FUNDAMENTAL1-2

The Sodom and Gomorrah show



原文歌詞はこちらでご確認ください



僕は静かな生活を送っていた
シャンペンに縁などなく
冒険をしたことなんてなかった
荒野の会には
彼らの生活を耳にしたことはあった
一つまみの塩を受けるような
自由と遊ぶ時間
人生ってお気楽
でもそそられた
君が電話で僕に言ったこと

“行ってみないかい?
ソドム・アンド・ゴモラ・ショーに
そこには君が欲しいものは全てある
完璧なエンターテイメントと教え
それから死と破壊
ソドム・アンド・ゴモラ・ショーは
一生に一度の出し物だ
一生に一度きりの”

僕は言ったことが本当か考えた
僕の人生はあの夜変わってしまった
解放された
雰囲気が
僕を囲み
誰かが僕を見つけて
僕の耳にささやいた

“行ってみないかい?
ソドム・アンド・ゴモラ・ショーに
そこには君が欲しいものは全てある
完璧なエンターテイメントと教え
太陽、セックス、罪、神の介在
それから死と破壊
ソドム・アンド・ゴモラ・ショーは
一生に一度の出し物だ”

それから僕らは時間外に
出かけていった
階下には秘密の場所があって
そこでだった
このショーの本当の意味がわかったのは

愛を得ることを君は知った
生きることを学ぶことも
天使が躊躇するようなところで
僕はやったし、後悔はしていない
今でも
君が振り返って僕に言ったことを
思うんだ

“太陽、セックス、死、破壊
行ってみないかい?
ソドム・アンド・ゴモラ・ショーに
太陽、セックス、罪、神の介在
それから死と破壊
ソドム・アンド・ゴモラ・ショーは
一生に一度の出し物だ”


Written by Neil Tennant/Chris Lowe


Produced by Trevor Horn

 


ニール「タイトルは前からあったんだ。2005年の2月の終わりに、僕たちはナポリに行ったんだけど、ベルリンに住んでいるルカ・バルディニというイタリアのダンスプロデューサーをDJプログラマーとしてかかえていて、パトリック・カウリー・サウンドでアップデートすることに決めた。」

クリス「ホント?僕らはナポリで書いたけど、パトリック・カウリーはロンドンじゃなかった?だって、パトリック・カウリーのレコードで音階を作り出したでしょ。僕らは製作にかなりの時間を費やした。」

ニール「僕はナポリだったと思う。だって、デモは恐ろしいほど粗かった。僕らがナポリで作った3曲は、すごく、すっごくラフだったよ。」
クリス「僕らが書いたとき、それは、“four-on-the-floor”じゃなかった。」

ニール「僕らはとても期待はずれの時間を過ごしていた。それから、突然素晴らしいコードチェンジをした。スタジオは、プラネット・ファンクというイタリア人の奴らのものだったんだが、彼らは“おおっ、すごいコードチェンジだ!素晴らしいチューン!”と言った。それは本当に奨励だったけど、僕らはそれに関して確かではなかった。“It a sin”みたいな感じで、トレヴァー・ホーンと一緒にやったとき、それから取り入れたかった。僕らはその作業に年月を費やした。これと“Luna Park”は、最も時間がかかったトラックだよ。僕らはトレヴァーに、ザ・キラーズの“Mr. Brighside”、スチュワート・プライスによるThin White Dukeミックスのコピーを渡した。それは、安定した一種の“four-on-the-floor”で、彼は採用した。トレヴァーは、最初の2小節のコードを変えて、オリジナルコードチェンジに戻った。」

クリス「すっごくたくさんのコードがあるよね。」

ニール「音楽的過ぎるくらい。」

クリス「重過ぎたかも。彼は単純化させた。」

ニール「それで、僕らはアン・ダドリーに調整を依頼して、彼女は最初のブラスをアレンジした。」

クリス「ニールはクラシックなトレヴァー・ホーンがいいと言った。」

ニール「トレヴァーは言った。“え、ギャグがほしいってコト?”で、僕は言った“そう、ギャグだ”」

クリス「彼はそれらをギャグって呼ぶ。」

ニール「僕は“全てのトラックにギャグが欲しい”と言ったんだ。」

クリス「それ、“sunsexsin・・・”とか。」

ニール「僕らは教会の少年聖歌隊にそれを歌って欲しかった。トレヴァーにはそれをやってもらえる学校の心当たりがあったので、それでリリックを見てもらった。僕は“歌詞には全然悪いものはないんだよ、聖書からの出典だよ!“と言った。しかし、彼らは結局やってくれなかったので、僕らはシンガーですました。僕はそのかすれたヴォーカルを部分的に同じように入れて・・・。」

