３５号へ 人形情報紙 ベベ通信３６ vol.36 '01/6月　BYまりりん石原 ホームページバージョン ３７号へ 「ベベ通信」は、もともと通信販売商品に同封する為に発行している人形情報のフリーペーパーです. これは、そこから抜粋したホームページバージョンです. 展覧会を開こう・２（マイ体験談） 個展開催には、いろいろなたいへんなこと・. トラブルがつきもの. 数をこなせば慣れるものですが,予期せぬ事も多いです. 役に立つかどうかはわからないけど,私の体験談です. 緊張の初個展 初個展は,市内の比較的繁華街でした. 以前,ここで私の祖母(織物作家)が何度か個展をして,ご主人とかも知っていましたし,ギャラリー自体は良かったんですが.何しろ,向かいはパチンコ屋とスーパーマーケット. とにかくジャラジャラうるさいんです. それに,パチンコに来るお客さんは全く創作人形に興味がないみたいでちらりとも見ないし,スーパー帰りのおばちゃんが,ガサガサとでかいビニールを持って狭いギャラリーをまわるので,危なくて目が離せない.立地条件は大切です. 人通りの多い場所は不特定多数の通り掛かりのお客さんが見こめるけど,行動の予想がつかない.銀座や青山のようなもともとおしゃれな所だったらいいんですけど. 田舎なら,みんな車で行動するので、いっそのこと静かで不便な所でも,落ち着いてていいかなあ,と思います. 繁華街とそうでないところを順番でもいいかもしれません. とにかく,’96年から’00年までは,必ず毎年1回は展覧会やりました. もちろん内容や場所を変えて,ですけど,これは結構多い方ではないかと思います. 私としては,まず球体関節人形といそべまりこの名を知って欲しかったんです. 静岡(中部地方)は,現在でも球体関節人形を本格的にやっている人がほとんどなく(東京のお教室に通うか,アトリエベベ関係者),もしかしたらお教室はうちだけかも. このあたりは,伝統的に雛人形や木目込み人形が盛んで、今でも私の個展で,「これって,頭はどっかで買ってきてくっつけてんでしょ」とのたまう人がいる. 怒ってはいけない,こういう土地柄だから. だから,新聞には,かなり積極的に取材をしてもらう. でも,以前静岡新聞(地方新聞)の家庭欄に,展覧会の取材をしてもらった時.記者(男性)が,私が「これは伝統的市松人形の形にとらわれず現代的アレンジを…」と説明したところで,「市松人形ってなんですかー.」と聞かれてしまった. いくら男だからってそれはないだろ. しかも,結局新聞には「伝統的市松人形」と書かれてしまった. 新聞記事って,だいたいこんなもの. 一度として私の真意が要約されたことはありません.だから人形の写真だけ載せてくれればいいんです. 前代未聞の開催中止 まだまだ未熟な私ですけど,だんだん認知され,お客さんも来てくれるようになってきました. ギャラリーのオーナーいわく,最近では正統派美術より,女性ウケする工芸系統の展示の方が人気らしい. 人形もそうか。それで,展覧会を頼まれることも多くなりました. まだようやく軌道にのった頃,とある喫茶ギャラリーから依頼があり,引き受けました. もともとカフェ＆ギャラリーを自分でやりたいほどの私でしたし,自分が認められたみたいで嬉しかったんですね. ここから先,よく調べなかった自分にもじゅうぶん非があるのを承知で言わせてもらいますが,そこは最悪でした. そこは営業時間も長いので自分が常駐できないので,そこのオーナーに全てを任せました. 一応全部説明して,触らないなどの最低の扱いもきちんとする約束でした. でも、結局,オーナーは人形を見に来るお客さんがコーヒーや軽食を頼んでくれればそれで良かったんです. 人形には全く興味なし! 自分で依頼してここに来させたのに,結局私には最後までコーヒー1杯出しませんでしたもん. 知り合いが来て,仕方なく自腹で頼んだコーヒー￥400のヒドまずいこと. あー、初めにこれ飲んでおけば,絶対引き受けなかった! こう言うのって,結局趣味だから,味覚も趣味でしょう. モカすっぱいコーヒーより,エスプレッソが好きなんだよ,私は. 「コーヒー」が１種類しかないサテンはサテンと言えるのか. で、たまに覗きに来ると,明らかに人形が動いていたり(手をシェーされてたり),それを問うとシラ切るし. 夜行ったら,オーナーはタバコプカプカでヤキソバじゅーじゅー炒めてるー. もう許せない.ブチキレ.タバコもヤキソバも好きだけど,人形にはかけないでッ. 私はその場で,会期が１週間も残っているのに中止することにしました. オーナーには,「約束が守られないので止める」と告げ,すぐにお手伝いを呼んで片付けましたが,その間,オーナーはずーっと私を罵倒し続けました. 私はもう理由は言ったので,もう何も言いませんでしたが。 もー,人形を全部捨ててしまいたくなりました. 頼まれていい気になってた自分にも腹が立つし.しばらく人形は手につかなかった. 今でも,「あの時,行ったけどやってなかった」と言われると心が痛いのですが,「ＤＭハガキの日にちを間違えた」で通してました. 場所はよーく選びましょうね.だから,依頼はそれ以来,受けません自分のペースってものがありますからね.. 全部自分でやる それぞれにあった方法があると思いますが,私は全部自分でやった方が気持ちはラク. カラダはおやいちゃう(つかれる)けど. 今まで,オーナーのいるギャラリーでなく,全部自分でやるスタイルの展覧会は,1度やりました. 静岡市内の大きな書店内のスペースでしたので,老若男女が訪れます. それに,ここにはアトリエベベの生徒が社員でいるので,かなり告知ポスターとか作ってくれたり,恋月姫とかのメジャーな人の人形写真集の横にＤＭハガキ置いてくれたりしたので,告知は万全. 若い子の集まる店にもDM置いてもらったりして,普段,敷居の高そうなギャラリーにあまり来ないような若い子に,いっぱい来てもらいました. 高校生とかとあまり話す機会はなかっただけに,若いうちに球体人形を知ってもらって良かったです. あれ以来,若い生徒も増えたし. やはり,自分で対応するのは大事ですね. お客さんの反応がすぐわかるし,趣味が合う人とは年齢関係なく話せる. 成功しても失敗しても,他人のせいにできないので、反省も多いけど. まあ,ある程度手応えを感じたら,成功といえるでしょう. ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆今月のギャラリー☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 「ａｎｓｉｅ」（’０１） 60cm 石塑・胡粉・グラスアイ ・絹すが糸 ピンクの薔薇のストレッチ素材,レザー レースソックス･靴・十字架 ３５号へ　／　［３６号］　／　３７号へ