そのまま次の曲になだれ込むのもいい。

“外国に行くと言葉が通じない”というのは、一般人なら誰でも経験する。仕事でアチコチ世界中に行っても、PSBなら通訳やお世話係がつくと思うのに、こういった一般人ならではの異国=別世界に来たように感じを知っているのはさすが。

というか、ニールはこのときスペイン人と付き合っていたんじゃないの?
 



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