クリス「Dollar

ニール「そう,僕はDollarのような音がそこに欲しかったんだ。僕は、トレヴァー・ホーンのグレイテスト・ヒッツで試して見た。その喋りは・・・まったくギャグだったね。」

クリス「僕たちは、歌が存在したところを視覚化しようとした。」

ニール「それは砂漠の中からスタートする。砂漠の中から聞こえる風の音だ。そして、クラブに近づいている。」

クリス「・・・で、ドアが開いて、クラブの中でバンドが演奏するのが聞こえる。」

ニール「僕らは“ザ・プロデューサーズ”のフレッド・アップルゲイトという男に連絡した。彼は本当にいい奴だ。彼はやってきて、僕らは2,3のことを彼に依頼し、それからトレヴァーと一緒に編集した。素晴らしいイントロを生み出したね。スタートの音楽の一部、吹奏は、誰かが僕にくれたテープから採った。それは、1979年に僕が数人の友達とピアノでホンキー・トンクのような演奏をしたものだ。僕は長い間、このトラックを取っておいた。」

クリス「すごく壮大なトラックだね。」

ニール「僕は最初のタイトルがあったけど、それが何を意味するか確信していなかった。でも、現代社会についての何かのことだとわかっていた。僕はインターネットで“ソドム・アンド・ゴモラ”とググって、聖書から得た。聖書からの引用がある。“一つまみの塩を受ける”は、ロトの妻がソドムから逃げる際、塩の柱になることからの参照だ。それで“私は平原の市へ思い切って出る勇気がない”・・・ソドムとゴモラは平原の市だけど、僕は“平原の市”(それはもちろんプルーストの「失われた時間を求めて」の2巻の名前)とわざわざ言う必要がないと思った。僕は4章節目の引用はもったいぶっていて好きだ。僕は「失われた時間を求めて」の初刊を半分読んだけど、とても退屈だ。とにかく、僕らはロンドンに戻って歌を持って帰ったとき、僕は思い続けていた・・・この歌の意味は何だ、と。意味が何かわからずにいた。それから僕はソドム・アンド・ゴモラ・ショーが全てに於いて大げさなテレビ上の世界であることだと悟った。欲情だ!ちょっと不快だね。ニュースのやり方は、エキサイティングなショーのごとく紹介される。中間に来た。“階下に下りた場所で/私は理解した/ショウの本当の意味”・・・そして、僕は思った。“本当にいい歌詞だ。”と。でも、ショウの意味がなんだったか考えられない。仕上げるのに数ヶ月かかったよ。それから、ショウの意味は、明らかに愛を意味していると理解した。“天使たちがためらうような場所で、生きること、学ぶこと、愛することを君は知った”・・・すごくいい歌詞だと思う。歌の中で、語り手は、「I wouldnt normally do this kind of things」とおなじ人だ。この世界の中で生きていない内気で静かな人は、恋に落ちると他の人々の行動以上のものがある。この歌の中で、彼は世界に関係し始める。彼は、世界が滅びない唯一の方法を理解する。僕たちは、こんな世界に住んでいる。真実であろうとなかろうと、核爆弾、気象の変動、あるいはアジアの鳥インフルエンザ、第2の喫煙被害;・・・毎日・毎週のデーリーメールの見出しは、破壊の瀬戸際の間で、際限なく示される。世界は、我々がお互いにリスペクトし、共存するのは愛を通すからで、愛は世界を壊すことはない。世界を回避するのには、それに参加するだけでは十分ではない。参加する上に、それによってある種の命を全うすることか、生き残るか生活に実行することができる愛を見つけなくてはならない。トレヴァー・ホーンは、ニューヨークのクラブに行ってカミング・アウトする男のことだと思っている、と言った。また、ある意味ではクラビングに行ったことがない男についてとも。先週、誰かが僕に、エイズ危機を生き残った男についてだと言った。誰か知っている?そうであってほしいあらゆるものだと言える。ボブ・ディランはこんな風に彼のリリックを説明してくれないだろ?」

 (以上、2006年「Literally30より)




ニール:この曲で触れているのは現代社会のことなんだ。メディアの目を通して描かれている世界で、セックス、暴力、破壊などがあふれている。ソドムにいる男は下界を無視し、静かな生活を送っている。ところが友達がその外界とかかわることを強いるんだ。そこで男は気づくわけさ。古いメッセージなんだけど、この破壊的な世界を生き延びるためには愛が必要なんだってこと。誰か愛する人を見つけることで、人間は生き延びていけるんだってね。まあ、根本的には『愛こそ全て』なんだ。そんな単純なことをまわりくどく言っている()

いろいろ実験して、違った音を出そうとした。コードを変えたりもしたし、ギターなんかにも時間をかけた。完成させるまでにかなり時間がかかったけれど。最終的には上手くいったと思う。
 
 (以上、2006年「FUNDAMENTAL」ライナーより)


 



ライブ・イン・メキシコ(2006年)(You Tube)




TVライブ(2007年アルゼンチン)(You Tube)







★用語・人物メモ★

ソドム・アンド・ゴモラ・・・旧約聖書「創世記」に登場する、死海沿岸にあったとされる市の名前。天によって滅ぼされたといわれている。一般的に言って、「ソドムとゴモラ」といえば、熟して乱れた社会のことを例えるが、このPSBの曲では現代社会のこと。転じて「ソドム」単体だと罪的なニュアンスを含む同性愛の意味にもなるが、現代社会でそんな風に例える人はさすがにもういないと思う。

where angels fear to tread”・・・イギリスのゲイの作家、E..M.Forster1879-1970)の小説タイトル(邦題「天使も踏むを恐れるところ」:1905年)からの引用と思われる。大元は
18世紀イギリスの詩人アレグザンダー・ポープの「An essay on criticism(批評論)」の有名な一節「天使も足を踏み入れるのをためらう場所に、愚か者は飛び込む」から引用されている。この原作は邦題「天使も許さぬ恋ゆえに」(1991)として映画化されている。他に「モーリス」「眺めのいい部屋」「ハワーズエンド」など、フォースターの著作には映画化された作品も多い。
 なお、この引用はアルバム「BILINGUAL」の「Discotica」内にもあり、ニールのお気に入りのフレーズなのかもしれない。

パトリック・カウリー(1950-1982)・・・アメリカのハイエナジー、エレクトロ・ポップの作曲家。70年代ゲイ・クラブ・カルチャーの中心人物。PSBも影響を受けたと公言している。エイズで死去。

トレヴァー・ホーン(1949-)・・・イングランド・ダーハム出身。元バグルズ、後にイエスのヴォーカル。ZTTレーベルを立ち上げ、現在ではすぐれた音楽プロデューサーとして知られる。最近ではt.A.t.U.をプロデュースして全世界に存在を示したばかりだったが、残念ながら彼女らは自滅。

four-on-the-floor
・・・7080年代のディスコ・サウンドによく使用される音楽リズム。4ビート曲で1拍ごとにバスドラムを叩くこと。

Dollar
・・・1980年代に人気があったデュオ。2人とも元
Guys n' Dolls。トレヴァー・ホーンがプロデュースしたことがある。

ザ・キラーズ・・・ラスヴェガス出身のバンド。アメリカ出身だがレーベルがイギリスのため、イギリスで人気。バンド名はニュー・オーダーのPVに出てくるバンドの名前からとった。ブランドン・フラワーズを中心とした4人組。2007PSBは彼らのシングル「Read my mind」のリミックスを手がけた。ちなみにこのPVは来日した際に東京で撮られている。ブランドンのヒゲが似合わない、とニールがぼやいていた。

マルセル・プルースト(1971-1922)・・・フランスの文学者、作家。福なユダヤ系の家庭で生まれ育った。代表作「失われた時を求めて」のなかにソドム&ゴモラを扱った章がある。パリのマドレーヌ広場近くの男娼館によく通っていたと言われ、その近く(サントノレ通り)に今でもある高級おもちゃ屋「オ・ナン・ブルー」で、娼館に行く前に男娼へのプレゼントをよく買ったという。

ボブ・ディラン(1941-)・・・アメリカのミュージシャン。ノーベル文学賞にノミネートされたことがある。あらゆるミュージシャンに影響を与えている。特にジョン・レノンのディランへの傾倒は有名。




シングルカットはされていないものの、この曲はFundamentalの影のメイン曲だ。個人的にもアルバムの中でもっとも完成度が高いと思うし、一番好きな曲。20062007年のFundamentalツアーの一番盛り上がる、アンコール前の最後の曲でもある。唯一この曲でステージのクルーたちは軍服に着替え、ニールは悪の総統のようなコスプレ姿で現われる(ニールは、自分が“着れば着るほどエロくなる”ことを知っているのだ)。ただしクルーたちの動きはとんでもなくキャンプだ。このライブは必見です。

はじめにこの曲を聴いて歌詞を見た感想では、主人公は、@「SMクラブに行ってSかMに目覚めた」A「ゲイクラブに行って自分のセクシャリティに気がついた」かのどっちかかと思った。多分、どっちの解釈でも、ニールは許してくれると思う。はっきりとどんなショーなのかを具体的に言ってしまうより、ほのめかしたほうがよほど想像力をそそるのをよくわかってらっしゃる。やはりわたしたちはニールの手の中で(文字通り)踊らされている。

ちなみに、i-Tuneでこの曲のデモが売っているけど、完成品とはかなり違うので、興味があったらダウンロードしてみてください(30秒サンプルもありました)



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